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厚生労働委員会議事録(障害者自立支援法)

163-衆-厚生労働委員会-7号 平成17年10月26日
 ○植民地時代の韓国・台湾のハンセン病療養所入所者による訴訟の判決に対する対応について
 ○精神病院への社会的入院の解消について(グループホームの設置場所、32条通院公費問題)
 ○障害程度区分、国庫基準について。


○山井委員 民主党の山井和則でございます。
 一時間、尾辻大臣に質問をさせていただきます。まさにこの自立支援法の根幹的な部分についてお伺いしたいと思いますが、まずその前に、少しだけ時間をいただきまして、昨日、東京地裁の判決が出ました。台湾、韓国のハンセン病の元患者の方々、療養所の入所者の方々が厚生労働相の処分の取り消しを求める東京地裁の判決が出たわけでございます。
 御存じのように、台湾側勝訴、そして韓国側は敗訴ということになったわけですが、大臣も御存じのように、四年前、ハンセン病の元患者の方々、そして被害者の方々を一括救済するということで議員立法で法律をつくったわけでありますが、その法律が不十分であったということで国会の責任も今回問われているわけであります。
 この問題は、まさに患者の方々も大変御高齢になっておりまして、もうこれ以上、第二、第三の被害というものを、これ以上苦しめることは、本当にこれは日本の恥であるというふうに思います。植民地支配、またそれに続く隔離政策、そしてさらに、今日においてもまだこのような日本の政府の態度というのは、当然国際的に見ても許されるものではございません。このことに関しては、この議員立法において十分そういう想定がされていなかったという国会議員の責任もございますが、はっきり申し上げて、法改正ではなく告示を変えれば済むということであります。
 そこで、尾辻大臣に二点お願い、御質問を申し上げます。
 一点目は、この原告の方々、元入所者の方々が今日本におられるわけですから、ぜひともお目にかかって直接お話を聞いていただきたいということが一点。それともう一つは、まさにこれは法改正は必要なく、告示を変えれば、その運用解釈を変えれば済むことでありますから、尾辻大臣の政治的判断で早期に決着を図っていただきたいと思います。尾辻大臣、いかがでしょうか。


○尾辻国務大臣 昨日出ましたハンセン病の訴訟に関して二点お尋ねがございました。
 一点は、原告の方々とお会いすることを考えてはどうかということでございました。これにつきましては、多くの方からもそういうお話がございますので、近くといいますか一両日中にはお会いしたいというふうに考えております。
 それから、今後の対応についてのお尋ねでございます。改めて申し上げるまでもないことではありますが、昨日東京地裁で判決が言い渡されました二件の訴訟は、いずれも、戦前、日本が韓国、台湾に設置をいたしましたハンセン病療養所の元入所者の皆さんが、ハンセン病補償金の支給請求を棄却いたしました厚生労働大臣の処分の取り消しを求めておられたものであります。
 今回の判決では、これもお話しいただきましたけれども、韓国のハンセン病療養所である小鹿島更生園の元入所者を原告とする訴訟については、海外の療養所が当然には補償の対象となるものではないということで国の勝訴になっておりまして、一方、台湾の療養所でございます楽生院に係る訴訟につきましては、国の敗訴という結果となりまして、全く同じといいますか、同様と言った方があるいは正確なのかもしれませんが、争点でもあるにもかかわらず司法判断が分かれたところでございます。
 こういうふうに司法判断も分かれておりますので、今後の対応をどうするかということになりますと、やはり判決内容もいま一度詳細に検討する必要もありますし、また、私どもだけで結論が出せるわけじゃございませんで、関係省庁とも協議をしなきゃなりませんが、そうした上で対応は決めさせていただきたいと存じております。

○山井委員 先ほども申し上げましたように、これは法改正は必要ありませんし、まさに告示の部分の解釈運用を変えれば済むことでありまして、これはまさに全面解決するかどうかは尾辻大臣の政治判断にかかっているわけであります。原告の方々も御高齢であり、本当に、植民地支配、また戦後の強制隔離政策、これ以上の悲しみを与えるということは、国際的に見ても人権上の観点からも許されるわけではありませんので、早急な尾辻大臣の政治決断をお願いしたいと思います。
 それでは、障害者自立支援法の議論に移らせていただきたいと思います。
 この障害者自立支援法、半年審議をしておりましたが、まだ不明な点が多過ぎるし、障害者の方々も不安で不安でたまらないということをおっしゃっておられます。そんな中で、私は本当にきょうの限られた時間の中で最も根幹的な部分を幾つか取り上げさせていただきたいと思っております。
 まず、尾辻大臣にお伺い申し上げます。
 厚生労働省は、今から十年以内に七万二千人の社会的入院を精神病院から解消するということをお約束されていたと思います。また、この法案でも、脱施設、脱病院、地域で暮らせる社会にということを目指しておられるのではないかと私は今までの答弁を聞いて思っておりますが、その社会的入院の解消、そして脱施設、脱病院という方針について、尾辻大臣、間違いはないか、最初に確認をしたいと思います。

○尾辻国務大臣 障害者の皆さんが地域の中で暮らしていただくということが一番いいことでございますので、私どもは、その方向でぜひ世の中が進んでいくようにということを考えて今回の法案もお願いをいたしておるわけでございます。
 特に、精神障害者の皆さんについて見ますと、どうしてもやはり今まで入院中心でございましたから、これを居宅中心といいますか在宅中心といいますか、その方向に持っていきたい、これは私どもの願っておるところでございます。したがいまして、今先生がおっしゃったことはそのとおりでございます。

○山井委員 今の、精神障害者の方々に対しては在宅中心、居宅中心でやっていきたいというのは、非常に重い発言だと思っております。
 それでは、資料をちょっと見ていただきたいんですが、私の配付させていただいた資料の五ページ目、大臣、見ていただけますでしょうか。これは先日、柚木議員からも指摘があった資料であります。厚生労働省作成、利用者負担額の影響額。居宅においては、見直し前の負担額が十三億、しかし、見直し後は七十三億。通所においては、約六億が見直し後七十六億。入所施設においては、二百十七億が三百四十七億。つまり、居宅においては約六倍、利用者負担額がトータルでふえていく、そして通所施設においては約十二倍、負担額がふえているわけです。
 先ほどおっしゃった、在宅中心が障害者の願いであるからその方向で進めていきたいという大臣の話と、利用者負担は在宅では六倍、通所の作業所や通所施設では十二倍、言っていることとやっていることが違うのではないですか。自己負担をこれだけふやすということは、当然、利用しにくくなるということじゃないでしょうか。大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 まず、お示しいただきました資料でございますが、利用者負担額の影響額として私どもがお出ししたものでございます。そして、これはマクロの数字で、総額であらわしておりますけれども、倍率を計算すれば、これはこの倍率であることは間違いありませんから、それぞれの皆さんの負担がどうなるかという計算をした今の倍率は、そのとおりであるということをまず申し上げるところでございます。
 今回の利用者負担の見直し、そもそもどういう考え方でお願いするかということについては、何回も申し上げておりますから、改めて申し上げません。
 ただ、今回の利用者負担の見直しにおきまして在宅サービスの上がり幅が大きいのは、従来入所施設は、応能負担のころより、まあ従来よりというふうに申し上げた方がいいわけでありますけれども、約九割の方に費用負担をいただいておりまして、その利用者負担率も食費を含め約一割程度の負担を既にいただいていたということがございます。従来、入所施設の方にはそれなりの負担をしていただいていた。それに対しまして、在宅の方でございますけれども、ホームヘルプサービスでありますとか通所サービスについては、費用負担をしていただいている方は約五%程度にとどまっておりまして、また、利用者負担率については約一%という低い水準にとどまっていたということが背景にございます。
 すなわち、今までの水準が低かったので、今回皆さんにみんなで支え合おうということで負担をお願いしまして、そういたしましたら、その上がり幅が大きくなったということは、そのとおりでございます。
 ただ、ぜひ申し上げたいことは、私どもは在宅中心にしたいということを申し上げております。そのことは、私どもは予算額で皆さんに私どもの気持ちはお示しをしておるつもりでございまして、平成十八年度の概算要求では、居宅サービスについては二百七十八億円増、すなわち、割合にして三二・六%増、給付費全体の伸びの一〇・八%を大きく上回る伸びを見込んで要求をいたしております。すなわち、総額で在宅に対して大きな予算要求をし、そこに予算をつぎ込んでこのサービスの量をふやそう、まさに在宅に力を入れようということを申し上げているところでございます。

○山井委員 いろいろ説明はございましたが、数字は紛れもない事実を物語っているわけです。今よりも通所と在宅の負担を急激にふやして、在宅サービス、通所サービスを受けづらくする法律である、このことは数字が紛れもなく語っているわけですね。
 それで、今、在宅中心ということをおっしゃいました。尾辻大臣、改めてお聞きします。在宅中心、在宅移行、在宅という言葉の定義ですが、その在宅という言葉には病院や施設の敷地内は含まれていないですよね。当たり前ですが、確認します。

○尾辻国務大臣 恐らく、今そのお尋ねであれば、この後グループホームだとかケアホームの話が出てくるんだろうというふうに思いますけれども、あえて先走ってお答え申し上げるのもいかがかと思いますので、今のお話でいえば、極めて常識的に言えば、それは、病院の敷地の中が自宅だということにならないということはまず申し上げたいと存じます。

○山井委員 それで、まさにここからが問題なんですが、きょうの朝も菊田議員から質問がありましたが、厚生労働省は、今後、知的障害者のグループホームやケアホームを知的障害者の施設の敷地内につくることを許す方向で検討している、そして、精神障害者のグループホームやケアホームに関しても精神病院の敷地内につくることも含めて検討しているということを、きょう菊田議員の質問に対する答弁でおっしゃいました。
 しかし、今おっしゃったように、地域移行と在宅中心ということを言っているわけでしたら、病院の中のグループホーム、施設の中のグループホームというのはあり得ない話であります。グループホームの理念は、地域で暮らすということであります。
 そして、資料の一ページ目をごらんください。これは厚生省児童家庭局障害福祉課が監修した平成元年の「グループホームの設置・運営ハンドブック」、当時の浅野史郎障害福祉課長、まさにこのグループホーム政策を進められた、原動力になった浅野史郎課長の際に作成されたものであります。これも午前中の菊田議員の質問と重なりますが、「グループホームとして使用する住宅は、原則として一般住宅地内に位置し、」「施設や通勤寮と同じ敷地の住宅は望ましくありません。」そして、「一般住宅地の中にあることは絶対の条件です。」ということが厚生省の監修として書かれております。
 そういう意味では、今議論されているケアホーム、グループホームは、当然地域の中、つまり施設の敷地内ではない、病院の敷地内ではないと私は理解をいたしますが、大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 あえて先生が私にだけに答弁を求めておられる、まさに政治家同士で議論をしようと言っておられる御趣旨を私も理解しておるつもりでありますので、余り役人が答えるみたいな細かい部分にひっかかってお答えするつもりは全くありません。
 ただ、一つだけ申し上げさせていただきたいことは、先ほどのお答えの中でもそう申し上げておるつもりでありますけれども、今後のグループホーム、ケアホームのあり方についての議論の中で、いろいろなことを選択の中で議論しなきゃならないということを申し上げたところでありまして、知的障害者の皆さんのケアホーム、グループホーム、それから精神障害者の皆さんのグループホーム、ケアホーム、これもどう整理するか、同じ中で考えるか分けて考えてみるかとか、そうしたことは今議論をしておるところでありまして、決して一定の方向を持って先ほど御答弁申し上げたつもりでないことだけは申し上げておいた方がいいかなと思うものですから、申し上げたところでございます。
 そこで改めて、今の御質問についてお答え申し上げますと、グループホームやケアホームは、病院や施設と異なりまして、地域に住む人と自然に交わりながら、住居から離れた日中活動の場へ通うという点に特徴があると考えられます。また、今回私どもが言っておりますことの一つに、一つの施設の中で昼も夜も生活なさるよりも、夜お休みになるところ、住居とするところと、昼は通っていくという、その場所の移動、変化ということはぜひやっていただきたい、私どももその方向で考えたいと言っておるわけでございまして、そうした中でこうした問題も考えておるわけでございます。
 まず基本に、そういうふうに思っております。したがいまして、基本に病院や施設とは異なるということを申し上げたところは御理解いただきたいと思います。
 ただ、これは、これから先を申し上げると先ほどと同じことになりますので申し上げませんが、両論あるものですから、私どもは、その両論の御意見をよく伺いながら今後の答えを出したいというふうに考えておるところでございます。したがいまして、私どもが方向を持って考えておるということはないことだけは申し上げておきたいと存じます。

○山井委員 これはもう結論が出ているはずなんですよ。七ページ目に、平成十四年十二月十一日、私の質問に対する坂口大臣の答弁がございます。このときは医療観察法案という非常に問題が多い法案を審議しておりまして、その中で厚生労働省は何度も社会的入院七万二千人を解消するということを約束いたしました。民主党に対して約束をいたしました。
 その中で私が、病棟を改築したり敷地内につくって看板をかけかえて、それでまさか社会的入院をなくすということではないでしょうね、社会復帰ということは、隔離された病院の社会から地域に社会復帰することだと思うんですけれども、施設の敷地内ではなくて地域に社会復帰するということでいいのかということを聞きました。
 坂口厚生大臣はこう答えております。「それはやはり、地域にお戻りをいただかないと意味がありませんから、そのように理解をいたしております。しかし、病院が存在するのも一つのその地域でありますから、その病院が存在するところの地域について、どこにつくるかということは、あるいはその病院に近いということだってそれはあり得るというふうに思いますが、そこに入っている人が、それぞれの郷里の、郷里と申しますか、おうちがあります地域にやはりお戻りいただけるようにしなければいけない」明確に地域に帰ることだと坂口大臣は約束しているわけです。
 いろいろな議論があるんじゃないんですよ、尾辻大臣。もし、この厚生省の正式の答弁、大臣の約束を変えるならば、一回整理してください。この答弁、変わっているんですか、それ以降。

○尾辻国務大臣 今、坂口大臣の答弁を私も見ておりますけれども、お読みになったとおりでありまして、「それぞれの郷里の、郷里と申しますか、おうちがあります地域にやはりお戻りいただけるようにしなければいけないというふうに思っております。」という答弁をしておりますが……(山井委員「明確に言っているじゃないですか」と呼ぶ)これはこのとおりでありまして、私どもも全くそのとおりに思っております。先ほどから申し上げておるとおりでございます。
 ただ、ここで禅問答みたいなことを始めてもしようがないと思うんですが、これを読みますと、坂口大臣がその前に何と言っておられるかというと、「病院が存在するのも一つのその地域でありますから、その病院が存在するところの地域について、どこにつくるかということは、あるいはその病院に近いということだってそれはあり得るというふうに思いますが、」という何か表現をしておられますから、その表現の中ではいろいろなことを意味されたんじゃないかなと、私は今これを読み返して理解をするわけであります。
 改めてですが、こういう議論ですから率直に申し上げた方がいいと思いますので、改めてですけれども、さっき七万二千人の話もなさいました、その人たちを、やはり、まずできるだけ早く自宅に帰っていただきたい、それを進めたいという思いは、先生もそうおっしゃいますし、我々もそう思っております。
 それを進めるときに、これは御意見の中にあるということで申し上げるんですが、多くの御意見の中には、直ちに十分なサービス量を地域で確保することが困難な今状況にある、ですから、現実的には、先ほど来先生がそれはやめるべきだと言っておられるようなことも、まず一定の条件のもとで考えてみたらどうだという御意見もあるということだけは事実でございますし、私どもはまた、そうした御意見をお聞きしながら答えを出していかなきゃならぬと思っております。
 ただ、余り私がこういうふうに言いますと、何となく印象としてその方向で私どもが考えているというふうに理解されるとまた困ると思いますのであえて申し上げますが、決して、今、私どもがそういう方向で答えを出そうとしておるということではないことだけは繰り返し申し上げたいと存じます。

○山井委員 ノーマライゼーションの社会をつくっていく、施設や病院から出て、地域で障害のある方が暮らしていく社会をつくる、その中のグループホームというのは一番根幹じゃないですか。そして、そのグループホームが地域の中にあるというのは世界の常識じゃないですか。もしそんなグループホームを病院の敷地内や施設の敷地内につくったら、世界の福祉関係者から笑われますよ。そんなことをしている国はどこにあるんですか。
 これはやはり根幹的なことですよ。大臣、私たちは国会審議しているんですからね、国会審議では根幹的なことは詰めないとだめなんですよ。大臣、この問題は、もし精神病院の敷地内にグループホームや看板のかけかえを許すのならば、社会的入院なんか二、三カ月で解消してしまうじゃないですか。大臣、このことはやはり国会審議中にはっきりさせてくださいよ。根本的な問題ですよ、これは。大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 外国のこともお話しになりましたのであえて申し上げますと、やはりその国々のそういうことに取り組んできた経緯、歴史もありますから、その中でそれぞれのやり方でやっておるというふうには理解をいたしております。ですから、日本はまた日本の与えられた条件もあります、これまでやってきたこともあります。そしてまた、今申し上げましたように、現実的に判断しなきゃならないということもあるわけでございまして、そうした中での判断をしなきゃならぬということでございます。
 ただ、先生はそうおっしゃいますけれども、先生はそうおっしゃるんですが、また一方から強い御意見もあるわけでありますから、そうした御意見、国民の皆さん方の御意見であります、声であります。国民の皆さん方の声はやはりよく私どもはしっかり受けとめて、どこに答えを出すのが一番適切なのか、これは十分吟味をさせていただきたいと思います。

○山井委員 そういう根本的な政策変更というのは国会審議のほかでやることは許されませんよ、それは。
 委員長、これまた理事会でこの問題は、やはりこの問題はこの法案の根幹にかかわることですから、きっちり、審議の終局までにこのことをはっきり方向性を出してもらうということで理事会に諮ってほしいと思いますが。委員長。

○鴨下委員長 後刻理事会で協議はいたします。

○山井委員 これは、日本の全国のこういうグループホーム関係者や大多数の福祉関係者は、尾辻大臣、もう悲鳴を発しておられるんですよ。こんな世界の笑い物になるような、今までの施設から出て地域に暮らそう、病院から出て地域に暮らそうということを百八十度ひっくり返すようなことを軽々と答弁しないでくださいよ。これはしっかり坂口大臣も言っているんですから、地域に戻ってもらわないと意味がないということは。そのことはぜひとも強くお願いをしたいと思います。
 次に、きょうの午前中の答弁でも、精神障害者の病院からの社会復帰ということを部長さんもはっきりと答弁をされていました。しかし、今回の政府案で、本当に精神障害者の方々が地域で暮らしやすくなるのでしょうか。尾辻大臣、これは私もたびたび質問している三十二条、精神通院公費の問題ですからおわかりだと思います。
 簡単に申し上げますと、厚生労働省は、三疾病、ここに資料がございます、この資料の三ページ、統合失調症、そして躁うつ病、てんかん、この三疾病に、三十二条を変えていくときの重度かつ継続の範囲を限るということを言っているわけですね。これは大臣も、二週間前に質問したことですから覚えておられると思いますが、この資料を詳しくは説明しませんが、しかし現場では、前回も申し上げたように病名では全く区切ることができないということになっているわけです。
 地域で精神障害者が暮らすためには、服薬やクリニックやデイケアは、医療のベースからやはり不可欠なんですね。まさにこれから社会的入院を解消していくためにも、一つの命綱として非常に重要な役割を果たしているんです。それを今厚労省はなくそうとしているわけです。そしてその一部分を重度かつ継続で救おうとされているわけですよね。
 それについて心からのお願いですが、疾病名で削るというのは現場の方々にとっては不合理だ、何で病名で削れるんだということは一致した意見です。ぜひとも、前回も質問しましたように、疾病名ではなく状態像で区切ってほしい。そして尾辻大臣は、そのときこう答弁されましたね、お約束いたします、もう一回、私もよく皆さんの意見を聞いてみます、そして判断いたしますということを二週間前に答弁をいたしました。この国会もあと五日間で終わろうとしております。ぜひその判断をお聞かせ願いたいと思います。

○尾辻国務大臣 こういうやりとりでありますから、先ほどの理事会でお求めになりました件につきましても、私からも改めてお願いをしておきたいと思うのでありますけれども。
 私どもが例えば坂口大臣の答弁を変えたというふうに決めつけておられるんですが、私はさっき申し上げましたように、一番基本の精神のところでは坂口大臣の答弁のとおりに私どもは思っておりますと、まずそのことを認めました。それから、坂口大臣がその前段で言っておられることというのは、これは禅問答みたいなところがあって、必ずしも先生が言っておられるようなことを否定された答弁ではないのじゃないでしょうかというふうにも申し上げました。
 先生が御議論をお進めいただくときに、どうぞその辺についても先生のお考えを明確にお示しいただいて、私どもとの違いというのをはっきりさせていただいた方が、また私どもも議論がしやすいと思いますので、あえてお願いをいたしたわけでございます。そのことは私からのまたお願いにもさせていただきたいと思います。
 ところで、三十二条の議論でございます。これは、私も実は、率直に言いますけれども、不思議に思っていることが一つあるんです。これは最初は状態でと言ったはずなんです。それが専門家の皆さんの御意見が、私の理解しているところを言いますよ、途中から三疾病になったと私は理解しています。これが私にとっては正直に言って不思議に思っているところなんです。先日、先生に私なりによくもう一回調べてみますと言ったのは、実はその辺の思いがあって申し上げたことを今改めて率直に申し上げます。
 それで、その後私も担当を呼んで、一体この辺はどうなっているんだ、私にもようわからぬということを言って、いろいろごしょごしょごしょごしょ言っていましたが、何かちょっと、これも正直に言います、ここで申し上げにくいようなことも言っておりました。何か本音のところはこうなんじゃないですかというような話もしておりました。私なりにその辺を不思議に思っていて、そのところは私なりによく調べてみたいと思って先生にお答え申し上げ、その後、私なりに聞いたところはございます。
 ただ、そんな話を今していてもある意味で前進にはなりませんので申し上げるのですが、これだけは、この前もその思いを込めて申し上げたつもりでありますけれども、三疾病で限るなんということは絶対に思ってもおりませんし、そうするつもりもありません。
 そしてまた、専門家の皆さんの御議論で、症状で判断できるというような話であればそれもよしと私は思いますし、いや、やはり疾病名だとおっしゃるならば、それでは疾病名をどうしましょうかと。今とりあえずどなたにも文句がないのが三疾病だというふうに私は理解しているんですが、その三疾病はだれも文句を言わないのだから、とりあえずその三疾病はそうしておきましょうと。それで、今後これにどう加えていきますかねという御議論をしておられるさなかだと私は理解しておりますので、そういう御議論をしていただければというふうに思っておるところでございます。

○山井委員 今のは非常に重要な点でありますので、確認をしたいんですが、先ほども私の知り合いの方から電話がありまして、やはりこの三十二条だけは何とか救ってほしいと。要は、精神障害者の方あるいはうつの方、本当に閉じこもりがちになって社会復帰できない、あるいは社会参加できない、もっと言えば本当に自殺をするかどうかわからない、そういう方々を現場の方々が必死になって支えておられるわけですよね。その方々がデイケアに行ったり服薬を受けたりクリニックに行く、その命綱がこの重度かつ継続の部分になるわけなんです。
 そういう意味では、現場にぜひ裁量の余地を持たせてほしい。しゃくし定規に三疾病とか決めてしまうと、もう現場としてはにっちもさっちもいかなくなってしまうんですね。これは現場の方々の切なる願いであり、悲鳴であり、日本の社会がどうやって自殺を減らしていくのか、精神障害者に優しい社会をつくっていくのかという、まさにこの一番重要なところですので、三疾病に限らず、状態像で判断していくということをぜひ明確に御答弁いただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 先ほど来申し上げておりますように、このことにつきましては専門家の皆さんの御議論をずっといただいております。ですから、ぜひその専門家の皆さん方がきっちりした御意見を出していただき、結論を出していただきたい。せっかく専門家の皆さんに集まっていただいて議論していただいているわけですから、これは私から言わせていただくと、しっかりした答えを出していただかなきゃ困ると思っておりまして、ぜひその答えを出していただきたい。その答えが出る前に私が何か予断を持って申し上げるというのはやはり避けておこうというふうに思っておりまして、先ほども状態でという答えが出ればと言っただけでありまして、そっちの方向がいいとか、何とかと言っていることでないことだけは、誤解があるといけませんので改めて申し上げたいと思います。
 ただ、少なくとも、言っておりますことは、今の三疾病に限りと、そんな狭くこの問題をとらえようという、そういうことではありませんということだけは、そのとおりでありますから申し上げておるところでございます。ぜひ御理解いただきたいと存じます。

○山井委員 これは本当に、そういう大事なところを国会審議中にやはり明らかにするのが当たり前でありまして、ぜひともそういう答えが出るまで国会審議を続けていきたいというふうに思っております。
 次に、この法案の最大の不安の一つが、尾辻大臣、障害者の方々からこういう声を聞くわけです。私のサービスはこの法案になったらどうなるんですか、維持されるんですか減るんですか、あるいは、障害程度区分で幾つぐらいになるんですか。そしてまた、その障害程度区分というのは国庫補助基準で幾らぐらいになるんですか、それがないと不安で不安で仕方がないという切実な声が連日のように私のもとに届けられております。
 尾辻大臣、そこで、もう半年も審議しているんですから、そして障害者の方々がどんなサービスが利用できるのかさっぱりわからないというふうに不安のどん底におられるわけですから、障害程度区分は幾つに分けるのか、そして、それぞれの基準はどういうふうな基準で分けるのか、また、それぞれについてどれぐらいのサービスの量や国庫補助基準にするのか、やはりそろそろ明らかにすべきだと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 何点かお述べになりましたので、まず障害程度区分の基準というところでお答え申し上げたいと思いますが、よろしゅうございましょうか。その後、お述べになりましたことで御質問がありましたら、また改めての御質問をしていただきまして、お答え申し上げたいと思います。(山井委員「簡略にお願いします。そろそろ明らかにしてくれという質問ですから」と呼ぶ)
 それでありましたら、まず、どの程度の段階を考えておるのかということでございましたので、六段階程度を考えておりますということは申し上げたいと思います。
 それから、今、これはもう御案内のとおりでありますけれども、試行事業をやってその分析をいたしておりますので、この後、この分析も進めますと同時に、まさに関係団体の皆さんの御意見も聞かなきゃいけませんし、また同時に有識者の御意見も伺いながら、年内には必ず、必ずと言いますとまた後でということがありますので、年内にはという表現に改めさせていただきますが、年内には適切な障害程度区分を設定したいというふうに考えております。

○山井委員 先ほども聞きましたように、六つに分けるということで、その中で、それぞれ、例えば一番高いランクだったら何時間ぐらいのホームヘルプが受けられて、どれぐらいの国庫補助基準になるんでしょうか。

○尾辻国務大臣 より詳しくお答え申し上げるなら局長からお答え申し上げた方がいいと思うのですけれども、きょうのところは先生は私に答えろということでございますから、私に答えられる範囲で申し上げますと、それぞれの程度区分において基準はつくりますけれども、その基準の中でサービスを受けていただくということでございます。ただ、介護保険のように限度額を決めてここまでというやり方ではございませんので、適切なサービスを受けていただくということが一番基本でありますし、また、契約を基本にしておるわけでございますから、契約に基づいてということになるわけでございます。
 今先生がお尋ねになっておられる、一番最初の不安というふうにおっしゃったことで大きくお答え申し上げますと、今まで受けておられる適切なサービスが受けられなくなる、そういう意味での水準を落とすということは、決していたしませんということは繰り返し申し上げておるところでございます。

○山井委員 今まで受けている適切なサービスは水準を落とさないと言っても、個々の人にとったらさっぱりわからないわけです。ある私の知り合いの方は、市役所に行って、この自立支援法が通ったら私のサービスはどうなるんですかと聞いたら、市役所の担当者は、さっぱりわかりませんと答えているんですよね。尾辻大臣、私たち国会で法律を審議する人間として、障害者の方々が自分たちのサービスがどうなるかが全くわからない、それで法案を通すということができると大臣は思われますでしょうか。
 例えばALSの方々も、多くは重度訪問介護というのに当たると思います。ALSの患者さん方、そしてまた重度の障害者の方々、二十四時間的なサービスを必要とする方々、多くの方々、私もいろいろ話をしておりますけれども、その方々にとっても、重度訪問介護というのは、国庫補助基準、何時間ぐらいサービスを利用できるのか、それをぜひ知りたい。それが三百時間なのか五百時間なのか、それによって今までの生活が続けられるのかあるいは続けられなくなってしまうのか、人工呼吸器をつけている方は地域で暮らせるのか暮らせないのか。そういうことが決まるのは、やはり数字が出ないとだめなんですね。
 尾辻大臣、この重度訪問介護、一カ月大体何時間ぐらいのホームヘルプが受けられるのか、そして国庫補助基準は幾らぐらいでしょうか。

○尾辻国務大臣 再三申し上げておりますように、障害をお持ちの方で今サービスを受けておられる方、この方々が適切なサービスを受けておられるという、その水準を私どもが下げるということは決して考えておりませんし、また、そんなこともいたしません。ですから、必要なサービスは必ず受けていただきますということだけは繰り返し申し上げておるところでありまして、それはそのように御理解いただきたいというふうに思います。すべての方々にそのことはお約束をいたしておるところであります。
 もう一回言いますけれども、必要なサービスは受けていただきます。受けていただけるようにしますということでございます。そして、その金が足らなくならないように、ちゃんと予算の措置もします。必要な経費として、義務的な経費として国は責任を持ちますというところも申し上げておるところでございます。
 ただ、今そうした中で、では重度の障害をお持ちの方は一体どうなるんだというお話でもございましたので、そのことについても改めて申し上げておきたいと存じます。
 地域で暮らしておられる重度の障害者の方々を支えていくということは、これは極めて重要な課題であると私どもも当然認識をいたしております。そこで、これももう繰り返し繰り返し申し上げておるわけでございますが、新しい制度においては、重度訪問介護、それから重度障害者等包括支援といった新たな給付の仕方をつくるところでございます。
 今後、その重度訪問介護や重度障害者等包括支援について国庫負担基準を設定してまいります。このぐらいの国庫負担をいたしますという基準を設定いたしますけれども、その場合に、現在、全身性障害者に係りますホームヘルプサービスの国庫負担基準は月に二十二万円、約百二十五時間程度、一日四時間で計算しておりますので大体月に約百二十五時間、そして基準額として二十二万円でありますけれども、それが今の基準であるということをまず申し上げました。
 その利用実態を見ますと、地域間でサービス水準に大きな格差がありますから、限りある国費を公平に配分していくことが必要だというふうにも、当然のこととして私どもはしなきゃなりません、考えなきゃなりません。まず、申し上げた現在の月二十二万円という水準について、特に重度の障害者の方々の全国のサービス利用実態などを踏まえて、今度は上げる方向で見直していく。この基準額は、まず国庫負担基準額は上げる方向で見直していくということはお約束を申し上げておきたいと存じます。

○山井委員 要は、百二十五時間じゃ重度の方が生活できないのは当たり前であって、上げる方向でというのは、それが二百時間なのか三百時間なのかどうなのかがわからないと、今受けているサービスが維持できるかどうかがわからないんですよね。
 尾辻大臣、くしくも必要なサービスは維持されるとおっしゃいますが、障害者の方にとっては、今、圧倒的多数の方は必要だからサービスを利用されているわけなんですよ。それをどう判断するのか。そういう意味では、尾辻大臣、障害者の方々はやはり安心と担保が欲しいとおっしゃっているわけですよ。このままの法案で通ってしまったら、来年の四月か十月、認定というか支給決定を受けるまで、私は今のサービスが受けられるのだろうか、どれだけ減るのだろうか、そういう悶々とした思いをずっと抱えないとだめなわけですよね。
 だから、私が尾辻大臣に申し上げているのは、重度訪問介護やあるいはトップの障害程度区分で幾らぐらい、あるいは幾らぐらいの時間なのか、せめてそれを明らかにするか、あるいは、今受けているサービスは原則として維持しますよ、今どっちかのことを言わない限り、障害者の方々は、私の生活どうなるのと。これは死活問題で、一生続いていくことなんですよ。
 きょうも傍聴人も来られていますが、国会周辺に多くの方がきょうも来られています。その不安な顔を大臣もごらんになりましたか。私の一生がどうなるかわからない、この法案で。さっぱりわからないわけですよ。それでは国会で法案審議をやったことにならないんじゃないですか。やはり、今のサービスは維持する、個々人に対して原則維持するということを言うか、あるいは、障害程度区分で一番重いところは何時間、幾らぐらい、そういう具体的な数値を出すか、やはりそれをしないと、私たち国会議員は法案審議をやったことにならないんじゃないですか。
 与党の議員の方々も、地元に帰って、この法案通ったら私のホームヘルプサービスはどうなるのと聞かれて、どう答えられるんですか。半年か一年、決まるまで待っていてくださいと言うんですか。そんなことも言えないのでは、私たち国会議員としたら、審議したという責任を果たせないんです。
 大臣、やはり障害者の方々の安心と担保をしっかり約束できるような答弁をお願いします。

○尾辻国務大臣 まず、御質問に対して外してお答えするつもりはありませんけれども、最初に申し上げたいことは、今回、これももう本当に何回申し上げたかわからない、何回お聞きになったかわからぬとおっしゃるだろうと思うんですけれども、支援費制度の中で地域間格差がある、その格差を小さくして、全体のサービスの水準の底上げを図るんだという、まずこの私たちのやろうとしておること、これは御理解をいただきたいと思うわけであります。
 ただ、そういって、これもそのときにいつも私が申し上げておることは、高い水準にある地域の引き下げを行おうとするものではないということは、これまた何回も申し上げました。全体の量を……(山井委員「個々人のことを聞いているんですよ、個々人のことを」と呼ぶ)ですから、申し上げております。全体の量を等しくして下を上げるというと、当然上が下がるわけでありますから、平均化されてそれは上が下がるということになりますけれども、私どもが今申し上げているのは、先ほどの予算額でも申し上げました、全体を大きくして底上げをしようとしておるわけでございますから、下の水準は上がりますけれども、上を下げようということは考えておりません。
 決してそんなことにはならないんだという基本的なところは、申し上げておるとおりでございますから、ぜひそのとおりに御理解いただきたいと思います。
 ただ、やや慎重に申し上げておりますのは、その水準の一番高いところ、それもいろいろな状況の変化などがありますから、状況の変化によってもサービス量が下がったりいろいろするわけでありまして、それを絶対下げないと私が言って、妙に言葉じりにひっかかってしまわれたりとかいうことがあってはならないとつい思ったりするものですから、やや慎重にそこの思いを申し上げておるところでありまして、サービスの水準は下げません、適切なサービスは必ず受けていただきますと言っておりますことの御理解は、ぜひ賜りたいと存じます。

○山井委員 必要なサービスは受けてもらうとか適切なサービスを受けてもらうとか、それじゃだめなんですよ。障害者の方々はそれぞれの人生がかかっているわけですよ。自分のサービスがどうなるのかわからないわけですよ。だれが適切、だれが必要と判定するんですか。障害程度区分もはっきり決まっていない、本人の意向も二次判定まで聞いてもらえない、今までの実績、どれだけサービスを利用しているのかも現段階では二次判定まで聞いてもらえない、そういう状況でどうやって安心しろと言うんですか、障害者の方々に。
 繰り返し言いますが、この法案をこのまま通したら、支給決定するまで障害者の方々はどうやって安心して晩眠れるんですか。何ら担保がないじゃないですか。必要なサービス、適切なサービスを受けられるというけれども、自分のサービスはそれのどこに当たるんだろうかと。私は、この法案の最大の問題点の一つは、肝心の一人一人のサービスがどうなるのかということがこの国会審議でさっぱりわからないということなんですよ。当事者不在ということなんですよ。国会で審議するのは、やはり一人一人の障害者の暮らしがどうなるのか、そのことはしっかり担保しないと私はだめだと思っております。
 だから、そういう意味では、尾辻大臣にもぜひとも、原則としてサービスはやはり維持するということを言うなり、やはり先ほども言ったような具体的な時間数あるいは国庫補助基準を出してもらわないとだめだと思います。
 委員長にこれもお願いしたいと思います。理事会で、ぜひとも、やはり審議が終わるまでに、ある程度のこういう数字のめどを出すと。これこそが国会議員が国会で審議をしている意味じゃないでしょうか。
 皆さんいかがですか。そんな肝心なことも国会で決められなくて、何をやっているんですか、私たちは。もしそれに反対するのならば、そういうことも決めないで与党の議員は地元の障害者にどう説明するんですか。多分大丈夫だと思うよと言って、半年後、一年後、支給決定が低かったらごめんなさいで済ますのですか。その人の人生はどうなるんですか。
 それで、時間も残り少なくなってきましたので、チラシ問題に入ります。
 皆さん、このA3の裏表のチラシを見てください。見たことがある人、ありますか。尾辻大臣、見たことありますか。不思議と民主党議員にはほとんど配られておりません。私も取り寄せてもらいました。
 そして、右上を見てください。「皆様の御理解・ご説明用に厚生労働省・障害福祉課において御用意しました。」話によると、十月上旬に用意したらしいですね。そして、「真のねらいは何なのですか。」「財政対策がねらいなのではないですか?」右上の方に「定率一割負担」「サービスが受けられない利用者が出てきませんか?」「ご安心下さい。」と書いてあるんですね。安心装置一、二、三、四。
 そして、私が一番ショックを受け、かつ、多くの障害者の方々がお怒りになっているのは、この下です。「この法案には、当事者である障害者団体も反対しているのではないですか?」ということに対して、これこれの団体が賛成しているということが書かれています。
 まず尾辻大臣、一点目。安心装置二、三と書いてあるけれども、これは三年限りの経過措置です。そういうことをしっかり明記しないとだめじゃないですか。通信販売でも、この商品いいですよ、こんなにいいですよと書いてあって、実はそれは三年限りですよ、そんなもの詐欺じゃないですか。「ご安心下さい。」と書きながら、実は三年で終わりだ、そんなものばらまいてどうするんですか。
 それと、この「法律の成立を望む要望書が出されています。」という各団体の名前が書いてありますけれども、ある団体の人に聞いたら、こんなことをチラシに入れられているのは私は知らないと幹部の人も言っているわけですよね。障害者団体の了解も得ずに、勝手にチラシに入れて配っていいのか。
 さらに、尾辻大臣、御存じのように、尾辻大臣もわかっているでしょう、ここに書いてある団体でも、中央のトップと地域では全然意見が違うんですよ。昨日お見えになった育成会の参考人、全家連の参考人、このままの法案じゃだめだとおっしゃっていたじゃないですか。全く違うじゃないですか。でも、こんなチラシ配ったら、全国のそういう団体の方々が賛成しているのかと思うじゃないですか。こんなチラシ配りますか、厚生省が。
 大臣、私は、やはりこういうチラシは大問題がある、そして、障害者団体の方々の気持ちを逆なでする、やはりこのことには私は強く抗議したいと思います。大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 まず、このチラシと言っておられますものでありますが、これは、基本的には先生方に御説明申し上げるためにつくったものでございまして、したがいまして、先生……(山井委員「野党には来ていない」と呼ぶ)いや、ですから、説明をお求めいただいた先生のところに持っていっているだけでありますから、何かこれ、大量で配布したとか何とかというものではありません。ぜひそこは御理解いただきたいと思います。説明に来いとか、持ってこいとおっしゃった先生のところにお持ちしているだけのものであるということをまず申し上げます。
 したがいまして、どういう経路で地方に行ったとかいうお話、今、たしかおっしゃったようでありますが、その辺について、わざわざ私どもが地方まで持っていって配るとか、そんなことをしたものではないということをまず申し上げます。
 それから、障害者団体も反対しているのではないですかということに対する団体のお話がございましたけれども、障害者自立支援法案の特別国会での成立を強く要望しますというふうに意見をお寄せになりまして、これは九月にお寄せになったんですが、その中に、ここに書いてあります団体全部、連名でそういうふうに意見をお出しになった、それをただそのとおりに書いてあるというだけでございます。別に、意見書をお出しになったわけですから、こういう御意見をこういう団体の皆さんがお出しになっておられますということがついているだけでありまして、いわば事実が述べてあるだけのことだというふうに考えます。
 以上、お答え申し上げます。

○山井委員 このような団体に中央と地方とで大きな違いがあるということも大臣は御存じはないんでしょうかね。そして、こういうふうなチラシをやることがどれだけ障害者の方々の気持ちを逆なでするのかということもおわかりにならないんでしょうか。
 そろそろ時間も終わりに差しかかってまいりましたが、やはり大臣、きょうの質問、一時間させていただきましたが、最初質問した、この法案は脱病院ですか、脱施設ですかということに対して、大臣は、在宅です、在宅というのは施設や病院の中ではないですということをおっしゃりながら、次の質問になったら何かトーンダウンして、施設や病院のグループホームやケアホームも議論中ですということをおっしゃる。
 また、精神通院公費のまさに命にかかわる問題に関しても、検討会に任せると。では国会は何なんですか。細かいことは検討会でやるというのはもちろんありますよ。でも、根幹的な、ノーマライゼーションの核であるグループホームを地域につくるのかどうか、やはりそういうことは国会で議論しないでどうするんですか。そしてまた、重度包括支援や障害程度区分も、時間も限られていない。決まっていない。そしてまた、今のサービスが受けられるかどうかもわからない。
 これでどうやって障害者の方々にこの法案がいいと言えるんですか。私は、この法案というのは、本当に徹底して当事者不在であると。もし当事者不在じゃないと言うならば、当事者の方々を安心させるための基準を、やはり審議中に出していただきたいというふうに思います。
 政治というのは、やはり最も弱い方々を体を張ってでも守っていく。しかし、この法案では、世界の流れである地域生活移行、ノーマライゼーション、在宅に移行するということがきっちりできるかどうかわからない。逆に、さっき言ったような三十二条やグループホームのような逆行する面もあるわけなんですね。
 そういう意味では、この法案、きっちりと慎重審議をしてやはり障害者の、この法案の主人公はあくまでも障害者なんですから、障害者の方々がこの法案で私の生活どうなるかわからぬという状況での審議終了ということは決して許されないということを最後に申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。

Posted at 2005年12月02日 16:00 | TrackBack
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