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2005年7月

高齢者虐待防止・介護者支援法案(民主党案)

民主党の高齢者虐待防止プロジェクトチームでは昨年からこれまでに二十数回に渉って専門家の方々や各種団体、自治体などからヒアリングを行い、一般の方々からも広くパブリックコメントを求め、議論を重ねてきました。

昨日、「高齢者虐待防止・介護者支援法案」が民主党の 『次の内閣』閣議で正式に了承されました。
内容は以下の通りです。

※本文中で出てくる「養介護施設」は要介護の間違いではなく、養護施設・介護施設の法律上の略です。

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者の支援等に関する法律案要綱

第一 総則
 一 目的
   この法律は、高齢者の養護者による高齢者への虐待が深刻な状況にあること等にかんがみ、高齢者虐待の防止に関する国等の責務、高齢者虐待を受けた高齢者に対する保護のための措置、高齢者の養護者の負担の軽減を図るための措置等を定めることにより、高齢者虐待の防止及び高齢者の養護者の支援等に関する施策を促進し、もって高齢者の人権の擁護に資することを目的とすること。

 二 定義
  1 この法律において「高齢者」とは、六十五歳以上の者をいうこと。
  2 この法律において「養護者」とは、高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等(5の①の施設の業務に従事する者及び5の②の事業において業務に従事する者をいう。以下同じ。)以外のものをいうこと。
  3 この法律において「高齢者虐待」とは、養護者による高齢者虐待及び養介護施設従事者等による高齢者虐待をいうこと。
  4 この法律において「養護者による高齢者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為をいうこと。
   (1) 養護者がその養護する高齢者について行う次に掲げる行為
    イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
    ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、養護者以外の同居人によるイ、ハ又はニに掲げる行為と同様の行為の放置等養護を著しく怠ること。
    ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
    ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
   (2) 養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
  5 この法律において「養介護施設従事者等による高齢者虐待」とは、次のいずれかに該当する行為をいうこと。
   (1) 老人福祉法第五条の三に規定する老人福祉施設若しくは同法第二十九条第一項に規定する有料老人ホーム又は介護保険法(平成九年法律第百二十三号)第八条第二十項に規定する地域密着型介護老人福祉施設、同条第二十四項に規定する介護老人福祉施設、同条第二十五項に規定する介護老人保健施設、同条第二十六項に規定する介護療養型医療施設若しくは同法第百十五条の三十九第一項に規定する地域包括支援センター(以下「養介護施設」という。)の業務に従事する者が、当該養介護施設に入所し、その他当該養介護施設を利用する高齢者について行う次に掲げる行為
    イ 高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴行を加えること。
    ロ 高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置その他の高齢者を養護すべき職務上の義務を著しく怠ること。
    ハ 高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
    ニ 高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること。
    ホ 高齢者の財産を不当に処分することその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
   (2) 老人福祉法第五条の二第一項に規定する老人居宅生活支援事業又は介護保険法第八条第一項に規定する居宅サービス事業(厚生労働省令で定める事業を除く。)、同条第十四項に規定する地域密着型サービス事業、同条第二十一項に規定する居宅介護支援事業、同法第八条の二第一項に規定する介護予防サービス事業(厚生労働省令で定める事業を除く。)、同条第十四項に規定する地域密着型介護予防サービス事業若しくは同条第十八項に規定する介護予防支援事業(以下「養介護事業」という。)において業務に従事する者が、当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける高齢者について行う①のイからホまでに掲げる行為

 三 国及び地方公共団体の責務
  1 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止、迅速かつ適切な高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに養護者及び養介護施設従事者等に対する適切な指導、支援等を行うため、関係省庁相互間その他関係機関及び民間団体の間の連携の強化、民間団体の支援その他高齢者虐待の防止等のために必要な体制の整備に努めなければならないこと。
  2 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の保護及び養護者の支援が専門的知識に基づき適切に行われるよう、これらの職務に携わる専門的な人材の確保及び資質の向上を図るため、関係機関の職員の研修等必要な措置を講ずるものとすること。
  3 国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護に資するため、高齢者虐待に係る通報義務、人権侵犯事件に係る救済制度等について必要な広報その他の啓発活動を行うものとすること。

 四 国民の責務
   国民は、高齢者虐待の防止、養護者への支援等の重要性に関する理解を深めるとともに、国又は地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止、養護者の支援等のための施策に協力するよう努めなければならないこと。

 五 高齢者虐待の早期発見等
  1 養介護施設、病院、保健所その他高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び養介護施設従事者等、医師、保健師、弁護士その他高齢者の福祉に職務上関係のある者は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならないこと。
  2 1に規定する者は、国及び地方公共団体が講ずる高齢者虐待の防止のための啓発活動及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護のための施策に協力するよう努めなければならないこと。

第二 養護者による高齢者虐待の防止、養護者の支援等
 一 高齢者虐待防止・養護者支援センター
  1 市町村は、地域包括支援センターその他の当該市町村が設置する適切な施設又は当該市町村の適切な部局が、高齢者虐待防止・養護者支援センターの機能を果たすようにするものとすること。
  2 高齢者虐待防止・養護者支援センターは、養護者による高齢者虐待の防止及び養護者の支援を図るため、次に掲げる業務を行うものとすること。
   (1) 二の1若しくは2の通報又は二の3の届出を受理すること。
   (2) 養護者による高齢者虐待の防止及び養護者の支援に関し、相談、指導若しくは助言をすること又は相談、指導若しくは助言を行う機関を紹介すること。
   (3) 二の1若しくは2の通報又は二の3の届出を受けた場合に、事実の確認のための措置等をとること。
   (4) 五の一時保護を行うこと。
   (5) 養護者による高齢者虐待の防止及び養護者の支援に関する情報を収集し、分析し、及び提供すること。
   (6) 養護者による高齢者虐待の防止及び養護者の支援に関する広報啓発を行うこと。
  3 市町村は、当該市町村の区域内に設置された地域包括支援センターその他の適切な施設等(1に規定する施設を除く。)に、2の①から⑥までに掲げる業務を行うことを委託することができること。
  4 3による委託を受けた施設等の業務に従事する者又はその職にあった者は、正当な理由なしに、その職務に関して知り得た秘密を漏らしてはならないこと。
  5 市町村は、高齢者虐待防止・養護者支援センターに、2の①から⑥までに掲げる業務に専門的に従事する職員を置くよう努めなければならないこと。3により業務を委託された施設等の設置者についても、同様とすること。
  6 高齢者虐待防止・養護者支援センター(3により委託を受けた施設等を含む。七の1を除き、以下同じ。)は、養護者による高齢者虐待への対応を適切に行えるよう、関係機関との連携協力体制を整備しなければならないこと。この場合において、養護者による高齢者虐待にいつでも迅速に対応することができるよう、特に配慮しなければならないこと。
  7 市町村は、高齢者虐待防止・養護者支援センターを周知するための措置を講じなければならないこと。

 二 養護者による高齢者虐待に係る通報等
  1 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを高齢者虐待防止・養護者支援センターに通報しなければならないこと。
  2 1に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを高齢者虐待防止・養護者支援センターに通報するよう努めなければならないこと。
  3 養護者による高齢者虐待を受けた高齢者は、その旨を高齢者虐待防止・養護者支援センターに届け出ることができること。
  4 刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、1又は2による通報をすることを妨げるものと解釈してはならないこと。
  5 高齢者虐待防止・養護者支援センターが1若しくは2の通報又は3の届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた高齢者虐待防止・養護者支援センターの職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならないこと。

 三 事実の確認のための措置等
  1 高齢者虐待防止・養護者支援センターは、二の1若しくは2の通報又は二の3の届出を受けたときは、速やかに、当該高齢者との面会その他の当該高齢者の安全の確認及び当該通報又は届出に係る事実の確認のための措置を講じなければならないこと。
  2 高齢者虐待防止・養護者支援センターは、1の措置を講じた場合において、必要があると認めるときは、当該高齢者及び養護者による高齢者虐待を行い又は行うおそれがある者に対して相談、指導及び助言を行うものとすること。

 四 高齢者の保護
   市町村又は市町村長は、二の1若しくは2の通報又は二の3の届出があったときは、高齢者に対する養護者による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護が図られるよう、適切に、老人福祉法第十条の四第一項若しくは第十一条第一項の規定による措置を講じ、又は同法第三十二条の規定により審判の請求をするものとすること。

 五 一時保護
   高齢者虐待・養護者支援センターは、養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じ、又は生じるおそれがある場合において、当該高齢者の保護のため必要があると認めるときは、当該高齢者を一時的に保護するものとすること。

 六 居室等の確保
   市町村は、老人福祉法第十一条第一項及び五の措置をとるための居室又は病床を確保するため、必要な施策を講じなければならないこと。

 七 立入調査
  1 市町村長は、養護者による高齢者虐待により高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じているおそれがあると認めるときは、高齢者虐待防止・養護者支援センターの職員又は高齢者の福祉に関する事務に従事する職員をして、当該高齢者の住所又は居所に立ち入り、必要な調査又は質問をさせることができること。
  2 1による立入り及び調査又は質問を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならないこと。
  3 1による立入り及び調査又は質問を行う権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならないこと。

 八 警察署長に対する援助要請等
  1 市町村長は、七の1による立入り及び調査又は質問をさせる場合において、これらの職務の執行に際し必要があると認めるときは、当該高齢者の住所又は居所の所在地を管轄する警察署長に対し援助を求めることができること。
  2 市町村長は、高齢者の生命又は身体の安全の確保に万全を期する観点から、必要に応じ適切に、1により警察署長に対し援助を求めなければならないこと。
  3 警察署長は、1による援助の求めを受けた場合において、高齢者の生命又は身体の安全を確保するため必要と認めるときは、速やかに、所属の警察官に、1の職務の執行を援助するために必要な警察官職務執行法その他の法令の定めるところによる措置を講じさせるよう努めなければならないこと。

 九 養護者の負担の軽減のための施策
   市町村は、養護者の負担の軽減を図るため、養護者の心身の状態に照らしその養護の負担の軽減を図るため緊急の必要があると認める場合に高齢者が短期間養護を受けるために必要となる居室又は病床を確保する等の施策を講じなければならないこと。

 十 都道府県の援助等
  1 都道府県は、第二により市町村が行う措置の実施に関し、市町村相互間の連絡調整、市町村に対する情報の提供その他必要な援助を行うものとすること。
  2 都道府県は、第二により市町村が行う措置の適切な実施を確保するため必要があると認めるときは、市町村に対し、必要な助言を行うことができること。

第三 養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等
 一 養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等のための措置
   養介護施設の設置者又は養介護事業を行う者は、養介護施設従事者等の研修の実施、当該養介護施設に入所し、その他当該養介護施設を利用し、又は当該養介護事業に係るサービスの提供を受ける高齢者及びその家族からの苦情の処理の体制の整備その他の養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止等のための措置を講ずるものとすること。

 二 養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る通報等
  1 養介護施設従事者等は、当該養介護施設従事者等がその業務に従事している養介護施設又は養介護事業(当該養介護施設の設置者若しくは当該養介護事業を行う者が設置する養介護施設又はこれらの者が行う養介護事業を含む。)において業務に従事する養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならないこと。
  2 1に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やかに、これを市町村に通報しなければならないこと。
  3 1及び2に定める場合のほか、養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努めなければならないこと。
  4 養介護施設従事者等による高齢者虐待を受けた高齢者は、その旨を市町村に届け出ることができること。
  5 刑法の秘密漏示罪の規定その他の守秘義務に関する法律の規定は、1から3までによる通報をすることを妨げるものと解釈してはならないこと。
  6 養介護施設従事者等は、1から3までによる通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いを受けないこと。
  7 市町村は、1から3までによる通報又は4による届出を受けたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該通報又は届出に係る養介護施設従事者等による高齢者虐待に関する事項を、当該養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る養介護施設又は当該養介護施設従事者等による高齢者虐待に係る養介護事業の事業所の所在地の都道府県に報告しなければならないこと。
  8 市町村が1から3までによる通報又は4による届出を受けた場合においては、当該通報又は届出を受けた市町村の職員は、その職務上知り得た事項であって当該通報又は届出をした者を特定させるものを漏らしてはならないこと。都道府県が7による報告を受けた場合における当該報告を受けた都道府県の職員についても、同様とすること。

 三 通報等を受けた場合の措置
   市町村が二の1から3までによる通報若しくは二の4による届出を受け、又は都道府県が二の7による報告を受けたときは、市町村長又は都道府県知事は、養介護施設の業務又は養介護事業の適正な運営を確保することにより、当該通報又は届出に係る高齢者に対する養介護施設従事者等による高齢者虐待の防止及び当該高齢者の保護を図るため、老人福祉法又は介護保険法の規定による権限を適切に行使するものとすること。

 四 公表
   都道府県知事は、毎年度、養介護施設従事者等による高齢者虐待の状況、養介護施設従事者等による高齢者虐待があった場合にとった措置その他厚生労働省令で定める事項を公表するものとすること。

第四 雑則
 一 国の補助
   国は、都道府県又は市町村に対し、この法律に定める高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の保護、養護者の支援等のための事務に要する費用の一部を補助することができること。

 二 調査研究等
  1 国は、高齢者虐待の実態の情報の収集及び提供を行うとともに、高齢者虐待があった場合の適切な対応方法、認知症の高齢者に対する適切な養護の方法その他の高齢者虐待の防止、養護者及び養介護施設従事者等の支援等に資する事項について調査及び研究を行うものとすること。
  2 国は、1の調査及び研究等を実施するために必要な体制を整備するものとすること。

 三 財産上の不当取引による被害の防止等
  1 高齢者虐待防止・養護者支援センターは、高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の保護及び養護者の支援に関する業務のほか、養護者又は高齢者の親族以外の第三者が不当に財産上の利益を得る目的で高齢者と行う取引(以下「財産上の不当取引」という。)による高齢者の被害に関する相談に応じ、又は消費生活に関する業務を担当する部局その他の関係機関を紹介するものとすること。
  2 市町村長は、財産上の不当取引の被害を受け、又は受けるおそれのある高齢者について、適切に、老人福祉法第三十二条の規定による審判の申立てを行うものとすること。

 四 成年後見制度の利用促進
   国及び地方公共団体は、高齢者虐待の防止及び高齢者虐待を受けた高齢者の保護並びに財産上の不当取引による高齢者の被害の防止及び救済を図るため、成年後見制度の周知のための措置、成年後見に係る経済的負担の軽減のための措置等を講ずることにより、成年後見制度が広く利用されるようにしなければならないこと。

第五 罰則
  所要の罰則を整備すること。

第六 その他
 1 施行期日
   この法律は、平成十八年四月一日から施行すること。
 2 検討
  (1) 高齢者以外の者であって精神上又は身体上の理由により養護を必要とするものに対する虐待の防止等のための制度については、速やかに検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。
  (2) 高齢者虐待の防止等のための制度については、この法律の施行後三年を目途として、この法律の施行状況等を勘案し、検討が加えられ、その結果に基づいて必要な措置が講ぜられるものとすること。

Posted at 2005年07月21日 固有リンク | Comments (2) | TrackBack

2005年7月

2005年7月

障害者自立支援法案衆議院厚生労働委員会通過のお詫び(メルマガ680号より一部編集)

 13日は、緊迫した1日でした。朝9時20分からの厚生労働委員会理事会でも、採決のことで激論。私は採決は拙速すぎると主張。
 9時半からの厚生労働委員会審議でも、尾辻大臣や厚生労働省の答弁はあいまいなまま。採決の日になっても明確な答弁がありません。
これでは、この法案が通って、障害者の生活がどうなるかがサッパリわかりません。単に負担が増えるだけです。


 3時からの今日最後の質問者(採決の直前)は社民党の阿部知子議員。
阿部議員の質問により、精神医療の通院公費負担(いわゆる32条問題)で大幅に負担が増える患者さんの割合を厚生労働省が1-2割と資料に明記していたのが、実際には、根拠のない数字であり、実際には3割―6割になりそうなことが発覚。
尾辻大臣や厚生労働省は、データの誤りを認めました。
 採決の直前になっても非常に重要な基本的データの誤りが発覚し、正確な実態はわからないままです。「このままじゃ採決できない」という声が委員会室に充満。
 しかし、野次や罵声の中を与党が強行に採決を決行。
 民主党はもちろん反対。

 採決のあと、重い足で議員会館前に行きました。そこには、法案に反対する数百人の障害者の方々が待っておられました。民主党を代表して、園田康浩議員(民主党障害者政策ワーキングチーム事務局長)が挨拶。無念さ、怒り、今後の決意がこもった園田議員の熱い挨拶を横で聞き、また、ショックを受けている障害者の方々の姿を見て、涙が出そうになりました。くやしい、情けない。なんで、こんな法案が通るのか? なぜ、阻止できなかったのか?
 しかし、涙を流して済む問題ではありません。この法案によって、目の前にいるこの障害者の方々の生活はいったいどうなるのか? 全国の数百万人の障害者やそのご家族の暮らしは、どうなるのか? 
 少しでも悪くならないように、責任を持って対応することが、政治家の責任です。
 反対したとは言え、法案を成立させてしまったのは、与野党超えて、私も含めてすべての国会議員の重い責任です。

 私は、この法案については、大幅な修正か、それが無理なら継続審議・廃案にすべきと今までから主張してきました。その両方が実現できなかったことに対して、私はお詫びをせねばなりません。
 来週からこの法案は、参議院での審議に移ります。参議院の民主党議員をサポートしながら、この法案を大幅により良いものにする、あるいは、継続審議・廃案のために頑張りたいと思います。

 園田議員は、「今日は法案が可決された悲しい日ですが、今日の日を、21世紀の日本の障害者福祉のスタートの日としようじゃないですか!」と演説されました。
 決してあきらめるのではなく、このくやしさをバネに、21世紀の日本の障害者福祉の夜明けのために、今まで以上に頑張ります。 
                          合掌 山井和則

Posted at 2005年07月14日 固有リンク | Comments (13) | TrackBack

2005年7月

2005年7月

やまのい和則国会ニュース第91号

 やまのいニュースの第91号ができましたので、お送りします。

~~ 一括 ~~
全4ページ(pdf:513KB)

~~ 1ページ毎 ~~
1ページ(pdf:163KB)
2ページ(pdf:155KB)
3ページ(pdf:426KB)
4ページ(pdf:114KB)

Posted at 2005年07月10日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2005年7月

2005年7月

障害者自立支援法 与党修正案

2005年7月

2005年7月

障害者の活動の報道と自立支援法の審議(メルマガ675号より抜粋編集)

 理事会で、あさって7月8日(金)の委員会について議論をしました。
 今週金曜日には午前中に参議院本会議が入ること、午後に年金合同会議が入ることにより、審議時間が短時間しかとれません。
 そのため、与党は7月8日の採決はあきらめ、7月13日(水)の採決を求めました。
 野党は、与党が作成中の修正案を見てからの話しだと、回答を保留。
 よって、7月8日(金)の採決はなくなりました。

 なお、今後の見通しですが、与党は現在、修正案を作成中で、その修正案を8日か13日に委員会に提出する予定のようです。
 でも、修正案が出てきたらその修正案についても改めて審議するのは当然で、当日に修正案を提示して、その日に採決というのは無理があります。

 ちなみに、昨日の1万1000人の史上最大の障害者の行動を報道したのは、朝刊では毎日新聞と共同通信のみ。 新聞紙面やテレビは郵政一色。

 障害当事者が史上最大のデモをしてもほとんど報道されない。
 蒸し暑い中、障害者が全国から集まって、半日、ふらふらになりながら行動したのに、なぜ報道されないのでしょうか?
 本当にこの国では障害者は無視されていると悲しくなります。
 ちなみに、2日前の郵政民営化反対の国会周辺デモは3000人でしたが、テレビでも新聞でもかなり報道されていました。

 今日の委員会で民主党の横路孝弘議員が、昨日の自立支援法の大集会について
「大臣は、この集会を知っていたのですか?」と質問しました。。
 尾辻大臣は、「厚生労働省の近くでしたので、大変多くの方々が集まっておられたのは知っています。自立支援法をより良くするための集会だと思います。この法案は障害者福祉の向上のための法案ですので、そのことを是非、障害者の方々にもご理解頂きたいし、そのための努力を私たちもせねばならないと思います」
 という趣旨の答弁をしました。

 これを聞いて、
 「大集会をやっていると知っていたなら、会場に行ってほしかったなあ」
 山井のつぶやきでした。

Posted at 2005年07月06日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2005年7月

2005年7月

厚生労働委員会議事録(障害者自立支援法案)

162-衆-厚生労働委員会-31号 平成17年07月01日
 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)
◇障害者サービスに定率負担を一律に導入している国はあるか?
◇障害者の所得保障について
◇自立支援医療について
◇サービス水準の確保について

○鴨下委員長 次に、山井和則君。

○山井委員 四十五分間、尾辻大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 私も、福祉をライフワークとして衆議院議員にならせていただきました。そして、やはり本当に豊かな社会というのは、障害のある方も、もっと言えば重度の障害のある方も地域で暮らすことができる、社会の真ん中で暮らすことができる、そういう社会をつくっていくこと、またそういう方々が命の不安を感ずることなく、希望を持って、多くの人たちと交流したり、また働く喜びを得ながら暮らしていく、これを保障し改善させていくのが政治家の務めであると思っております。
 御存じのように、過去、ずっと長い議論の中で、日本の障害者福祉は欧米より十年おくれ、二十年おくれと言われてきたわけですね。そんな中で、支援費制度によって、多くのグループホームができたり、また多くの障害者の方が施設を出たり、あるいは地域で暮らすことができるようになってきたわけです。しかし、その流れに大きくさお差す、障害者福祉の進歩を逆行させるのがこの自立支援法案であります。そういう意味では、まさに自立阻害法案とこの法案が言われるゆえんでありまして、この自立支援法案のままでは自立することができないという悲鳴を障害者の方々は上げておられます。

 今、一時間にわたって園田議員から質問そして要望がございましたが、きょう、資料を配らせていただきました。私たち民主党も、九項目の修正要求を与党の方に出させていただきました。しかし、審議が始まって一カ月半がたとうとしているにもかかわらず、こういう重要な、そして根本的な修正の要求、これは民主党の要求というよりはまさに障害者団体の方々の要求であり、そして障害者の方々、現場の方々の切実な要求であります。それに対してもほぼゼロ回答しか返ってこない。結局、単に時間を引き延ばしてずるずると採決しやすい状況をつくっていこうとしている、そういう思いが見え見えの修正協議だからこそ、障害者の方々の切なる思いを踏みにじろうとするそういうやり方は許せないということで、私たちも修正協議を打ち切らせていただきました。
 先ほどの園田議員との答弁を聞いておりましても、まだまだ詰まっていない、また障害者の方々の自立が脅かされる内容ばかりなわけですね。そういう意味では、これからの四十五分間は、尾辻大臣と、細かな数字のことはいいですので、根本的なこの法案の性格、考え方というものを議論していきたいというふうに思っております。
 では、質問に入らせていただきます。
 まず、この資料を見てもらえますでしょうか。二ページ目ですね。「諸外国における障害福祉サービス」……
 ちょっと定数が足りていないと思いますので、ちょっと確認して、速記をとめてください。これだけ重要な、障害者の命と生活がかかっている法案なんですから。とめてください。

○鴨下委員長 それでは、山井委員からの指摘で、定足数が足りておりませんので、一時速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○鴨下委員長 速記を起こしてください。
 山井君。

○山井委員 こういう重要な、障害者の方々の命と生活を本当に左右する重要な法案を審議しているときに与党の理事が一人もいない、とんでもないことだと思います。
 では、質問に戻ります。
 「諸外国における障害福祉サービス」、まず尾辻大臣にお伺いしたいと思います。全世界の中で、障害者のこういうサービス、住宅費やあるいは食費という実費を除いて、サービス利用に対して、応益負担、定率負担、一律で導入している国は世界にありますか。

○尾辻国務大臣 諸外国における障害者サービスの利用者負担のあり方は、国によってまた自治体によっても異なるというふうに承知をいたしておりますけれども、低所得者や重度障害者に配慮しつつ一定の負担が課されている例もあるというふうに承知をいたしております。
 なお、障害者自立支援法案の利用者負担も、所得に応じた負担上限の設定やきめ細かな減免措置を行うこととしておりますので、全体としていわゆる応益負担や定率負担には当たらないと考えておりますけれども、申し上げたように、諸外国においても一定の負担が課されている例はあるというふうに承知をいたしております。

○山井委員 そんな質問はしておりません。応益負担、定率負担を障害者のサービスに対して導入している国があるのかないのか、それを聞いているんです。

○尾辻国務大臣 諸外国の例をすべて把握しておるわけではございませんので、今そういう、おっしゃるような定率負担あるいは応益負担というようなことであるかないかは承知をいたしておりません。

○山井委員 承知をしておりませんということは、今知っている限りでは、ないということですね。確認します。

○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、現時点では承知をいたしておりません。

○山井委員 つまり、今回のこの自立支援法案での応益負担、一律定率負担の導入というのは、世界初なんです。
 尾辻大臣にお伺いします。世界に百六十カ国以上の国があって、なぜどこの国もそういう障害者のサービスに対する応益負担、定率負担というのが導入されていないと思いますか。お答えください。

○尾辻国務大臣 まず、申し上げておりますように、そうした例があるかないかを承知していないということを申し上げておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、それぞれの国の制度というのは、それぞれの国の伝統や文化もあり、事情もあって定められるわけでございますから、まさにそれぞれの国によって異なるというふうに存じます。

○山井委員 それぞれの国によって異なっていないんです。障害者のサービスに対して、応益負担、定率負担を導入しないというのは世界の常識なんですよ。今そう答弁しているじゃないですか。日本だけがその常識に反したことをやろうとしているわけですよ。
 それは、なぜほかの国がやらないのかというと、福祉の理念に反するからです。障害が重い人ほど苦しんでいて、就労も難しくて、所得が少ないのは決まっているじゃないですか。それに対して多くの自己負担を取るなんというのは、福祉の理念に真っ向から反対しているのではないですか。そしてまた、トイレに行ったりおふろに入ったり、生活のためのサービスを受けるのが益であるはずがないではないですか。そういう意味では、今政府が通そうとしているこの法案は、世界でも本当に例を見ない恥ずかしい法案であるということを認識していただきたいと思います。
 そこで、具体的な話に入ります。
 先日、尾辻大臣にもお渡しをさせていただきました。例えば、通所の授産の作業所、工賃が全国平均で一万二千円ぐらいです。そういうところでこういう織物をつくったりして、何とか一カ月一万円、一万二千円という工賃を知的障害者の方は稼いでおられます。
 そして、またきょうもいろいろ持ってきましたが、私の事務所でも毎年使っておりますけれども、精神障害者の方が作業所でつくられた手すきのカレンダー、あるいはこれも精神障害者の方々がつくられたうちわであります。そして、こういうふきんも売られたり、あるいはこういう陶器、これはフクロウをあしらってありますけれども、苦労がなくなるようにという願いを込めてこういう陶器も作業所や授産施設でつくられているわけですね。
 こういう方々の工賃というのが一万二千円ぐらいなわけです、全国平均で。ところが、そこに対して今回の法案では、きょうの資料につけさせてもらっておりますが、七ページを見てもらったらわかりますように、見直し後、約二万円ぐらいの自己負担を導入する。
 尾辻大臣、これは普通に考えてみてください。一カ月、月曜日から金曜日まで、作業所に行ったり通所授産施設に行って、一万円ぐらいの工賃をやっともらっている。その一万円の工賃が一カ月の喜びなんです。ある障害者の方がおっしゃっておられましたが、その一カ月の最後の日にもらった封筒に一万円が入っているかどうか、それがもう楽しみだと。そして、そのお金をもらったら、SMAPの写真集を買ったり、あるいは、絵をかくのが好きな障害者の方は絵をかく本を買ったり、あるいは、旅行が好きな方は、なかなか行けないけれどもどこに旅行に行こうかなという夢を持ちながら旅行の本を買ったり、そしてまた、自分が働いた工賃で家族と一緒に食事に行く、これがもう一カ月の楽しみなんだ、それを励みで働いておられるという方々が多いわけですね。
 その方々から二万円、つまり工賃を上回る利用料を取る。大臣、こういうことは可能だと思いますか。本当にこんなことをされるんですか。大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 障害者の皆さんの所得をどう保障するかということにも絡むと思いますので、そうした観点からもお答え申し上げたいと存じます。
 障害者の自立支援を図る上で、今お話しの、工賃というお話がございましたが、広く就労の支援が非常に重要だと考えておりますから、私どもは、今回の改革において、新たにそうした場をつくるように制度化もしようと考えておるところでございます。
 そうしたことは考えます一方で、どのような活動を行うにせよ、通所事業という事業は障害者に対して事業者が必要なサービスを提供するということでございますから、他の障害福祉サービスの提供を受けた場合と同様に、利用料として原則として一割の自己負担をお願いするということにしておるところでございます。
 しかしながら、就労継続支援のうち、事業者と障害者の間で雇用関係が結ばれているものについては、障害者を雇用する企業と類似しておりますことから、就労の現場の実情を尊重いたしまして、事業者の判断で事業者のみの負担により利用料を減免することのできる仕組みを導入することを検討しておるところでございます。
 そうしたさまざまな方法を用いながら、ぜひ皆さんの御理解をいただきたいと思いますし、これは繰り返し申し上げておることでございますが、やはり障害者の皆さんもお互いにみんなで出し合ったり、出し合ったりというのはお金という意味でございますが、出し合ったり、また助け合ったりしながらという大きな福祉の制度をつくっていただきたいというふうに思っておるところでございます。

○山井委員 今説明がありましたが、改めて質問をします。
 要は、作業所や通所授産施設では工賃が一万円ぐらいなわけですね。その方々に対して、厚生省が出してきた資料にもありますように、二万円ぐらいの利用料や食費を取るというのが今回の法案なんです。自分は働いて給料をもらっているというふうに障害者の方々は生きがいを感じて作業所や通所授産施設に行っているわけです。その方々に対して、この法案は、来年の一月から、作業所や通所授産施設に行ったら、今までは一万円家にお金が入っていたけれども、あなたが行ったら一万円払わないとだめなんですよということにする、ある意味で恐ろしい法案なんですよ。百八十度変わるんですよ。一万円家にお金が入るんじゃなくて、一万円払わないとだめなんですよ。
 大臣、ほかの聞き方をしましょう。その障害者本人にどう説明しますか。今まで、私が行ったら、僕が行ったら一万円お金がもらえるんだと思っていた人に対して、行ったらプラスマイナスで一万円家から払わないとだめなんですよ、大臣、そう説明するんですか。

○尾辻国務大臣 先ほど諸外国の例とのお話もございましたけれども、今、私どもは、全体の社会保障を考える中で、それぞれ整合性を持たなきゃいけない、そういうふうに思っております。
 そういう中で、やはりこうした利用料についても、今お話しのような利用料についても、一割の御負担だけは基本的にお願いをする。これは、それぞれの減免制度を考えておりますから、必ず一万円に皆さんがなるというわけじゃありませんけれども、まず原則として、基本として、一割の御負担をお願いするということを今申し上げておるところでございます。
 ですから、そうした皆さん方にも、やはり一割負担というところの原則だけはまずお願いします、ただ、減免措置その他はちゃんと考えますからということを今申し上げておるところでございます。

○山井委員 改めて申し上げますが、そういうことを考えやっている国は世界にないということを言っているわけですよ。障害者の方々は、働くのも難しいし、所得も少ない。だから、同じ原則ではいけないということは世界の常識なわけですよ。
 次のグループホームの質問に移りますが、この間、この自立支援法で、グループホームがケアホームとグループホームに分かれるとか、そしてホームヘルパーが利用できにくくなるとか、また規模も大きくなるのではないかとか、また施設の中にケアホームやグループホームを建てることができるようになるのではないかというようなことで、本当にグループホーム関係者は不安のどん底に陥られております。グループホームに関する自己負担に関しても、ページ八にありますように、五千円から二万円ぐらい、これもアップされるわけですね。
 やはり、福祉を願う者として、重度の障害者が地域で暮らせる社会をつくりたい、これはみんなの夢なんですよ。そして、支援費によって、外部からホームヘルパーさんなども利用しながら、うまくグループホームで、地域で暮らせるというめどがついてきた。大臣、にもかかわらず、この自立支援法が出てきたことによって、多くの現場では、これではグループホームやケアホームは生き残っていけないということで、今までされていた今年度、来年度の計画がどんどん打ち切りになっていっているんですよ。自立支援法といいながら、自立の阻害になっているのではないですか。
 そこで、お伺いしたいと思います。時間にも限りがありますので、肝心なことしかお伺いしませんが、グループホームはこの自立支援法で利用しやすくなるんですか。そして、今までどおりホームヘルパーの方々も利用できるんですか。大臣、お答えください。

○尾辻国務大臣 私どもは、今回の改正によりまして、今おっしゃったようなグループホームのよさを維持しながら、そしてグループホームという仕組み、制度がずっと続けられていくようにという観点で今回のことをお願いいたしておるわけでございます。
 したがいまして、今回の改正の、そういった意味で申し上げますと私どもが一番重要視しているといいますか、これは、今後ともずっとこうした仕組みを続けられるようにということもあるわけでございまして、そうした観点からお願いをしているというふうに御理解いただければと存じます。

○山井委員 どの答弁もそうでありますが、全然答弁にはなっていないわけですね。だから、みんな不安に思っているわけですよ。だから、グループホームの計画がどんどん壊れていっているわけですよ。もうこれは法案審議に入ってから一カ月半以上たっているんですよ。
 それで、もっともっとまた引き続き私は質問させてもらいますので、次のテーマに移ります。
 ですから、私が申し上げたいのは、先ほどの作業所の例、通所授産の例、またこのグループホームの例を見ても、やはりまず所得保障が先であって、もし定率負担というならばまず所得保障をしないと現実的には無理でしょうということを、私たち民主党は、そして民主党だけじゃなくて多くの障害者の方々は言っているわけです。
 そこで、お伺いします。やはりこういう所得保障が確立するまでは定率負担の導入というのは凍結すべきだと考えますが、大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 障害者の所得保障は、これもまた先ほど来申し上げておりますように、障害者の地域における自立した生活を考える上で極めて重要な問題だと認識をいたしております。
 年金制度や各種手当制度につきましては、現在の国の財政状況等を勘案いたしますと、大変難しい面もございまして、大きく改善を図ることは容易でないと率直に言わざるを得ないところでございますけれども、障害者の所得保障としては、障害者の就労支援も含めて総合的に検討する必要があると考えておるところでございます。
 そこで、今回のこの障害者自立支援法案における利用者負担につきましては、一定の定率負担と所得に応じた月額の負担上限を組み合わせた利用者負担をお願いすることにしておるわけでございますけれども、その際に、数段階の月額負担上限を設けるに当たりまして、同じ所得の方については他の制度とのバランスを踏まえた負担額となるように設定をしておるところでございます。
 障害のある方については、御指摘のように、年金だけで生活されている方や資産の乏しい方がおられることに配慮して、障害者の方が暮らしていく上で支障がないように負担額を減免する各般の仕組みを設けておるところでございます。

○山井委員 結局、所得保障も今後の課題で、全然、今としては何にも確立されていないわけじゃないですか。そんなことで一方的に、所得保障の確立がお金がかかるから難しいと言っておきながら、なぜ、障害者の方々、六万円や八万円の障害者年金しかない方から二万円、三万円お金を取る方はすぐに先にやるんですか。
 委員長、またこれ、定足足りていないんじゃないですか。確認してください。時計をまずとめてください。

○鴨下委員長 今確認をします。(山井委員「まずとめてください」と呼ぶ)
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○鴨下委員長 はい、速記を起こしてください。
 山井君。

○山井委員 大体、これだけ本当に人の命がかかっている法案を審議しながら、定足割れすれすれ、あるいは先ほどのように、与党筆頭理事も、一人もいないなんということで、こんな法案審議するのは失礼ですよ、本当に。
 次に、自立支援医療のことに行きます。
 これについては、午後、育成医療や更生医療のことについて水島議員も触れてくださると思いますので、私は三十二条の精神科の通院医療のことをやりたいと思います。
 四ページを見ていただいてもわかりますように、多くの方々からこの存続を求める署名が出てきております。自殺者を減らすという対策本部を立ち上げておられながら、まさに自殺の歯どめとなっている精神の通院公費負担を削減するというのはとんでもないことです。
 限りがありますので、また手紙を読ませていただきたいと思います。五ページにありますが、これも、ぜひとも大臣や厚生労働委員会の議員に読んでほしいということで提出されたものであります。早速読みます。
  尾辻厚生労働大臣様
  私はうつになり約六年になります。その間、働けなくもなり、生活も大変です。しかし、公費負担の制度がある事で治療やリハビリを受ける事ができて、とても助かっています。
  早く仕事を見つけて普通の社会生活をしたいと思っていますし、努力していますが、それまでには主治医の先生のところのデイケアでリハビリを行う必要がありますので、まだ時間がかかりそうです。
  ほぼ毎日、通院する事でようやく人と話す事ができるようになり、精神的にも楽になってきました。私達が社会復帰するためには公費負担の制度は欠かせません。多くの人達は少い収入やたくわえを切りくずしながら細々と生活をし、通院しています。是非、三十二条の公費負担制度を存続させて下さい。この制度がないとリハビリや通院もできず社会復帰が遅れます。
  早く社会に出て働きたいと思い、日々努力していますので、私達のお願いをお聞き下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。
  一時は死のうと思った事もあります。身内からも見放され単身で生活しています。でも生きたいと思いますので、どうか助けて下さい。
三十六歳、無職の男性の方。
 次のページは下の部分だけ読みますが、この精神科クリニックに通院されている精神障害者の方も、障害年金で生活されていて、十一万円前後、食費は二万円前後です。食費が一日六百五十円ぐらいなわけですね。そういう苦しい苦しい極貧生活をされ、家族にも内緒で、あるいは会社にも内緒で精神科に受診されておられる。そしてまた、死ぬのをとどまりたい、生きたいという思いで、またその現場のスタッフも必死になって頑張っておられる。
 尾辻大臣、今回、この自立支援医療という制度をやってしまったら、例えば大都市では五%の自己負担を自治体が負担して、今自己負担ゼロのところも多いんです。そういうところも、国の状況を見て、五%の単独補助を打ち切るかもしれないということも言っているわけですね。そうしたら、これは、サービスの利用抑制がかかって、人の命が失われるかもしれない、まさに、自立支援医療じゃなくて、自殺支援医療、自殺促進医療になるかもしれないんです。
 大臣、このことによって、診療があるいはデイケアへの通所が抑制されて、自殺がふえるというふうに思われないんですか。

○尾辻国務大臣 まず、負担の方について申し上げたいと思います。(山井委員「細かい説明は要りません。今の質問に対して、自殺がふえると思わないのかということ」と呼ぶ)もういいですか。今回の改正でぜひ御理解いただきたいと思いますのは、市町村民税非課税の方については、月の負担額を二千五百円または五千円の上限を設けて、その範囲で御負担をいただきたいと考えておりますということをまず申し上げたかったところでございます。
 そこで、自殺についてのことでございますが、うつによる自殺の問題など心の健康が重要な問題となっております中で、精神通院医療の役割は引き続き重要であるというふうに考えております。
 このため、今回の改革を通じまして、今後とも、限られた財源の中で制度を維持しながら精神障害に係る必要な医療を確保するように努力してまいりたいというふうに考えております。
 自殺予防対策につきましては、先日、私どもの省内に自殺対策の推進に関する省内連絡会議を設置したところでございまして、平成十七年から五カ年計画で取り組む自殺関連うつ対策戦略研究の結果も踏まえつつ、その充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○山井委員 大臣の答弁あるいは厚生労働省の答弁を聞いていると、事の重大さが全然わかっておられない。これによって、現場では、本当に自殺する人がふえるんじゃないかと思って戦々恐々としている。ある精神科の現場の方は、厚生労働省と刺し違えてでも自立支援医療は凍結させたいということもおっしゃっておられるわけです。命がかかっているわけなんですね。
 私のところにも手紙が来ております。統合失調症の方で、精神障害者の作業所のスタッフ、こう書いておられます。
 「とても給料より高い一割負担を払って、作業所に働きに来てくれとは、メンバーに説明出来ない。第一、一割負担より多い給料をとろうと思えば、メンバーが必死に働いて、次々に再発していくことは目にみえています。」この方本人も統合失調症の方なんですが、「先行き不安で押しつぶされそうです。」「睡眠薬も沢山飲んで眠りました。それでも調子は落ちたままです。きのうも自殺を考えましたので、採決されたあかつきには自殺をするかもしれません。」「なにもする気がおこりません。うつ気分が続いています。火曜日が診察です。」こういう手紙も届いてきております。
 大臣、もう一つお伺いしたいと思います。
 これは、やはり自殺を食いとめるためにこの三十二条というのがあるわけですよ。その部分を大幅に削減してしまう。そういうことによって受診抑制がかかって、自殺する人が出てくる可能性は大きくあります。
 大臣、そのときには大臣は責任をとるんですね、人の命が奪われた場合には。因果関係もわかりますよ、これは。その自殺した人が精神科クリニックに通っていて、この自立支援医療によってサービスを抑制したと。大臣の覚悟を聞かせてもらいたいと思います。大臣、そういうことが起こったら、大臣は責任とるんですね、人の命が奪われた場合には。
    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

○尾辻国務大臣 先ほど申し上げましたように、御負担を無理のない範囲でお願いしようとしておることをぜひ御理解いただきたいと存じます。二千五百円、五千円というところでお願いをしようとしておる、そこの私どもの気持ちというのをぜひ御理解いただきたいと存じます。

○山井委員 このことに関しては、午後、水島議員も引き続き質問されると思いますが、大臣の答弁を聞いていると、全然現場のことがおわかりになっていない。
 私もこの二カ月、週末を利用して三十カ所以上、知的、身体、精神のいろんな現場を回ってきました。本当に不安でいっぱいです。障害者の方々からも泣かれましたし、お母さん方も泣かれましたし、こういう採決になったら、もう死のうかというお便りや声も聞かされています。それだけこれは大変な法案だということがわかっているのか。先ほども言ったように、人員も足りない中でこうやって審議もやる。許せない気持ちでいっぱいであります。
 次に、重度障害者が地域でこれからも暮らしていけるのか、暮らしやすくなる法案なのかということを質問したいと思います。
 前回の質問でもお話しさせていただきましたが、この海老原宏美さんという方、このパネルで今お見せさせていただいておりますけれども、脊髄性筋萎縮症、車いすでおひとり暮らし、一日約十六時間介助を受け、月五百時間使っておられます。そして、夜間は人工呼吸をつけておられるわけです。こういう方々にとっては、利用基準の上限が決められてサービスの時間が減ったら、即、命にかかわる問題なんですね。介助の量、予算に制限がついてしまったら、命にかかわる問題、まさに死活問題なんです。
 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。
 海老原さんのような重度障害者にとって、決してサービスが減ることなく今までどおりのサービスが利用できる、そういうことを保障するということを、ぜひこの場でお約束をいただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 今回御提案申し上げております新制度におきましては、福祉サービスの支援の必要度を総合的にあらわす障害程度区分を設定いたしますとともに、特に重度の障害者につきましては、重度障害者等包括支援でありますとか、あるいは重度訪問介護といった新たな給付類型を創設いたしておりまして、より多くの自治体において必要なサービスを利用することができる仕組みといたしておるところでございます。

○山井委員 全く答弁になっていないわけですね。そんな状況でこの法案の採決を考えるなんということは、とんでもないわけです。繰り返し言いますが、この法案では多くの障害者の方々の命がかかっているわけです。
 そして、ある障害者の方からもメールをいただきました。この方は脳性麻痺ですのでグループホームに入っておられますが、足でメールをいただきました。その方もおっしゃっているのは、ついの住みかと考えているこのグループホームを、この自立支援法案が通ったら出ないとだめになるかもしれない、そういう深刻な不安を持っておられます。
 その方のメールによりますと、「いま国会で審議されている「自立支援法案」は、私たちに「死ね!」と言わんばかりの法案だと思います。」このグループホームをついの住みかだと思っているのに、法案が成立すれば、グループホームとケアホームに分けられ、今すぐにではないかと思いますが、こっちのケアホームに行きなさいと言われかねない。そして、この法案の中には、ケアホームの前に地域においてという言葉がないので、施設内や病院内につくられる可能性さえあります。「これは「自立と社会参加」を唱っている障碍者基本法に違反すると思います」ということを書いておられます。そして、「移動介護を使って、いろんなところへ行くことによって、一般の人たちが気軽に声をかけてくれるようになり、困っていたら、自然に助けてくれたりするので、社会全体がノーマライゼーションになってきたところです。」と。この流れを逆行させてしまうのがこの法案であるわけです。
 そこで、大臣、移動介護の問題でありますが、私たちのこの修正要求の中でも、重度障害者の長時間サービスの保障ということを要望しております。やはりこういう移動介護の保障についても、今までどおりのサービスが利用できることを保障する、そういうことを、大臣、ぜひお約束をいただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 外出時の支援を行う移動支援につきましては、障害者の社会参加を促進し、地域での自立した生活を支える上で意義のあるサービスである、このことは当然のこととして私どもも十分認識をいたしております。
 支援費制度におきましては、効果的な、効率的なサービス提供を行うという観点からは、事前に支給決定が必要なため、あらかじめ予期できないニーズに臨機応変に応じられないという面がありますことと、個別給付のために、複数の利用者に対して一人の介護者が対応することができないといったような、柔軟な対応ができないという問題が自治体や関係者からも指摘をされていたところでございます。
 これらの問題点を解消するために、今度の制度におきまして、移動支援につきましては、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な形態での実施が可能になるように、市町村の地域生活支援事業に位置づけることとしておるところでございます。
 そして、地域生活支援事業として位置づけるに当たりましては、これまでも支援費制度のもとで居宅サービスとして提供されてきた経緯があること、それから障害者が自立した社会生活を営む上で重要なサービスであるということを踏まえて、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業として位置づけますとともに、その費用につきましても、国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けることとしておりまして、今後も必要なサービスが適切に受けられるようになるものと考えておるところでございます。
 なお、重度の行動障害を有する方々については、移動の支援や身体の介護等をパッケージで行う個別給付のサービスメニューを新たに設けたところでございます。

○山井委員 今の答弁では、今までのサービス水準が確保されるかどうかというのが全くわからないわけです。
 改めて尾辻大臣にお伺いしたいと思います。
 先ほども言いましたように、こういう海老原さんのような、月に五百時間、夜間は人工呼吸器をつけて、本当に死活問題として、しかし、社会の真ん中で暮らしておられる方、こういう方々の存在によって、私は本当に社会は明るくなっていっていると思うんですね。こういう方々が地域でこれからも暮らしていけるのかいけないのかということが、この質疑を聞いていてもさっぱりわからない。全国の障害者の方々が、これをインターネットで多分今聞いておられると思いますが、大臣の答弁を聞いてもさっぱりわからない。審議が一カ月半たってもさっぱりわからないというのが現状だと思います。
 そこで、大臣にお願いしたいと思います。当事者の方々のせめてもの願いは、とにかく、当事者抜きで当事者の生活と命にかかわるこの法案を決めないでくれということなんです。これからもじっくり時間をかけて、当事者の方々の声を聞いて、この法案を変えていくということを約束していただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 まず、今後も必要なサービスが適切に受けられるようになるということは申し上げておるところでございます。
 それから、関係の団体の皆様方とはずっと議論をさせていただいてまいりましたし、御意見も伺ってまいりました。このところもまた、いろいろな御意見をちょうだいいたしておるところでございます。そうした経緯を踏まえてこの法案をお願いしておるということは、御理解いただきたいと存じます。

○山井委員 きょうのこの質疑を聞いても、この法案によって自立が促進されるとは全く思えない。逆に、自己負担アップによる自立阻害以外の何物でもないと思います。そして、わからないことも多過ぎる。にもかかわらず、先ほどの理事会では、与党の方から、早ければ来週水曜日にも採決するかもしれないというような、そんな発言まで飛び出している。とんでもないじゃないですか。
 大臣、こういうことは障害者の生活と命にかかわる問題ですから、今のような答弁では、これは無理ですよ、法案を通すことはできません。やはりきっちりそういうところが障害者の方々の納得が得られるまで、強行採決はしないということを明言していただきたいと思います。(発言する者あり)

○宮澤委員長代理 山井君に申し上げます。
 理事会の話でございまして、大臣に聞く内容ではないような気がいたします。(山井委員「大臣に」と呼ぶ)
 尾辻厚生労働大臣。

○尾辻国務大臣 この委員会の御審議のあり方について私が何か申し上げるというのは大変失礼なことでございますから、お許しをいただきたいと存じます。
 一点だけ申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、障害者の各団体の皆様方といろいろな御議論をさせていただいてこの法案をお出ししておるということだけは申し上げておきたいと存じます。

○山井委員 今も与党の理事から、できるだけ早く採決したいと言っておりますけれども、とんでもない話であります。
 これからまだまだ時間をじっくりかけて、きょうの私の質問に対する答え、これは別に私の個人的な質問ではなく、多くの障害者団体からの疑問であり、要望であるわけです。そういうものがきっちりと方向性が出るまでは当然採決することができない。
 過去、日本の障害者福祉が本当におくれにおくれている。ある教授は、障害を負った苦しみとともに、この国に生まれてきた不幸ということを言い、日本の障害者福祉のおくれを嘆いてきたわけですね。それに対して、この法案は、支援費によってトンネルの先の明かりが見え出した、その明かりをまた打ち消してしまう法案であります。何としても慎重審議をして、先ほどの話であったように、もうそろそろ採決だなんということが決してないように、そして、万が一そんなことがあって障害者の方々が自立が阻まれ、あるいは死者さえも出るようなことになれば、そのことはきっちりまた国会で取り上げねばならないと思っております。
 慎重審議を心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。

Posted at 2005年07月01日 固有リンク | Comments (2) | TrackBack

2005年7月