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厚生労働委員会議事録(障害者自立支援法案)

162-衆-厚生労働委員会-31号 平成17年07月01日
 障害者自立支援法案(内閣提出第三五号)
◇障害者サービスに定率負担を一律に導入している国はあるか?
◇障害者の所得保障について
◇自立支援医療について
◇サービス水準の確保について

○鴨下委員長 次に、山井和則君。

○山井委員 四十五分間、尾辻大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 私も、福祉をライフワークとして衆議院議員にならせていただきました。そして、やはり本当に豊かな社会というのは、障害のある方も、もっと言えば重度の障害のある方も地域で暮らすことができる、社会の真ん中で暮らすことができる、そういう社会をつくっていくこと、またそういう方々が命の不安を感ずることなく、希望を持って、多くの人たちと交流したり、また働く喜びを得ながら暮らしていく、これを保障し改善させていくのが政治家の務めであると思っております。
 御存じのように、過去、ずっと長い議論の中で、日本の障害者福祉は欧米より十年おくれ、二十年おくれと言われてきたわけですね。そんな中で、支援費制度によって、多くのグループホームができたり、また多くの障害者の方が施設を出たり、あるいは地域で暮らすことができるようになってきたわけです。しかし、その流れに大きくさお差す、障害者福祉の進歩を逆行させるのがこの自立支援法案であります。そういう意味では、まさに自立阻害法案とこの法案が言われるゆえんでありまして、この自立支援法案のままでは自立することができないという悲鳴を障害者の方々は上げておられます。

 今、一時間にわたって園田議員から質問そして要望がございましたが、きょう、資料を配らせていただきました。私たち民主党も、九項目の修正要求を与党の方に出させていただきました。しかし、審議が始まって一カ月半がたとうとしているにもかかわらず、こういう重要な、そして根本的な修正の要求、これは民主党の要求というよりはまさに障害者団体の方々の要求であり、そして障害者の方々、現場の方々の切実な要求であります。それに対してもほぼゼロ回答しか返ってこない。結局、単に時間を引き延ばしてずるずると採決しやすい状況をつくっていこうとしている、そういう思いが見え見えの修正協議だからこそ、障害者の方々の切なる思いを踏みにじろうとするそういうやり方は許せないということで、私たちも修正協議を打ち切らせていただきました。
 先ほどの園田議員との答弁を聞いておりましても、まだまだ詰まっていない、また障害者の方々の自立が脅かされる内容ばかりなわけですね。そういう意味では、これからの四十五分間は、尾辻大臣と、細かな数字のことはいいですので、根本的なこの法案の性格、考え方というものを議論していきたいというふうに思っております。
 では、質問に入らせていただきます。
 まず、この資料を見てもらえますでしょうか。二ページ目ですね。「諸外国における障害福祉サービス」……
 ちょっと定数が足りていないと思いますので、ちょっと確認して、速記をとめてください。これだけ重要な、障害者の命と生活がかかっている法案なんですから。とめてください。

○鴨下委員長 それでは、山井委員からの指摘で、定足数が足りておりませんので、一時速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○鴨下委員長 速記を起こしてください。
 山井君。

○山井委員 こういう重要な、障害者の方々の命と生活を本当に左右する重要な法案を審議しているときに与党の理事が一人もいない、とんでもないことだと思います。
 では、質問に戻ります。
 「諸外国における障害福祉サービス」、まず尾辻大臣にお伺いしたいと思います。全世界の中で、障害者のこういうサービス、住宅費やあるいは食費という実費を除いて、サービス利用に対して、応益負担、定率負担、一律で導入している国は世界にありますか。

○尾辻国務大臣 諸外国における障害者サービスの利用者負担のあり方は、国によってまた自治体によっても異なるというふうに承知をいたしておりますけれども、低所得者や重度障害者に配慮しつつ一定の負担が課されている例もあるというふうに承知をいたしております。
 なお、障害者自立支援法案の利用者負担も、所得に応じた負担上限の設定やきめ細かな減免措置を行うこととしておりますので、全体としていわゆる応益負担や定率負担には当たらないと考えておりますけれども、申し上げたように、諸外国においても一定の負担が課されている例はあるというふうに承知をいたしております。

○山井委員 そんな質問はしておりません。応益負担、定率負担を障害者のサービスに対して導入している国があるのかないのか、それを聞いているんです。

○尾辻国務大臣 諸外国の例をすべて把握しておるわけではございませんので、今そういう、おっしゃるような定率負担あるいは応益負担というようなことであるかないかは承知をいたしておりません。

○山井委員 承知をしておりませんということは、今知っている限りでは、ないということですね。確認します。

○尾辻国務大臣 申し上げておりますように、現時点では承知をいたしておりません。

○山井委員 つまり、今回のこの自立支援法案での応益負担、一律定率負担の導入というのは、世界初なんです。
 尾辻大臣にお伺いします。世界に百六十カ国以上の国があって、なぜどこの国もそういう障害者のサービスに対する応益負担、定率負担というのが導入されていないと思いますか。お答えください。

○尾辻国務大臣 まず、申し上げておりますように、そうした例があるかないかを承知していないということを申し上げておるところでございますけれども、いずれにいたしましても、それぞれの国の制度というのは、それぞれの国の伝統や文化もあり、事情もあって定められるわけでございますから、まさにそれぞれの国によって異なるというふうに存じます。

○山井委員 それぞれの国によって異なっていないんです。障害者のサービスに対して、応益負担、定率負担を導入しないというのは世界の常識なんですよ。今そう答弁しているじゃないですか。日本だけがその常識に反したことをやろうとしているわけですよ。
 それは、なぜほかの国がやらないのかというと、福祉の理念に反するからです。障害が重い人ほど苦しんでいて、就労も難しくて、所得が少ないのは決まっているじゃないですか。それに対して多くの自己負担を取るなんというのは、福祉の理念に真っ向から反対しているのではないですか。そしてまた、トイレに行ったりおふろに入ったり、生活のためのサービスを受けるのが益であるはずがないではないですか。そういう意味では、今政府が通そうとしているこの法案は、世界でも本当に例を見ない恥ずかしい法案であるということを認識していただきたいと思います。
 そこで、具体的な話に入ります。
 先日、尾辻大臣にもお渡しをさせていただきました。例えば、通所の授産の作業所、工賃が全国平均で一万二千円ぐらいです。そういうところでこういう織物をつくったりして、何とか一カ月一万円、一万二千円という工賃を知的障害者の方は稼いでおられます。
 そして、またきょうもいろいろ持ってきましたが、私の事務所でも毎年使っておりますけれども、精神障害者の方が作業所でつくられた手すきのカレンダー、あるいはこれも精神障害者の方々がつくられたうちわであります。そして、こういうふきんも売られたり、あるいはこういう陶器、これはフクロウをあしらってありますけれども、苦労がなくなるようにという願いを込めてこういう陶器も作業所や授産施設でつくられているわけですね。
 こういう方々の工賃というのが一万二千円ぐらいなわけです、全国平均で。ところが、そこに対して今回の法案では、きょうの資料につけさせてもらっておりますが、七ページを見てもらったらわかりますように、見直し後、約二万円ぐらいの自己負担を導入する。
 尾辻大臣、これは普通に考えてみてください。一カ月、月曜日から金曜日まで、作業所に行ったり通所授産施設に行って、一万円ぐらいの工賃をやっともらっている。その一万円の工賃が一カ月の喜びなんです。ある障害者の方がおっしゃっておられましたが、その一カ月の最後の日にもらった封筒に一万円が入っているかどうか、それがもう楽しみだと。そして、そのお金をもらったら、SMAPの写真集を買ったり、あるいは、絵をかくのが好きな障害者の方は絵をかく本を買ったり、あるいは、旅行が好きな方は、なかなか行けないけれどもどこに旅行に行こうかなという夢を持ちながら旅行の本を買ったり、そしてまた、自分が働いた工賃で家族と一緒に食事に行く、これがもう一カ月の楽しみなんだ、それを励みで働いておられるという方々が多いわけですね。
 その方々から二万円、つまり工賃を上回る利用料を取る。大臣、こういうことは可能だと思いますか。本当にこんなことをされるんですか。大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 障害者の皆さんの所得をどう保障するかということにも絡むと思いますので、そうした観点からもお答え申し上げたいと存じます。
 障害者の自立支援を図る上で、今お話しの、工賃というお話がございましたが、広く就労の支援が非常に重要だと考えておりますから、私どもは、今回の改革において、新たにそうした場をつくるように制度化もしようと考えておるところでございます。
 そうしたことは考えます一方で、どのような活動を行うにせよ、通所事業という事業は障害者に対して事業者が必要なサービスを提供するということでございますから、他の障害福祉サービスの提供を受けた場合と同様に、利用料として原則として一割の自己負担をお願いするということにしておるところでございます。
 しかしながら、就労継続支援のうち、事業者と障害者の間で雇用関係が結ばれているものについては、障害者を雇用する企業と類似しておりますことから、就労の現場の実情を尊重いたしまして、事業者の判断で事業者のみの負担により利用料を減免することのできる仕組みを導入することを検討しておるところでございます。
 そうしたさまざまな方法を用いながら、ぜひ皆さんの御理解をいただきたいと思いますし、これは繰り返し申し上げておることでございますが、やはり障害者の皆さんもお互いにみんなで出し合ったり、出し合ったりというのはお金という意味でございますが、出し合ったり、また助け合ったりしながらという大きな福祉の制度をつくっていただきたいというふうに思っておるところでございます。

○山井委員 今説明がありましたが、改めて質問をします。
 要は、作業所や通所授産施設では工賃が一万円ぐらいなわけですね。その方々に対して、厚生省が出してきた資料にもありますように、二万円ぐらいの利用料や食費を取るというのが今回の法案なんです。自分は働いて給料をもらっているというふうに障害者の方々は生きがいを感じて作業所や通所授産施設に行っているわけです。その方々に対して、この法案は、来年の一月から、作業所や通所授産施設に行ったら、今までは一万円家にお金が入っていたけれども、あなたが行ったら一万円払わないとだめなんですよということにする、ある意味で恐ろしい法案なんですよ。百八十度変わるんですよ。一万円家にお金が入るんじゃなくて、一万円払わないとだめなんですよ。
 大臣、ほかの聞き方をしましょう。その障害者本人にどう説明しますか。今まで、私が行ったら、僕が行ったら一万円お金がもらえるんだと思っていた人に対して、行ったらプラスマイナスで一万円家から払わないとだめなんですよ、大臣、そう説明するんですか。

○尾辻国務大臣 先ほど諸外国の例とのお話もございましたけれども、今、私どもは、全体の社会保障を考える中で、それぞれ整合性を持たなきゃいけない、そういうふうに思っております。
 そういう中で、やはりこうした利用料についても、今お話しのような利用料についても、一割の御負担だけは基本的にお願いをする。これは、それぞれの減免制度を考えておりますから、必ず一万円に皆さんがなるというわけじゃありませんけれども、まず原則として、基本として、一割の御負担をお願いするということを今申し上げておるところでございます。
 ですから、そうした皆さん方にも、やはり一割負担というところの原則だけはまずお願いします、ただ、減免措置その他はちゃんと考えますからということを今申し上げておるところでございます。

○山井委員 改めて申し上げますが、そういうことを考えやっている国は世界にないということを言っているわけですよ。障害者の方々は、働くのも難しいし、所得も少ない。だから、同じ原則ではいけないということは世界の常識なわけですよ。
 次のグループホームの質問に移りますが、この間、この自立支援法で、グループホームがケアホームとグループホームに分かれるとか、そしてホームヘルパーが利用できにくくなるとか、また規模も大きくなるのではないかとか、また施設の中にケアホームやグループホームを建てることができるようになるのではないかというようなことで、本当にグループホーム関係者は不安のどん底に陥られております。グループホームに関する自己負担に関しても、ページ八にありますように、五千円から二万円ぐらい、これもアップされるわけですね。
 やはり、福祉を願う者として、重度の障害者が地域で暮らせる社会をつくりたい、これはみんなの夢なんですよ。そして、支援費によって、外部からホームヘルパーさんなども利用しながら、うまくグループホームで、地域で暮らせるというめどがついてきた。大臣、にもかかわらず、この自立支援法が出てきたことによって、多くの現場では、これではグループホームやケアホームは生き残っていけないということで、今までされていた今年度、来年度の計画がどんどん打ち切りになっていっているんですよ。自立支援法といいながら、自立の阻害になっているのではないですか。
 そこで、お伺いしたいと思います。時間にも限りがありますので、肝心なことしかお伺いしませんが、グループホームはこの自立支援法で利用しやすくなるんですか。そして、今までどおりホームヘルパーの方々も利用できるんですか。大臣、お答えください。

○尾辻国務大臣 私どもは、今回の改正によりまして、今おっしゃったようなグループホームのよさを維持しながら、そしてグループホームという仕組み、制度がずっと続けられていくようにという観点で今回のことをお願いいたしておるわけでございます。
 したがいまして、今回の改正の、そういった意味で申し上げますと私どもが一番重要視しているといいますか、これは、今後ともずっとこうした仕組みを続けられるようにということもあるわけでございまして、そうした観点からお願いをしているというふうに御理解いただければと存じます。

○山井委員 どの答弁もそうでありますが、全然答弁にはなっていないわけですね。だから、みんな不安に思っているわけですよ。だから、グループホームの計画がどんどん壊れていっているわけですよ。もうこれは法案審議に入ってから一カ月半以上たっているんですよ。
 それで、もっともっとまた引き続き私は質問させてもらいますので、次のテーマに移ります。
 ですから、私が申し上げたいのは、先ほどの作業所の例、通所授産の例、またこのグループホームの例を見ても、やはりまず所得保障が先であって、もし定率負担というならばまず所得保障をしないと現実的には無理でしょうということを、私たち民主党は、そして民主党だけじゃなくて多くの障害者の方々は言っているわけです。
 そこで、お伺いします。やはりこういう所得保障が確立するまでは定率負担の導入というのは凍結すべきだと考えますが、大臣、いかがですか。

○尾辻国務大臣 障害者の所得保障は、これもまた先ほど来申し上げておりますように、障害者の地域における自立した生活を考える上で極めて重要な問題だと認識をいたしております。
 年金制度や各種手当制度につきましては、現在の国の財政状況等を勘案いたしますと、大変難しい面もございまして、大きく改善を図ることは容易でないと率直に言わざるを得ないところでございますけれども、障害者の所得保障としては、障害者の就労支援も含めて総合的に検討する必要があると考えておるところでございます。
 そこで、今回のこの障害者自立支援法案における利用者負担につきましては、一定の定率負担と所得に応じた月額の負担上限を組み合わせた利用者負担をお願いすることにしておるわけでございますけれども、その際に、数段階の月額負担上限を設けるに当たりまして、同じ所得の方については他の制度とのバランスを踏まえた負担額となるように設定をしておるところでございます。
 障害のある方については、御指摘のように、年金だけで生活されている方や資産の乏しい方がおられることに配慮して、障害者の方が暮らしていく上で支障がないように負担額を減免する各般の仕組みを設けておるところでございます。

○山井委員 結局、所得保障も今後の課題で、全然、今としては何にも確立されていないわけじゃないですか。そんなことで一方的に、所得保障の確立がお金がかかるから難しいと言っておきながら、なぜ、障害者の方々、六万円や八万円の障害者年金しかない方から二万円、三万円お金を取る方はすぐに先にやるんですか。
 委員長、またこれ、定足足りていないんじゃないですか。確認してください。時計をまずとめてください。

○鴨下委員長 今確認をします。(山井委員「まずとめてください」と呼ぶ)
 速記をとめてください。
    〔速記中止〕

○鴨下委員長 はい、速記を起こしてください。
 山井君。

○山井委員 大体、これだけ本当に人の命がかかっている法案を審議しながら、定足割れすれすれ、あるいは先ほどのように、与党筆頭理事も、一人もいないなんということで、こんな法案審議するのは失礼ですよ、本当に。
 次に、自立支援医療のことに行きます。
 これについては、午後、育成医療や更生医療のことについて水島議員も触れてくださると思いますので、私は三十二条の精神科の通院医療のことをやりたいと思います。
 四ページを見ていただいてもわかりますように、多くの方々からこの存続を求める署名が出てきております。自殺者を減らすという対策本部を立ち上げておられながら、まさに自殺の歯どめとなっている精神の通院公費負担を削減するというのはとんでもないことです。
 限りがありますので、また手紙を読ませていただきたいと思います。五ページにありますが、これも、ぜひとも大臣や厚生労働委員会の議員に読んでほしいということで提出されたものであります。早速読みます。
  尾辻厚生労働大臣様
  私はうつになり約六年になります。その間、働けなくもなり、生活も大変です。しかし、公費負担の制度がある事で治療やリハビリを受ける事ができて、とても助かっています。
  早く仕事を見つけて普通の社会生活をしたいと思っていますし、努力していますが、それまでには主治医の先生のところのデイケアでリハビリを行う必要がありますので、まだ時間がかかりそうです。
  ほぼ毎日、通院する事でようやく人と話す事ができるようになり、精神的にも楽になってきました。私達が社会復帰するためには公費負担の制度は欠かせません。多くの人達は少い収入やたくわえを切りくずしながら細々と生活をし、通院しています。是非、三十二条の公費負担制度を存続させて下さい。この制度がないとリハビリや通院もできず社会復帰が遅れます。
  早く社会に出て働きたいと思い、日々努力していますので、私達のお願いをお聞き下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。
  一時は死のうと思った事もあります。身内からも見放され単身で生活しています。でも生きたいと思いますので、どうか助けて下さい。
三十六歳、無職の男性の方。
 次のページは下の部分だけ読みますが、この精神科クリニックに通院されている精神障害者の方も、障害年金で生活されていて、十一万円前後、食費は二万円前後です。食費が一日六百五十円ぐらいなわけですね。そういう苦しい苦しい極貧生活をされ、家族にも内緒で、あるいは会社にも内緒で精神科に受診されておられる。そしてまた、死ぬのをとどまりたい、生きたいという思いで、またその現場のスタッフも必死になって頑張っておられる。
 尾辻大臣、今回、この自立支援医療という制度をやってしまったら、例えば大都市では五%の自己負担を自治体が負担して、今自己負担ゼロのところも多いんです。そういうところも、国の状況を見て、五%の単独補助を打ち切るかもしれないということも言っているわけですね。そうしたら、これは、サービスの利用抑制がかかって、人の命が失われるかもしれない、まさに、自立支援医療じゃなくて、自殺支援医療、自殺促進医療になるかもしれないんです。
 大臣、このことによって、診療があるいはデイケアへの通所が抑制されて、自殺がふえるというふうに思われないんですか。

○尾辻国務大臣 まず、負担の方について申し上げたいと思います。(山井委員「細かい説明は要りません。今の質問に対して、自殺がふえると思わないのかということ」と呼ぶ)もういいですか。今回の改正でぜひ御理解いただきたいと思いますのは、市町村民税非課税の方については、月の負担額を二千五百円または五千円の上限を設けて、その範囲で御負担をいただきたいと考えておりますということをまず申し上げたかったところでございます。
 そこで、自殺についてのことでございますが、うつによる自殺の問題など心の健康が重要な問題となっております中で、精神通院医療の役割は引き続き重要であるというふうに考えております。
 このため、今回の改革を通じまして、今後とも、限られた財源の中で制度を維持しながら精神障害に係る必要な医療を確保するように努力してまいりたいというふうに考えております。
 自殺予防対策につきましては、先日、私どもの省内に自殺対策の推進に関する省内連絡会議を設置したところでございまして、平成十七年から五カ年計画で取り組む自殺関連うつ対策戦略研究の結果も踏まえつつ、その充実に努めてまいりたいというふうに考えておるところでございます。

○山井委員 大臣の答弁あるいは厚生労働省の答弁を聞いていると、事の重大さが全然わかっておられない。これによって、現場では、本当に自殺する人がふえるんじゃないかと思って戦々恐々としている。ある精神科の現場の方は、厚生労働省と刺し違えてでも自立支援医療は凍結させたいということもおっしゃっておられるわけです。命がかかっているわけなんですね。
 私のところにも手紙が来ております。統合失調症の方で、精神障害者の作業所のスタッフ、こう書いておられます。
 「とても給料より高い一割負担を払って、作業所に働きに来てくれとは、メンバーに説明出来ない。第一、一割負担より多い給料をとろうと思えば、メンバーが必死に働いて、次々に再発していくことは目にみえています。」この方本人も統合失調症の方なんですが、「先行き不安で押しつぶされそうです。」「睡眠薬も沢山飲んで眠りました。それでも調子は落ちたままです。きのうも自殺を考えましたので、採決されたあかつきには自殺をするかもしれません。」「なにもする気がおこりません。うつ気分が続いています。火曜日が診察です。」こういう手紙も届いてきております。
 大臣、もう一つお伺いしたいと思います。
 これは、やはり自殺を食いとめるためにこの三十二条というのがあるわけですよ。その部分を大幅に削減してしまう。そういうことによって受診抑制がかかって、自殺する人が出てくる可能性は大きくあります。
 大臣、そのときには大臣は責任をとるんですね、人の命が奪われた場合には。因果関係もわかりますよ、これは。その自殺した人が精神科クリニックに通っていて、この自立支援医療によってサービスを抑制したと。大臣の覚悟を聞かせてもらいたいと思います。大臣、そういうことが起こったら、大臣は責任とるんですね、人の命が奪われた場合には。
    〔委員長退席、宮澤委員長代理着席〕

○尾辻国務大臣 先ほど申し上げましたように、御負担を無理のない範囲でお願いしようとしておることをぜひ御理解いただきたいと存じます。二千五百円、五千円というところでお願いをしようとしておる、そこの私どもの気持ちというのをぜひ御理解いただきたいと存じます。

○山井委員 このことに関しては、午後、水島議員も引き続き質問されると思いますが、大臣の答弁を聞いていると、全然現場のことがおわかりになっていない。
 私もこの二カ月、週末を利用して三十カ所以上、知的、身体、精神のいろんな現場を回ってきました。本当に不安でいっぱいです。障害者の方々からも泣かれましたし、お母さん方も泣かれましたし、こういう採決になったら、もう死のうかというお便りや声も聞かされています。それだけこれは大変な法案だということがわかっているのか。先ほども言ったように、人員も足りない中でこうやって審議もやる。許せない気持ちでいっぱいであります。
 次に、重度障害者が地域でこれからも暮らしていけるのか、暮らしやすくなる法案なのかということを質問したいと思います。
 前回の質問でもお話しさせていただきましたが、この海老原宏美さんという方、このパネルで今お見せさせていただいておりますけれども、脊髄性筋萎縮症、車いすでおひとり暮らし、一日約十六時間介助を受け、月五百時間使っておられます。そして、夜間は人工呼吸をつけておられるわけです。こういう方々にとっては、利用基準の上限が決められてサービスの時間が減ったら、即、命にかかわる問題なんですね。介助の量、予算に制限がついてしまったら、命にかかわる問題、まさに死活問題なんです。
 そこで、大臣にお伺いしたいと思います。
 海老原さんのような重度障害者にとって、決してサービスが減ることなく今までどおりのサービスが利用できる、そういうことを保障するということを、ぜひこの場でお約束をいただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 今回御提案申し上げております新制度におきましては、福祉サービスの支援の必要度を総合的にあらわす障害程度区分を設定いたしますとともに、特に重度の障害者につきましては、重度障害者等包括支援でありますとか、あるいは重度訪問介護といった新たな給付類型を創設いたしておりまして、より多くの自治体において必要なサービスを利用することができる仕組みといたしておるところでございます。

○山井委員 全く答弁になっていないわけですね。そんな状況でこの法案の採決を考えるなんということは、とんでもないわけです。繰り返し言いますが、この法案では多くの障害者の方々の命がかかっているわけです。
 そして、ある障害者の方からもメールをいただきました。この方は脳性麻痺ですのでグループホームに入っておられますが、足でメールをいただきました。その方もおっしゃっているのは、ついの住みかと考えているこのグループホームを、この自立支援法案が通ったら出ないとだめになるかもしれない、そういう深刻な不安を持っておられます。
 その方のメールによりますと、「いま国会で審議されている「自立支援法案」は、私たちに「死ね!」と言わんばかりの法案だと思います。」このグループホームをついの住みかだと思っているのに、法案が成立すれば、グループホームとケアホームに分けられ、今すぐにではないかと思いますが、こっちのケアホームに行きなさいと言われかねない。そして、この法案の中には、ケアホームの前に地域においてという言葉がないので、施設内や病院内につくられる可能性さえあります。「これは「自立と社会参加」を唱っている障碍者基本法に違反すると思います」ということを書いておられます。そして、「移動介護を使って、いろんなところへ行くことによって、一般の人たちが気軽に声をかけてくれるようになり、困っていたら、自然に助けてくれたりするので、社会全体がノーマライゼーションになってきたところです。」と。この流れを逆行させてしまうのがこの法案であるわけです。
 そこで、大臣、移動介護の問題でありますが、私たちのこの修正要求の中でも、重度障害者の長時間サービスの保障ということを要望しております。やはりこういう移動介護の保障についても、今までどおりのサービスが利用できることを保障する、そういうことを、大臣、ぜひお約束をいただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 外出時の支援を行う移動支援につきましては、障害者の社会参加を促進し、地域での自立した生活を支える上で意義のあるサービスである、このことは当然のこととして私どもも十分認識をいたしております。
 支援費制度におきましては、効果的な、効率的なサービス提供を行うという観点からは、事前に支給決定が必要なため、あらかじめ予期できないニーズに臨機応変に応じられないという面がありますことと、個別給付のために、複数の利用者に対して一人の介護者が対応することができないといったような、柔軟な対応ができないという問題が自治体や関係者からも指摘をされていたところでございます。
 これらの問題点を解消するために、今度の制度におきまして、移動支援につきましては、地域の特性や利用者の状況に応じた柔軟な形態での実施が可能になるように、市町村の地域生活支援事業に位置づけることとしておるところでございます。
 そして、地域生活支援事業として位置づけるに当たりましては、これまでも支援費制度のもとで居宅サービスとして提供されてきた経緯があること、それから障害者が自立した社会生活を営む上で重要なサービスであるということを踏まえて、市町村が必ず実施しなければならない義務的な事業として位置づけますとともに、その費用につきましても、国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けることとしておりまして、今後も必要なサービスが適切に受けられるようになるものと考えておるところでございます。
 なお、重度の行動障害を有する方々については、移動の支援や身体の介護等をパッケージで行う個別給付のサービスメニューを新たに設けたところでございます。

○山井委員 今の答弁では、今までのサービス水準が確保されるかどうかというのが全くわからないわけです。
 改めて尾辻大臣にお伺いしたいと思います。
 先ほども言いましたように、こういう海老原さんのような、月に五百時間、夜間は人工呼吸器をつけて、本当に死活問題として、しかし、社会の真ん中で暮らしておられる方、こういう方々の存在によって、私は本当に社会は明るくなっていっていると思うんですね。こういう方々が地域でこれからも暮らしていけるのかいけないのかということが、この質疑を聞いていてもさっぱりわからない。全国の障害者の方々が、これをインターネットで多分今聞いておられると思いますが、大臣の答弁を聞いてもさっぱりわからない。審議が一カ月半たってもさっぱりわからないというのが現状だと思います。
 そこで、大臣にお願いしたいと思います。当事者の方々のせめてもの願いは、とにかく、当事者抜きで当事者の生活と命にかかわるこの法案を決めないでくれということなんです。これからもじっくり時間をかけて、当事者の方々の声を聞いて、この法案を変えていくということを約束していただきたいと思います。

○尾辻国務大臣 まず、今後も必要なサービスが適切に受けられるようになるということは申し上げておるところでございます。
 それから、関係の団体の皆様方とはずっと議論をさせていただいてまいりましたし、御意見も伺ってまいりました。このところもまた、いろいろな御意見をちょうだいいたしておるところでございます。そうした経緯を踏まえてこの法案をお願いしておるということは、御理解いただきたいと存じます。

○山井委員 きょうのこの質疑を聞いても、この法案によって自立が促進されるとは全く思えない。逆に、自己負担アップによる自立阻害以外の何物でもないと思います。そして、わからないことも多過ぎる。にもかかわらず、先ほどの理事会では、与党の方から、早ければ来週水曜日にも採決するかもしれないというような、そんな発言まで飛び出している。とんでもないじゃないですか。
 大臣、こういうことは障害者の生活と命にかかわる問題ですから、今のような答弁では、これは無理ですよ、法案を通すことはできません。やはりきっちりそういうところが障害者の方々の納得が得られるまで、強行採決はしないということを明言していただきたいと思います。(発言する者あり)

○宮澤委員長代理 山井君に申し上げます。
 理事会の話でございまして、大臣に聞く内容ではないような気がいたします。(山井委員「大臣に」と呼ぶ)
 尾辻厚生労働大臣。

○尾辻国務大臣 この委員会の御審議のあり方について私が何か申し上げるというのは大変失礼なことでございますから、お許しをいただきたいと存じます。
 一点だけ申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、障害者の各団体の皆様方といろいろな御議論をさせていただいてこの法案をお出ししておるということだけは申し上げておきたいと存じます。

○山井委員 今も与党の理事から、できるだけ早く採決したいと言っておりますけれども、とんでもない話であります。
 これからまだまだ時間をじっくりかけて、きょうの私の質問に対する答え、これは別に私の個人的な質問ではなく、多くの障害者団体からの疑問であり、要望であるわけです。そういうものがきっちりと方向性が出るまでは当然採決することができない。
 過去、日本の障害者福祉が本当におくれにおくれている。ある教授は、障害を負った苦しみとともに、この国に生まれてきた不幸ということを言い、日本の障害者福祉のおくれを嘆いてきたわけですね。それに対して、この法案は、支援費によってトンネルの先の明かりが見え出した、その明かりをまた打ち消してしまう法案であります。何としても慎重審議をして、先ほどの話であったように、もうそろそろ採決だなんということが決してないように、そして、万が一そんなことがあって障害者の方々が自立が阻まれ、あるいは死者さえも出るようなことになれば、そのことはきっちりまた国会で取り上げねばならないと思っております。
 慎重審議を心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。

Posted at 2005年07月01日 12:00 | TrackBack
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Comments

山井議員 がんばれ。とても貴重な情報源になってます。
国会で審議が始まって、半年。2ヶ月の施行先送り以外、何も修正されないのはなぜ?

Posted by: 三島 賢治 at 2005年07月23日 00:07

三島さま

三島さまはどのような「修正」を望んでおられるのでしょうか?

山井先生が上の質問で述べておられるように、「障害者のサービスに対して、応益負担、定率負担を導入しないというのは世界の常識なんです」。

ですから、「応益負担」を撤回あるいは凍結する以外に意味のある「修正」はないと思います。政府・与党の差し出すちょっとした目先の餌(あるいは毒饅頭か?)に飛びついても、「応益負担」の原則が認められてしまえば、「真っ暗な将来」は確実ににやってくるのではないでしょうか?

Posted by: ある家族 at 2005年07月27日 12:13
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