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厚生労働委員会議事録(参考人質疑)

162-衆-厚生労働委員会-15号 平成17年04月12日
◇介護保険法等改正案 参考人質疑


○大村委員長代理 次に、山井和則君。

○山井委員 本日はお忙しい中、急なお願いにもかかわりませず、委員の方々、わざわざ衆議院までお越しいただきまして、本当にありがとうございました。また、貴重な御指導を賜りまして、本当にありがとうございます。
 それでは、限られた時間ですが、私から質問をさせていただきたいと思います。

 まず第一点、服部万里子先生にお伺いしたいと思います。
 私、今回のこの法改正で一番不安なのが、服部先生も触れておられた、百六十万人の要支援、要介護一の新予防給付になる方々がどういうサービスを受けられるのかというのが、本日まで一週間余り審議をしたのですが、まだまだ見えてこないところがあります。その部分でこれから最も板挟みに遭うのが、ケアマネさんではないかと思うのです。
 例えば、今利用している生活援助がどれだけ制限されるのかもいま一つわからない。それで厚生労働省は、適切なサービスは今までどおり利用できますということをおっしゃっているのですが、どのようなサービスが適切なのか。今言っている「適切」と法改正後の「適切」はまた意味が違うのか。そして、今サービスを利用されている方々の大部分のサービスが変わるのか、ごく一部分の人が変わるのかがわからないわけなんですね。
 そこでお伺いをしたいと思いますが、この新予防給付の転換によって、どのような混乱が現場で起ころうとしているのか、また起こると予想されるのか。また、生活援助、先ほど、歩いている人のつえを外すことは問題があるのではないかという話がありましたが、家事援助の制限ということはどのような問題点を生むと考えておられるのか、服部先生、よろしくお願いいたします。

○服部参考人 服部です。
 今在宅の高齢者が一番不安に思っているのは、現在のサービスが使えなくなるのではないか、そういう不安です。
 実は私は認定審査員を六年ほどやっております。昨日も七時から認定審査会があったのですけれども、きのう、ちょっとびっくりしたことは、区分変更といって、今認定を受けている方が、自分はもっと重いはずだから変えてほしいという、これが非常に多かったということで、きのうの認定審査会がいつもよりも非常に長時間になりました。しかも、それが、従来でしたらば、重度になったということで区分変更が多かったのですけれども、どういうわけか、それほど重度でない方が、自分はもっと重いはずだということで認定更新の請求があったということで、本当に不安に思っているのだなということを感じました。このままだとどうなるのか、もっと自分がサービスを使えるようにしてほしいということがそこにもあらわれているのではないかと思います。
 確かに、今厚生労働省は、必要なサービスは使えますと言っていますけれども、では、要支援、要介護度一の方が予防給付になったときに何が使えるかということは、余りはっきりいたしておりません。今までの論議の中で、案として例えばということで出されたのを、私の資料の一番最後の二枚目につけております。これは、今回厚生労働省が、現在要介護度一の人が予防給付になった、または、これが厚生労働省が検討したときにどういう問題があって、今後変えるとしたらどういう改善案になるのかということを出しているのが二つあります。八十六歳の方の要介護度一で脳梗塞の後遺症の方と、九十歳のひとり暮らしの、骨折の手術後で、住宅を転居したばかりの方というのが資料の七と八につけてあります。
 これを見ていただきたいのですけれども、今一番その方の中で生活を支えている、例えば買い物に行くとか、食事を用意するとか、こういうものに関して、ヘルパーさんの援助をもらいながら、そしてそのヘルパーさんから、先ほど出ていましたように在宅の中で生活リハビリをやっていく、または在宅の中で運動をやりながら生活をしていくということに関しては、全く評価をされておりません。
 そして、今の生活援助に関しては、地域のサービスを導入しなさいということで、介護保険の制度の中身から外していくというふうになっております。これが、今あらわれている中の実態で、非常に不安になっているという実態だろうというふうに私は思います。
 それと、先ほどの中で、今度、施設の居住費というのが自己負担になるということで論議になっておりますけれども、実はこれは、施設と在宅の費用の差があるというふうに言われておりますが、ことしの十月から、在宅の中でのショートステイも実はこの居住費が導入をされます。
 ショートステイというのは、今在宅で重度介護の方を支えているものであります。家族がその間少しでも休みたい、夜眠りたい、そういうところからショートステイを利用されております。そして、痴呆の方だったり放尿があったりすると、個室でないと対応が難しいというのが実態であります。
 ところが、その個室が一日二千円の自己負担というのがこの十月から導入をされてまいります。そうすると、在宅の負担がふえるということと、使いづらくなる。特にショートステイの場合ですと、介護度四の方、五の方、今例えば、二月ですと二十八日だから何とかいけるけれども、三月は三十一日あるから、だからおふろを減らしていこうというような、そういう形で何とか介護保険の枠内で調整をしておられるぎりぎりの方、その方たちが、自己負担がふえることによって在宅生活の破綻につながりかねないというふうに思います。
 したがって、これは決して施設の負担と在宅の負担の差の問題ではなくて、在宅の重度介護をぎりぎりで支えている方に対しても大きな負担につながるということをぜひ知っていただきたいですし、そのことが、今在宅で重度を抱えている方に対して非常に不安な要素になっています。
 ぜひともこれは、在宅の実態はまだ調査をされておりません。ショートステイを利用されている方の経済状態、その方たちが実際ショートステイを使うことによって何を支えにしているのか、それが調査されていない中で、このまま黙って導入されることに対しては、大きな不安を与えるというふうに私は思います。せめてその実態を調査して対策をとるというときまで、実施は延期すべきではないかというふうに思います。
 今質問いただきました点に関しては、今の在宅のサービスの利用者が、今申し上げましたような点に対して非常に不安を持っているということで、お答えにかえさせていただきたいと思います。

○山井委員 ありがとうございます。
 どういうふうに制度が変わるのかということで、今の利用者の方々の最大の疑問は、今受けているサービスが受け続けられるのかどうかというようなことでもありました。
 次に、池田参考人にお伺いをしたいと思います。
 先ほどのお話の中で、この九ページ目で「介護保険は社会保険であり、社会福祉ではない」「すべてを抱え込めば、介護保険は財政的に破綻する」ということをおっしゃっておられます。確かにこれは、給付を抑制するという意味において、どこまでを保険で見ていくのかというのは国民的合意の議論であると思います。
 そこで、実は私、今回の法案で一つ腑に落ちませんのが、今まで税金でやっていた老人保健事業、介護予防・地域支え合い事業、そしてもう一つ、在宅介護支援センター運営事業を今回介護保険に取り込んで、大体介護保険の三%、二千億円ぐらいを取り込むということで、介護保険の給付を抑制するという話とはっきり言って正反対の方向性じゃないかなと思うんですけれども、この点についていかが思われるか。
 もう一点は、最後に池田先生が、予防訪問介護や介護予防、入浴介助とか、ああいうのに関しては懐疑的であるということをおっしゃいました。
 この二点について、また、ほかの点でも言い残されたことがあったら、御指導いただければと思います。

○池田参考人 まず第一に、九ページの図を見ていただきたいんですが、今後の介護保険の行く末、少なくとも私が六十五になるときまで介護保険はもってほしいんですよ。そうすると、すべてを介護保険に押しつけたら、介護保険は残念ながら崩壊します。
 そこで、九ページの下に「支援の順序としての補完性原理」という言葉があります。これはサブシディアリティー、地方分権でよく使われる言葉でありますが、社会保障でも使われます。まず本人が努力する。本人の努力にごく自然に家族や友人や近隣が手を差し伸べる。それでも自助、互助では問題が解決できないという大きな問題になったとき、いわばシステム化された自治組織の支援が行われる、これが共助。それでもカバーできないときに最後に行政の支援、すなわち公助。この組み合わせがいかにうまくできているかということが、実は社会保障制度の本質的な問題なんです。すべてを公助に求めるならば、今の税金は十倍以上にしないともたないでしょう。すべてを自助に求めたら、自助できない人が破滅していくというのはわかり切ったことなんです。
 これを介護保険に当てはめると、例えば、さっき食費の問題とかそれから家賃の問題が出ていましたよね。でも、衣食住というのはだれだって自助の世界なんです、これは。自助できない方については、では周りでみんなで助け合おうという互助があるわけですね。それでもだめな場合は最後に公助が発動される。だから、例えば家賃だとか食費というのを共助や公助ですべて持ったら、みんな自助努力しなくなりますから、財源が途方もなく膨らんでいくということなんです。それでいいんですかということなんですよ。
 だから、さっき見坊委員が言われたように、自分が頑張れるというところはどこまでなのか、周りが助け合うということは地域でどこまでできるのか。介護保険はみんなが出し合うお金を使うわけだから、その範囲内でどれだけ合理的にやるかということ。それでもカバーできない部分については公助で、これはある意味で選別的にならざるを得ません。この仕組みを考えてほしいということなんです。介護保険が社会保険だということ、これが忘れられているんじゃないかと思うんですね。
 それからもう一つ、制度を情緒で語ってはならないということです。必ず裏づけがなきゃだめだということなんです。
 そこで、では、先ほど山井委員の方から言われた地域支援事業。三%というのは、介護保険のいわば財源の三%を地域支援事業に持ってこれるわけであって、それ以外に公費をどれだけ突っ込んだっていいわけですよ。現実に、今例えば多くの自治体で、介護予防・地域支え合い事業の中で生きがい支援のデイをやっていますよね。あれは幾らぐらいかかっているかといったら、とんでもないお金がかかっているわけですよ。何の役にも立っていないわけです。あの金を地域支援事業に突っ込めばいろいろなことができる。それはすなわち基礎自治体、保険者がどこまで知恵を絞るかということ、そこが今一番問われていることだし、実はそこのところをもっと国会で議論をしていただきたいなという気が私はいたしております。
 いずれにしても、こういうことじゃないでしょうか。
 介護保険、社会保険というのは、一定の前提のもとに、一切の選別なく給付をするということなんです。だから、家族があろうがなかろうが、身体介護サービスは提供されるんです。金持ちであろうが低所得者であろうが、みんな特別養護老人ホームに入れるんです。これが介護保険でしょう。
 ならば、おかしいのは、家事援助は家族がいるのはやってはいけないというのは、これはもともとおかしいんです。こんなのは保険原理に合いません。それは、家族がいようがいまいが、家事援助は介護保険で認定されている人すべてに提供すべきなんですよ。しかし、そうなったらどうなるかということなんですよ。そうなったら、恐らくとんでもないモラルハザードを起こすのは間違いないわけです。
 ならば、考え方は二つしかありません。つまり、要介護二以上の重度については家事援助を保険給付とするという一つの整理の仕方があります。もう一つは、家事援助を全部介護保険から引っ張り出して、これは地域支援事業に置いて、軽度の方も重度の方も必要に応じて提供するというやり方もあるわけですよ。そこのところがごっちゃになっているものですから、言ってしまえば、いわば今度の介護保険の改正の中身が非常に混乱した議論になっているのではないかというような気がいたします。
 ちょっと御質問からそれたかもしれませんけれども、お許しください。

○山井委員 限られた時間になってしまいましたが、服部先生にもう一度御質問したいと思います。
 三つちょっと欲張って聞きたいんですが、一つは、先ほど服部先生も少しおっしゃったように、今回のメニューは新しく加わるのは筋力トレーニングぐらいではないか、そもそも新予防給付という大改革をする必要があるのかということをおっしゃったのですけれども、そのことについてが一点。今回の改革は今までの制度の延長線によりできないのかということですね。
 二番目は、厚労省は、この改革がうまくいけば悪化が防げて給付の伸びが減るということをおっしゃっているわけなんですけれども、家事援助の制限等を含めて、これで給付が減るのだろうか、ふえるのだろうかという点、二点目。
 三番目は、家事援助の問題点も指摘されておりますけれども、その中で、家事援助がお年寄りの能力を低下させたという批判もかなり強く出ているわけなんですけれども、その三点について、済みませんが、服部先生、よろしくお願いいたします。

○大村委員長代理 時間がなくなってきましたので、恐縮でございますが、簡潔にお願いいたします。

○服部参考人 まず、給付に関することですけれども、要支援、要介護度一の方は、人数は半分ですけれども給付は二割だけです。それを全部なくすわけではありませんし、筋トレに関してもそれなりにお金をつけていくというふうになりますので、今回、予防給付を入れたことによって介護給付が大幅に減るということはないというふうに私は計算をしております。
 むしろ、今回の介護保険の給付というのは、二五%の施設の方に給付の五二%が行っているという実態があります。したがって、重度の方を在宅で見ることができるシステムにするということ。例えば介護度六、介護度七、こういうものを設立することによって、これをやったとしても、在宅のサービスの利用率に関しては、今五〇%も利用していないという実態があります。先ほどの一人当たりの利用率を見ていただければ、このことで在宅に暮らし続けることができる。そうすると、施設をつくらなくてももともと家があります、ベッドを買わなくてもお布団があります、そういうような形で総体としての給付が減るというふうに私は考えております。
 また、今までの中で、家事援助ということに対して、これが悪化をさせたというふうに言っておりますけれども、厚生労働省も、生活支援が悪化をさせたという科学的データはないというふうに言っております。むしろ、要支援、要介護度一の方はサービスの利用率が非常に少ないという実態がございます。サービスをそれほどぜいたくに利用している実態はございません。
 それから、給付をケアマネジャーが非常に掘り起こしたから、その結果としてサービスの認定、給付の認定が多いというふうに言われておりますけれども、私がいる渋谷区というのは今一七・三%の高齢化率で、日本の一九・五%より非常に低い高齢化率です。そして、認定率というのは、一八・四%の認定率でございます。
 私のいる渋谷区は、一人たりとも居宅介護支援事業所に訪問調査を委託しておりません。では、この委託をしていないところの認定率が低いのかというと、そんなことはございません。一人も委託をしていない市町村というのはほかにもありますので、具体的なデータを比べていただいたらば、それは、その地域の高齢者の人数、またはサービスに対する在宅の介護の家族との関係性、または介護に対する考え方、そういう総体で私は認定率または利用率が変わってくるものだろうというふうに考えております。
 例えば渋谷区に関しては、グループホームが一個もありません。そういう各地域のサービスの違いというもの、だからこそ標準化ができないんです。生活というのは標準化できません。介護保険を利用されている方は、六十五歳と九十五歳の三十年の年齢の違いがあります。住んでいる地域が違います。その方の家族関係、住まい、全部違います。だから標準化できない。したがって、その人の生活をどうするかということで、一人一人に合ったケアプランというのが非常に大切だというふうに思います。その根幹が今回の介護保険で揺らぐことがあったとすれば、そこにこそ、介護保険制度に対して今保険料を払っている方からの信頼性が失われるのではないか、それを私はむしろ危惧しております。
 どうぞ、今の地域の実態、在宅介護の現状ということを知っていただいて、審議を続けていただきたいと思います。
 ありがとうございます。

○山井委員 時間が来ましたので終わりますが、最後に一言おわびを申し上げたいんです。
 本当でしたら全員に質問をさせていただきたかったんですけれども、中田参考人さんのこの資料は、非常に説得力があって、私も心を打たれました。また、山口参考人さんは、私も十数年前から御調町のことは本でも読んでおりまして、まさに日本の介護予防のモデルが御調町だと思っております。また、見坊参考人さんからも介護予防のことももっとお伺いしたかったですし、池尻参考人さんからも自己負担のアップのことをお聞きしたかったんですけれども、ちょっと時間が足りませんで、申しわけございませんでした。
 どうもありがとうございました。

Posted at 2005年04月12日 12:00 | TrackBack
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