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2006年11月

外務委員会議事録(日比EPA協定、麻生大臣核発言)

165-衆-外務委員会-5号 平成18年11月08日

○山井委員 これから四十五分間、麻生大臣、そして石田副大臣に質問をさせていただきます。
 フィリピンとの看護師、介護職員の受け入れのことがメーンでありますが、また最初に麻生大臣には核武装論議について御質問をしたいと思っております。これは御存じのように、同盟国アメリカからも懸念が今出てきております。
 最初に一言お聞きしますが、麻生大臣は核保有に賛成なんですか、反対なんですか。

○麻生国務大臣 重ねて申し上げますが、私から議論をしているわけではない。そちら様の議論の答弁にお答えしているという立場だけは重ねて申し上げておきますので、理事の方、よくそこのところだけはお踏まえください。
 何回も申し上げておりますが、日本の……(山井委員「賛成か反対かを聞いているんですよ」と呼ぶ)これまでの話をよく聞いていただかないと、何回も聞かれますから。何回も答えておりますので、あなたの御要望にこたえて。もう一回聞かれるとまた大変ですので、こちらも。
 だから、私どもの歴代の内閣によって、累次にわたって明確に表明をされております。御存じかと思いますけれども、今、内閣の一員をやっているんだから。政府としては、今後ともこれを堅持していく立場に変わりはありませんとも答えておりますので、極めて明確だと存じます。

○山井委員 いや、念のため、賛成か反対か、それを一言でお答えください。

○麻生国務大臣 内閣の一員をしておりますので、今申し上げたとおりでありますので、この内閣ではこれまでの堅持していく立場には変わりはないということは、反対ということになろうかと存じます。大体、そう書いてありますから。これまでも言ってきましたから。

○山井委員 私がよくわからないのは、反対であるにもかかわらず、なぜ議論することが大事だということをずっと言い続けてこられているのかということなんですね。
 それでお聞きしますが、唯一の被爆国として日本の外務大臣の非常に重要な任務の一つが、悲惨な原爆の被害を世界で唯一体験した国の外務大臣として、核廃絶のリーダーとして先頭に立つことだと私は考えますが、麻生大臣は、核廃絶のリーダーとして先頭に立って日本の外務大臣としてお仕事をされるつもりはありますか。

○麻生国務大臣 日本の立場といたしましては、核不拡散条約体制、通称NPTのメンバーの一人でもありまして、今回も国連におきまして百六十何カ国という話をきちんとやっておりますので……(発言する者あり)毎年。でも、毎年ふえておりますから。ことしもふえております。前よりふえたということを忘れぬでください。努力をしなきゃふえませんから。アメリカも反対、日本は賛成でやっておりますから。
 そういった点をきちんと踏まえておいた上で御理解をいただけると思いますが、国際的な軍縮、核不拡散体制というものの強化のために、我々は外務省を引っ張る立場の者として、引き続きこの方面で努力をしておりますし、事実、しておるから百六十何カ国にふえたという事実も御理解いただければと存じます。

○山井委員 今の答弁を聞いていて、私、腑に落ちないのは、そういう努力をされていたら、ブッシュ大統領や次期国連事務総長の潘氏が、日本の核保有論議に憂慮とか心配とか、そういうことになりますか。結局、誤ったメッセージを発しているんじゃないですか。先日も申し上げましたように、フィンランドの議長団が日本の国会に来た、話の三分の二は日本は核武装をするんですかという話になっている。明らかに海外はそういう目で見ているじゃないですか。
 ブッシュ大統領も、極東で核武装が少なくなればなるほど世界はよくなると述べて、日本が核兵器についての立場を再考するという発言について、中国が懸念を抱いているのを知っているとブッシュ大統領は言っている。また大統領は、中国は朝鮮半島の核兵器を懸念しているし、北朝鮮から身を守るために近隣諸国が軍備拡張を検討することを深く心配している、彼らは極東での軍拡競争の結果がどうなるか理解しているともブッシュ大統領は言っているわけですね。それで、十一月六日には、次期国連事務総長に決まっている潘外交通商相は、有力政治家により核保有論議が続くことを憂慮する、国連有力加盟国である日本の未来にとっても望ましくない、地域の非核化のため日本も六者協議参加国として努力してほしいと。
 麻生大臣は先頭に立って核廃絶の努力をしていると先ほどおっしゃったけれども、周りは全然そう見てないじゃないですか。逆に核の保有論議を拡散させているのがあなたじゃないですか。麻生大臣、唯一の被爆国の外務大臣として、世界の核廃絶のトップに立つのが日本の外務大臣の仕事なんですよ。にもかかわらず、この間、麻生外務大臣の発言は、日本が核武装するのではないかという誤ったメッセージを与え続けております。このことは国益に反する。外務大臣として正反対のメッセージを発したのではないですか。
 政治は結果責任です。日本の外務大臣たるものは、唯一の被爆国の外務大臣として世界の核廃絶の先頭に立つ使命があるにもかかわらず、核武装するかのような疑念を世界にまき散らし、同盟国からも心配されている。私は、非核三原則を国是とする日本の外務大臣としてふさわしくないと思います。私は、責任をとって外務大臣をやめるべきだと思います。いかがですか。

○麻生国務大臣 まず最初に、よく議論をされる前に、私の言った発言の中で、核武装をすると言ったことは一回もありませんから。そこのところは、するかのような話とおっしゃいますけれども、私はすると言ったことは一回もありません。持たない、つくらない、持ち込まないという非核三原則というものにつきましては、この話は韓国もアメリカも両方とも、日本の非核三原則についてはブッシュ大統領も潘基文も両方とも十分に理解をしております。

○山井委員 政治は結果責任なんですよ。自分はどういうつもりで発言したという言いわけは通らないんですよ。現に諸外国が心配しているという事実を私は言っているわけです。外務大臣として余りにも言葉が軽過ぎるんですよ、こういう日本の平和国家の根幹にかかわる問題に対して。ですから、一議員として発言されたらいいじゃないですか。外務大臣としてじゃなくて一議員としてだったら、核保有の論議が大事だとか言ったらいいんですよ。そういう意味では、外務大臣として私は全くふさわしくないというふうに思っております。
 それでは、本題の質問に移らせていただきます。
 先ほど柚木議員からも、看護師、介護職員の労働条件の向上がフィリピン人を受け入れる前に先決である、セットで看護師や介護職員の資質向上、労働条件向上が不可欠である、こういう答弁を石田副大臣からもいただきました。ですから、このことについては改めて触れません。
 次の通告した質問に行きますが、これだけ多くの新人看護師が今やめているわけですね。一年目に九・三%やめておるわけです。ここに資料もございますが、お配りした資料の一ページ。なぜこれだけ多くの新人看護師がやめていると認識されていますか。

○石田副大臣 新人の看護職員の九・三%が一年以内に離職している、こういうふうに承知をいたしております。その中で、どうして一年以内に離職をするか。高い志を持って看護職につかれたと思いますけれども、やはりその原因の第一は、基礎教育終了時点の能力と看護現場で求められる能力とのギャップ、このことが一番大きい、いろいろな調査ではそういう実態が出ております。

○山井委員 まさにそのとおりであります。ですから、看護師の基礎教育の見直しということが重要でありまして、前回の質疑でも白石審議官から、それを踏まえて、ことしの三月から看護基礎教育を充実すべきだという観点から検討会が行われているということでありました。
 前回、麻生大臣に質問しましたが、きょう石田副大臣にお越しいただいたので、改めて質問をさせていただきます。
 今回受け入れるもとの国であるフィリピンの看護師の基礎教育課程は何年ですか。

○石田副大臣 四年と承知しております。

○山井委員 前回と多少重なるかもしれませんが、石田副大臣がお見えになっておりますので、大事なことですから改めて申し上げますが、今回受け入れるもとのフィリピンの方は四年みっちり看護基礎教育をやっているわけですね。実習時間も二千百四十二時間。それに対して、日本の方は千三十五時間と非常に少ないわけです。
 そこで、検討会がやっているということですが、今の三年の中でカリキュラムをいじるというのではなくて、ここはやはり日本も四年制に延長するという方向で検討すべきではないかと思っております。これについては、五月十日の質疑で川崎大臣からも、その方向で検討しなきゃならぬといって答弁をされましたし、また、公明党の坂口元厚生労働大臣も平成十五年の質疑の中でこう答弁されているんですね。まずは看護師さんのお仕事というものがどういう範囲に拡大をしていくかということが大事でございまして、一層この範囲を拡大していただいて、医療供給体制の中での中心的な役割を果たしていただくという体制をつくることが私は先決と思っておりますということを、坂口元厚生労働大臣も答弁をされています。
 これからはチーム医療の視点も必要となっておりますし、医師不足の中で、ただ単に医師をふやすだけではなく、看護師でできることはもっと看護師がやっていくべきだ、そういう議論も高まっております。
 そこで改めてお伺いしますが、やはりこの検討会の中で、看護師の基礎教育を四年制に延長する、それを目指して検討すべきだと考えますが、いかがでしょうか。

○石田副大臣 この問題につきましては、前厚生労働大臣もお答えになったと思いますけれども、現在の看護職の教育、これについてはやはりもっと充実させていかなくてはならない。これは先ほどの御質問の、新人の看護職の方が一年以内で九・三%離職される、それが、現実の受けてきた看護教育と現場に行ったときのギャップ、こういうことで悩んで、こういう方が一番多いということも先ほど御答弁させていただきました。
 これにつきましては、委員も御承知のとおり、検討会をつくって今検討させていただいているところでございますし、そういう十二分ではないという前提で今検討している。ですから、ここのところを、三年を四年に延ばすのか、それとも三年の中で濃密にやっていくのか、これはある意味では、時間経過を横軸として内容の深さを縦としますと、教育内容は縦掛ける横の面積という考え方もできますので、深く掘り下げて時間をたくさんやっていくのか、それとも四年に延ばすのか、これにつきましては今検討しておりますけれども、少なくとも、四年についてのそういう議論も排除はしておらない、こういうことでございます。

○山井委員 前回の答弁も聞いたんですけれども、四年の議論は排除はしていないというのは、正直言って、極めて何か後ろ向きな答弁なんですよね。四年制というものを目指して検討する、やはり四年制の移行というものを視野に入れて検討する、そういうことじゃないと、排除はしませんと言ったら、やる気、感じられますか、そういうので。
 これは繰り返しになりますが、九・三%もやめたら、一年間に百四十校分の養成学校の看護師さんが一年以内にやめる、何のために多くの税金を使って養成しているのかわからないわけなんですよね。
 そういう意味では、こういう、フィリピン人を受け入れる、かつ、そのフィリピン人の方が四年制なんだという紛れもない重い現実もあるわけですから、そこは、この看護教育、基礎教育の四年への延長というものを目指して、視野に入れて検討していくという方向性をぜひ出していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○石田副大臣 これは四年、五年という年数が最初にあるということではなくて、やはり、どういう内容の教育をするか、このことが私はまず一番先にあると思うんですね。
 そういう中で、現在の三年の中で、では、できるのか、どうしてもこれは、物理的な時間等を考えて、より充実した教育をするためには三年では足りない、こういう結論が出るか、今検討していただいているところでございますし、最初に年数ありきではない、このように私は思っておりますけれども、白紙から考えて一つ一つ積み上げていって、その中でどういう結論になるか、これは、山井先生、首をかしげておられますけれども、まずそこから検討するのが大事ではないか、こういうふうに思います。

○山井委員 改めて、四年制を目指して検討していただきたいという要望をしておきます。これはちなみにいつまでに方向性を出されますか。

○石田副大臣 これは年度内にというふうに考えております。

○山井委員 この看護師の離職の問題、労働条件の問題、医療は今、インフォームド・コンセントあるいは医療事故の増加、チーム医療、本当に激動の時代を迎えておりますし、看護師さんは、まさに人の命を守る、ある意味で社会の宝物でありますから、そういう意味では、ぜひ、その年度内の結論のときに、四年制に延ばしていくという方向で結論を出していただきたいと要望をいたします。
 次の質問に入ります。
 このフィリピン人千人を受け入れる施設、病院の場所は教えていただけるのか。もう非常に具体的な言い方をしますと、その受け入れる施設、病院が決まったときに、国会議員である者が連絡をして教えてほしいということを言えば、教えてもらえるんでしょうか。

○石田副大臣 照会がありました場合には、御回答をしたいと考えております。

○山井委員 前回はそこが答弁が不明確でしたので、前向きな答弁をしていただいて感謝しております。ぜひ、それは教えていただいて、やはりその方々がきっちり、何というんですか、いい労働条件で働き、より質のよいサービスができていることを確認していく、オープンな形でというふうにしていくべきだと思っております。
 次の質問に移らせていただきますが、これも前回の質問の続きであります。
 来年の通常国会では、介護福祉士法の改正が法案として審議される予定になっております。その中で、このパネルにもございますが、今回のこの条約の中で三つのパターンがありますが、一つのパターンが、養成校に二年程度行けば無試験で介護福祉士の資格を取得できるということになっております。しかし、来年の介護福祉士法の改正で、恐らくこれが無試験ではなくなるんではないか、養成校を出てからも介護福祉士の国家試験を受けることになるんではないだろうかというふうに今聞いております。
 そこでなんですが、そのように日本の介護福祉士制度が改正された際に、今のこの条約の内容はどうなるのかということであります。私の意見を申し上げますと、当然、日本人と同等の試験を受けて介護福祉士になる、この条約自体が日本人と同等の試験を通るというのが大前提であると理解しておりますから、その介護福祉士法改正が実現したら、フィリピン人も日本人と同じ試験を受けなければ介護福祉士になれないというふうに私は理解をしておりますが、石田副大臣、この件について御答弁をお願いいたします。

○石田副大臣 来年の通常国会に法案を提出するということも、これはまだ決めたわけではございませんし、現在の状況は、もう委員も御承知のとおり、本年七月に取りまとめられた検討会報告書において、介護福祉士資格の取得方法については一元化を図る、こういうふうな検討会の結論も出たわけです。
 これにつきましては、その後、現在、審議会で御審議をいただいている状況でございますので、いただいている状況の中でいろいろと先取りをした発言は私は差し控えたいというふうに思いますけれども、EPAでフィリピンとの約束をしたいろいろな問題につきましては、これは現時点を前提にする以外ないわけですので、現時点におきましては、今委員が資料でお示しをいただいた図のとおりだ、こう思っております。
 ですから、その後のことにつきましては、審議会の御結論をいただきまして、どういう形にするのか、そこはまだ出ておりませんので、現在の段階では将来の仮定の話を前提にしてお答えはしにくいということは、ぜひ御了解いただきたいと思います。

○山井委員 前回の答弁より後退していますね。それはやはりおかしいんじゃないですか。やはり日本で働いてもらう以上は、日本人と同じ介護福祉士の試験を、日本人が全員受けるのならば、養成学校を出た人が受けるのなら、フィリピン人にも受けてもらう、それが筋じゃないですか。
 今回、これ、一応、法案の審議をやっているんですから、方向性はきっちり出してもらわないと、今わからないということじゃ、そうしたら、わかってからもう一回出してくださいということになるわけですから、やはりそこは方向性は出していただきたいと思います。

○石田副大臣 先ほど申し上げましたように、法案についてはまだ何も決まっていないということは申し上げたとおりであります。
 ですから、現時点においては、介護福祉士と、それから資格の取得方法の見直しの具体的内容については、現在検討中の段階でありますから、具体的な議論については、見直しにかかわる法律案の審議のときにぜひお願いをしたいと思いますが、見直しが行われた場合、これは仮定の話でありますけれども、対応については、日本人と外国人について同様の扱いをする、こういうことを基本としながらも、日比経済連携協定との関係で問題が生じないように、これは関係省庁で緊密に協議をしていきたい、こういうことでございます。

○山井委員 それは、今の答弁には納得できないですね。今の答弁を聞いていたら、日本人と同等を原則にしながらもフィリピンに配慮する。そうしたら、日本人は全員試験を受けて通っているのに、フィリピン人だけは養成学校で試験なしで日本のこの介護現場で働ける、そういうのを認めるかのごとくの答弁は私は納得できません。そこはやはり大原則は、日本人よりも冷遇するのはよくないけれども優遇するのもこれはおかしいわけですから、原則として、厚生労働副大臣は、日本人と同等の試験を受けて日本人と同等の条件で働いてもらう、そのことはびしっと答弁してもらわないと、この条約そのものの趣旨が変わってきてしまいます。

○石田副大臣 先ほども御答弁しましたけれども、日本人と外国人について同様な扱いをすることを基本としつつと、こういうふうに申し上げております。

○山井委員 ぜひ、それでやっていただきたいと思います。
 これは深刻な問題で、私、今週日曜日、介護福祉士養成講座の授業がありまして、そこに呼ばれて一言あいさつしまして、こういう議論が行われている、もしかしたらフィリピン人だけが特例で試験がないという可能性があるかもしれませんよと言ったら、みんなひっくり返ってびっくりしていましたよ、それは。日本人でも試験を受けるのはお金もかかって大変なんですから。これは後になってやはりそういうことになってしまったということじゃ済みませんから。だから、ぜひともそこは、同じ条件でやるという鉄則は貫いていただきたいと思います。
 それでは、二年後に人数枠を見直しする、二年間は千人なわけですね。これは前回も麻生大臣に質問しましたが、今回もお答えいただきたいと思いますが、やはり千人受け入れて、その後気がついたら一万人、二万人にふえていたというのでは、これは当然困ります。
 ですから、要望でありますが、人数枠を見直す際には、きっちりその二年間の報告を国会にして、やはり国会に審議にかけて、労働条件は悪くなっていないか、労働市場に悪影響を与えていないか、サービスの質が悪くないか、そういうことをきっちりチェックしていかないと、これは日本の介護現場の労働条件に非常に大きな影響を与えますよ、野方図に万が一やってしまったら。
 ですから、最初の二年間はやってみないとわからない部分があるわけですから、その二年後のときにはぜひ国会に報告して、人数枠の拡大について審議をする、そのことを要望したいと思いますが、麻生大臣、いかがですか。

○麻生国務大臣 今、我々として、とりあえず二年間のスタートということを申し上げて、千人の枠を四百、六百で割った、その背景というのは理解しておられるんでしょうね。その前提で話をさせていただかぬと話がちょっと込み入りますので。そういった意味では、まずは円滑なスタートを切るというのが我々としては大事なところだと思っております。
 先ほどいただいた資料が正しいとするならば、少なくとも需要と供給のところは、そちらの資料では足りていない、役所の方の資料は足りるという答弁をしているので、そこに差があるという現実に立って、どうするかという話を多分しておられるんだと思いますので、私どもとしては、これはまずは円滑なスタートを切るということが大事なんだと思っております。
 まず、偏見もある程度ありますから、はっきり言って。そういった意味では、私どもはセメント会社で、フィリピン、マレーシア、シンガポール、いろいろな国からの人を預かって我々はやってきた経験がありますので、そこらあたりでも最初はやはりみんななかなか受け入れないものなんですけれども、しばらくやっていくとうまくいってきたという例を、自分なりに経験がありますので申し上げているんです。
 したがいまして、まずやらせていただきまして、去る十一月一日の答弁でも申し上げましたように、現時点では正直何ら決まっているわけではありません。それは確かにそのとおりなんで、受け入れの実績とか受け入れる施設によってもまた、いろいろ病院、御存じのように違いますから、そういった病院によって差が出てくるところだと思いますので、これはだめだというところは、厚生労働省も先ほど適切に指導すると言うておりますので、そういったところにはちゃんときちんとこういうことをするべきだと。ほかの病院と比べてこうじゃないかというような話は、きちんとした実績が二年間すると出てくると思いますので、そういった意味では、責任を持って判断をしていかねばならぬところだろうと思っております。
 いずれにしても、こういったものに対して、これは、かかる、介護される側の人の話もよく聞かないかぬところでもありますので、そこらのところの話がなしで事がどんどん進んでいくというのは断固避けねばならぬと思っております。

○山井委員 確かに、麻生大臣おっしゃるように、主人公は介護される側の高齢者ですから、その方々にも、当然言葉が不自由なわけですから、意思疎通がちゃんとできるかということもチェックしないとだめだと思いますし、ぜひ二年後には、きっちり説明責任を国会に対して果たしていただいて、やはりきっちり審議をするという形でやっていただきたいと思っております。
 きょうの資料にも入っておりますが、この五枚目、「介護福祉士養成 学生募集やめた 専門学校相次ぐ定員割れ…」「若い人は定着せず、募集をしても一人も来ない。景気が良くなると、きつくて大変な介護職ではなく、別の仕事に流れてしまう」というコメントも載っております。
 また、次の六ページを見ておりますと、東京や愛知、香川などでは有効求人倍率も二を上回っております。
 それで、さらっと介護職員の状況を言いますと、七ページ目にもありますように、直接介護に当たる介護職員は離職率が二一・四%。それで、平均賃金月額、税込みも、十代では十四万七千円、二十代では十八万五千五百円、三十代になっても二十一万円。
 八ページに行きますと、こういう施設で働く介護職員が一番悩んでいる悩み、不安、不満はというと、やはり賃金が安いというのが五四・七%なんですよね。
 しかし一方、介護施設の施設長さんから私も話を多少聞いてみると、もう人が集まらぬ、山井さん、フィリピン人をぜひ受け入れてくれ、そういう要望も正直言いまして聞くわけです。でも、その心は何かというと、このままでは賃金を上げないと人が集まらない、そこで賃金を上げなくてもフィリピン人が五人、十人と入ってくれるんならば経営上は非常に助かるなと。これは、背に腹はかえられないからかもしれません。こういうことになるんですね。
 ですから、二年間受け入れて、麻生大臣が今答弁してくださいましたように、きっちりとした質のチェック、高齢者はどう思っているのかとか、そういうことなしに、隣の施設は受け入れて人手不足が解消できてよかったな、うちもぜひちょうだい、うちもちょうだいと。最初それは、全国で千人ぐらいだったらもうごく一部ですからね。今、人手不足、足りないのに、どんどんどんどん入れてということになっていって、二年後、そのまま拡大していったら、アメリカやイギリスでも実際そういうケースはあったわけですけれども、結局、その国の若い人が介護士や介護職員に魅力をなくして職につかなくなって、人手不足が外国人を安易に受け入れることによってますます加速していくという悪循環に、泥沼にはまりかねないわけであります。
 そこで、お伺いしたいと思います。
 二年後にはどのような項目をチェックしていかれるんですか。私としては、ほかの施設や病院よりもフィリピン人を受け入れた施設や病院の労働条件が悪化していないか、またサービスの質を保たれているか、また、ほかの病院やほかの施設との比較ではなくて、過去と比べて、フィリピン人を受け入れることによって賃金や労働条件が悪化したり上がらなくなったということがないのか、そのあたりを十分チェックする必要があると思います。この点について、いかがでしょうか。

○石田副大臣 このEPA協定の署名に当たりましては、受け入れ二年間にかけて当初の人数の上限を千名、こういうことにして、二年間の実績を見ていろいろこれから決定をしていく、こういうことになっております。
 厚生労働省としては、病院、介護施設における適切な就労、研修が確保されるよう取り組んでいきたいと思っておりますし、御指摘の点も含めまして、受け入れに伴う問題が生じないように注視をしてまいりたいと思います。

○山井委員 そういう漠然とした答弁ではちょっと困るわけで、サービスの質はちゃんとチェックする、その施設、病院において、フィリピン人を受け入れて労働条件が悪化していないかちゃんとチェックする、この二点を約束してください。

○石田副大臣 これは、受け入れをして、そういうところで問題があれば、フィリピンの方にも不満が出るだろうし、また、お世話をされている方からも当然不満が出てくるだろうというふうに思います。ですから、双方から不満が出ているかどうか、そういうことも私は大事な観点だろうと思いますので、そういう点も含めまして、先生のおっしゃる点もよく承りまして、問題が生じないようにやっていきたい、こう思っております。

○山井委員 何かちょっと答弁が不十分なんですよね。簡単なことですよ。受け入れた施設、病院でサービスの質が悪化していないか、そして労働条件が悪化していないか、そのことはチェックしますね。

○石田副大臣 先ほども御答弁させてもらいましたけれども、先生のおっしゃることも含めてしっかりと注視をしていきたい、こういうふうに申し上げました。

○山井委員 ぜひともやっていただきたいと思います。
 そこで、ちょっと個別の話に移ります。
 今回、このスキームの中で、例えば看護師の場合、ずっと上限三年いて試験に落ちた、あるいは介護職員が四年間、試験を受けて落ちた、その人が一たんフィリピンに帰った。同じその人がもう一回、またゼロからスタートして、三年、四年、看護師、介護職員として、まあリピーターとして、落ちた人が戻って研修、就労することは可能ですか。

○石田副大臣 協定上は、看護師候補者については三年、介護福祉士候補者については四年の在留の間に資格を取得していただく、こういうことになっております。
 残念ながら、資格を取得できずにお帰りいただいた場合は、同じスキームでは再度入国してやることは考えておりません。試験を受けるためだけに短期に入ってくる、これについては認められております。

○山井委員 わかりました。そうしたら、再試験のためにしか戻ってこられないということで、その次行きます。
 これも具体的な話です。例えば、九人ぐらいの規模の認知症の、痴呆症の高齢者のグループホームというのがあります。これは夜間、夜勤は一人でやっているわけですね。こういう一人夜勤のときにフィリピン人の研修生が一人でやる、そういうケースは起こり得るのでしょうか。

○石田副大臣 認知症の高齢者グループホームの指定基準については、夜間及び深夜の時間帯を通じて一人以上の介護従事者に夜勤を行わせなければならない、こういうふうになっております。
 今回の経済協定につきましては、入国したフィリピン人介護福祉士候補者については、介護福祉士監督のもとで、施設で就労しつつ国家試験の受験に向けての研修を受ける、こういう形になっております。ですから、受け入れ施設の人員基準に定める人員数としては含めない、こういう方向でございますので、認知症の高齢者グループホームの夜勤をフィリピン人介護福祉士候補者が一人で行うことは認めない方針であります。

○山井委員 今のは非常に重要な答弁であると思います。
 要は、今回の研修、就労のフィリピン人はあくまで実習、試験のためということであるから、施設の人員配置基準の数としてはカウントしないということですね。これをきっちりやらないと、配置基準が満たせないからフィリピン人を雇って数合わせをしようということになったら大変であります。
 それで、次に移りますが、先ほど柚木議員の答弁も聞いておりましたが、この二年間の最後だけではなくて、今後フィリピン人を受け入れた病院や施設のサービスの質は具体的にどのようにしてチェックしていくんですか。

○石田副大臣 受け入れに当たってのサービスをどういうふうに確認していくか、こういうことでありますけれども、受け入れ施設においては、フィリピン人看護師、介護福祉士候補者を除いて受け入れ施設の人員基準に定める看護師、介護福祉士が確保されることとなります。
 また、フィリピン人看護師、介護福祉士候補者は、看護師や介護福祉士の監督下で就労、研修していく、こういう仕組みになっておりますので、その人たちを入れたからといってその人たちを人数に含めてやるというわけではありませんので、監督下でいろいろと研修をしていく、こういうことでございますので、水準については確保される、このように思っております。

○山井委員 いや、それはわからないんですよね。要は、施設の人員配置基準というのは、すべての施設がすれすれでやっているわけではないですが、もう一人でも人員が多ければ多い方がいいわけですよ、最低限はクリアしていても。
 そこで、その中の人手として、フィリピン人に来てもらったことによってサービスの質がよくなったのか、悪くなったのか。ちょっともとに戻るかもしれない。まず、この検証はだれがするんですか。

○石田副大臣 今回のこの経済連携協定で来られた方に対しては二年後に検証する、こういうことにはなっております。ですから、現状、受け入れ施設に対して国際厚生事業団が巡回指導を行って就労や研修の状況を確認していく、こういうことになっております。

○山井委員 二年後に検証ももちろん必要なんですけれども、受け入れて一カ月後どうなっているか、三カ月後どうなっているか、半年後どうなっているかというのも非常に重要だと思うんですね。
 それで、前回もお聞きしましたが、この国際厚生事業団というのはたった十六人しかいないわけですね。総務の方とかいろいろ入れたら、動き回れるのが数人かもしれない。もちろん前回の答弁の中で、それをふやしていって体制を強化するという答弁はいただいていますけれども、やはりそれぐらいで介護サービスの質のチェックというのができるとは思えないんですね。先ほど麻生大臣も答弁されましたが、やはり受け入れた側の高齢者が喜んでいるのか、あるいは喜んでおられないのかということは非常に重要だと思います。
 そのあたり、やはり高齢者の声をきっちり定期的に聞いていただきたいと思うんですが、そこはいかがでしょうか。

○石田副大臣 今回フィリピンの方を受け入れるのは、介護職では六百人、こういうことになっております。現在、国際厚生事業団は十六人でやっておりますけれども、やはりこれでは十二分にできるかという御疑問はそのとおりだと思いますので、適切に指導ができる体制はぜひ組んでいただきたい、こういうふうに思っております。
 ですから、六百人ということでありましたら、全員が一つの施設に散らばったとしても六百カ所、こういうことですから、一年三百六十五日、何名かの方がしっかり巡回指導していってもそれなりの指導をできる、私はこう思います。

○山井委員 これも要望でありますが、高齢者の声を聞く、高齢者というか、介護されている側の声を聞く、それとともに、やはり同僚の職員の方々の声を聞く。
 例えば、夜勤が晩二人だったとしますよね。二人で夜勤していて、片一方側がフィリピン人だった。そうしたら、二人いるけれども、実質これは一人みたいなものですよね。夜間に認知症の高齢者がトイレに行きたいとか何だと言って、緊急事態なことを言ってもなかなか対応できなかったりして、その同僚の方が、フィリピン人の方は心は優しいけれどもやはり能力的には非常に困るというようなことが、もしかしたらそういう声も出てくるかもしれないんです。
 そういう、高齢者の声、それと同僚の介護職員やまた看護師の声もきっちり聞いていくということをお約束いただければと思います。

○石田副大臣 今回初めてこちらに来ていただくわけですから、フィリピンの方も、いろいろな、たくさんいらっしゃる中でも、ぜひ日本に来たいとか、優秀な方が来られるのではないか、こういうふうに私は期待もしておりますし、フィリピンの方の能力が劣っているとも思いません。
 巡回指導の中で調べていくということでありますから、これは勤めていらっしゃる方、またお世話をしていただく方、両方が満足のいくような体制になっていくようにしていくのは当然でありますから、巡回指導についてはしっかりとやっていきたいと思います。

○山井委員 今回お配りした資料の最後の十一ページに「外国人研修見直し 劣悪な環境、失跡が問題化」ということがあります。先ほど柚木議員の質問でも、どこがどうやってチェックするのか、それでもし待遇が悪かったり、その施設、受け入れ病院側に問題があったらどうするのかという質問がありました。
 このことについてお伺いしたいと思いますが、その前に、今もしかしたらちょっと誤解を招いたかもしれませんが、私は決してフィリピン人が介護がよくないと言っているわけではありません。私は、シンガポールの老人ホームで一カ月ぐらいフィリピンとスリランカの介護職員とボランティアで介護のお手伝いをさせてもらったこともあって、本当に心優しくて、日本以上にもしかしたら敬老の心があるぐらいの、お年寄りを大切にする国民です。しかし、言葉というのは非常に大事なんですね。
 わかっていただきたいのは、今の介護施設に入居している高齢者の七割が認知症です。ということは、御飯食べましたかと言っても、食べていないと言われるわけですよね。日本人でも、えっ、食べていないのかな、こう思ってしまうぐらい。ところが、そうじゃないでしょう、さっき食べたでしょうというようなことを言いながらコミュニケーションをとる。
 例えば、家に帰りたいと言って、夕方になったら認知症のお年寄りは、ふろしきを抱えて帰ろうとする方がいるわけですよ。そうしたら、本当の家じゃなくて、その認知症の高齢者が帰りたがっているのは二十ぐらいのころの古い家だったりするわけで、こういうことに対応するためには、今の国内でさえ介護職員は高いスキルが必要だということで、だからこそ介護福祉士法の改正も今考えられていると思うんですよね。
 そういう中で、日本の伝統文化がわからない、また言葉がわからないということで、幾ら優しい気持ちがあっても不十分な面が出てくるかもしれないということで私は先ほど言わせていただきました。
 それで、もし施設や病院が劣悪な労働条件であったりして、例えば、もう外出もさせずに閉じ込めたとか、腰痛で苦しんでいるのに病院にも行かせなかったとか、万が一こういうふうなことが見つかった場合には、私はもう厳しく取り締まるべきだと思いますが、その点についてはどう思われますか。

○石田副大臣 その問題は極端なお話だと思いますけれども、それはもう指導するとかいう次元の話ではなくて、これは一種の犯罪ではないかと思います。ですから、当然そういうことはあってはならないと思いますので、そういうことにならないためにも、巡回指導についてはしっかりとやっていきたいと思っております。

○山井委員 ぜひ、そういう苦情が多かった施設、病院は次回からは指定しないというふうなことでやっていただきたいと思います。
 それでは、時間が来ましたので、質疑を終わります。ありがとうございました。

Posted at 2006年11月08日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

厚生労働委員会

165-衆-厚生労働委員会-5号 平成18年11月08日
 ◎社会保険庁 社会保険庁未加入
 ◎障害者自立支援法 利用中断問題
 ◎B型、C型肝炎問題
 
○山井委員 民主党の山井和則です。
 これから一時間、質問をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。
 きょうは、感染症予防法改正に関連して、B型、C型肝炎患者の方々の救済、そのことを中心に質問したいと思いますが、その前に三点だけ、短く質問をさせていただきたいと思います。
 まず一問目は、先日、我が党の細川律夫議員がされた偽装請負に関する質問に関してでございます。
 その際には、要は、最近、請負や派遣労働者の社会保険加入状況が非常に不明になっているんじゃないかという質問がございました。そのときの厚生労働省の答弁は、今後一歩一歩調べていく、そういう悠長な答弁であったわけですが、そこで具体的に質問いたします。
 今、大企業の工場で幾つも偽装請負という違法な雇用形態が広がっております。昨年度には全国の労働局が九百七十四件の是正指導をしたと伝えられていますが、偽装請負では、安全管理がおろそかにされているだけではなく、社会保険への加入漏れ等待遇面でも問題があると指摘されています。この九百七十四件は氷山の一角とも考えられますが、社会保険庁は少なくとも最優先でこの九百七十四件について社会保険の加入状況について早急に調査を行い、社会保険への加入を徹底すべきではないでしょうか。

○柳澤国務大臣 今御指摘のように、最近の請負の形態につきまして、昨年、各都道府県労働局において是正を指導しなければならない案件が生じておることは御指摘のとおりでございます。そういうときに、単に労働局ラインの是正を求めるだけではなくて、社会保険事務所の事業所調査とよく連携がとれる形をとって、そして社会保険関係の的確な適用、徴収といったことについてもしっかりした指導を行うべきだ、こういう御指摘をいただきました。
 これはまさしくそのとおりでございまして、今、労働局の方のラインの仕事と社会保険関係のラインの仕事が分立して、並立している形になっておりますが、我々、労働省と厚生省が一緒になって一つの役所をつくっている以上、この関係の連携というものはもっと緊密にならなければならない、このように考えておるわけでございます。
 そうした意味におきまして、今御指摘をいただきましたように、今後は、労働局の職員のいろいろな調査におきましても、社会保険関係にも十分関心を持って、そういうところから情報がうまく伝わるようにいたしてまいりたい、このように考えております。

○山井委員 早急に調査をお願いしたいと思います。
 それでは、あと二問、短く、障害者自立支援法について質問をいたします。
 先日、我が党の園田議員、郡議員からもお話がございましたが、去る十月三十一日、一万五千人もの方々が、史上最大規模で日比谷公園等に集まって、今の障害者自立支援法、出直してほしい、そういう活動をされました。
 きょうお配りしております資料の中にもその資料が入っております。一番ラストのページ、九ページ目でございますが、「通所やホームヘルプ・ガイドヘルプの断念・抑制、生活費を削るなど、予想以上の深刻な影響が出ています。」「「自立支援法」はうたい文句とはまったく異なる状況を生み出しています。」「「三年後の見直し」が明記されていますが、それまでにサービス利用や生活が継続できなくなる事態が相次ぐ恐れがあり、早急な見直しが必要です。」ということを一万五千人の方々がおっしゃっておるわけであります。
 そこでお伺いしたいと思います。
 この資料にもございますし、先日も申し上げましたように、例えば、今回、厚生労働省が受け取った長野県からの資料、六ページに載せてございますが、事例二、工賃と同じぐらいの利用者負担を払わなければならなくなったため、通所施設への通所をやめた。この方は、利用料金がただだったのが二万二千円になった。
 そして事例三は、工賃より高い負担金を払った例として、三十代の通所授産施設に通っておられた女性の方が、通所することで、働いた工賃収入以上に負担金がかかるので、一万五千円の工賃のところに負担額が二万九千円になってしまった、これで利用をやめたということであります。
 それで、七ページになりますが、これも前回と重なりますけれども、それによって、今サービスを利用せずに家に閉じこもっておられる方も出ているわけであります。
 そこで、お伺いをいたします。
 通所施設の利用中止や利用抑制は何%か。また、滞納されている方は何%か。そして、家に閉じこもっておられる方々がどうされているかという実態調査はされているでしょうか。現状を把握されているでしょうか。大臣、お答えください。

○柳澤国務大臣 先般来お話ししております利用中止者の割合というのは、通所、入所、いわば込み込みの比率でございました。
 今、先生から、特に通所の利用中止者の割合についてお尋ねがございました。今お答え申し上げる中止者の割合というのは、実はデータが明らかになっている県に限るわけでございまして、そういたしますと、現在、八府県の状況ということになりますけれども、〇・六八%という水準になりまして、先般お話し申し上げました入所の中止者の単純平均の〇・三九%に比べてやや高水準になっているかと思います。

○山井委員 それで、これは前回の柳澤大臣の答弁でも、こういう、利用料が高いからということで利用が中断するということは断じてあってはならないと答弁されているんですね。断じてあってはならないけれども、今おっしゃったように、そういう事例が出てきているわけです。
 実際、これは大人の障害者の施設だけでなく障害児のデイサービスでも利用断念というのが出てきております。
 例えば、資料の八ページを見てもらいますと、利用者負担増を理由に退所した方は一%、そして利用減少は六%も出ているというのがこの八ページの熊本県のデータでありまして、通所施設断念が十五人、児童デイサービス断念が何と六十人ですよ。障害のあるお子さんが六十人も自己負担アップによってデイサービスに通えなくなった。
 大臣、ですから、本当に大変心配なのは、これで家に閉じこもられて、もしそこで虐待が起こったり、あるいは親子心中なんということになったら、これは大変なことになりますので、そうならないように、やはりこれはきっちりと措置をしないとだめだと思います。
 そこで提案なんですけれども、さまざまな軽減措置などをしても、なお工賃を上回る利用料や食費を払っているという事態が続いているわけですが、こういう逆転現象が起こっているわけです。やはりさらなる軽減措置等を通所施設、児童デイサービスに関しては行うべきではないでしょうか。いかがですか。

○柳澤国務大臣 先ほどはちょっと失礼いたしました。私、御質問に全部答えていませんので、それをちょっと補足させていただきますと、通所施設における利用抑制、滞納は、利用抑制につきましては、調査を行っている六県を見ますと、一・四%ないし二・九%という数字が出ております。また、滞納については、調査を行っている県は一県でございますが、それによりますと一・三%であるということでございます。
 今御指摘のように、通所をして、そしてそこで一定の作業をしている、その作業の対価というか、そういうことでいただく工賃に対して利用料の方が上回っているというような状況についてはもっと配慮すべきではないか、こういうことでございますけれども、私ども、このスキームを考え出すに当たりましては、一つは、ぜひこれは御理解いただきたいわけでございますが、たとえ作業をしておりましても、そこには一定の支援が行われておって、そこに一定の経費がかかっているということでございまして、それとのかかわりで私ども利用者負担を算定させていただいておるということでございます。
 そして、その利用者負担の算定に当たりましてはいろいろな角度からの負担軽減措置をとらせていただいておりまして、私どもの見るところでは、確かに工賃との関係では今先生御指摘のような逆転現象が起こっているというようなこともございますけれども、全体として、負担能力との絡みで、これを十分に支払うことができるのではないか、こういう考え方のもとで今日のスキームを構築させていただいておるということでございます。ぜひ御理解を賜りたいと思います。

○山井委員 この熊本県の資料を見ても、利用中止が十八人、児童デイサービスに関しては十一人ですから、そういう答弁をしていて、これは本当に、熊本県だけで児童デイと通所で二十九人、全国的には千人以上の方々が通所を断念して家に閉じこもっておられるわけです。その中で虐待や心中事件が起こったら、これは大変な問題になるということを指摘しておきます。
 それでは、B型肝炎、C型肝炎の質疑に入らせていただきます。
 まず最初に私申し上げたいんですけれども、私も、今回のこの法案審議に入るまでは、名前は聞いたことがあったんですが、このB型肝炎、C型肝炎の問題というのはそれほど深刻じゃないのかなというふうに実は思っておったわけです、恥ずかしながら。ただ二週間ちょっと勉強しただけなんですけれども、やはりこれは知れば知るほど本当に深刻な問題だということを痛感しております。そういう意味では、私も、ある意味で専門家ではありませんけれども、ぜひ、大臣を初めとします方々やきょうの委員会室の皆さんとともに、この問題の深刻さを一緒に考えていって、この解決策を探っていきたいと思っております。
 まず、資料をお配りしておりますが、この資料の一ページにありますように、B型肝炎が大体百二十万人から百五十万人、C型肝炎が二百万人から二百四十万人、合計三百九十万人ぐらいに達するかもしれない。その中で実際発症されている方々は六十万人ぐらいではないか。大体、これは時限爆弾とも呼ばれておりまして、感染してから二十年後ぐらいに発症するとも言われているわけであります。第二の国民病とも言われております。
 しかし、そんな中で、例えば、インターフェロンとリバビリンを併用すれば半分ぐらいのC肝、C型肝炎のウイルスが排除できるんじゃないか、そういう治療法の光明も、残念ながらこれはすべての方に適するわけではございませんが、そういう方法も出てきている。
 それで、大臣御存じのように、今これは訴訟になっております。この資料の新聞記事の方にもございますように、B型肝炎訴訟、C型肝炎、大阪地裁、福岡地裁とか、訴訟になっております。それで国も敗訴をしている部分もあるわけであります。
 しかし、原告の中で既に四人の方々が亡くなっておられる。そういう意味では、もちろん司法で決着をつけるということは一面では重要ではございます。しかし、きょう大臣に特に申し上げたいのは、それまで待てない、それまでに本当にどんどん亡くなっていっておられる、あるいは、手おくれになって生体肝移植しか方法がないとか、がんになってしまうとか、そういう本当に悲劇的な状況が刻一刻と進んでいるわけであります。
 そこで私が提案したいのは、司法は司法としてきっちりやるわけですけれども、同時に、私たちもやはり政治の力でその肝炎対策、救済をせねばならないのではないか、そのことを一緒に考えてみたいと思うわけであります。
 まず、実物でありますが、一つ、この血液製剤、幻の血液製剤で、今はもうないのではないかと言われているんですが、これが、C型肝炎ウイルスをお母さん方に出産の際の出血の際に感染させてしまった恐ろしい薬、フィブリノゲンの実物でございます。これがまさにフィブリノゲン・ミドリでございます。これをこの蒸留水で溶かして、点滴のような形でやっていく。出産のときに大量出血したときにこれでとまる、そういうふうな説明であったわけです。
 しかし、これが日本で大体三十数万人に使われて、そのうち数万人の方々がこれによってC型肝炎に感染したのではないかと言われております。このもとは、アメリカの刑務所の囚人の方々の売血とか、そういう方々の血をもとにつくられてしまった。一九七七年にはアメリカでは使用が禁止されていたのに、その後も日本では使い続けられた、このことが今訴訟になっているわけであります。
 それとともに、今インターフェロン治療が行われております。このインターフェロンの治療においても、これですね、このインターフェロンの注射、これは本当に、非常に痛くて、かつ副作用もある。これは非常に小さなものでありますが、これだけで三万円、あるいはもっとするケースもあるわけです。それで、このリバビリンと併用すると五〇%ぐらいの可能性でC肝ウイルスが除去できる、そういうふうなデータも出てきているわけであります。
 しかし、これも非常に高価な、お金がかかるわけでして、副作用が強いからこのインターフェロン治療をされないという方もおられますし、また、自分に適しないというふうにお医者さんから判断される方もいますし、あるいは、一番深刻なのは、経済的な理由でこれを断念されている、それでみすみす慢性肝炎になって、肝がんになっている方もおられるわけです。
 それで、私も余りこういう写真は得意じゃないんですが、この写真を持ってまいりました。これは見ていただいたらわかりますように、一番上が慢性肝炎の肝臓でございます。それが、放置しておくと時間の問題で肝硬変になる。それが、残念ながら最後にはこういう肝がんになってしまう。これを食いとめるためには、一つの方法としてはインターフェロン治療があるというふうに言われているわけであります。生まれたときに感染して、二十年間自覚症状がない、しかし、二十年ぐらいたってあるとき感染に気づくという、恐ろしいことであります。
 それともう一つ、札幌で訴訟になっているのが注射器での感染でございます。これもちょっと見ていただきたいと思います。恐らく見覚えがあると思います。BCGとかツベルクリン反応のときの、これですね、このブルーのもの。私もこれは非常に苦手で泣きそうになっていたのですけれども、これを五人分ぐらいここに入れて、一人ずつ集団で注射する。ということは、自分の前の人がたまたまC型肝炎に感染されていたら、その次の方も感染してしまう。それで、もうちょっと大きなものは、こういうガラスのものもございました。これでは感染するということで、今日ではこういうプラスチックの使い捨てのものになっているということなんですね。
 ところが、私たちの世代もそうでしたけれども、こういう集団接種、回し打ちというもので利用していて、これによってC型肝炎に運悪く感染された方もいるわけです。このことに関して最高裁は、ほかのB型肝炎感染が考えられないということで、国の責任を今回、最高裁が認定したわけであります。
 そこで、まず柳澤大臣にお伺いしたいのですが、今のこの注射を見ていただきましたように、これは私たち以上の世代というのはみんな見覚えがあるんですね。今回、五人の方が勝訴をされたわけなんですけれども、これを使っているのは、私たち以上の世代は多くの人が使っていると思うのです。ということは、今回、五人がこれによってB型肝炎ウイルスに感染したということで最高裁が判断をしたわけなんですが、これは五人に限らず、この注射を注射器で打たれただれしもが、もしかしたら感染していたかもしれないというリスクはあると理解してよろしいでしょうか。

○柳澤国務大臣 B型肝炎の話からお始めになられましたので、そのラインで私の答弁を申し上げますけれども、B型肝炎の感染経路も、今先生御指摘の注射器の回し使用ということだけではなくて、他の感染経路もあるという認識がございます。
 したがいまして、最高裁の判示におきましても、この起源もいろいろ難しい議論があるようですけれども、しかし、基本的に、これが注射の回し使用というものにはっきりと原因が特定できる、他の例えば母子感染のような経路での感染ではないということが証拠に基づいて証明できる部分につきまして、これが原告五人の方々でございますけれども、そういったことについて国の責任を認めたということでございまして、これを他に広げて、B型肝炎一般について国の責任を認めるということにはなっておらないわけでございます。
 これは先生、つとに御案内かと思いますが、そうしたことでございますので、私どもとしては、今、この国の判決には、これはしっかりと服して必要な補償等をとっておりますが、それ以上のことについては、これはやはり判断の問題でございますけれども、これを一般化するということはいたしておらない、こういうわけでございます。

○山井委員 大臣、私は、国の過失ということは当然申し上げていないのです。国の過失と言い出すと、今のようなややこしい答弁になるかもしれませんが、私は、シンプルに、この注射で集団予防接種を受けたのは五人だけじゃないですよね、ということは、当然の可能性として、五人以外にも、この集団予防接種でB型肝炎に感染した可能性がある人は日本の中におられますよねという一般論を申し上げているのです。いかがですか。

○柳澤国務大臣 それは、その可能性は完全には排除できないと思います。

○山井委員 そうなんです。これが感染原因だと特定できる人は、これはいろいろなエビデンスがある方で、めちゃくちゃまれでありまして、一般の人はこれはわからない。ただ、もしかしたら、C型肝炎、B型肝炎になってしまったのは集団予防接種だったかもしれないと。これは、まさに今大臣おっしゃったように、それも排除できないんですよ。その中で、では国の過失があるのかどうか。これもなかなか正直言って難しい判断にまたなってくるわけであります。
 ただ、私が聞きたかったのは、最終的な判断は司法がするわけでありますが、だれしもがこの集団予防接種でB型肝炎なりC型肝炎にかかられた可能性は排除できないということを確認させていただきました。
 それで、次の資料、二ページ目を見ていただきたいのですが、では、そのB型肝炎、C型肝炎の方がどうなるか。B型肝炎の方は、一〇%から一五%だけが慢性肝炎、肝硬変、肝がんになるわけです。C型肝炎ではリスクがもっと高くて、八割、九割以上の方が慢性肝炎、肝硬変、肝がんになっていく、こういうわけなんですね。それで、無症候性キャリアも含めると、多ければ三百万人以上ということになっているわけであります。
 それで、こういう三百万人を上回っているという推計値が厚生省から出ております。これは人口の本当に多くを占めるわけなんですが、このまさに第二の国民病とも言える問題が、もちろん、今司法で争っておられる方はおられます。でも、大臣、申し上げたいのは、圧倒的多数の大部分の方は、それは司法では当然争えないわけですよ。その方々の対応を司法が今やっているから、その結果待ちということになったら、患者の方は亡くなってしまうか、手おくれになってしまうわけです。
 そこで、もう一つ、この感染の可能性があるのがクリスマシンというものなんですね。これは当時、もうアメリカでは新生児の出血症には効果がないとされていた第9因子製剤であります、クリスマシン。そして、このクリスマシンを出産のときに投与されたということでC型肝炎に感染されたのが、きょうの資料の十ページ目ですね、福田衣里子さんであります。実名を公表して福岡地裁で争っておられる。それで、きょうも実は傍聴席にお越しいただいております。真ん中に座っていられるグリーンの服を着た方、きょうはわざわざ長崎からお越しをいただきました。
 それで、また、私、この福田衣里子さんが最近書かれた本も読ませていただきました。「イッツ・ナウ・オア・ネバー」、C型肝炎ウイルスに感染して二十年経過していますと二十のときに言われたと。あるテレビ番組で、知らないうちに、出産のとき出血したときの血液製剤などで感染しているケースがありますよと。それで病院名が公表された。その病院名が自分が生まれたところだったので、念のため見てみたら、これに感染してしまっていたということであります。この本、後でまた柳澤大臣にもプレゼントしますので、ぜひお目通しをいただければと思います。
 それで、一番理想的なのは、大臣に会っていただいて、直接、苦しみ、悩みを聞いていただきたいのですが、それはなかなか難しい面もあろうかということで、実はきょう、福田衣里子さんが柳澤大臣あてに手紙を書いてこられましたので、短く書いてくださったそうですので、ちょっと早口になるかもしれませんが、少しだけお許しを得て読み上げさせていただきます。
  柳沢大臣殿
  はじめまして。福田衣里子と申します。
  もし、そう遠くない未来に、地球が滅びることが分かっていたとしたら、柳沢大臣、あなたはどう生きますか?夢を持つことが出来ますか?将来の為に貯蓄をしたり、勉強をすることができますか?
  死と同等の絶望と恐怖を持ちはしないでしょうか。
  私は今、「死」を意識して生きています。
  私は二十歳の時、感染を知り、それ以来幾度となくインターフェロン治療をうけてきましたが、いまだ完治には至っていません。
  一人、入院中のベッドの中で、「こんなはずじゃなかった。今まで一生懸命勉強したり、我慢して頑張って来た事もたくさんある。でもこんな所で一日中寝ている為にしてきたわけじゃない。もっと可能性が有ったはずなのに…。今の私は、どう生きるかなんて、贅沢な事を考える前に、自分の命を確保することが先なんだ。」そう思って泣いていました。友達はみんな仕事をしたり、結婚をして羽ばたいていて、自分だけが取り残されていくようで、不安と焦りの気持ちでいっぱいでした。
  柳沢大臣、私は、パン屋さんになりたかったんです。しかし、病気と治療で身体が弱って、その夢も諦めました。今の私は、放っておけば、遅かれ早かれ肝癌になる体です。お嫁さんになる勇気も、子供を産む勇気も持てません。
  私はただ生まれてきただけなのに、何も悪い事はしていないのに、ちょうど、これから人生が大きく広がろうとする二十代に動き出す様に仕掛けられた、時限爆弾のようなC型肝炎ウイルスに感染させられました。私は今年、二十六歳になりました。両親とも六十歳をとっくに超えています。お母さんはこんな私に「お母さん達が元気なうちに治してやりたい。どんなことをしても、家を売ってでも治療させてやるけんね。」と言ってくれます。両親を安心させる為に行ったはずの検査で、結果大きな負担と心配をかける事になってしまいました。
  最初、感染を知って運が悪いと思いました。しかし今は、運良く感染の事実を知り、治療を受ける事が出来ていると思っています。まだ感染に気づいていない若者が感染に気づくきっかけになれたら、また、感染が分かってもインターフェロン治療は高いので、治療できず、肝癌への進行をおびえながらも待つばかりの若者もたくさんいます。この裁判をきっかけに肝炎対策に関心が高まり、医療費の助成が実現するように、その力となれたらという思いで、私は実名公表を決意しました。
  起きてしまった薬害や、私がその被害にあった事はもう仕方のない事だと思います。裁判をすることで、病気が治るわけでも、過ぎた時間が戻るわけでもありません。
  しかし、薬害の被害にあった人やその家族がどのような人生を歩むことになったかを、知って欲しいと思います。
  柳沢大臣、私はお医者さんでもありませんし、何の力も無い一人の小さな人間です。
  ですが、あなたには、たくさんの命を救える力があります。どうか、一人でも多くの人の涙がやむように、命が救われるように、お力をお貸し下さい。
    二〇〇六年十一月八日
               福田 衣里子
という手紙でございます。
 本当に、当然、福田さんには何の落ち度もなかったわけでありまして、クリスマシンというこの中にC型肝炎ウイルスが混入をしていたわけであります。三百万人いると言われる日本の肝炎患者の方々のお一人の声として、今、御紹介をさせていただきました。
 それで、今、病床に伏すことも多いので、刺しゅうをされているんですね。実は、きょうも、個展を長崎でやっていたのを一日個展をやめて来られたんですけれども、すごくきれいな刺しゅうのもので、それをポストカードにしたものでございます。柳澤大臣と石田副大臣にこの刺しゅうのポストカードと本を失礼ながらプレゼントさせてもらいたいと思いますので、ぜひまたお読みいただければと思います。
 私もこういうことを二週間前ぐらいから、本当に遅まきながら調べ出して、本当にこれは深刻な問題だなというふうに思っております。
 そこで、柳澤大臣、今までのこのお話をお聞きになって、御感想というか、日本の厚生労働行政の責任者としてのお気持ち、御感想を一言いただければと思います。

○柳澤国務大臣 今の福田さんのお話、御本人もあそこにいらっしゃるわけですけれども、お話を含めまして、山井委員の御指摘というのは、まことに胸の詰まる思いで聞かせていただきました。
 本当に、例えば今のクリスマシンによる肝炎というものも、お母様の御出産のときに生じた、治癒させるために使用されたということかと存ずるわけですけれども、それが大変重大な疾病を、後日に大きな疾病を引き起こす要因になってしまったのではないか、こういうことでございまして、本当に、その当事者に対しては、これはもう本当に心から御同情を申し上げるというほかございません。
 ただ、これを国の制度として治療費の面倒を見るということになりますと、これは他のもろもろのいろいろな制度、あるいは、治療の支援というようなことになりますと、他の疾病との比較考量というようなことがどうしても必要になってしまうわけでありまして、その間における合理性あるいは公平性といったものを考慮して制度としては考えなければならない、これも私たちが置かれている立場でございます。
 そうしたことから、現在、我々は一つの考え方を打ち出させていることは山井委員も御案内のとおりでございまして、難病であるとかあるいは通常の生活で感染をしてしまうとかいうようなことの疾病に対しては一定の配慮をするという制度が成り立っておりますけれども、これを広げるということについては、なお、我々として、なかなかこれを踏み切っていくだけの理由というかそういうものを見出し得ていないというのが現状でございます。

○山井委員 今、柳澤大臣は合理性、公平性ということをおっしゃいました。合理性とは何でしょうか。公平性というのは何でしょうか。
 明らかなのは、福田衣里子さんには、自分には何の過失もないということであります。そして、もちろん国の過失がどうかということに関しては司法が決めるでありましょうけれども、このクリスマシンという薬によって薬害で感染したということも事実であります。
 柳澤大臣、これは国の過失というと、非常に実はややこしくなりますのが、すべて最高裁まで争わなくてはならなくなるわけですね。治療費が出たときには、もう亡くなっておられるか、あるいは手おくれになって、もうインターフェロン治療もできない時期になってしまっている可能性もあるわけですし、また、三百万人おられるとしたら、全員が訴訟するということも事実上不可能なわけです。そこがこの問題の難しさであります。
 柳澤大臣が、ほかの病気とのある意味で公平性とおっしゃる意味、わからないではありません。しかし、最大の違いはやはり国の過失があったかもしれないということなんですね。
 それで、柳澤大臣、今推定で三百万人、肝炎患者の方がおられます。そのうち国の過失があったかもしれないというのはどれぐらいだと思われますか。

○柳澤国務大臣 B型肝炎、C型肝炎につきまして、これには多様な感染経路があるということでございます。
 したがいまして、その中で、確かに国の過失があったかもしれない、あるいは、全く国は関与していなかったというような分類分けが一応できるかと思いますけれども、現在のところ、私どもとしては、このB型肝炎、C型肝炎のそれぞれの感染経路における感染の割合というものは、これを把握することが困難である、こういうことで、不明と言わざるを得ないわけでございます。

○山井委員 まさにそうなんです。国の過失があったかもしれない、でも、一人一人の感染経路というのはそう簡単にはもう特定できないんですよ。でも、重要なのは、ほかの病気と違って国の過失があったかもしれないんです。
 ですから、やはりこれは、今、産婦人科で無過失補償制度というのを、厚生労働省、議論をされていて、年内に方向性を出すと。これは、そのときの過失が医師にあったかどうかというのは置いておいて、ある程度補償しようという考え方なんですけれども、それと多少似たような考え方で、お一人お一人に国の過失があったかどうかというのは、これはやり出すということは不可能なんですね。ということは、その議論は司法の方でやるとして、でも、もう待ったなしだから、もしかしたら国の過失があったかもしれない、かもしれない方々に対して国がどうするのかというのは、ほかの病気とはやはり少し違う。どう違うかというと、一般の患者さんではなくて、もしかしたら被害者だったかもしれないわけですよ。そういう可能性がある。ここが私はほかの病気との違いであると思います。
 それと、もう一つの違い、違いというか、今、一つ言えるのが、インターフェロンとリバビリンとの併用でC型肝炎も、これは合う人、合わない人がもちろんあるわけですけれども、半分ぐらい、C型肝炎ウイルスが排除できる治療法というのも出てきているということなんです。
 そこで、お伺いをしたいと思います。
 この資料にも入れさせていただきましたが、虎の門病院副院長で厚生労働省のC型肝炎及びB型肝炎ウイルス感染者に対する治療の標準化に関する臨床的研究班の班長であられます熊田教授がされました調査結果というか研究結果があります。
 どういうことかというと、推定百万人の患者における医療費の比較で、従来の治療法、インターフェロン治療を行わなかった場合、先ほどの写真にありますように、慢性肝炎になって肝硬変になって肝がんになるのを待たざるを得ない可能性が高い。そうすると、百万人からすると八・二兆円、トータルで医療費がかかりますね。ところが、インターフェロン治療、インターフェロンとリバビリンを併用して、それによって、半分ぐらいですか、ある程度治られる方が最近どんどん報告されております。そうすると、トータルの医療費も五兆二千億円で、結局、本人にとってだけではなくて、予防的な意味でトータルの医療費としても低いのではないか、こういう調査結果というか推計も出ているわけであります。
 このような、インターフェロン治療、リバビリンと併用して等で早期に予防的に治療費をかけた方が結果的には医療費としても高くつかないのではないか、こういう研究に関しては、厚生労働省としてはどのように認識をされていますでしょうか。

○柳澤国務大臣 今、山井委員御指摘の熊田先生の研究でございますから、私ども、これを何か軽視するとか、そういうふうなことは全くないわけでございます。非常に重く受けとめるわけでございますが、多分先生もお認めになられると思うんですけれども、この推計というのは相当いろいろな仮定を置いてのこうした推計結果ではないか、このように考えるわけでございまして、この試算と申しますか比較が示すような、そういう医療費の削減が期待できるかどうかということを判断することは難しいと思っております。
 また、医療費が節約できるからこうするというような話が、次の段階に進む基礎としてどういう意味を持つかということについても我々考えてみなければならない問題だ、このように考えます。

○山井委員 それで、患者の方々の多くの要望がございます。検査体制の整備などもございますが、一つの最大の要望は、やはりこのインターフェロン治療の医療費が高いということなんですね。
 それで、この資料、厚生労働省からいただいた資料にありますが、三割負担として、自己負担がB型肝炎だと年額約三十万円、C型肝炎が年額平均約八十万円。恐らく、これより高い人はもっとたくさんおられると思います。低く見積もって、平均してこんなものだというデータを厚生労働省からいただいております。
 それで、もしなんですけれども、これは仮定の話です。昨日厚生労働省から聞いたら、五万人がインターフェロン治療を今されている。六十二万人も発症されている方の八%にすぎないわけなんですが、現時点で、このインターフェロン治療、リバビリンとの併用というものを、仮定として、三割負担じゃなくて無料にもしするというようなことを一年間施策でやったら、幾らぐらいの費用がかかりますでしょうか。

○柳澤国務大臣 インターフェロン治療を行っております患者さんが一年間に五万人いると仮定をいたしまして、現行の医療保険制度における平均的な自己負担、これは必ずしも三割ということにはならないわけでございますが、そういう前提でごく粗い推計をいたしますと、この治療の自己負担部分を無料とする場合は、約二百億円の費用がかかると推計されると考えております。

○山井委員 これはよく、肝炎対策をやると、数千億、数兆かかるんじゃないかという議論もあると思うんですが、やはりこの数字の問題はある程度きっちり議論していかないとだめだと思います。
 今お聞きしたように、現在五万人、インターフェロン治療をされている。それを自己負担をゼロにしたら、年間約二百億円、一人頭でいうと四十万円ぐらい補てんするということになろうかと思います。一つの目安ですね。もちろん、今、いろいろな前提を置いた粗い試算ということをおっしゃいました。
 それで、大臣、もう一つお伺いしたいと思います。
 仮定なんですけれども、もしこの二百億円でやってみたときに、全額出るんだったら私もインターフェロン治療をやりますという人が当然出てくると思うんです。先日も、NHKスペシャルの医療、医師不足の番組の中で、ある方が、自分は今非正規雇用なのでお金がなくて、C型肝炎なんだけれどもインターフェロン治療ができないんだということを切々とおっしゃっておりました。そういう方も、無料だったらできるかもしれないんですね。
 かつ、これは、重要なのは、インターフェロン治療は五年も十年もやるものではなくて、半年か一年で、うまくいけばですけれども、C型肝炎ウイルスが除去できるケースがある。先ほど、ある同僚議員に聞いたら、自分のおじさんもC型肝炎ウイルスだったけれども、インターフェロン治療でもうウイルスがなくなったと。それと、きょうお配りしております資料の中でも、読売新聞の記者の方が、十七ページ「治療で消えた肝炎ウイルス」、インターフェロンとリバビリンを併用したら肝炎ウイルスが消えたということを解説部の左山政樹さんが実名入りで書いておられるわけですよ。ですから、大臣、こういう情報が出れば出るほど、できるならば受けたい、あるいは、できるならば我が子に受けさせたいとだれもが思うのが当然だと思うんです。
 そこで、お伺いしますが、こういうふうにもし二百億投じて五万人の方のために無料化したら、無料になったらこれぐらい利用者が、今までインターフェロン治療をされていなかった方がこれぐらい新たにされるんじゃないか、あるいは、一年間やったら、二年目は半分ぐらいの人が治って、もうその方々は治療をしなくて済むので、減る部分もあると思うんですね。そういう、二年目はどうなりそうかという試算というのはございますでしょうか。

○柳澤国務大臣 先ほどの試算、二百億円というのは、現在治療を行っている患者さんを推計して五万人と仮定いたしたわけでございます。それをもっと、無料にしたら一体どうなるか。
 こういう言い方が適切かどうかわかりませんが、今自分が肝炎に感染しているということを知りながら治療の方にまだ出かけていない、それから、まだ全然自分が感染しているということを知らないというような方々が、無料にするということでどんな治療のところまで出てくるのか、この推計いかん、こういうお話でございますけれども、これは、私ども、全く仮定の話であるというようなこともございまして、また、推計が実際上難しいということもございまして、今の先生の御質問に対しては、これは全く不明であるというのが私どもの今の持っている情報だと申し上げます。

○山井委員 もちろん、これはちょっとやそっとのことで推計はできないと思います。
 しかし、大臣、わかっていただきたいのは、本当にこれによって救える命があるということなんですね。もし、この政策によって一人の人がインターフェロン治療で完治した、これはすごいことですよ。二十代で発症してそのままで亡くなられたら、本当に本人、御家族にとってどれほどつらいことか。ちょっとの助成で、もし四十万円で一人の命が救えたとしたら、ある意味で、安い高いということは私はもちろん言いたくはないですけれども、価値のある政策だというふうに私は思うんです。
 そこで、人工透析とかいろいろなほかの施策もありますが、無理を承知でお願いしたいんですけれども、なかなかこんな推計できない、するのは難しいとは思います。でも、やはり本当に肝炎対策は何とかせねばならないんです。ばたばたと肝硬変になって、肝がんになって、亡くなっていっておられるんですよ。その方々は百万、二百万、三百万とふえていくかもしれない。
 その中で、ぜひこの推計の検討を、一度ちょっとぜひともやっていただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 これは、山井委員からどうしても推計しろというお話であれば、それはもう、推計は役所は何とか、私は形を整えるかと思うんですけれども、そういうようなことがその後のいろいろな施策に結びつくようなものであるかどうかということについては、私は極めておぼつかない気持ちがいたします。

○山井委員 大臣も当然、軽々な答弁というのはできないと思います。しかしこれは、司法に任せっきりではこの問題は解決はできない、三百万人の問題はできないというのが明らかなんですね。今こそ、これは政治の出番なんですよ。これはやはり、政治家がこのことに対して手をこまねいていることはできない、何らかの政策をやらざるを得ない、肝炎患者の方を見殺しにすることはできないんですよ。
 かつ、もしかしたら何割、何割というか幾らかの人たちは、やはり国の過失があったかもしれないけれども、カルテもない、いろいろなものもないということで裁判もできない。ほとんどの方は匿名でやっておられるんですよ、家族に迷惑がかかるとか、いろいろな差別を受ける、偏見があるということで。それを、勇気を持って福田衣里子さんが今実名で裁判をされているというのは、こういうことで話題がふえて、自分も肝炎になっているということに一人でも多くの同世代の人たちが気づいてくださったら、もしかしたら自分が人の役にも立てるかもしれない、そういう思いでやっておられるわけであります。
 それで、今二百億円という話がございました。これも仮定の仮定の話で非常に失礼かとは思いますが、例えば五年間の時限立法をする、肝炎対策緊急措置法を五年間、二百億掛ける五で一千億、短期的、集中的、予防的にこのお金をかけることによって、恐らく肝がんになる人はかなり減るでしょう、肝硬変になる人は減るでしょう。
 そのことによって、もしこの一千億というものを通じてそういう肝炎対策というものを時限的にやったら、先ほどの熊田教授の試算ではありませんが、どれぐらいトータルの費用が、その一千億を投じなくて肝がんになる人がふえてトータルの医療費がかかるのか、あるいは、それによってどれぐらいの方がC型肝炎ウイルスが除去される可能性があるのか、こういう試算も、柳澤大臣、もちろんその後実行できるかどうかというのは、それはそんなことを簡単に、正直言って言えないと思いますが、まずこれは試算してみて、これぐらいの額だったらどうだろうかというのは、まさに超党派で政治家が優先順位をつけて判断する問題だと思うんです。そのベースを提供するのが厚生労働省ではないかと思うんです。
 そういう一千億を五年間かけてやってみた場合、どういう効果、費用対効果を含めて、費用対効果という言葉はよくありませんが、費用、効果、いろいろなことの試算、これも何とか、粗いもので結構なんですが、一度やっていただきたいと思いますが、大臣、いかがでしょうか。

○柳澤国務大臣 先ほど来のいろいろな仮定計算による推計、これをぜひしろ、こういう仰せでございまして、これをいろいろとくだくだしい理屈をこねて申し上げる気持ちもないわけでありますけれども、この肝炎の治療というか、そういうものが非常にタイミングをとって行われるということが必要だ、こういうこともお聞きしておりますので、そういう意味で、そのウイルスを持っていらっしゃる方については推計できるにしても、そういう場合に、一体、治療の適期というかそういうものに当たる方がどのくらいいるのかというようなことについては、ますますやみくもの話になってしまうということがございます。
 しかし今後、いろいろな訴訟も進んでいくでしょうし、また、いろいろなところでの御議論もありますので、私どもとしてもその御議論に耳を傾けてはいきたい、このように申し上げたいと思います。

○山井委員 ぜひ、そういう試算というものをやっていっていただきたいと思います。
 例えば、きょうお配りした資料の中にも、十三ページの毎日新聞の社説、「肝炎訴訟 救済は裁判外にも広げて」、そして十四ページ、産経の主張、「肝炎対策 争うより患者救済が大切」、十五ページ、産経、「B型肝炎訴訟 国は早急に支援策提示を」、これは言い出したら切りがないですけれども、ここ数年の記事全部、私も読みましたが、すべて、裁判は裁判で、もちろんこれは争いになるけれども、それはそれとして、政治の力でやはり早急に肝炎対策をやってほしいという意見ばかりなんですよ。それで、ここにも書いてありますように、「全面解決急いで」「患者に時間ない」ということをこの十六ページにも書いておられます。
 そこで、一通、お一人、東京訴訟の原告十三番、匿名で争われた五十七歳の方が、フィブリノゲンを一九八四年に出産時の出血で投与されて、それから十六年後に肝硬変から、肝がんになって亡くなられた、この方が最後、ビデオを家族が撮られて、その御家族の方が、肝炎の今後の施策のためにということで公開をされています。
 この五十七歳の女性の方の最期の言葉を読み上げさせていただきたいと思います。
  私は二十年間、どこに相談の窓口があるか分からず、苦しみ、闘ってきました。しかも、医療従事者の方からの、差別扱いに戸惑い、悲しみ闘ってきました。ようやく、闘いの窓口にたどりつきました。が、もう体がついていきません。どうか裁判を早く終わらせてください。そして製薬会社の人たちも、自分達のしてきたことを認めてください。国は争うことなく現実を見つめ、人の健康と命の重さを認めてください。私はとにかく元気になりたいんです。そして、この問題を各ひとりひとりが、自分の問題として受けとめて下さい。
  わたしは、こんなふうになりたくなかった。平凡でもいいから走り回り、みんなで…、楽しく、笑い転げながら、これからも生活をしていきたかった。
  いま、とても苦しいです。息が続きません。
このビデオ撮影をされてから二週間後に、二〇〇三年六月十二日、最後に三人のお子さんの名前を呼んで、裁判の結果を待つことなく亡くなられたわけですよ。これからもこの悲劇は続くわけです。
 カルテが残っているとか、相当、あるいはその病状が悪化している人はもちろん訴訟なんか闘えない、そういう本当に待ったなしで、きょうも一日、きょうもまた一日と、三百万人もの方々が、いつ発症するのか、インターフェロン治療もつらい、でも、つらいけれども、それをしなかったらますます治らない。
 実名を公表された第一号の山口美智子さんの息子さんは、次男を産んだときにフィブリノゲンで感染をされたわけですが、その次男さんは、ほかの人から、おまえが生まれなかったらお母さんは病気になっていなかったんだとまで言われているわけですよ。全く罪はないじゃないですか。
 これは、もちろん司法は司法です。でも、何のために国会があるのか、何のために委員会があるのか、何のために国会議員が議論をするのか、それは突き詰めれば、救えるはずの命を救うために私たちは政治家をやっているんだと思っております。司法の解決まで待てないんです。
 柳澤大臣、どうかやはりここは政治的な決断で、医療費の助成を含めた、すぐに医療費の助成をしろとはもちろん言えませんが、含めたそういう肝炎対策をやはり早急に、待てない患者さんのために、国の過失は横に置いておいて取り組んでいただきたいと思うんですが、柳澤大臣の御決意をお聞きしたいと思います。

○柳澤国務大臣 山井委員が、本当に感にたえない、そういう御様子で切々と訴えられるこのお気持ちについては、私も本当にこの気持ちは酌み取らなきゃいけない、こういう気持ちで聞いております。
 ただ、私も行政の責任者でして、行政というのはやはりどこから見ても、先ほど来申しておりますように、合理的で公平でということを心がけて制度を構築していくということでございますので、今ここでにわかに肯定的なお答えをする用意は率直に言ってございません。
 ただ、この問題については、なおいろいろな御議論を、私としては注意を払って、部内でもいろいろと問題を投げかけ合って、何とか、何か一歩でも半歩でも前進することがあり得るのかどうか、これは、今まで、現在のところ、私もなかなか難しいという感を持ってこの場に臨んでおるわけですけれども、なおそういった方向での私なりの努力は、先生のそういうお訴えにも照らして、私としてしていかなければならない、このように感じております。

○山井委員 もう時間になりましたので終わらせていただきますが、これは本当に待ったなしの問題でありまして、司法に任せていると、もう患者の方が次々と亡くなっていかれる、そういう緊急の事態であります。ぜひとも行政のトップであると同時に政治家である柳澤大臣の御判断で、一歩でも二歩でも、石田副大臣も来ていただいておりますし、公明党も非常にこのことには坂口元大臣もお力を入れてくださったわけですけれども、ぜひとも党派を超えて、やはり政治家が、ここは救える命を救うんだという思いでこの肝炎対策に取り組んでいかねばならないと思っております。どうかよろしくお願いします。
 ありがとうございました。

Posted at 2006年11月08日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年11月

2006年11月

外務委員会議事録(日比EPA協定、麻生大臣核発言)

165-衆-外務委員会-4号 平成18年11月01日
◎麻生外務大臣の核保有議論発言について
◎日本-フィリピンEPA協定-看護師・介護士の受け入れについて


○山井委員 民主党の山井和則です。これから四十五分間、質問をさせていただきます。
 フィリピンの看護師、介護士受け入れということですが、冒頭、麻生外務大臣に、核保有発言についてお伺いしたいと思っております。
 先日、フィンランドの議長団が日本の国会を訪問いたしました。そうしたら、その質問の三分の二は、日本は核武装をするのかという質問でありました。このように諸外国も非常に心配をしております。昨日の報道でも、アメリカのブッシュ大統領も、日本が核を保有することを議論するということに関して非常に、核を本当に持ったら困るということで懸念を表明したというニュースも流れておりました。
 このことについて、フィンランドの議長団もこういう核武装の心配をしているということに関して、麻生大臣、いかが思われますか。

○麻生国務大臣 きのう、外務省の方にも大勢来ておりました。フィンランドの議長は前に総理大臣もしていましたし、来ておりましたので、私どもの方にその質問があるのかと思って待ち構えていたんですけれども、私の方には直接なかったんで、普通、ああいう話は直接ないとおかしいなと思うんですけれども、何で私にはないのかなと思って、こっちの方から質問したんです。日本では議論しちゃいかぬという話なものですから、なかなか議論がしにくいけれども、向こうはフィンランドだから議論してもいいんじゃないのかなと思って、むしろ私の方から話をしたというのが正直なところです。
 私の方として申し上げているのは、ずっとたびたび、議事録やら何やら、きっと先生のことだから熱心にあちらこちら読まれた上なので、同じことを申し上げるようで甚だ恐縮ですけれども、もう一回言わせていただきます。
 ずっと申し上げてきているのは、一般論としては、国の安全保障というものを考えるときにおいては、その時代時代において当然考えるべき時代背景がある。持たず、つくらず、持ち込ませずというのをもって非核三原則というのがほぼ決まりましたのが佐藤内閣のころであります。いわゆる沖縄返還のあの時代の話でありまして、当時はいわゆる冷戦構造のさなかでありまして、一九九〇年代以降の一極の時代とか、また今のように、いわゆる隣国、北朝鮮が核を持った、もしくは実験したと言い、かつ、それを搬送するミサイルの技術もかなり実戦配備、かつ、実験というよりは訓練の段階まで来ている、その射程距離が日本には届く、かつ、その射程距離がどんどん延びているという状況下にあるというのであれば、当然いろいろな国民的議論が起きてくるということを封殺すべきではないのではないか。
 また他方、日本としては、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませずという三原則について、これを堅持することにつきましては、歴代の内閣が累次にわたって言明をしているとおりでありまして、政府としても、今後これを堅持していくという立場に変わりはないということを、きのうもフィンランドの人に申し上げておりますし、今またここで申し上げているところです。
 加えて、この問題には、いわゆる原則以外に法律上の問題もあります。それは、原子力基本法という法律がありまして、この法律によって日本の原子力の利用というのは平和目的に限定されているというように、法律で決められております。
 また、NPTという核不拡散条約というものに、これは条約ですけれども、これに非核兵器国として日本の場合はいわゆる義務を負っておりますので、このような観点から見ましても、日本が核兵器を保有することはないということを申し上げてきております。

○山井委員 私は、麻生大臣の答弁を聞いていてよくわからないのが、非核三原則は堅持する、核を持たないと決めていると言っているにもかかわらず、それならなぜ核保有の議論をしてよいということをおっしゃるのかがわからないんです。
 核保有の議論について、麻生大臣はどう思われるんですか。

○麻生国務大臣 これは、昭和四十年当時、山井先生がどれくらい成長しておられたか、御年齢であったか存じませんけれども、三歳ぐらい、じゃ、そのころの記憶はほとんどない、全く、天才でも三歳ぐらいのときは余りないと思いますので、ないんだと思いますが、私は当時もう既に大分年を食っていましたので、そのころの議論を学生として、また社会人として聞いていましたから、そこそこの意味はわかるつもりでおります。
 ただ、今、多くの方々が先生と同じような世代だと、どうしてそういう原則になったかという経緯を御存じの方はほとんどないという状況にあるときに、我々は議論をして、状況が変わったというのを前提にして議論をして、その上でみんな納得ずくで三原則を維持、堅持するということに決めるようにしないと、どなたも議論は一切することはまかりならぬ、そういうことをするということを、啓蒙の上議論をしない、啓蒙だけして議論、いろいろやり方はありますよ、だけれども、議論もさせないというのは私はいかがなものか。
 どうして議論しちゃいかぬのかというのが私にはちょっとよく理解ができないので、政府としては決めておりますが、多くの議論を行われるということに関しましては、私は別におかしくないのではないか。言論封殺するつもりはありません。

○山井委員 一議員が議論をするのと日本政府の外交の責任者の外務大臣が議論するのとでは、全然意味が違うんですね。だからこそフィンランドも心配している。
 それで、御質問したいんですが、そうしたら、核保有の議論をしてもよいということは、こういうことになりますよ。NPT、核拡散防止条約の脱退についても議論をしてよいという意味も持つわけですが、本当にそれでいいんですか。

○麻生国務大臣 重ねて申し上げますが、政府としてはというのであって、私は政府の一閣僚でありますから、私は議論を私がすると言ったようなことは一回もないのであって、議論をするのは大いにされてよろしいのではないか。国民の言論を封殺するつもりは私ども自由民主党にはないと申し上げております。

○山井委員 何か麻生大臣、逃げていられるような気がするんですよね。議論していいと言い出したのは麻生外務大臣じゃないですか。自分で議論していいと言い出していながら、今さら自分は議論する気はないというのは。
 それで、安倍総理は、非核三原則は堅持する、これはもう結論が出ている、政策判断としてやったと言っているわけですから、そういう意味で、議論をされているこの麻生外務大臣の発言というのは閣内不一致ではないですか。

○麻生国務大臣 議論があってもいいとずっと申し上げてきておりますし、私どもは議論があってもいい、政府としてはこれは堅持します。
 しかし、国民の中で、政府としてはこう思って、憲法九条はとかいろいろ意見がありますじゃないですか。そういった中にあっても、国民の中で議論があってもちっともおかしくないんじゃないでしょうか。一億二千万おりますので、いろいろ議論があって、それを全部封殺する、私は、議論をしたいわけじゃないです。そちらが御質問なさるから私が答弁しているだけであって、こちらから吹っかけたことは一回もありません。

○山井委員 麻生大臣がどう弁解をされても、麻生大臣の発言もあって、フィンランドの議長団も、これはもう全世界が心配しているわけですよ。唯一の被爆国である日本は、これからも核拡散防止条約の、核廃絶の先頭に立つと。その先頭に立つべき麻生外務大臣が逆のメッセージを発している、これは非常に問題だと申しておきます。
 それでは、この問題ばかり議論しておれませんので、これは改めて、こういう問題はきっちり予算委員会を開いて私は議論すべきだと思っております。
 それでは、看護師、介護士の議論になりますが、私は、きょう厚生労働委員会からやってまいりましたが、この問題、非常に関心を持っております。
 私は、二十七歳から三十一歳まで四年間、海外の介護施設、日本の介護施設を回って、実習をしたりボランティアをして回りました。日本でも老人病院、特養、老健施設、十カ所ぐらい実習をさせてもらいましたし、シンガポールの老人ホームでは一カ月ぐらい、イギリスの老人ホームも住み込みで一カ月、アメリカの老人ホームでもボランティアとして手伝わせてもらったことがあります。
 そのときに私が感じたことは、アメリカでも移民労働力が介護現場の中心となっておりました。やはり、賃金が安いという部分もあって、労働条件も悪いということで、移民労働力が中心でありました。イギリスでも、ロンドンあたりではかなりそうでありました。例えば、私がボランティアをしていたシンガポールの老人ホームでは、そこでは介護現場はシンガポール人はほとんどタッチせずに、半分がスリランカからの外国人の介護者、半分はフィリピンからの介護者でありました。
 それで、そのときに私はつくづく感じたんですね。シンガポールで、介護は安い外国の労働者にやってもらう、そういう私が行ったシンガポールの老人ホームの一部の姿だったわけなんですけれども、その姿を見て、本当にこういうことでいいのかなということを考えさせられました。シンガポールのお年寄りは、中国語です。ところが、フィリピン人もスリランカ人も中国語はほとんどしゃべれません。そのことをフィリピン人やスリランカ人に聞いたら、いや、会話は余り必要ない、食事をさせてトイレへ連れていっておふろへ入れる、シャワーを浴びさせるぐらいだから、会話は中国語ができなくてもいいというようなことを言っておりました。
 しかし、私も介護問題をライフワークとする人間として、例えば今の老人ホーム、七割が認知症のお年寄りです。どういうコミュニケーションか。御飯食べましたか、食べていないと。食べていないと言うけれども、本当は食べているんですよね。それで、でも、さっき食べたんじゃないのと言う。家に帰りたいと言う。でも、そのあなたの言っている家というのはどこですか。それは今の家じゃなくて、もう二十ごろの家だったりする。非常にコミュニケーションは、これは日本人でも難しいわけなんですね。
 そういう意味では、この介護、看護の現場というのは、ただでさえ非常に労働条件も過酷ですし、かつ、ハイレベルのスキルがこれからますます求められている時代であります。そういうときに、安易な安上がりの労働力ということで万が一あるならば、そういう形で入れるのは非常に問題が多いと思っております。
 ただし、一言つけ加えますと、スリランカ人、フィリピン人あるいはメキシコから来た介護スタッフと私も一緒に老人介護のお手伝いをしましたが、みんな非常に心優しいです、心優しい。もしかしたら日本人よりお年寄りを大切にする気風は残っているかもしれません、個々人は。しかし、個々人はそうであっても、その方々が大量に入ってくることによって、労働条件が今まで以上に悪化するんではないかということを非常に私は危惧しております。
 そういう観点から質問をさせていただきますが、まず、麻生大臣、中心のことですので最初に一問お伺いしたいんですが、ちょっと私も調べさせてもらいましたら、大臣の地元福岡でも御親戚の方が麻生飯塚病院というのを経営されている。うなずいておられますが、この病院では八月から看護師が七対一というのを策定しており、人員増により安全なケアが提供されていると考えられて、大変喜ばしいことであると。
 しかし一方で、この七対一という仕組みの導入によって、今まで以上に看護師不足というものが深刻化しているわけですね。こういうときに今回のEPAというのが導入されるのは甚だ問題があるんではないか。具体的には、フィリピンの看護師が安上がりな労働力確保の突破口となって、日本の介護、看護労働市場に悪影響を与えるのではないかと危惧されます。
 日本の看護師不足の一つの大きな要因として、労働環境の低さに起因する離職率の高さ、後でも述べますが、一年目にもう九%も離職されているわけです。それで、フィリピン看護師が日本の看護師免許を取得する前後の労働者保護を徹底しないと、製造業のように安価な労働力に転じてしまって、結果的に日本人看護師の労働環境が影響を受け、看護師不足あるいは介護士不足に拍車がかかるのではないか、こういう心配をしております。
 今回の条約の責任者、外務大臣として、このような受け入れが労働条件の悪化につながって、さらなる労働力不足につながるのではないか、このような懸念に関して、麻生外務大臣の見解をお聞かせください。

○麻生国務大臣 これは山井先生御存じのように、一番の問題は労働力がないことですよ。介護士という労働力がないの、それに対して需要が多いの。需要がすごくふえているんですよ。しかし、ないのは、万といたり、毎年ふえていますよね、ギャップが。すごくふえているんですよ。その介護士という労働力が不足しているギャップをどうやって埋められようとしておるのかが私らにはよくわからない。私どもは看護学校を持っていますから、自分たちのところはそれでできないわけじゃありませんよ。しかし、ないというところは、うちはないからだめですと言われるところがふえているところが大きな背景になっていた、私の知っている範囲ではそれが大きな背景だったと思っております。
 それから、少なくとも、アメリカで看護婦の資格を取ったフィリピンの人たちが大勢おられるということも事実。そして、その人たちがそこそこの年齢になってから日本に来る。いや、そんな難しい顔をされるけれども、難しい話じゃないんであって、普通の話ですよ、この話は。難しい顔をする傾向があるのかどうか知らぬけれども、難しい顔をされると、こっちはもっと易しくしゃべらなきゃいかぬかと思っていろいろしゃべらないかぬのですが。
 労働力の絶対量が不足していないという前提で話をされるのか、看護師、介護士という労働力が不足しているという前提でしゃべるのかによって私は全然考え方が違ってくると思いますけれども、少なくとも看護婦、介護士、いずれも、いわゆる町の病院で見ていると、看護婦というのは皆不足しておるというのが多く聞かれる話でもありますので、私どもとしては、そういったものを考えるという点においては、外国人労働者というのは大きなものだと思っております。
 それから、これはたしか契約においては日本人とほぼ同じようなものを払わなければならないというように規定されていると記憶をしますので、そういった点については、もしそういうことを満たしていないというのであれば、その段階で、それは違反しているわけですから、むしろきちんとそういったものに対応していくというのが大切なんであって、払われないかもしれないと言うけれども、一応規定は払うことになっておりますので、それを前提にして話をしないと、あれもこれもと可能性だけいろいろ言っていくと、なかなか現実には即さないことになるのではないかと思います。

○山井委員 私、実は、今麻生大臣の答弁を聞いて、ちょっとびっくりしたんですね。というのが、今回のEPA受け入れの大前提は、人手不足対策ではありませんというのが今回の受け入れの大前提なんですよね。であるにもかかわらず、今の大臣の答弁を聞いていると、これだけ人手不足なんだからという答弁がのっけから返ってきたので、ええっ、ちょっとこの話は前提が変わってくるなと思うんです。
 それで、麻生大臣、お聞きしたいんですけれども、私が質問したのは、これを受け入れたときに、それによって日本の労働条件、看護師さん、介護福祉士さんの労働条件が低いまま固定化されたり、今、離職率が介護職員で年間に二二%、介護士さんで一年目にもう九%やめてしまう。本来、労働条件を向上させて人を集める、賃金も上げる、これが先決だと思うんですが、そのようなことに対して、安易にフィリピンから安い労働力を入れる、同等の賃金とおっしゃいますが、やはりその施設の職員では一番安い労働力に事実上はなると思うんです。それによって、労働力が向上するブレーキになったり、労働条件悪化につながらないか、このことについては、麻生大臣、どう思いますか。

○麻生国務大臣 これは、グローバライゼーションの中で人のグローバライゼーションというのが大前提になっているというのは、EPAに関して言わせていただければ、いわゆる世界じゅう同じようなグローバライズされているというのが大前提、それはもう当然御存じのことだと思いますので、その点は触れなかったというだけの話だと思います。
 それから、今の話で、扱いというか、そういった賃金とか環境というものがどんどんどんどん劣化していくのではないかという御心配のように見受けられますけれども、少なくとも、そういったようなことは規則で決められているという大前提、規定が最低限決められていますので、その規定を大前提にして話をしないと、その規定が守られなかったからどうするかという話は、それは守られなかったらそこはきちんと指導するなり介入するなり、いろいろなやり方をしていくのが当然なんだと思っております。
 少なくとも、今のような状況の中で、私どもは、今の現状を考えたときに、いろいろ、やめていく比率が高いというのは決して、病院によっても違いますし、病院には人が居つかない病院もあれば、ずっと定着する病院もあれば、実にいろいろなんですよ、これはもう御存じのように、渡り歩いておられるという経験がおありのようだから。だから、そこらのところも、その病院によって種々違いがありますので、離職率が高い病院は、どうしてその病院は離職率が高いのかというようなところも調べてみるというのも非常に大事なところだと思います。

○山井委員 まさに、二年間受け入れて労働条件が悪化していないかどうかというのを検証するのは、これは非常に大事だと思うんですよ。麻生大臣は、そういうことにならないようにするということで、そこはきっちり守っていただきたいと思うんです。
 そこで、例えば、これはイギリスでも問題になったことがありまして、劣悪な労働条件で看護師さん、介護職員が働かされたということや、アメリカでもそういう問題が出てきておりまして、その結果、結果的には看護師さん、介護職員の労働条件が悪化して、いわゆる自国民が魅力のない職場と考えて、集まりにくくなって、結果的には外国人を受け入れたことが人手不足に拍車をかけてしまった、そういう問題点もイギリスやアメリカでは出ているわけです。
 そこで、厚生労働省にお伺いしますが、だれがどのようにして今回の就労、研修状況というのをチェックするんですか。

○岡崎政府参考人 国際厚生事業団が、あっせんからその後の就労等につきまして、すべて支援、それから相談をするということとともに、そこが年一回各事業場からきちっと報告を受け、また巡回して指導もする、こういうことにしておりますので、第一義的には、国際厚生事業団が今先生がおっしゃったようなことについてきちんとやられているかどうかを把握するということにいたしております。
 さらに、労働基準法違反その他という問題が生ずれば、これは権限がある機関がそれぞれきちんと対応する、こういうことにしていきたいというふうに考えております。

○山井委員 年一回報告書を出してもらう、あるいは巡回するということで、本当にこれ、チェックできるんでしょうか。
 きょうの資料の最後のページにも入れましたが、例えば、「外国人研修見直し 劣悪な環境、失跡が問題化」という共同通信の記事もあります。これによると、二〇〇一年から五年間で八千三百人の研修生、実習生が失踪し、行方が不明になっているというようなこともあるわけなんですね。やはり、これは本当に、今おっしゃった国際厚生事業団で年一回のチェックでいけるのかというのが、私は非常に心配に思っております。
 このことは後ほど触れたいと思いますが、これはぜひ、こういうことを受け入れるとともに、やはり看護師あるいは介護職員の労働条件がよくなるような取り組みと並行してやらないと、これは問題があると思うんです。
 そこで、まず看護師の方についてお伺いしたいと思いますが、ちょっと資料を見ていただきますと、資料の表紙に、病院に就職した新人看護職員の離職率は九・三%と。ここにパネルもつくってまいりました。今、看護師不足が非常に深刻です。私も先日、二日間、ある病院で看護師さんと一緒に回らせてもらいました。夜中の三時、四時、夜勤のときにナースステーションで話を聞いていると、私、実はもう二年前からこの病院をやめたいと言っているんだけれどもやめさせてもらえないの、やめたらもう次の人が来ないのということをおっしゃっておられまして、看護師不足、本当に深刻になっているんですね。
 その一つのポイントは、新しい人を入れることも大切なんですけれども、せっかく養成した人がどんどんやめていったら、これは本当にもったいない話なんですね。それで、これ、九・三%、十一人に一人は一年以内に離職してしまっているんです。麻生大臣の御親戚は麻生医療福祉専門学校というのも地元で経営されていると聞いておりますが、看護師学校養成所百四十校分に相当する人が一年間でやめてしまっているんですね。では、なぜなのかということです。
 それを見てみますと、「新卒看護職員の職場定着を困難にしている要因」というこの資料を見てみますと、トップが、「看護基礎教育終了時点の能力と看護現場で求められる能力のギャップ」、これが病院調査でも七六%、学校調査でも八〇%でトップなんですね。今、医療事故の問題とか非常に深刻になっています。いろいろ、ヒヤリ・ハット事例、そういうものを自分自身経験してしまった新人看護師は、もう怖くなってやっていく自信がなくなるというケースが非常に多いわけです。
 それで、厚生労働省にお伺いしたいんですが、幾つかに分けてちょっと細切れに質問しますが、まず、現時点で日本は三年制ですよね、白石審議官。この今の三年制の看護基礎教育、それで非常にこういうふうに、これでは不安で離職率も上がっているという現実もあるんですが、この三年制で、今のカリキュラムで十分だというふうに厚生労働省、考えておられますか。

○白石政府参考人 委員御指摘のとおり、看護職員の労働実態、いろいろ調査で把握しておりますと、離職率、今新人の御指摘がございましたけれども、全体の職員でも大体一一%ぐらいという実態でございまして、特に夜勤の回数等々は、いろいろな看護の基準等もございますので、着実に改善はしておりますけれども、今御指摘がありましたように、医療技術の進歩、あるいは患者の高齢化等による重症化、そういったこともありまして、看護職員の役割は非常に複雑多岐になっている。しかも、いろいろな安全の話もございました。そういうことから考えれば、全般的に業務密度が高まっているというふうに私どもも考えております。
 そうしますと、それに対応するためにということで、いろいろなレベルでの研修あるいは資質向上ということ、あるいは職場環境の改善という観点で例えば院内保育所とか、そういうふうなこと等々もあるわけでございますけれども、その中で、特に御指摘になりました新人の場合のことを考えると、看護基礎教育の御指摘がございましたけれども、そこの部分につきましては、御指摘のように、養成所の修了時点の能力と現場で求められるレベルというものの間には乖離がある、必要な能力が必ずしも身についていないのではないか、特に実習がなかなか思うほど行われていないんじゃないかというふうなことが、いろいろ指摘がございました。
 それを受けまして、本年の三月から、看護基礎教育を充実すべきだという観点からの検討会を組織いたしまして、今も議論が行われているという事態でございます。今後とも看護基礎教育の充実が大変重要だという観点で、現在、見直しの議論が進められているということでございます。

○山井委員 麻生大臣、申しわけございません、それで一つお伺いしたいんですが、今答弁があったように、今、日本は看護基礎教育は三年なんです。フィリピン、今回受け入れるわけですけれども、フィリピンは何年か。麻生大臣にお伺いしておりますが、麻生大臣、いかがですか。フィリピンの看護基礎教育、何年か。

○麻生国務大臣 他国のことまでよく知りませんけれども、たしか看護大学、四年じゃなかったですかね。

○山井委員 そうなんですよ。日本は三年なんです。ところが、今回受け入れる、来てくださるフィリピンの方は四年なんですね。今白石審議官から話がございましたが、日本では実習が少ないのが問題になっている。例えば、フィリピンでは四年で、看護師の基礎教育、実習時間が二千百四十二時間。それで日本は半分以下の千三十五時間、そういう統計もあるんですね。
 この件について、私、先日、厚生労働委員会で取り上げまして、この基礎教育を三年から四年にする必要があるのではないかということを質問しましたら、川崎大臣からは、その方向性で検討しなきゃいかぬと考えていますという答弁をいただいておるんですが、三年制を四年制に向けて基礎教育延長を検討するということについて、厚生労働省、いかがでしょうか。

○白石政府参考人 議員御指摘のように、看護基礎教育の充実が重要だということで、先ほど申し上げましたように、看護基礎教育の充実に関する検討会を開催して検討してございますが、その中におきましては、この問題も当然視野に入っている、そのことも議論の俎上に上っているという状況でございます。

○山井委員 確認ですが、そうしたら、四年制に延長するということも視野に入れて検討しているということでいいですか。

○白石政府参考人 そのようなことも排除せずに議論が行われているのを見守っているところでございます。

○山井委員 ぜひこのことは、繰り返しになりますが、やはり人手不足の根本的な解消、労働条件をよくしていく、またこういう新人看護師さんが離職しないようにする、そういうこととセットにしないと、やはり何か安上がりの労働力を入れて、日本は看護師人手不足、介護職員人手不足の問題を解消するんじゃないかということを思われたら、若い日本の看護師あるいは介護職員志望者が減っていってしまうと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。
 それでは、千人が入ってくるわけですが、この千人、その就労状況、ちゃんと就労しているのか。残念ながら、外国人の研修生、実習生では、女性の方がセクハラに遭ったり、あるいは寮に閉じ込められて逃げようにも逃げられなかったとか、そういうこととかも問題になっているわけで、これはチェック体制が非常に重要だと思っております。
 それで、まずお聞きしたいんですが、千人が行かれた施設、病院は、どこの施設、病院に行かれたかというのは、当然これは公表されるんですね。

○岡崎政府参考人 個々の受け入れ施設については個別の問題でございますので、その受け入れ施設自体を個別に公表するということは、現在のところ考えておりません。

○山井委員 それはちょっとおかしいんじゃないですか。千人も入ってきて、どこにいるかは公表しない。私たち国会議員が、どういう仕事ぶりをされているか一回見に行きたい、訪問して激励したいと思っても、教えてもらえないんですか、それは。

○岡崎政府参考人 就業状況については国際厚生事業団が責任を持って対応いたしますが、個々の受け入れ施設との関係において国会その他から要請があった場合には、必要に応じて私どもとしても対応するということは考えてまいりたいというふうに考えております。

○山井委員 でも、必要に応じてじゃないでしょう。隠すものですか、こういうのは。まさに国際交流をやっていくんでしょう。隠すのはおかしいんじゃないですか。そうしたら、これは、来年か再来年の四月かからもしかして入ってきて、どこに入ったかもわからないわけですね。それで二年間終わってしまうわけですね。それは問題じゃないですか。このこと、ぜひちょっと後でまたこれは詰めないと、こんなこともオープンにしないというやり方は私は大問題だと思いますよ。もし何か問題が起こったときにチェックしようがないじゃないですか。
 それで、そのチェックが国際厚生事業団で、これが年に一遍、巡回とか報告書なんですけれども、それで本当にチェックできるんですか。国際厚生事業団というのは、人数、何人ですか。

○岡崎政府参考人 国際厚生事業団、現在の職員は十六人というふうに理解しておりますが、これは、今その業務をしていない現在の状況の人数でございます。当然のことながら、この業務をするに必要な人員については国際厚生事業団の方で手当てをして、必要な体制を組んでいくというふうになると承知しております。

○山井委員 いや、それを何人にするのかとか、きっちりこれは審議の中で言ってもらわないと、十六人で千人の人をチェックする。ただでさえ、今までこういうのが、サービス残業とか、あるいはうまくなじめなくて、それこそいじめられてしまう人ももしかしたら出てくるかもしれない。あるいは、私も特養で一日六十人のおむつ交換とか入浴介助五十人とかやりましたけれども、これは本当に腰痛になりますよ。腰とか痛める方もめちゃくちゃ多いんですよね。
 そういう意味で、これは、ある意味で大切な、来られたフィリピンの方がきっちり就労できているのかというのを、千人をチェックするというのは非常に重要なことですよ、支援も含めて。それを十六人で、まだ何人にふやすかわからない。
 それで、年に何回行くんですか、現場に。

○岡崎政府参考人 チェックにつきましては、受け入れ施設からの書面による報告と、それから国際厚生事業団から少なくとも年一回は行く。ただ、これは通常のペースで行くということでありますが、フィリピン人の就労している方からいろいろな苦情、相談があった場合には、当然のことながら必要な回数随時対応していく、こういうことを考えているところであります。

○山井委員 それは、年一回訪問して、二年間で二回かわかりませんけれども、それでどういう状況になっているのか、これはきっちり把握できないですよ。今まで、五年間で、ほかの外国人研修、実習生、八千三百人も失踪しているわけでしょう。あるいは、これは本当に体を壊される方も多いですよ。
 そういうきっちりとしたサポート体制をつくらないと、私も現場によく行きますが、今でも、サービス残業で、夜勤が八時に明けても十二時ぐらいまで残っている介護職員というのは多いわけですよ。そういうことも原因で、三十歳になったらもう仕事を続けられない、子供を産んだら仕事を続けられないということで、多くの介護職員が、よりお年寄りを大切にしたいと思っても、バーンアウトして倒れていっているという現状があるわけですよね。そういうある意味で過酷なところに、言葉も不十分なフィリピンの方に来てもらいながら、年に一遍の巡回、それではきっちりとこれはチェックできないんじゃないんですか。
 そうしたら、二年後にこれは千人の枠を見直すことになっているわけなんですが、どのような項目で、労働条件が悪化していないかとかうまくいっているかとか、そういうことをいかにしてチェックするんですか。どういう体制ですか。

○岡崎政府参考人 二年間千人という枠は現在通知しているところでありますが、その後については、それまでの間の受け入れ状況等を勘案して判断していく、こういうことにしております。当然のことながら、問題が生じていないかどうか、それから、労働条件その他に問題が生じていないかどうか、そういったことも考慮しながら考えていくことになるというふうに考えております。

○山井委員 それは、十六人なり、ちょっとふやしても、それで千人がきっちり就労できているかとか、そんなことをチェックできるはずないじゃないですか。それは無理ですよ。だから、やはりそういう体制を整えてこういう法案を出してもらわないと、それは困りますよ。
 ただでさえ今、労働市場の規制緩和で、偽装請負だとか社会保険の加入漏れとか、日本の国内の人でも非常に深刻なんです、問題。それを、自分の権利も主張できない、そういう日本語もたどたどしい女性が例えば一人でぽんと来て、セクハラにでも遭ったり、体を壊したときにどうするのか。やはり、そういう体制をちゃんと答弁できないと、こういう法案も通せないですよ、これは。
 次に、そのことに関連して、では二年後、例えば二年間は千人ですけれども、その後、二千人にするか五千人にするか、あるいは五百人に減らすかということに関しては、そのときは、きっちり当然この報告をして国会審議をして、労働条件の悪化につながってないかとか、そういうことを検証して、これはきっちりチェックしないとだめだと思うんですが、二年終わって、その後の受け入れ枠の数を決めるときに、国会審議というのは当然してもらえるんでしょうね。

○麻生国務大臣 今、四百人プラス六百人、合計千人ということで、とりあえず今回の場合千人、二年間ということでスタートをするということであって、まずは円滑なスタートをさせるということが大問題だと。最初のとき、とにかく、山井先生、これまでずっとこれは議論してきたところで、この話はもう長いんですよ、十年以上やってきている話ですから。
 そういった意味では、この話を千人でスタートさせるということでありまして、それがどういう結果になるかというのに関しましては、今御指摘にありました質問のところも出てくるでしょうし、うまくいくところもあるでしょうし、これは実にいろいろ差が出てくると思いますね、私どもの感じでも。うまくいっているところのようにしてもらえばいいわけなんであって、そういったところにつきましては、この人数枠を今後どうするかについて、今の段階で全く何にも決まっておりません。
 フィリピン政府からも、取り急ぎ千人だけれども次は二千人ですよなんという要望も向こうからは正式に出てきているわけではございません。

○山井委員 それで、麻生大臣、お聞きしているのは、その次の人数を決めるときには国会審議をしてもらえるんですねということです。

○麻生国務大臣 今の段階でその件について特に詰めたわけではありませんけれども、まずはスタートしてみた結果どうなるかというところを見ているだけであって、次の場合のときに、千人を二千人にふやすときに、法律にするのかとか、法案にしてまた出すのかとか、国会審議をするのかを含めて、今の段階で詰めているわけではございません。

○山井委員 やはりそれでは非常に心配なんですね。
 その二年後、労働条件が悪化しているか、あるいは賃金の低下を招いていないかとか、いろいろなさまざまな問題が出てきて、もしかしたらフィリピンは、では次は五千人だ、一万人だと言ってくるかもしれないし、もしかしたら現場の職員じゃなくて経営者の方々は、こういう安い労働力が入ってきてくれるんだったら、うちも入れてくれ、うちも入れてくれ、同じ賃金でももう人が集まらないからうちも入れてくれというふうになる可能性があるんですね。
 やはりそこは国会に検証結果を報告して審議をするということを言ってもらわないと、一回これを決めたら、二年後、もしかしたら一万人になるかもわかりません、そのときは野党はもう議論に加われませんよということでは到底納得ができない。いかがですか。

○麻生国務大臣 転ばぬ先のつえという話はよくあるので、多分そのおつもりなんだろうとは解釈しておりますけれども。受け入れの人数の枠について等々は、これは今まさに始まるばっかりですから、今の段階から、二年後の先はどうなるということを今は申し上げられるわけではありません。
 ただ、基本的には円滑にスタートさせることが大事なんだと思っておりますので、この問題に関しましては、この二年間の実績等々を踏まえて、国民の間にどのような反応が出てくるか、どういった意見が出てくるか、もっと受け入れろという意見が出るのか、それとも、いや、とてもいけないというのが出てくるか、これまた病院によって、人によって違うということも確かだろうと思いますが、そういったところを踏まえて研究をしていかねばならぬところだと思っております。

○山井委員 いや、それでは到底納得ができませんので、ぜひ、委員長、これは理事会でこのことは議論をまたしていただきたいと思っております。二年後、結果がきっちり報告されて、私たちもきっちりそれを議論できるという担保がないと、これはそんなフリーハンドを与えるということは私は極めて問題だと思っております。
 これは先ほどの答弁にもありましたけれども、では、うまくいっているのかチェックしたいと思って私がその現場を一回見させてくださいと言っても、これは教えてくれないわけでしょう。だから、チェックしようがないじゃないですか。それで厚生事業団がたった十六人しかいなくて、うまくいっていますという報告書が出たら、それはマスコミも、多分、公表されないんだから行けないし、ブラックボックスじゃないですか、そんなの。このことはちょっと今後も議論していきたいと思います。
 それで、もう一つ大きな問題点は、きょうもパネルにつくりましたし、資料の二ページ目にも入れておりますが、今回三つのスキームがあって、一つ心配なのは、先ほど丸谷先生も質問されたかと思いますが、養成校コースは、このコースが唯一、養成学校に行けば試験なしで介護福祉士を取れるわけなんですよ。ところが、恐らく来年の通常国会には、この介護福祉士法が改正で、すべての日本人は試験を通らないと介護福祉士になれないという法案が出てくると予想されているんです。
 そこで、お伺いしたいと思います。
 その法案が可決された暁には、すべての日本人は試験を通らないと介護福祉士になれないということになります。そしたらその時点では、当然、この今回のEPAにおいても、フィリピンの方も日本人と同様に試験を受けてないと介護福祉士になれないということでよろしいですか。

○中村政府参考人 お答え申し上げます。
 介護福祉士制度については先ほど来議論に出ておりますので省略させていただきまして、本年七月、私どもの方の介護福祉士制度の見直し検討会につきまして、今、山井委員から御指摘ございましたように、すべての者について一定の教育プロセスを経た後に国家試験を受験するという方向で一元化を図ることが適切ではないか、こういう報告書がまとめられたところでございます。
 その上で、現在、社会保障審議会の福祉部会で九月よりこの議論を行っておりまして、成案が得られましたら、来年の通常国会の方に所要の法案を提出することといたしたいと考えております。
 一方、それで、もし、この法案が提出されまして、仮にすべての者に国家試験を課すこととされた場合でも、現在養成ルートにいる人たちのこともございますので、施行されるまでには数年の準備期間が必要であるというふうに考えており、現行制度がその法案が通った暁に直ちに実施されなくなるというものではございません。
 けれども、今回の日比経済連携協定に基づくこの介護福祉士候補者の受け入れに係るスキームは現行の資格取得体系を前提としたものでございますので、我が国の介護福祉士資格取得方法の見直しが行われた場合には、協定との関係で問題が生じないように、関係省庁とも緊密に協議してまいりたいというふうに考えております。

○山井委員 明確に答弁してください。
 その法案が通れば、日本人はすべて、介護福祉士は試験が必要になってくるんです。そのときには、当然日本人と同じように介護福祉士の試験をフィリピン人も受けることになるんですね。裏返せば、日本人は全員試験を受けないとだめなのに、フィリピン人は試験を受けなくても自動的に介護福祉士になれる、そんなことはおかしいと思います。明確に答弁をお願いします。

○中村政府参考人 具体的なことにつきましては、私どももまだ法案提出について審議会で議論をしているところでございますので、法案審議の際に御審議いただきたいと思いますが、私どもは、基本的な考え方は、あくまでも現行制度に基づいてこの協定がつくられているということですので、現行制度が変わった場合には、その変わった制度に基づいて基本的には考えていく。私どもは、今度の場合でも、日本とフィリピンの方、同等のものとしてお願いしているものでございますので、当然そういう前提で私どもは考えてまいりたい。しかし、これは外交の問題もございますので、そういった意味で、関係省庁とよく協議はさせていただきますが、あくまでも私どもの基本は、今回も同じように、国内と入ってこられる方は同等ということを基本に考えております。

○山井委員 もう時間がなくなりましたので、最後に一言で終わりますが、今おっしゃったように、フィリピンでも一番関心が高いのは、試験はハードルが高いからこれは無理だな、やはりねらい目は、養成校に行ったら自動的に免許がもらえる、ここだなということになっているわけですよ。
 だからここは、中村局長は今微妙な発言で、厚労省としてはそう思うけれども、外務省とまた協議をしたいということですが、これは法案審議をしているんですからね、法案審議中にそこはぴしっと結論を出さないと、これが、フィリピン人が日本人と違って、試験を受けなくても資格を取れるんだという今回の議論なのか、それは違うんだ、日本と同じようにしっかりと資格を取らないとだめなんだということになれば、今回の審議の中身、違いますから、来週水曜日も質疑をしますので、それは早急に結論を出して、次のときには答弁をしていただきたいと思います。
 以上で質問を終わります。ありがとうございます。

Posted at 2006年11月01日 固有リンク | Comments (0) | TrackBack

2006年11月