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2006年12月

「介護保険制度等に関する質問主意書」(H18.11)

「介護保険制度等に関する質問主意書」を提出しました。
質問及び答弁書を掲載させて頂きます。(平成18年11月24日提出、衆質第175号)
(主な質問項目)
介護予防、福祉用具レンタルの制限、ホテルコスト導入による利用者への影響、
介護保険施設の人員配置基準について

「介護保険制度等に関する質問主意書」
改正介護保険法の実施に伴い、さまざまな問題点が浮かび上がってきた。そこで以下の通り質問する。
一 国は介護予防の実施により、要介護度の悪化を防止するという目的で、新予防給付を導入した。今年四月以降に介護保険サービスから予防給付の対象となる要支援に移行した個々の利用者に対して、移行前と比べてサービスがどのように変化したのか、またそのことによって、介護度がどのように変化したのか、サービスの利用時間や回数が増えたのか減ったのか厚生労働省が現状把握しているものをお示しいただきたい。また現状把握していないのであれば、いつどのように検証を行うのか。

二 介護保険制度改正による福祉用具レンタルの制限により、今年四月以降特殊寝台、車いすはそれぞれ何台が保険の対象外となったのか。

三 介護保険施設における食費・居住費負担に耐え切れず、退所者が出ていることは深刻な問題である。国は介護保険施設における食費・居住費負担の見直しに伴う退所者調査を実施したが、わずか六十八自治体の簡易な調査のみで、これだけで見直しによる影響がなかったと判断するには不十分である。早急に全市町村を対象にした詳細な調査を実施し、経済的な理由で退所された利用者がどれだけいるのか把握する必要があると思われるがいかがか。

四 三対一の人員配置基準通りで「身体拘束を行わずに介護を行うことは十分可能である」(内閣衆質一六一第二四号)と国は主張するが、その根拠を尋ねたところ、全国調査を昨年二月に行っており、「この調査結果がまとまった後において、具体例をお示しできるかどうか検討してまいりたい。」(内閣衆質一六二第七四号)と答えた。この調査結果からなぜ「十分可能である」のかご説明いただくとともに、具体例もお示しいただきたい。

五 三対一以下の人員配置で運営している特別養護老人ホームや老人保健施設は全国に何箇所あるのか。またその中で身体拘束をせずに運営しているところは何箇所あるのか。
 右質問する

「衆議院議員山井和則君提出介護保険制度等に関する質問に対する答弁書」

一について
お尋ねの点については、厚生労働省として現状を把握していないが、同省においては、平成十九年一月から実施予定の継続的評価分析支援事業において、平成十八年四月以降要支援認定を受け、かつ、平成十九年一月以降要支援状態にある者(以下「調査対象要支援者」という。)を対象とし、調査対象要支援者が当該認定を受ける前の一か月間に訪問介護、通所介護又は通所リハビリテーションを利用した回数及び当該認定を受けた後に介護予防訪問介護、介護予防通所介護又は介護予防通所リハビリテーションを利用した回数を調査し、当該調査対象要支援者のサービスの利用状況に係る変化について把握するとともに、当該調査対象要支援者の要支援状態区分に係る変化について把握することとしている。

二について
平成十八年度の介護報酬改定において、要支援者及び要介護一である者に対する福祉用具貸与については、特殊寝台及び車いす等の種目につき、一定の例外となる者を除き、平成十八年四月以降保険給付の対象としないこととしたところであるが、利用者の入院、死亡等により利用をやめた場合もあることから、お尋ねの保険給付の対象外となった台数を把握することは困難である。

三について
御指摘の調査については、厚生労働省において、平成十八年六月に各都道府県及び市町村を対象として実施し、当該都道府県及び市町村において独自に退所者に係る調査を行っている場合に、その結果の報告を求めたものである。報告を行った二十四県及び四十四市区町の六十八自治体においては、各自治体における介護保険施設を対象に質問調査を実施したものであるが、当該質問調査において回答のあった介護保険施設の入所定員数は全国の介護保険施設の入所定員数の約四割を占め、また、当該自治体の地域的な分布の偏りもないことから、御指摘の調査の結果は全国の介護保険施設の退所者の状況をおおむね反映しているものと考えられ、御指摘の全市町村を対象にした調査を実施する必要はないものと考える。

四及び五について
お尋ねの三対一以下の人員配置で運営を行っている介護老人福祉施設及び介護老人保健施設の数並びにその中で身体拘束をせずに運営を行っている施設の数については把握していないが、厚生労働省においては、認知症介護研究・研修仙台センターに委託して平成十七年二月に全国の介護保険施設における身体拘束の状況に関する調査を実施し、平成十八年七月にその結果を取りまとめたところである。これによると、人員配置状況及び身体拘束の状況の両方が把握されている介護老人福祉施設のうち人員配置が二・五対一を下回る施設は、その二十七・三パーセントに当たる百九十二施設であり、そのうち身体拘束を行っていないものの割合は、三十・二パーセントとなっている。また、人員配置状況及び身体拘束の状況の両方が把握されている介護老人保健施設のうち人員配置が二・五対一を下回る施設は、その二十二・七パーセントに当たる七十施設であり、そのうち身体拘束を行っていないものの割合は、二十一・四パーセントとなっている。同調査においては、既に平成十八年七月に取りまとめた内容に加えて、さらに、三対一の人員配置の施設及び三対一に近い人員配置の施設のうち身体拘束を行わずに介護を行っているものの状況について詳細な分析を行うため調査結果を改めて精査しているところであり、その結果を踏まえ、三対一の人員配置で身体拘束を行わずに介護を行うことが可能であることの説明及びその具体例の提示が可能かどうか検討してまいりたい。

Posted at 2006年12月14日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年12月

2006年12月

厚生労働委員会議事録(障害者自立支援法)

165-衆-厚生労働委員会-8号 平成18年12月06日

○山井委員 これから三十分間、自立支援法の見直しについて議論をさせていただきます。
 まず冒頭ですが、きょうの午前中は、本当に参考人の方々から非常に貴重な現場の声をお聞きすることができました。また、この声を真摯に受けとめて、この自立支援法の見直しに、私たち国会議員、取り組んでいかねばならないと思っております。
 そしてまた、この間、新聞報道等によりますと、自民党、公明党が千二百億円程度の補正予算を要求している、また、政府も内々そういうふうなことに合意しつつあるというようなことも聞いております。こういう障害者福祉というのは、ある意味で政党、党派というのは関係なく、みんなの願いが障害者が地域で暮らせる社会をつくっていきたいということですから、この間の自民党、公明党、そして、厚生労働大臣を先頭とする、また中村局長を先頭とする厚生労働省の障害福祉部の方々の御努力には、本当に敬意を表したいと思っております。やはり、現場で困っておられる方々は非常に多いですから、この補正予算をてこに、障害者の方々が喜べる社会にしていかねばならないと思っております。
 また、その前提としては、十月三十一日に、一万五千人以上の、史上最大の障害者関係者の方々が日比谷公会堂や国会周辺に集まられて、自立支援法、出直せということで運動をされました。やはり、その方々の現場の声、そういうものが政治を突き動かしてきたんだと思います。
 私たち民主党は、きょうの資料にもお配りしておりますように、臨時国会が始まって当初、自立支援法改正法案というものを提出しました。ここに資料もございます。一割負担、応益負担の凍結、それと施設への財政支援ということを書きまして、六つの緊急提言も書きました。先ほどから与党の方々の見直しの御議論を聞いておりますと、ある意味で、私たち民主党を初めとする野党が、この一年半、こういう問題が起こりますよということを言ってきたことや、また我が党が臨時国会冒頭に緊急提言をしたことが多く含まれております。そういう意味では、やはりこういう声を真摯に踏まえて、これからも議論をしていきたいというふうに思っております。
 そこで、限られた時間ですので、順番に申し上げたいと思います。

 まず最初、私たちの法案にも書いてございます、応益負担の凍結、一割定率負担の凍結のことについて質問をさせていただきたいと思います。
 この資料の中の三ページ目に、私の住んでおります宇治市で、ここに書いてございます十四の施設関係者の方々が市長あてに要望を出されました。私も、すべての関係者からもう何回も話を聞き、この四月以降、本当に悲鳴にも似た要望を聞いてきております。
 少しだけ読み上げますと、自立支援法の「理念や考え方とは裏腹に施設の現場では利用者負担の増大、支援費の大幅減に伴うさまざまな問題がでています。法施行に伴い利用者負担の増を理由に施設を退所する方、サービス利用を控える方が生じています。」「施設経営も現状のままで推移していけば施設の運営自体が困難になってくることが予想されます。しかし、日々の利用者支援にあたっている施設の現場においては、施設の経営がどんなに厳しくなっても、常により質の高いサービスを利用者に提供していくことが求められていることはいうまでもありません。」こういう声もございます。
 また、この資料の一番後ろと二枚目に、これも私、日々聞かされている現場の悲鳴が、地元の洛南タイムス、城南新報でも報じられております。これは、保護者の方々、施設の方々が宇治市議会に要望されたときの記事でございます。ある施設職員の方は、次のように語っておられます。「職員の安定的雇用ができず、利用者へのサービス提供に影響が出るが、サービスは落とせない。にっちもさっちも行かない。」また、次のページによりますと、ある保護者の方は、「「自立支援法が続く限り、地獄の生活を送ることになる。処置費に戻してほしい。それでも一割負担をしろ、給食費を払えというなら払う。しかし、施設だけは何とか守ってほしい」と涙ながらに懇願」されたというふうに出ております。本当にこの自立支援法で現場の方々は苦しんでおられるわけです。
 我が党の菊田議員、田名部議員からも質問がありましたが、そもそもやはり応益負担に問題があるのでないかと、午前中、藤井参考人からも話がありました。冷静に考えていただきたいんですが、好んで障害を持って生まれたわけではありません。そして、重い障害がある人ほどより多くの利用料が必要となるというのがこの応益負担の考え方です。でも、障害が重ければ重いほど働くチャンスは減って、所得を得るというチャンスも低いわけですね。その人に対してより多くの自己負担を求める。やはり、これは本当に、この理念、正しいでしょうか。
 それともう一つ。午前中も藤井参考人がおっしゃっておりました。この法律は、やはり越えてはならない一線を越えたのではないか。つまり、私も多くの障害者から聞かされたのは、なぜトイレに行くのに、なぜおしっこをするのにお金がかかるんだ。一般の人だったらお金がかからないわけですね。それによって、先ほどの尾上参考人のDPIの方々のアンケートでは、四割の人がサービスを減らしておられる。どんなサービスを自立支援法の自己負担増によって減らしたかというと、トイレを我慢している、外出を我慢している、入浴の回数を減らした、こういうことになっているわけです。
 そこで、お伺いをしたいと思います。この利用料以外に食費や交通費も別途あるわけで、やはりこの応益負担、定率一割負担は凍結して、応能負担に戻すべきではないでしょうか。あるいは、もっと大胆に軽減をすべきではないでしょうか。大臣、いかがですか。

○柳澤国務大臣 障害者自立支援法につきましては、たびたび申し上げておりますように、これが当初の措置費から支援費に変わり、支援費をぜひもっと安定的な財源で裏打ちしてもらいたい、かたがた、障害者の支援については地域的な偏りもあるので、それを全市町村の障害福祉計画のもとでみんなが均てんできるような、利用者が非常に拡大できるような、そういう制度にしたい、こういうようなことでつくられたものでございます。
 そうした中で、これを一部、九割は財政で背負うわけですけれども、残りの一割について負担をしていただきたいということを制度として導入させていただいたわけですが、しかし、よく考えてみると、やはりそこには所得による一定の限度もあるじゃないかということで、これについては上限を設ける。さらには、いろいろな形で減免措置も講ずることによって、きめ細かに支払いの能力に対応できるような、そういう制度にしようということで一歩一歩進めてまいりました。そうしたことによって、この制度が円滑に運用され、定着し、そういうようなことで障害者のできるだけ多くの方というか、ほとんど全部の方がこの制度のもとで地域の普通の生活ができる、そういう方向に持ってまいりたいということでつくり出した制度でございます。
 したがって、私どもとしては、基本の制度の趣旨は守りながら、それに沿う形で、現実の移行期にありますこの困難さというものに対して必要な施策を講じて、先ほど申したように定着を図っていきたい、このような考え方をとっているわけでございます。

○山井委員 今私が聞いた肝心の、重い障害のある人ほどなぜ重いお金を払わねばならないのかということに対する御答弁はございませんでした。このことは大きな問題提起として受けとめていただければと思います。
 次に、日割り制の問題です。
 自己負担の問題とともに、要は人数割りから日割り制になったということで、本当に施設経営は非常に厳しくなっております。九割ぐらい保障するという声も政府から出ておりますけれども、私も現場を回っておりますが、逆に言えば、一割マイナスというのはやはり非常に厳しいわけなんですね。ですから、やはり日割り制をなくすなり、あるいは九五%か一〇〇%、ある程度保障する。そうしないと、きょうもるる議論があったように、職員の方のボーナスが減った、あるいはリストラされた、正規職員が非正規職員になった、それではいいサービスができないわけであります。
 その点について、大臣、いかがでしょうか。
    〔吉野委員長代理退席、委員長着席〕

○柳澤国務大臣 障害者自立支援法におきます事業者への報酬の支払いは、日払い方式になったわけでございます。これは、利用者にとりましては複数のサービスを組み合わせて利用することができるということ、それからまた事業者にとっては、利用者から選ばれる存在になることによってサービスの向上に努めることが促されるというようなことから、こうした制度を導入させていただきました。
 現に私が訪ねました施設におきましても、この制度になってから、どこか別のところの通所の施設がいいかもしれないといって自転車でそちらの方に出向いてしまった人がいるんですよと、施設の長が苦笑いしながら話をしておりました。現にそういう反応がもう起こっているということも、現実の一端でしょうけれどもあるわけでございまして、そういたしますと、今私が申し上げましたように、やはり事業者も本当に利用者の方に目を向けて、利用者の方々に魅力のある、そういう施設にしなければいけない、こういうようなことも促されざるを得ない、そういうことにもなろうかと思いまして、この日割り方式ということには非常に意味が、我々のねらいとしては込められているということをぜひ御理解賜りたいと思います。
 しかし、さはさりながら、実際に移行期で、まだそれほどのいろいろな心構え、準備ができないうちにそういうことが現実のものになるということには戸惑いもあるだろうということで、私どもは従前の報酬の八割を保障しますということを申し上げたのでございますけれども、今回、与党の方々からは、別途これをもうちょっと引き上げるようにという御提案がありましたので、私どもとしては真剣に検討して、改善が図れるものなら図りたい、このように考えているというところでございます。

○山井委員 これに関連して、利用抑制が非常に深刻な問題となっているんですね。結局、本当はきょうは体調が悪いから休みたい、でも施設の報酬が減るから休めない、あるいは、風邪を引いて休むときは、本当にごめんなさいと施設に謝って休まないとだめだ、あるいは、よく休む重度の方がなかなか施設に通いにくくなる、そういう深刻な問題も起こっているわけです。
 この利用抑制について等、きっちりと厚生労働省がフォーマットをつくって、全国の自治体に利用抑制の調査などをすべきだ、経営実態や雇用の問題、そして滞納の問題等をすべきだということを今までからお願いしておりましたが、この件について答弁をお願いいたします。いつ調査結果が出ますか。

○柳澤国務大臣 たびたび山井委員を中心とした方々からそういう強い要請がございまして、私どもも、実態を把握することは何よりも必要である、こういうようなことから、現在、調査を行っております。
 共通のフォーマットで、そうした利用抑制というようなことを中心として今尋ねているわけでございますけれども、やはりこれはかなりきめ細かな調査が必要になってくるというようなことから、やや時間がかかっているわけでございます。できるだけ早くこの調査結果を皆さんにお示しするように、今、努めているところでございます。

○山井委員 要望ですが、年内には出していただきたいというふうに思っております。
 それでは次に、引き続きまして療育、きょうの午前中も池添参考人からございました療育のことについてお聞きしたいと思います。
 私の家の近所にも、宇治福祉園、かおり之園、双葉園などの、障害児の療育をやっている施設がありまして、この二週間、私もずっと回ってまいりました。しかし、そこで出会ったのは、二歳、三歳の障害のあるお子さんを抱いたお母さん方が、この自立支援法は何とかしてほしい、そういう本当に切なる願いを聞かされました。先日もTBSの番組でも、鎌倉市の療育施設でお母さん方の悲鳴、それも報道されておりました。この鎌倉市の例でも、平均的に四、五倍、自己負担が上がったというわけであります。
 そこでお伺いをしたいと思いますが、やはり午前中お越しになっていた参考人の方々もおっしゃっておりましたが、若い世代はただでさえ収入も少ない、そして、障害のあるお子さんがおられたらパートにも行きづらい、そしてまた、ただでさえ障害のあるお子さんを育てて苦労されているところをさらに応益負担で一割定率負担というのは余りにも酷ではないか、やはりこれは応能負担に戻すべきではないかというふうに思います。大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 障害児を持たれた親御さんというのは本当に御苦労が多いということも、私も近回りにそういう方がいらっしゃいますので、よく承知をしております。
 そういうことで、山井委員からはせめてこの部分だけでも、応益制というのは私どもこれを申し上げておりません、むしろ定率負担ということで理解をお願いしたいわけですけれども、それを撤回すべきではないかということでございますが、私どもは私どもなりの配慮をさせていただいておるということもひとつ御理解いただきたいわけでございまして、就学前の障害児の方につきましては、一般の子育て世帯との均衡を図るということで、保育所の保育料程度の負担水準になるように負担を軽減させていただいた。それから、入所施設につきましても、課税世帯のうち、より所得の低い世帯という区分を設けさせていただいて、これに対して負担の軽減を行ったところでございます。
 しかし、この点についても、今回、与党の方で経過的な措置ということで申し入れがなされましたので、これについて私ども真剣に検討させていただきまして、現行制度の運用がより法の趣旨にのっとったものになりますように必要な対応を検討していきたい、このように考えております。

○山井委員 ぜひ大幅な軽減をお願いしたいと思います。
 続きまして、まさに今、保育所でも利用料を取っているんだからという議論がありましたが、保育所は日割り制になっていますか。療育施設で本当に困っているのは、職員の人はいるわけですね、ところが今、インフルエンザがはやっていますよ、お子さんが来なくなったら、その分、収入が入ってこないわけですよ、でも職員の方はいるわけですね。そうしたら、何回も休みがちな子供というのは、ある意味で不採算なお子さんといってはじき出されかねないという問題もあるわけですし、二歳や三歳の子供が急に体調が悪化して休むのは、もうこれは仕方ないじゃないですか。でも、休むときに、先生、休んでごめんなさいと言って休んでいる。やはりこういうのはどう考えてもおかしい。
 繰り返し言いますが、保育園に行って、幼稚園に行って、子供が病気で休んだらそこの収入を減らす、そんな制度がありますか。これはやはり障害児いじめじゃないですか、こういう制度は。職員の方も、これだけ発達障害児などのニーズがふえ、急拡大している、待機児童もふえている、にもかかわらず、経営は日割り計算でますます苦しくなって施設がつぶれかかるのはどう考えてもおかしいということをおっしゃっております。
 この施設への財政支援なり、日割り制を見直すということについて、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 保育所が日割りであるということは、私、聞いておりません。そういうことはないというふうに認識をいたしております。
 このたびの施設の事業者につきまして、日割りになったことによって、特に通所のケースが多いと思いますので、通所の場合にはなかなか減免のところの適用者が少なくなっているというような調査のデータもございますので、それらに配慮して、今回、従来の報酬の八割を保障するということについてさらなる上乗せの提案がございましたので、これについて検討をして対処をしていきたい、このように考えております。

○山井委員 もう一つ、現場に行って深刻な相談を受けました。それは、こういう通所をする療育施設においても、障害の申請をしないとサービスを利用できないんですね。ところが、やはり二歳、三歳という親も障害をなかなか受け入れられないときに障害の申請書を出すというのは、なかなかこれはハードルが高いんです。
 今、発達障害のお子さんも含めたら六、七%、多い人は一〇%、二〇%とさえおっしゃっているんですね。より多くの人が利用しやすく、間口を広くする、それはやはりこういうところを早いうちから利用した方がその後の発達保障にも役立っていくということは明らかであると思います。
 その意味では、具体的な提案になりますが、こういう申請書の中から障害という言葉を除く。例えば、将来の発達の開きが予想されるとか、将来の発達のばらつきが予想されるとか、何らかの表現に変えたり、また障害福祉サービス受給証というのも、児童デイサービス利用証でいいと思うんですよ。やはりできるだけ利用しやすいように改善していただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 これは非常に、山井委員の現実に即してよく事実をごらんになった立場からの御質問だと思って、受けとめました。
 私の友人で、知的障害を持っているかなり重症の障害児をお持ちの方がいらっしゃるわけですが、彼が言うには、こう言うんですね。ずうっと何にも言葉を発しない、しかし、ある日突然、本当に父親たる自分の言葉に反応することを常に夢見ているということを聞いたことがあります。
 そういうようなことで、こういう障害をお持ちのお子さんを持っている御両親も、やはり現実に、障害というものをこういう形で現実ではあっても突きつけられるということに、恐らくきつい思いをされるということは十分あり得ると思います。この点は、委員の御発言の趣旨がどうやったら生かされるかということで、今後、工夫、検討してまいりたい、このように思います。

○山井委員 ぜひとも前向きに検討していただきたいと思います。
 それで、少し非常に残念な新聞記事を読み上げさせていただきたいと思います。昨日の中日新聞の朝刊であります。
 滋賀県甲良町の駐車場で、四日夜、とめてあった乗用車から三人の死体が見つかった。父親四十三歳と、いずれも養護学校に通う長女十四歳と二女十歳。死因は一酸化炭素中毒で、無理心中と見られる。母親は三年前に他界し、父親は在宅支援サービスを活用しながら一人でまな娘を懸命に育てていた。その生活を一転させたのは、四月からの障害者自立支援法。過重な負担が父の背中にのしかかった。
 生活が苦しい、娘の将来が不安、車内に残された遺書には絶望の言葉がつづられ、自宅からは消費者金融の督促状が見つかった。娘二人は二〇〇三年四月から養護学校に通学していた。十一月、母親が病死。子供は自宅から通っていたが、平日は養護学校の寄宿舎などで過ごすこととなった。
 四月に施行された障害者自立支援法がじわりと父親を追い込む。ヘルパー利用は、本人負担がこれまでの月千円程度から月六千円にふえ、受けた短期入所費も、千円程度だったのが二万円に膨れ上がった。出費がかさむと職員にこぼしていた。
 父親は、五年前から勤めている製造業の工場で、平日の朝九時から夕方五時まで、月給は月に二十数万円ほど。まじめで無口。同僚に家族のことを話すことはなかった。
 父親は、仕事帰りに、十一月三十日、役場の福祉課を訪れたが、そのとき、十二月一日のサービスをキャンセルした。週末明けの月曜日。三人の遺体は車の中で折り重なって見つかった。
 この一家の御冥福をお祈り申し上げたいと思います。
 おとついです。もちろん、こういう真相ということはなかなかわからないかもしれません。しかし、審議の際にも、ただでさえ御苦労をされている障害者の御家族に負担を与えるのではないかと大きな問題になりました。また、この三月にも、去年より五倍もの障害者を巻き込んだ心中事件が起こって、このままいけばこういう犠牲者がふえるんじゃないかということが委員会でも指摘をされていました。きょうの朝の藤井参考人も、障害者の家庭というのは鉛をおぶって歩くようなものであるという話がありまして、そして、今回の自立支援法は、その鉛をおぶってさらに坂道を歩けというような法律だということをおっしゃっていました。
 大臣、この滋賀県は全国でもトップレベルの先進地です。そして、今回政府がやろうとしている九割保障とか軽減を先取りしてやっているところなんです。それだけのことをやってもこのような悲劇が起こってしまっているわけであります。その意味では、私は、今回の軽減策なり見直しは急いだ方がいい、それも大幅にやらないと大変なことになる、そういうふうに思います。
 大臣、このような痛ましい犠牲者をもうふやさないという御決意を語っていただきたいと思います。

○柳澤国務大臣 いずれにしても、私も、もしそういうことが事実であれば、本当にお気の毒だというふうに申さざるを得ないと思います。
 私ども、そうした悲劇が起こらないように、本当にきめ細かく、負担能力をよく見て負担のレベルを決めていこうということで今いろいろと努力をいたしておるところでございますので、ぜひそういったもので、正確な情報と申しますか、相談なぞもぜひしていただいて、そして、そうした悲しい結果につながるようなことのないようにしていただきたい、こういうように思います。
 私どもとしては、今申し上げましたとおり、いろいろな方面からの御意見、さらには我々の調査のデータを踏まえて改善をしてまいりたい、こういうように思っております。ただ、国の制度であるだけに、すぐあしたからとか、ただいまからというわけにはまいりませんので、よく利用者の皆さんも新しい改善策等についても正しい御理解をいただいて、そういうようなことについて余り悲しいことを引き起こさないようにぜひお願いをいたしたい、このように申し上げます。

○山井委員 お母さんからのお便りを一つ読ませていただきたいと思います。きょう、午前中、参考人に来られた方からいただきました。
 息子が二才すぎた頃から、他の子と違うと感じ初め、二才半の時に小児科へ行き、いきなり五分程で”この子は自閉症です。”と言われました。二~三枚の説明書きを渡され、”障害”という事はまったく考えもしない現実と受けとめれない私達がいました。先生に療育をする事でこの子達の未来も自分で出来る事も増え、いろんな経験を通して成長します。との言葉に私達は自分の子供でありながらこれからどうかかわってあげればいいのか全くわからず、障害児の療育施設へ通う事にしました。それまで半年の期間がありましたが、家で子供と二人きりでいると精神的にも肉体的にもつかれ、この子と一緒に死んだ方がこの子のためかなとパニックをおこすたびに考えました。でも同じ子供をもつ親との交流や親身に息子にかかわってくれる先生や苦手な事に経験をかさねていくことで克服していく息子の成長を見れた時に、どんな子供も成長する力があり、親も子供とのかかわり方を日々勉強できました。
 私のまわりの人でもこの自立支援法が施行されてから、毎日お金の問題で療育に行けない人もいます。子供をのばしてあげれる場を、お金のために奪わないで下さい。長い人生生きていくため、親がいなくなった後も少しでも自分でできる事をふやし一番脳が発達するこの大切な時期を見守っていただけるのなら、この法案をもう一度考えてほしいと思います。どうぞ宜しくお願い致します。
という療育施設に通っておられるお母さんでした。
 最後に申し上げますが、やはり、党派を超えて、そして厚生労働省の方とも一緒になって、何としても、障害者が暮らしやすい、そして、やはり日本に暮らしてよかったと障害者の方が思えるような形にしていかねばならない。その意味では、私は、今回の補正予算、またきょうの参考人質疑は、これで終わりではなくて、ここからスタートで、どうやってこの困っておられる方々を支えていくかということの大きな議論をこの厚生労働委員会でせねばならないと思います。この法律一つが障害児の人生、障害者の命を左右しているということの重さを私たちは感じねばなりません。
 最後に、大臣にお答えいただきたいんですが、そういう趣旨も踏まえて、ぜひともこの補正予算の中でも、こういう療育児の、障害のあるお子さん方の支援というものにも大幅にやはり支援をしていっていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 ただいま山井委員がおっしゃられたとおり、障害児の皆さん方は、施設を利用することによって少しでも発達、それからいい方向への状況の改善ということの希望がふえるんだろう、こういうように思います。ですから、施設をできるだけ円滑に利用していただけるように、所得の状況に応じて御負担いただけるような、そういうことを目指して改善をしていきたい、このように考えております。

○山井委員 ありがとうございました。

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2006年12月

2006年12月

厚生労働委員会議事録(肝炎対策)

165-衆-厚生労働委員会-7号 平成18年12月01日
◎肝炎治療への支援

○山井委員 今、柚木議員から肝炎対策についての質問がありましたが、それにつなげまして、私も質問させていただきたいと思います。
 十一月八日に、一時間弱、柳澤大臣に質問をさせていただきまして、半歩でも一歩でも前進できるように努力をしたいという答弁をいただきました。また先日は、参議院の厚生労働委員会におきまして、島田智哉子議員が、治療費に対する助成を初めとする肝炎対策を一日も早くやってほしい、そういう心のこもった訴えをされまして、それに対して武見副大臣も、重く受けとめますという非常に心のこもった御答弁をいただきました。
 本日も傍聴席に患者の方々がお越しになっておられます。最初に申し上げたいんですが、傍聴席に患者の方々も来られていますが、これはまさに、全国三百九十万人と言われる、キャリアの方も含めて、そういう感染者の方々の代表として、一日も早く総合的な対策、特に医療費の助成などをやってほしいという切なる思いを、まだ発症されていない方、そして発症された方も、持っておられます。その方々の切なる思いを込めて傍聴に来てくださっているんだと理解をしております。
 それでは質問をさせていただきます。
 まず最初に、こういう肝炎対策というのは、政党単位で進めるとか、議員単位で進めるというのではなくて、まさに党派を超えて超党派で、また厚生労働省も、厚生大臣、厚生副大臣にもお力をおかりして、みんなでやっていかねばならないと思っております。
 そういう意味で、きょうも何人かの与党の議員から、なかなかこういう訴訟が絡んでいることは与党の立場では質問しにくい面もあるから、山井君、頑張れというような、そんな言葉もいただいて、質問をさせていただいているわけであります。
 ぜひとも、何党がどうとかそういう次元ではなくて、全国会議員にも課せられている宿題として、今日まで先送りになってきた宿題として、この問題、取り組んでいかねばならないと思います。
 幸いにも、大臣のみならず、きょうは武見副大臣も、また、この問題に元厚生労働大臣として非常に尽力くださった坂口先生も来てくださっておりますわけで、私はそういう意味では諸先輩方から比べるとまだまだ勉強不足かもしれませんが、質問をさせていただきます。
 まず最初にお伺いしたいと思います。
 先日の質問の中で、福田衣里子さん、現在二十六歳で、クリスマシン、この血液製剤を、お母さんが出産されて止血のために使った、これによってC型肝炎に感染してしまった、その福田衣里子さんのお話をさせていただきました。きょうも傍聴にお越しいただいております。その際に、失礼ながら、大変お忙しい大臣に本をプレゼントさせていただいたんですが、最初、少しだけお伺いしたいのは、この本、お忙しいと思いますので、きっちり読んでいただく時間はなかったかもしれませんが、読んでいただいて、その御感想をお聞かせ願えればと思います。
    〔吉野委員長代理退席、伊藤(信)委員長代理着席〕

○柳澤国務大臣 率直に言って、今山井議員がおっしゃられたように、私、全部を熱心に読むというだけの時間はありませんでしたけれども、文字どおり目を通させていただきました。大変恵まれた御家庭に育ち、また青春期、思春期に恵まれた学生生活を送られた方だったな、それだけに肝炎の診断というものが大変大きな落差を生んで、非常にショックを受けられたという様子が非常によくわかって、心の痛む思いで読ませていただきました。

○山井委員 この肝炎の大変さというのは、本当に患者さんにしかわからない大変さであります。そういうものを私たち議員もかみしめながら取り組んでいかねばならないと思っております。
 それでは、引き続きまして、最高裁で国が敗訴をしましたB型肝炎訴訟について質問したいと思います。
 御存じのように、前回もお見せしましたが、これは集団予防接種で感染をした、それ以外には考えられないということで国が敗訴をしたわけであります。これですね、集団予防接種、皆さんも覚えておられると思いますが、これの注射針の使い回し、これもそうであります。そして、最近では筒も針も一人ずつかえるということになっているわけですね。このことによって感染したわけです。
 それで、このことに関して前回私が質問をしましたのは、五人が今回原告であった、でも、集団予防接種というのは恐らくみんな受けていると思いますので、五人だけではなくて、五人以外の方もこれによって肝炎に感染した可能性はあるのではないかということを質問しましたら、柳澤大臣は、その可能性は排除できないという答弁をされました。
 もう一つ突っ込んでお聞きしたいと思いますが、ということは、この五人以外にももしかしたら国の過失があった、それで集団予防接種で感染したという方が五人以外にいらっしゃる可能性についても排除できないということでよろしいですか。

○柳澤国務大臣 これは、裁判というのは、もう山井委員もよく御案内のように、法と証拠に基づいて行われるわけです。だから、推測、想定はできても、やはり、その証拠、そういうようなことでこういう過失が認定されるというようなことが必要になるということだろうと思います。

○山井委員 私が聞いているのは、その五人以外にも国の過失があったケースが三百九十万人の中にある可能性というのは排除できないのではないですかということを聞いているんですが、そのことについて。

○柳澤国務大臣 そのとおりです。

○山井委員 今の御答弁、非常に重要だと思うんですね。といいますのは、裁判をされている原告の方々は、自分が賠償金を欲しいという思いでやっておられるのではないんですね。たまたまカルテが残っていたとか、例えばきょうお見えになっている森上悦子さんは、十年以上、フィブリノゲンのカルテを探し続けられたんですよ。そういう、ラッキーにも母子手帳やいろいろなものが残っていた方が訴訟をされているわけであって、五人だけが国の過失があったのではなくて、可能性としたらそれ以上だったかもしれないということは何人も否定できないと思います。
 ここの二ページ目、三ページ目、新聞記事に、きょうもお越しいただいておりますB型肝炎訴訟の原告のお一人の木村伸一さんの記事が出ております。「闘い十七年「感無量」」と。ここに書いてあります。わずか五人に対する判決だが、患者全員の救済に道を開く画期的なもの、判決が終わりではなく、国に救済策を実行させるのが最終目的、これで大人になるまで感染を知らなかった多くの人が救われるというふうに喜んでおられると。このコメントでわかりますように、御自分が賠償金をもらってうれしい、そういう次元じゃないんですね。多くの人が多分集団予防接種で感染されている、その方々の対策が進むためにということで闘ってこられたわけです。
 そこで、大臣に改めてお伺いしたいと思います。
 こういう肝炎患者の方に面会をお願いすると、訴訟中だからということでお断りをされるケースが多かったわけですが、木村伸一さんの場合は六月十六日に一応こういう最高裁の判決が出たわけでありまして、大臣に一度お目にかかっていただいて、肝炎の対策について要望を言わせていただきたい、あるいは要望を聞いていただいたらいいのではないか、もう裁判も終わったわけですから、と思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 今、ちょっと私、同じようなケースの訴訟が行われているというようなことを含めて、法廷の場で、一応争いという形式を、争訟という形をとるわけですが、そういうようなことをやっている当事者同士が法廷外でお会いをするということには、とかくいろいろな問題も起きがちなので、そういうようなことで私はそれは避けるべきだというふうに思っております。
 個人としては、木村さんの場合にはもう訴訟が済んだのでいいじゃないかという先生の御主張もわからないわけではないですが、私、ちょっと今チェックをしていませんけれども、同じようなことが争点になっていることがまた同時に進行しているとすると、また同じような判断というものがなされ得る、そういう可能性は否定できないと思います。
 いずれにしましても、お考えをお聞きするということは、役所という組織がありますので、担当者を初めそれぞれの部署の人間にまたお目にかかって、そういうことを通じてお気持ちをお伝えいただく、あるいは状況をお伝えいただくということで、私はその事態の掌握、把握について消極的ではありませんので、そういうことも同時にお考えいただいたらいかがかと思います。

○山井委員 全く納得はできません。今まで訴訟だからといって会わないでおいて、訴訟が終わってもまたほかの理由をつけて会わない。やはり私は、一つのけじめとして会っていただいて、本当にこういう切実な声を聞いていただくべきだと思います。
 この問題はこれ以上は言いませんが、改めて要望をしておきます。
 そして、先ほどの答弁があったように、国の過失があったのは五人にとどまらないかもしれないという大臣の答弁もあったわけですから、五人の救済だけではなくて、この最高裁判決を機に、B型、C型、全面的な肝炎対策というものに力を入れていただきたいというふうに思います。
 それで、その次に、きょうお越しいただいております森上さん親子のお話に移らせていただきます。
 先ほど、柚木議員からお話がございました。森上さん親子につきましては、こちらの私の記事に、毎日新聞の記事に出ております。昨年の六月、生体肝移植をされたということであります。それで、これに関しては、もう十五年前に発症して、フィブリノゲンによって感染をした。ここにございますこのフィブリノゲンが、アメリカの囚人の方々とかそういう売血によってつくられて、この中にC型肝炎ウイルスが混入していた。大臣、これですね、このフィブリノゲンであります。これによって感染して、十五年もかかって、病院と交渉して原因を突きとめたというわけであります。しかし、十五年の間に、肝硬変になり、肝炎になり、肝がんになられました。そして、お医者さんからは、もう肝移植しかないということになりました。
 きょうも、マスクをされているのがお母さんでありまして、お隣にドナーとなられた実さんがお越しになっておりますが、お母さんはそこまでして生きたくないとおっしゃったわけですが、息子さんが、孫の顔を見るまで長生きしてくれ、親孝行させてくれということで、必死に説得してされたわけであります。しかし、保険がきくという話でやったら、半年後に厚生労働省から言われたのは、いや、やはりききません、全額自己負担で二千万円という話になったわけですね。それで、肉体的にも苦しみ、精神的にも苦しみ、そして、そのことになってから、お母さんは何で殺してくれへんかったんと言って泣かれたというんですよ。
 それで、きょうは、本当は、C型肝炎で糖尿病を併発されて、目の手術の日だったそうであります、お母さん。でも、国会でこの審議が行われるということで、手術の日をずらして大阪から来てくださいました。それで、本当だったら、ぜひ大臣に直接お目にかかって、直接話をしたいとおっしゃっておりましたが、なかなかそれはかなわないわけで、また、お手紙を書かれましたので、少しだけ読み上げさせていただきます。
 柳澤厚生労働大臣殿
 月日は流れ流れて、私の長い病院生活
 肝臓移植をしないと短命とのこと
 やさしい夫の姿、かわいい子供の姿がちらつき、こえが耳にこびりついて……
 目の前はまっ暗やみに……
 家族にめいわくばかりかけてどうしたらよいのかと夜も眠れずこのまま天国にと……
 流れる涙はとめどなく……
 母さんしんぱいしないで、実の肝臓を使って長生してくださいと、私は実の気持だけでありがとう、あとは言葉が出なくなって只々感謝の気持で……ほんとうにありがとう……
 私は一日一日今日は元気でよかった明日はどうなる事かと毎日不安で、自分にバクダンを付けている如く、ふあんな毎日、入退院のくりかえし、手術は成功してほんとうによかったと感謝しています……
 手術も入退院のくりかえし、月六回の通院……主人もつかれが出たと思います、入院しなくてはダメなのに体にむち打ちながらの仕事……
 生活はどんどんくるしく……インターフェロンのちゅうしゃ、いつまでつづくかとしんぱいで、病院であったC型肝炎の人たちもふあんがっております、どうか、安心して治療ができるようにしてください
 大臣様よろしくお願します
                  森上悦子
 そして、ドナーとなられました、肝臓を一部提供されました実さんからも一枚手紙を預かっております。
 柳澤厚生労働大臣殿
 私はこの二十年間何不自由なく平和で幸福な生活を送ってきました。母がC型肝炎と知り家族全員で母を看病してきました。
 去年医師より「肝臓が限界で治療が出来ない。助かるのは移植しかない」と聞かされました。その時に自分がドナーになろうと思いました。正直不安でしたが家族に心配させない為に黙ってました。移植は何とか無事に終わり母も私も生きる事が出来ています。しかし肉体的には一難去りましたが、移植手術代の保険適用は出来ないと言われ精神的にショックでした。母より「なんで殺してくれへんかったんや」と聞かされた時はドナーとして又子として物凄くショックでした。今後同じ様な人が出ないように早急にC型肝炎患者に対するインターフェロン治療の経済的軽減、C型肝炎患者の肝臓移植の保険適用の見直しをして下さい。
 どうぞ宜しくお願い申し上げます。
                   森上実
こういうお便りでございます。
 私からつけ加えさせていただきたいのは、やはり早いうちにもっと医療が受けやすい体制というのができていたら、この生体肝移植までいかなかったかもしれないんですよ。二千万円というのはただならぬ額であって、本人にとっても、また保険適用するとすると、ある意味では社会にとっても大変な高額でありまして、後ほども触れますが、やはり早いうちにできるだけ治療を受けやすい体制をつくっていくことが重要だと思います。
 このような現状に対しまして、柳澤大臣、こういう、結果的には悪化して生体肝移植しかもう道が残されていない、こういう方が、これからこのまま国が十分な肝炎対策を講じなかったら、どんどんどんどんふえていこうとしているわけなんですよ。今のお便りも含めまして、柳澤大臣の御感想をお聞かせ願えればと思います。

○柳澤国務大臣 森上さん、お母様は大変お気の毒な目にお遭いになられたということで、心から御同情申し上げますと同時に、息子さんとの間でそういう手術を受けられて、とにかくその後もこうしたところにまでお出ましいただくまでに御回復になっていらっしゃるということについては、これはもう本当にお母さんとお子さんとの心のきずなというものの強さを私も感銘を持ってお聞きしましたし、また心からの敬意を表したい、このように思う次第です。

○山井委員 私は、ある意味で、この実さんというのは本当に日本一親孝行な息子さんだと思います。まさにこういう方を応援するのが行政なのに、保険適用できるという話で二千万円の手術を受けた。半年たって、先ほどの柚木議員の質問にあったように、基準にも書いてないことで、やはりできませんよと。実さんの奥さんも、それは余りにもひどいん違うのと。だれが聞いても、これはひど過ぎると思いますよね、この話は。ぜひこういうことがないように善処をお願いしたいと思います。
 そこで私は、時間にも限りがありますので、きょう具体的な提案を一つしたいと思っております。それは、お配りしたA3一枚の紙であります。
 最近、年々インターフェロン治療が進化をしてまいりました。ここにも持ってまいりましたが、インターフェロンとリバビリンの併用療法によりまして五〇%から七〇%、それも半年から一年で、早期にやればウイルスを排除できる、また完全に排除できなくても、がんの進行をおくらせたり、そういう効果があるということがわかっているわけであります。表紙のページにあります資料にも、これは、この権威の飯野四郎先生の「最強のC型肝炎治療法」という本から抜粋したものでありますけれども、ここにもありますように、全体としては今まで三〇%ぐらいしか完治しなかったものが、もう七〇%に上がっているというんですね。
 しかし、前回の質疑でもわかりましたように、現在はまだ年約五万人ぐらいしかこのインターフェロン治療をしていないという答弁を厚生労働省からいただきました。副作用が多いとか、仕事を休まないとだめだ、そうしたら生活が成り立たないとか、さまざまな理由があります。あるいは、もうお年になり過ぎた、そういう理由もあるでしょう。しかし、やはり最も大きな理由の一つが経済的な苦しさなんですね。
 そこで、前回の答弁で、年間二百億円、自己負担があるとお聞きしましたが、それに比べて、今回私が提案しますのは、それを法改正ではなく、政省令を、施行令を変えて、上限一万円の特定疾病に指定することは大臣の判断でできるのではないかということであります。
 ここにもありますが、三百九十万人もおられるわけですね。そして、ほかの病気との公平性の議論をされますが、実際、B型肝炎の、最高裁で負け、大阪地裁で負け、福岡地裁でも敗訴になって、やはりここで国の過失があるケースもかなりあるんじゃないかということが今言われているわけです。資料に書きましたように、やはりここは政治の出番ではないか、司法のみに任せてはおけない、だからこそ訴訟とは別に政治が対応していく必要があるのではないか。
 本当でしたら、因果関係と言い出したら、全員が訴訟しないとだめなことになってしまうんですが、そんなことは事実上不可能なんですね。感染者は高齢化し、そして全員が司法判断を待つことなんてできない。救済前に悪化したり、インターフェロン治療の時期を逸したり、死に至ることすらあるわけなんです。国の過失は断定できないとしても、国を信じて予防接種をやったり血液製剤を利用したり輸血をしたりした人々が、感染症の方々の中に相当数存在する可能性自体は否定できないと思うんですね。
 大臣、これで私は計算をしてみたんですが、現時点では、五万人のインターフェロン治療の方の自己負担、二百億円です。これを特定疾病にして上限一万円にすれば、一万円で十二カ月で一人当たり十二万円、それが五万人ですから六十億円。つまり、今よりも百四十億円、保険財政が苦しくなるわけです。
 しかし、資料にもありますように、この分野の最高権威でありまして、厚生省のC型肝炎、B型肝炎の研究班の班長であります熊田先生の推計によると、前回の質問でも申し上げましたように、全く何にもしなかったら八兆円、百万人の方々に対して医療費がかかる。しかし、早期にインターフェロン治療をすれば五兆円で済むんだということが言われている。つまり、これを保険適用しても、中長期的には逆に保険財政にとってはプラスになる、そういう推測さえあるわけなんです。
 そして、これはまさに、法改正ではなく、お配りした資料の八ページにその手順は書いてございます、法改正を行わずに肝炎治療の医療費自己負担を軽減する方策と。これは大臣が判断をすればできるわけです。行政の積み上げではできないことですけれども、ぜひとも大臣告示によって施行令に、ここに書きましたようにインターフェロン治療が入るように書きかえて、特定疾病に指定して上限一万円、私はこれでも十分な対応であるとは全く思いませんが、やはり医療費助成の第一歩としてこういうことをやる時期にもはや来ているのではないでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 いろいろ山井議員の勉強を踏まえた、具体的な制度にまで踏み込んだ御質疑に対して心から敬意を表しますが、今お触れになられた、特定疾病というんですか、我々の方で言う高額療養費制度における長期高額疾病の特例というものは、実は疾患の要件がありまして、一つは費用が著しく高額な治療ということ、それからまた、かつ、その治療を著しく長期間、ほぼ一生涯にわたり継続しなければならないということがこれまでの仕切りの要件になっております。例えば、血友病であるとか、あるいはHIVであるとか、あるいは人工透析であるとかというようなものでございまして、非常に対象範囲は限定的なものになっているということでございます。
 こういうものとの比較の中で、やはりちょっと難しいなというのが、先般もお答えした、私が山井議員のまさに声涙下る御質疑に対して、今、現状できるというふうには思わないがというくだりは、そういうことを踏まえて申し上げたつもりでございました。

○山井委員 柳澤大臣、だからこそ、ここに書いてありますように、六項のところを改正して、施行令を変えて、その疾病の発病に国の過失の有無にかかわらず輸血などの公的医療保険を用いた治療もしくは国の責任で行われた予防接種が関与している可能性が否定できないと厚生労働大臣が認定したものというふうに、ここを、この三、四行を書きかえればそれでいいことなんですよ。これはだれも本当に痛まない話なんですね。保険財政にとっても、中長期的にもマイナスにならない。
 大臣、改めてお伺いしますが、ここを書きかえることは大臣の権限でできるんですよ、これは。そうすれば多くの方が救われるんです。何とか検討願えませんでしょうか。

○柳澤国務大臣 もちろん、検討と申しますか勉強はさせていただいているわけですけれども、これは政令でございまして、私の一存だけで、今、山井委員がそういう考え方の前提のようにお聞きしましたけれども、そういうことにはなっておりません。

○山井委員 最後に一つ、もう時間が来ましたので、武見副大臣にお伺いをしたいと思います。
 先日、島田参議院議員の質問に対しても、この医療費助成、肝炎対策について重く受けとめたいという御答弁もいただきました。
 私、きょう本当に申し上げたいのは、多くの原告の方が今裁判をされている、これはまさに自分のためではなくて代表としてやっていられるんですね。森上さんが先ほどおっしゃっていたのが、もっと早く医療費の助成があったらこんな移植までせぬでも済んだのかもしれない、それで、お母さんがもう死にたいと言ったら、お母さん、死んだらあかん、自分たちが生き証人になって、こんなに手おくれにならぬようにということを、同じ苦しみをしている人たちのためにも、生きて肝炎対策のために頑張らなあかんと言って、息子さんもおっしゃっているんですよ。
 やはり救える命を救うのが政治の責任だと思いますが、このような肝炎対策、今こそ、これは本当に党派を超えて、また厚生労働省も国会議員も力を合わせて進める時期にそろそろ来ている。来年二月、三月もう一回判決が出て、もしか敗訴して、負けたからどうしよう、そういうふうな議論というのはよくないと思うんですよ。
 武見副大臣に最後にそのことの御決意をお伺いしたいと思います。

○武見副大臣 山井委員の御指摘ということについては、これは参議院の厚生労働委員会でも島田委員から同じ趣旨の御意見もちょうだいをいたしました。
 いずれにせよ、この問題というものが、いかにそれぞれ患者の皆さん、そしてまた御家族の皆さんの人生を大きく変えてしまう、そして極めて残念なことであるかということは、政治家の一人として極めて重く受けとめて、そしてまた、現在の私の職責に基づいて、できる限りの努力はしなければならないというふうに考えております。この点についての重みというものはしっかりと受けとめておきたいと思います。

○山井委員 ありがとうございました。質問を終わります。

Posted at 2006年12月01日 固有リンク | Comments (1) | TrackBack

2006年12月