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厚生労働委員会議事録(育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の改正)

161-衆-厚生労働委員会-7号 平成16年11月12日
  育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律等の改正
◇介護休業は活用されているか
◇介護休業の三ヶ月は適切か
◇休業取得者の不利益取扱い
◇厚生労働省職員の介護休業取得状況

◇私のしごと館
◇痴呆予防
◇年金保険料率
◇精神病院の社会的入院
◇介護保険と支援費制度


○山井委員 四十五分間にわたりまして、尾辻大臣、そして衛藤副大臣に質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、先日の質問で尾辻大臣にテレビ出演のことをお願いしましたところ、きっちり、出てくださるということで御返事をいただきまして、どうもありがとうございました。そのことを一つお礼を言いたいと思います。年金不信を解消するためにも、年金に対する信頼向上のためにも、説明責任をしっかりと果たしていただきたいと思っております。
 また、きょうの法案の介護休業と育児休業に関してですが、私自身、政治の世界に入った一つの理由がこの介護問題でありまして、議員になる前は大学で老人福祉を学生さんたちに教えておりまして、アメリカの老人ホーム、イギリスの老人ホーム、世界各国の老人ホームを、一カ月単位で泊まり込んでボランティアをさせてもらったりして、回っておりました。
 そういう中で、きょうは、育児休業のことは、さまざま、たくさん質問が出ておりますが、介護休業に絞って私は質問をさせていただきたいと思います。

 まず、きょう資料をお配りしておりますが、ちょっと見ていただければと思います。まず一問目、尾辻大臣に質問をさせていただきます。
 根本的な質問であるわけですが、資料の二枚目を見ていただきたいんですけれども、女性の離職理由というところで、年間、介護が一・一%、離職者数が三百四十一万人ですから、これを見ると、三万七千人ぐらいの方が介護を理由に離職されているかなというふうに統計からは読み取れるわけです。三万七千人ぐらいですね、一・一%ですから。それで、次のページの介護給付の支給状況を見ると、平成十五年度、四千六百六十八人。三万七千人がやめて、ところが、介護休業をとっている人は四千六百六十八人しかいないということなんですね。要は、介護休業をとってかとらずかわかりませんが、やめた人が七倍ぐらいいらっしゃるということなんです。
 何を言いたいかというと、率直に申し上げますが、介護休業というのがまだまだ十分役に立っていないんじゃないか。介護休業制度はあるけれども、やはり介護が原因でやめる人がまだまだ非常に多いなというふうに思っております。
 そういう意味で、こういう制度があるにもかかわらず、介護休業をとることなくやめていっている人が大多数であるというこの現実に対して、尾辻大臣、なぜなのか、どうしたらいいと思われますでしょうか。よろしくお願いいたします。

○尾辻国務大臣 いろいろな数字をお示しになりまして、お示しされた数字を見て、ああそういう視点があるなと思いました。
 ただ、私が私なりにこの数字を見て、まず最初に非常に気になりましたのは離職理由の割合なんですけれども、その中で介護を理由にやめた人が一・一%という、この数字が、こんなに少ないのかなということで、ちょっと気になったというか、そんなものなのかなと思ったわけでございます。
 そこのところをちょっと注目して私はこの数字を見ていたものですから、今直ちに、先生のお示しいただいたような視点での数字を見ておりませんでしたから、ちょっと答えがずれるかもしれませんが、ただ、一言申し上げますと、やはり介護休業という仕組みをよく御存じないところがあるのかな、周知が足らないのかな、こういうふうに思います。基本的にそう思います。

○山井委員 周知が足らないというのもあるかもしれませんが、まだまだ使い勝手が悪い、あるいは非常に不十分なのではないかという面も強いのではないかと思います。
 そこで、衛藤副大臣にお伺いしますが、これは九十三日、三カ月ということですけれども、この三カ月、どういう趣旨で、どういうための三カ月なのかということをお答えください。

○衛藤副大臣 家族に介護が必要な場合が起こってきます。そのときに、まずこの介護休業制度によって介護休暇が取れる、そしてそういう中で緊急的な対応ができる。
 それから、しばらくしていく中で、また最終的に、その時点でどういうぐあいに介護をやったらいいかという方針がすぐ決まらない場合、私も両親にそういうことがありましたので、状況が落ちつくまですぐにやはり決まらない、そういう中で、長期的な方針を決めるまでの期間もかかるということで、三カ月程度でどうだろうかということで九十三日ということにしたのが、この制度でございます。

○山井委員 一つ、今のキーポイントは、要は、介護の休業といいながら、答弁を聞いていると、介護の方針を立てるのに三カ月かかるということなんですよね。そういう意味では、ここが私は、最初尾辻大臣に質問した、そもそもこの介護休業の利用を十分にされていない根本的な問題があるんではないかと思っております。
 それで、例えば、きょうお配りした資料の中で、「諸外国における介護休業制度」というのをお配りしておりますけれども、その中でも、アメリカは一年に十二週間、一年に四カ月、ということは毎年四カ月、もちろん事情に応じてですけれども、その前に、直近十二カ月間に千二百五十時間以上労働している労働者とか、そういう条件つきはありますけれども、こういうことをやっているわけです。また、フランスなんかも四カ月ですけれども、更新して一年まで、フランスとかもこういう1と2というケースになっているわけなんですね。
 そういう意味では、この期間に関して、衛藤副大臣、やはり三カ月というのは短過ぎるのではないかというふうに私は思うわけです。
 例えば、第二十五回労働政策審議会雇用均等分科会の発言を聞いておりましても、労働側の委員さんからこういう声が出ております。
 要は、UIゼンセン同盟が調査したところ、UIゼンセン同盟としては方針としては一年を掲げておりますが、それでも全部の組合がそういうことができているわけではありません、三カ月までというところが五七%、三カ月以上のところが四〇%ということで、組合としては労働協約で三カ月の法定以上という契約をしているところがかなり多いという実態があります、利用者もかなりふえつつありますので、実際に家族の介護が発生した人の状況を聞きますと、やはり三カ月では短いということで、ぜひ長くしてほしいという声がかなりたくさん寄せられておりますと。それとまた、結局、この調査結果を見ても、一年間とられた方が一七・七%で、非常に多いということなんですね。
 だから、そういう意味では、この三カ月というのは短いというふうに思うんですが、衛藤副大臣、いかがでしょうか。

○衛藤副大臣 正直なところ、企業の理解も得なければならないというふうに思っております。
 そういう中で、日本の場合は、世界に先駆けてというか、ドイツの方が先に導入されておりましたけれども、介護保険制度の導入という形で、全面的に介護について国を挙げてバックアップをするという体制を今とり、また充実しようとしているところでございます。そういう意味では、介護そのもののためにということになってくると、ちょっとやはり、非常に実質的にはもう厳しいというのが正直なところだと思います。
 それで、長期的な方針を決める、それから緊急的な対応措置としていうことで、九十三日というぐあいに上限をさせていただいたので、諸外国と比べてもそう遜色があるわけではないというぐあいに認識をしているところでございます。
 以上です。

○山井委員 ちょっと何か自信なげな答弁であります。だから、そういう意味では、今の答弁でも、介護そのものに関しては余り十分なプラスにはまだまだなり得ていない、そういうふうなことを認められたのではないかなと思います。
 それで、このことに関してどんな相談が来ているかということなんですけれども、都道府県の労働局に平成十五年どんな相談が来ているかというと、介護関係の不利益取り扱いに関する事案に関しては五十六件来ているわけですね。労働者側からは十九件、雇用者側からが三十七件。介護休業を申請しても首にならないかどうかとか、あるいは雇用者側からは、こんなことを認めないとだめなのかとか、そういう不利益取り扱いに関する事案が五十六件。
 それで、例えばどんなのがあったんですかということで聞いてみたら、二人事例を聞きました。一、介護休業取得後の配置転換、女性。相談内容、介護休業を取得して復職したが、片道四時間かかる事業所に配転されそうであるということなんですね。片道四時間というと、往復すると八時間ということで、やめろと言わんばかりであります。それと、もう一つは、介護休業取得による賞与の取り扱い、女性。相談内容、三カ月の介護休業を取得しているが、会社から賞与は支給しないと言われたということなんですね。やはりこういうふうな苦情がたくさん来ているわけです。
 それで、今、担当課の方に、この相談が来て、この後どうなったんですかと聞いたら、匿名の電話であって、その後連絡はもう来ていない、だからどうなったのかがわからないということなんですね。
 それで、私、ここで衛藤副大臣にお願いしたいと思いますのは、今回も、この法案の審議の中で何が問題なのかということを知るには、介護休業をとった人とか、介護休業をとらずにもうやめちゃった人の当事者の声を聞かないと、この制度がいいのかどうかというのが採点しようがないと思うんですね。ところが、そういう調査はあるんですかと聞くと、いや、調査はないというわけなんですよ。やはりこれは、こういう制度、せっかくつくられたんだから、きっちりとそういう声を聞かないと、政策評価しようがないと思うんですね。怠慢と言われても仕方ないと思います。
 そういう意味では、こういう介護休業をとった人、今後どうしていったら使い勝手がいいかとか、とるときにどういう苦労があったかとか、あるいはなぜとらなかったのかという調査を私はするべきだと思いますが、衛藤副大臣、いかがでしょうか。

○衛藤副大臣 今お話ございましたような不利益取り扱いに当たるようなことがあれば、本気でやはり是正措置を講じなければいけないと思っております。その後連絡がなかったということでございますけれども、何とか、ちゃんと、そのようなことが起こらないようにしなければいけないというふうに思っております。
 また、今お話ございましたように、介護休業取得者に対して調査をすべきではないのかというお話でございました。私どもも、そういう調査を、少しできるだけのところをやらせていただきたいというふうに思っております。
 ただ、仕事と介護を両立しやすくするための施策としては、私どもも、この介護休業制度の充実といった職場環境の整備というか、やはり事業主側の理解をちゃんと得る、皆さんにこのことをもっと知っていただく、それから、介護施設やサービスの充実等についてもっと心がけるというところをやらなければいけないというぐあいに、改めて感じているところでございます。
 先ほど大臣からもお話ございましたけれども、まだ周知徹底が足りないというぐあいに感じておりますので、そのことについて頑張ってまいりたいと思っております。

○山井委員 そこをもう一度ちょっと確認したいんですけれども、介護休業を取得した人に関して調査をやりたいという御答弁はありがたいんですけれども、それと、とらなくてやめた人、介護が原因で。それとも、なぜ使わなかったのか、なぜ使えなかったのか、これも非常に重要だと思うんですよね。そのことも調査をしていただきたいんですが、副大臣、いかがですか。これは通告でもしておりますので。

○衛藤副大臣 確かに今までそういう調査をしたことがございませんので、いきなりできるかどうかわかりませんけれども、そのようなニーズの把握について努めてまいります。
 今までは、そういう形でやめた方に対して後追いの調査ということを全然やっておりません、確かに。そのことについていきなりできるかどうかわかりませんけれども、できるだけそれを洗い出して、ニーズの把握に努めたいというふうに思っておるところでございます。

○山井委員 ニーズの把握と言わずに、ぜひともそのことも調査してもらって、せっかく制度があるわけですし、私の知り合いでも、残念ながら、介護休業をとらずにやめたという人が多いし、あるいは、とっても、とって悩んだ末にやめた、あと定年まで十年残してやめたら、その十日後に介護していたお母さんが亡くなってしまわれたというケースもやはりあるわけなんですよね。そうしたら、その方の残された十年間の生涯賃金はどうなるんだ、人生はどうなるんだというようなことも当然あるわけです。それで、きょうの議論でも出ておりますが、大抵こういう育児や介護の苦労というのは女性にかかっているわけですから、そこをぜひとも柔軟な制度にしていただきたいと思っております。
 それで、尾辻大臣に改めてこのことでお伺いしたいんですけれども、繰り返しますが、この介護休業制度の最大の問題点は、法文には、私が配った資料にも書いてありますように、どう書いてあるか。法文には、「労働者が、」「その要介護状態にある対象家族を介護するためにする休業」「介護するためにする休業」と書いてあるじゃないですか。
 にもかかわらず、先ほど衛藤副大臣の答弁を聞くと、いや、こう書いてあるけれども、実際は三カ月で方針を決めるんだ、急に脳梗塞で倒れたりしたら、病院の手配とか、退院してからどこのサービスを利用しよう、その方向性を決めるのが三カ月であると。厳密に言うと、介護のための休暇ではないんだという答弁なわけですよね。
 これはやはり、私は、本当に介護しながらも働き続けられるような、そういう介護休業というものに、今回の改正では無理ですけれども、今後、変えていくべきじゃないかと思うんです。大臣、そのあたり、根本的な問題ですけれども、いかがですか。

○尾辻国務大臣 改めて申し上げるまでもありませんが、私どもが介護保険をつくるときに思いましたことは、日本の介護というのは家族に頼り過ぎ、また、今お触れになりましたように、その中でも特に女性に負担がかかる、この負担を何とかしようということで、そして、社会全体で介護はやはり考えるべきだということで、介護保険をつくりました。その介護保険が存在しているということとこれをどうかみ合わすかという問題だと思います。
 したがって、この条文に「介護するため」とありますが、ここで介護するというのは、みずからが直接介護するという狭い意味じゃなくて、大きく介護の必要があるという、私はそういうふうに解釈をしておりまして、必ずしも先ほどの副大臣の答弁と矛盾するものではないと考えております。
 ですから、今私がお答えとして申し上げていることは、やはり、介護保険が存在しているということとこの問題をどう、いわば整合して考えてみるのかというこの議論だと思っております。いずれにしても、今後の議論だと思います。
 それから、やはり、率直に申し上げて、これは先ほど副大臣が申し上げましたけれども、事業主の負担というのも、これは現実の問題として避けて通れないことでありますから、そうしたことを、全体を見ながらの議論をしたい、こういうふうに考えます。

○山井委員 今の大臣の答弁は非常に苦しいな、無理があるなと私は思います。
 私の知り合いの女性の方でも、育児のときは何とか会社を両立して乗り切ったけれども、やはり親の介護になって、どうしても、仕事を続けたかったけれどもやめざるを得なかったという方も多いわけですね。そういう意味では、本当に人生にかかわる問題ですので、ぜひとも拡大の方向で検討していただきたいと思います。
 それで、衛藤副大臣にまたお伺いします。
 先ほど水島議員から育児休業についての質問がありましたが、厚生労働省についての介護休暇の取得状況、これを調べました。私の資料の一ページ目にあります。平成十四年度、男性六人、女性百四人なんですが、本省に限っては、男性一人、女性二人なんですね。
 尾辻大臣にこれをちょっとお伺いしたいんですが、責任者ですから、どう思われますか、これ。介護休業、本省のものです、特に本省。年間女性二人、男性一人。女性の方が一般的に厚生労働省は多いのは、国立病院とかそういうのも入っていますから多いんですけれども。それはちょっとおいておいて、本省のことです。介護休業をとっている人が、平成十四年度、女性二人、男性一人なんですよ。
 それで、私も聞いてみたんです、何人かの人に。そうしたら、仕事が忙しくて、介護休業なんかとったら周りの人に迷惑がかかるからそんなものとれない、こう言っているわけなんですね。
 これはやはり介護休業とか育児休業の大きな一つの壁かと思うんですけれども、このことに対する感想と、それこそ厚生労働省の職員の方々に、ぜひとも一言メッセージをちょっと言っていただきたいなと思います。

○尾辻国務大臣 仕事が忙しくてという話だというふうに言われました。恐らくそれが本音なんだろうなというふうに思います。
 また、この数字、私も改めて確認いたしましたから、省に戻っていろいろな話をよく聞いてみたい、こういうふうに思います。

○山井委員 何事もそうですけれども、ぜひともやはり厚生労働省が率先垂範していただきたい。前の時短のときも、坂口大臣、できるだけお父さんも子育てにタッチできるように早く帰らせるようにするとか、そういうこともおっしゃっておられましたので、ぜひともよろしくお願いしたいと思います。
 では、次に、ちょっとこの後十五分ぐらい、法案から外れるんですが、一つ雇用保険の関係で、私のしごと館という、関西学研都市にある、このことについて触れさせていただきたいと思います。
 資料に私のしごと館の内容が書いてありますが、これは、仕事の大切さを知ってもらうためにできた、大きな大きな施設であります。それで、このことについて、運営交付金が二十二億円、平成十五年度で来ているわけですね、この資料にありますように。運営交付金が二十二億円。ところが、入館料収入が四千八百万円なわけですね。ほとんどがこれは雇用保険からの運営交付金で賄われている。私も二度ほど行ったことはあります。
 それで、これを建設するために、用地費も含めて五百八十億円ぐらいかかっているわけですね。先ほど介護休業に関して、雇用主の方の理解も必要だということを衛藤副大臣もおっしゃっていましたけれども、これはまさに雇用主側の負担になっているわけなんです。
 私は何が言いたいかというと、五百八十億円をかけてつくって、それで毎年入館料の収入が少なくて、運営交付金で二十億円、今年度は十五億円入れるという中で、利用されている方の六、七割がやはり未成年の方で、修学旅行生とか近所の小学校、中学校からの体験学習の場になっているわけなんですね。
 それで、私は二つ要望がありまして、やはりせっかくこれだけお金をかけてつくったわけですから、子供中心ではなくて、大人ももっと利用できるようなものにしていかないとだめなのではないかということ。もう一つは、変な話、この私のしごと館の周りが失業率が高い地域なんですよね。そうすると、やはり地域のというか、大人の雇用創出につながるべきだと思っております。そういう意味では、今のところ、私のしごと館というのはどうしてもお子さんたちが中心になってしまっております。
 こういうことに関して、大臣の方向性、大人がもっと利用できるように、そしてまた、失業者が多いわけですから、大人の雇用創出にもっとつながるようにすべきではないかということについて、答弁をお願いします。今までから何度もこれは言っているんですけれども、なかなか変わらないもので、きょう国会で取り上げさせていただきました。

○尾辻国務大臣 私のしごと館につきましては、御指摘のように、修学旅行生など学生生徒の方々に多く利用していただいておるようでございます。ただ、現在でも、キャリアコンサルタントを配置いたしまして、利用者の職業能力の分析、適性の把握等を含む職業に関する相談の実施、あるいは、面接の受け方、ビジネスマナー等に関する就職に役立つセミナーの実施でありますとか、職業に関する多様な情報、資料の提供など、大人の就業支援としても有効な事業を行っていると考えております。
 言いたいことは、今後とも、学生以外の利用者の方へのサービスの向上を含め、全般に役に立つ活動を行っていくことが重要であると考えております。

○山井委員 少しずつそういうことをやっていただいているようですけれども、ぜひともそういう方向でお願いしたいと思います。これは五百八十億、年間十五億つぎ込んでいるというのは、これはやはり保険料なわけですから、本当に価値あるものに高めていかねばならないと思っております。
 それと、次に、痴呆予防の質問をさせていただきます。
 先ほど介護休業の話をしましたが、老人ホームなどの利用者の七割以上は大なり小なり痴呆症があると言われております。そういう意味では、今や、寝たきり以上に痴呆症の方が大きな不安であると言われています。特に、痴呆症の方は、平均六、七年と言われておりますけれども、何年介護が続くかもわからないということで、介護疲れで倒れる方も、多くが痴呆症のお年寄りを介護しておられるケースがあるんですね。
 私も十四年間、呆け老人をかかえる家族の会というものに入らせてもらって、痴呆症のお年寄り、そして御家族のための運動をさせてもらっておりますが、そんな中で、きょう資料も入れさせてもらいましたが、先日、国際アルツハイマー病協会の国際会議というのが京都でありました。そんな中で、私も参加をさせていただきましたけれども、その中で大きく取り上げているのが、これからは痴呆のケアと同時に痴呆予防だということで、多くのパネル展示などもありました。ここに資料があるとおりです。
 それで、何が言いたいかというと、先ほど大臣もおっしゃった介護保険の整備の中で、介護予防ということは厚生省、非常に力を入れておっしゃっておられるわけですね。ところが、その介護の中の、先ほども言いましたように、施設に入られる七割が痴呆症であるにもかかわらず、介護予防の中で痴呆予防のメニューが今のところ厚生省は一つもないわけです、はっきり言いまして。
 ところが、私も実は十五年ぐらい痴呆症の問題にずっと取り組んできました。世界を回ってずっとやってきました。そんな中で、もちろん特効薬とか薬はまだまだ開発中ですけれども、この新聞記事にも「初期の不安、和らげるケアを」とか痴呆予防教室と書いてありますが、やはり週に一回ぐらい痴呆予防教室に通って、歌やいろいろなアクティビティーをすることで、治りはしないけれども進行が遅くなるとか、症状が和らぐとか、そして、その前提として早期発見が必要だということなどがかなり言われてきているんですね。
 こういう、やはり介護予防の中で痴呆予防をこれから力を入れていくべきだ。痴呆予防教室やあるいはデイサービスで、介護予防事業の中で痴呆予防のデイとかもやっていくべきだ。そして、早期発見ももっとやっていくべきだ。必ずしもお医者さんの診断ではなくて、保健学的な簡易な診断によって早期に発見して、それで早期からそういう教室に通ったり、あるいは介護する人がそういう教室に通って介護の仕方を知ることによって、お母さんの症状が和らいだというケースもあるわけですね。
 その点について、大臣、いかがでしょうか。

○尾辻国務大臣 率直に申し上げます。
 けさからこの話、いろいろ私もそれなりに聞いております。いろいろな話をするんですが、結局、痴呆予防のための取り組みというのはさまざまな試みが行われております。ただ、今現在で、それらの効果やメカニズムが厳密な意味で科学的に証明されるに至っていない、こういうことなんだと思います。
 したがって、申し上げたように、いろいろ試みはあるけれどもきっちり科学的にこれだというものがないために、厚生労働省としても、ではどうするんだということで、先ほどお話しいただきましたように、高齢者を対象とした絵画だとか書道、園芸、音楽等の教室を開催する事業を、痴呆介護教室と位置づけて市町村にお願いをしたりしているわけでありますけれども、今のところでやれることはそういうことということになってしまうわけでございます。
 したがいまして、総合的な介護予防システムを確立するために、痴呆予防のメニューも取り入れることができればという期待を込めまして、科学的根拠に基づく痴呆予防メニューを見出したい、そして専門家の皆さんのいろいろな検証をしていただきたいというふうに考えます。

○山井委員 私、二年前にもこの質問をさせてもらったんですが、要望を二つしたいと思います。
 一つは、正直言いまして、この痴呆予防に関することは、もう十年ぐらい前からいろいろあるんですよね。ところが、なかなかこれは、確かに痴呆予防というのは難しいです、いろいろな意見もありますし難しいんですが、先ほども言いましたように、今介護保険の財政が膨らみ過ぎてどうするのかという中で、介護予防抜きには私はやはり語れないと思いますので、ぜひともこのことには力を入れていただきたいと思っています。正直、例えば痴呆性高齢者のグループホームでも、そこで適切なケアを受けて介護度が下がったというケースなんかは、やはりかなり出てきているわけなんですよね。そのことが一つ。
 それともう一つは、きょう資料につけましたが、食生活と痴呆に関する調査なども厚生労働省さんはされているそうなんですけれども、その中で、例えばお茶とかも痴呆予防効果があると言われているんですね。やはりこういうことも、私、これも二年前から厚生労働省さんにも農水省さんにも言っているんですけれども、なかなかこれも進まないんですよね。こういうふうなことも、ぜひとも前向きに調査研究していただければと思います。これはもう要望だけにしておきます。
 あと、余り時間がありませんので、ちょっと残された時間でほかのことを聞かせていただきたいと思うんです。
 私は、尾辻大臣が就任されて、最初から聞きたかった年金の質問が一つあるんですね。これは前国会からの引き継ぎなんですけれども、結局、通常国会で通った年金改革法というのは、一八・三%まで厚生年金保険料をアップさせるということなんです。それで、やはりこれは経営側からも組合側からも、これではもたない、せめて、せめてというか百歩譲っても一五%ぐらいで、やはり一八・三では無理だという声がみんな一致しているんですね。こんな一八まで行ったら、海外に工場が移転したり、派遣社員やパートの人ばかりに頼らないとだめだということなんです。
 こういう一八・三まで上げるという、私は本当に非現実的だと思うんですけれども、こういうことで本当に日本の企業が、雇用がもつと、新しい大臣である尾辻大臣は思っておられるのかどうか。これは企業側も働く人も、一番今国民の不安だと思うんですけれども、このことについて、尾辻大臣、どう思われますか。

○尾辻国務大臣 まさに、まず基本的に申し上げると、給付と負担の関係でございます。
 私どもは、今度の年金法の改正に当たって、給付の方で考えましたのは、やはりどうしても五〇%ということを考えました。これは率直に申し上げます。そしてまた、法律にも書いてあります。五〇%を何とかして給付したい。これは本当に標準の数字でありますから、高い方が五〇%になるのかどうかという話をすると、もう細かな話になりますからしませんが、とにかく標準として五〇%を給付のところで維持したいと思いました。そのためにも、どうしても一八・三%という数字が厚生年金でいうと出てきたところがあることは、給付と負担の関係ですから、どっちかをいじればどっちかに影響する数字でありますから、これは申し上げたところであります。
 しかし、今のお尋ねの、では、産業の空洞化とか言われる中で、果たしてそれに耐えられるのと言われると、法律をつくった私どもの立場で申し上げると、何とかそこを頑張ってくださいと言わざるを得ないところでございます。

○山井委員 正直言いまして、通常国会でもそういう答弁なんですよね。まあ頑張ってくださいでは無理だということが、今のこの年金の不安になっているわけですから、やはりそこは、私たち民主党も今までから抜本改革と言っておりますけれども、厚生労働省としても、政府としてもしっかりと抜本改革を出してもらわないと、一八・三%ということでは絵にかいたもちでありますし、先ほどおっしゃった五〇%の保障というのも、やはりこれも、現実的には出生率も下がり、無理になってきているわけですから、このことはまた、集中審議をぜひともやって、訴えていきたいと思います。
 それと、もう一点お伺いしたいことがあります。余り時間がないんですけれども、精神病院からの社会的入院の問題なんです。
 きょう質問するつもりじゃなかったんですけれども、きのうの答弁で、お聞きになったかと思いますが、西副大臣が、精神病院からの社会的入院七万人の解消を、今までから政府は十年間で社会的入院七万人を減らすということを言っていたわけですね。衛藤副大臣もうなずいておられます。あの心神喪失法案を二〇〇二年に審議したときに、十年以内にやりますということを何度も、当時の坂口大臣はお約束をされました。それで、私は、二〇〇二年に約束されたことですから、十年以内にということだから二〇一二年までに減らすのかと思ったら、きのうの答弁を聞いたらびっくり仰天で、何やら、新しい障害者サービス法の新しい制度が整った二〇〇六年から十年間だというわけなんですよね。こんなばかな話は私はないと思うんです。今後十年間で七万人の社会的入院を減らしますと二〇〇二年に答弁しておいて、そのスタートが実は二〇〇六年なんですということは、私は通らないと思いますよ、そんな話は。
 常識的に考えて、尾辻大臣、これはどう思われますか。例えば、私たちがこうやって答弁してもらって、十年以内に何とかしますと言って、後で聞いたら、十年以内にというのは四年後からの十年以内ですとか、そんなことしていたら国会は成り立たないと思われませんか。大臣、いかがですか、このことについて。急に質問してなにですけれども。これは、きのうあった質疑なんですよ。

○尾辻国務大臣 急なお尋ねでございますから、うまく答えられるかどうかということはございますが、私も、きのうの質疑を聞きながら、その辺のことは感じないわけじゃありませんでした。したがいまして、議事録や、二〇〇二年のころ何と言ったかという坂口大臣の発言や何かをよくまた調べてみて、改めてこれは整理したいというふうに考えます。

○山井委員 私、ここに議事録、平成十四年十一月二十九日、水島議員の質問があるんですよ。それに対して坂口大臣は、「十年というふうに申し上げたわけでございますが、できる限り、その十年よりも早くできれば、」「積極的に進めたいと思っている次第でございます。」というふうに、「できる限り十年を縮めていくことができればというふうに、率直にそう思っている次第でございます。」と、本当は十年でも長いぐらいだ、もっと早くやると約束しているわけですよ。
 このことはぜひとも、きのうの答弁なんというのはとんでもない話ですから、やはりこのとき答弁したように、二〇〇二年に答弁したんだから二〇一二年までだというふうに方針を転換してほしいと思います。その検討をお願いします。

○尾辻国務大臣 そのとおりであれば、率直におわびして訂正しなきゃいかぬ、こういうふうに思います。そして、改めて、私どもがきっちり、今後できることをお示ししたい、こういうふうに考えます。

○山井委員 次もまた、これはきのうのニュースでありますけれども、介護保険の被保険者の引き下げに関して、全国の市長会が反対決議をしたということを聞かれていると思います。それで、先日、経済財政諮問会議でも、民間の委員が反対を言ったと。私、これは報道でしか知らないんですが、尾辻大臣は出席されていたと思うんですが、私、一つ不思議に思っていることがありまして、消極的な方々の言い分の一つを聞いていると、被保険者を拡大するよりも、まず介護予防とかに力を入れて適正化すべきだという議論が出ているんです。ところが、前回の委員会でも質問しましたけれども、その被保険者を引き下げる部分の財源の多くは支援費の方に行くわけなんですよね、障害者の支援費や精神障害者の方に。
 だから、そういう意味では、この引き下げというものをしなかったら、支援費や、今言った精神障害者の社会的入院を解消するという、地域の受け皿の問題とも関係してくるんですけれども、そういうものがもたないという危機感がやはりあるわけなんですね。
 だから、ここで尾辻大臣にお聞きしたいのは、ちょっと筋違いかもしれませんが、こういう経済財政諮問会議で引き下げに関して消極的なことをおっしゃっている方々というのは、障害者福祉をどういうふうにしようというふうに思っておられるんでしょうか。そういう議論はないんですか、大臣。

○尾辻国務大臣 今、こうした御議論はいろいろなところでしていただいています。
 今お話しになったことの繰り返しみたいになりますけれども、私がまず思いますことは、今の介護保険というのは確かに、加齢、高齢になった方々の介護ということが念頭にあって、それでつくった介護保険です。今議論していただく方の中には、どうしてもやはりその考え方の中で介護保険をとらえる方、それから、私どもはまだ決めたわけじゃありませんけれども、今、四十から六十四のところの方々の、介護保険には加入していただいている、しかし非常に限定的に介護を考えている、この辺のところをもっと広げるという考え方もある。年齢によって介護を変えるんじゃなくて、介護を必要としている方、これは年齢にも関係ない、それからまた、どういうことで介護が必要となってきたかということももう問題にせずに、介護はもう全部介護として考えるか。そうすると、極端に言うとゼロ歳児からの介護という話になるわけです。
 この辺はもう、介護保険そのものに対する考え方が大きく違うものですから、いろいろな御議論が錯綜しております。そのことは感じております。
 だから、私どもも、もう少し整理して、資料もお出しし、議論していただければと思いますから、近く、そういう、もっと広く介護を解釈したときの数値がどうなるかというようなものも皆さんにお示しをした上で議論をしていただきたい、こういうふうに考えております。

○山井委員 ある意味で、尾辻大臣がおっしゃったように、多少錯綜している部分もありますが、この議論を一つ整理しないとだめなのは、介護保険の見直しといいながら、一つの大きなポイントは、障害者の支援費や先ほどの社会的入院の解消にもつながるんですが、精神障害者のサービスが非常に足りていない、財源も足りていない、これをどうするんだという話がやはり根っこにあるわけなんですね。
 ところが、私は直接聞いてはいませんけれども、そういう経済財政諮問会議の方々が、いや、介護予防を頑張ったらいいじゃないかというのは、若い人から保険料を取って、それでお年寄りを支えるという発想しか理解されていないんじゃないかと思うんですね。ここは、ある意味で国民全体も、どっちかというとその辺、誤解している部分もあるかもしれないので、そこはやはりこれからきっちり説明していく必要があると思うんです。
 きょうも育児休業、介護休業の審議でありますけれども、まさに大臣がおっしゃったように、介護保険制度ができて、まあまあ家族も仕事と両立できている面があるかもしれません。では、障害児や障害者をお世話されている家族はどうなのかというと、結局、前も質問をしましたけれども、介護保険に比べて本当にサービスが足りないわけなんですね。
 例えば、支援費の障害者サービスに関しても、市町村間で、人口当たりの利用者数で七・八倍も格差があるわけです、七・八倍あるわけですよ。身体障害者のホームヘルプでも五・五倍。例えば、精神障害者のホームヘルプだったら十一・六倍、障害児のホームヘルパーだったら四十四倍も格差があるわけですよ。こういうグループホームも、三割以上の自治体がまだ知的障害者のグループホームを持っていない。これを、老人福祉に比べて二十年ぐらいおくれていると言われている障害者福祉をやはり引き上げていかないと、私は、このままの状態を二十一世紀に放置したら、年齢差別、障害者差別と言われかねないと思うんですよね。
 でも、これをある程度、全国であまねく介護保険と同じように障害者の方々も必要なサービスを受けられるようにしようと思ったら、先日もこの委員会で議論させてもらったように、今の粗い試算では、今後十年間で一兆円ぐらい膨らむんではないか。地方自治体だけでも無理、国だけでも無理という状況に来ているわけなんですよね。やはりそこを、お年寄りをどう支えるかという発想での介護保険の見直しだけじゃなくて、お年寄りのサービスとともに障害者も一緒に支えていくというふうに議論を変えていかないとだめだと思います。
 というのは、全世界の中で、私は世界の福祉を回って研究してきた者ですが、世界の中で、四十歳という年齢で制度を切っている国なんて日本だけですよ。合理的な理由なんか何にもないんですから。すべて年齢関係なく、税でやっているか保険でやっているか、どっちかなんですよ。そもそもやはり過渡的なことだと思うんですね。
 そういう意味では、繰り返しになりますが、お年寄りと同様に障害者の方々がきっちり必要なサービスを受けられるようにしていく、そのことが介護保険の見直しの、繰り返しになりますけれども、介護保険の見直しというとお年寄りの問題と思われがちですけれども、介護保険の見直しが実は二十一世紀の障害者福祉を大きく決めるんだという状況にあるということですので、そのことをまた尾辻大臣もぜひとも、衛藤副大臣とともに取り組んでいただきたいと思います。
 最後に一言ずつ、短くで結構ですので、今のことに対して決意を、大臣、副大臣、お願いしたいと思います。

○尾辻国務大臣 いろいろ御指摘がございましたが、一点で申し上げます。
 今お話しのようなことがありますから、私どもは障害者福祉に対して、今度、グランドデザインをお示ししたつもりであります。あの考え方できっちりやっていきたい、こういうふうに思います。

○衛藤副大臣 まだ全体的な合意が得られていないという中で、フライング発言になるかもしれませんけれども、介護保険制度は仰せのとおりだと思います。
 ただ、四十歳で切ったというのは、世界で初めて導入する中で、四十歳ぐらいからであれば高齢者にかかわる介護について御理解いただけるだろうという観点から、そうした覚えがございます。それはやはり、年齢を、徐々に理解の輪を国民的に広げていきながらこの制度を拡大していくということは、どうしても必要であろうかというふうに思っております。そういう中で、ぜひ年齢の問題も、それをちゃんとやり上げていくことは必要であると思っています。
 そしてまた、介護保険は、今は加齢に伴うものとしておりますけれども、やはりその趣旨としては、介護全般をフォローできるべきであるというぐあいに思っております。とりわけ、そのときの社会保障全体の中でいかに在宅や地域や、あるいは施設も入りますけれども、いずれにいたしましても、自立をどう高めるかというところをその主たる目的としなければいけないのではないのかというぐあいに思っています。
 そういう意味で、私どもは、まさにこれからの社会保障というものを自立と共生という思想で頑張るべきだというように思っておりますので、ぜひ皆さんの御理解をいただいて、議員がおっしゃるような方向でまとまっていくことができればというぐあいに思っている次第でございます。どうぞよろしくお願いします。

○山井委員 この間の厚生労働省さんの御努力もありまして、本当にお年寄りの福祉に関してはかなり進んできたと思いますが、障害者の福祉にも、お年寄りのことには熱心だけれども障害者のことには冷たい国だというふうなことにならないように、ぜひとも頑張っていきたいと思います。
 以上で終わります。

Posted at 2004年11月12日 10:25 | TrackBack
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