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厚生労働委員会議録(がん対策基本法提案理由説明)

164-衆-厚生労働委員会-27号 平成18年06月02日

○山井議員 私は、民主党・無所属クラブを代表して、民主党提出のがん対策基本法案について、提案の理由及び法案の概要を説明いたします。
 本法案提出後、二カ月がたちましたが、やっと本日、がん対策基本法の趣旨説明ができることに感激をいたしております。
 命を救うことが政治家の仕事であると、我が党の山本孝史参議院議員は去る五月二十二日の参議院本会議場で演説をされました。しかし、日本の政治は人の命を救うために十分なお金を使ってきたでしょうか。死因トップのがん対策に十分なお金を使ってきたでしょうか。
 政治とは人の命と尊厳を守ることであります。その意味でも、死因第一位であるがんの対策は、国家の最優先課題とし、首相をトップとして行うべきであります。

 アメリカでがんによる死亡率が減っているのに、なぜ日本ではふえ続けているのでしょうか。アメリカでも、一九七一年にキャンサーアクト、がん対策法が制定され、がん対策が一気に進み、がんによる死亡率も低下しました。つまり、がん対策は政治の決断にかかっているのです。
 厚生労働省の予算の範囲内で総花的にさまざまな事業に予算を少しずつふやしても、国際的に大きく立ちおくれている日本のがん対策を一気に進めることはできません。予算獲得のためには根拠となる法律が必要であります。
 昨日発表された二〇〇五年の統計でも、がんは死因のトップであり、年間三十二万人、国民の三人に一人ががんにより亡くなっており、がんはまさに国民病であります。
 しかし、これまでの政府の対応は、多くの患者やその家族の期待にこたえておらず、患者の不安や苦悩に寄り添い、積極的に患者の求める情報を提供、開示し、問題を共有するという姿勢が欠けていました。従来どおりの微々たる財源投入では、いつまでたってもがん対策は遅々として進まず、がん治療の地域間格差、病院間格差は広がるばかりです。
 そして、患者やその家族は、不安と悩みに苦しみながら、がん難民となって、もっとよい治療法があるに違いないと、良質な医療と的確な情報を求めて各地をさまよい続けることになります。
 例えば、ある乳がんの患者は、半年の間に二度、胸にしこりが発見されましたが、良性と診断され、三度目に悪性、それも肺にまで転移していると診断されました。その後、胸の切除手術。しかし、次の診断を受けた病院では、その切除手術は必要なかったと診断され、その女性はショックで涙が出てとまらなかったそうであります。
 実際、国立がんセンターの調査でも、がんセンターを受診した乳がん患者のうち、それまでに基準に近い治療を受けていた患者は四九%にすぎず、二四%はかなり基準から外れた治療を受け、二七%は逆に治療でがんが悪化していました。このような状況の中で、先進国日本で、がん患者はよりよい治療を求めてさまよい、がん難民となっているのです。
 このようなおくれたがん対策の現状を放置してよいはずがありません。全国どこでも一定レベルのがん治療が保障されるべきです。
 民主党は、がん対策を総合的かつ一元的に強力に推進するためには、今こそ国家を挙げて、がん対策の基本理念、国及び地方公共団体の責務、基本的な施策等を規定した法律が必要であり、本法案を提案いたしました。このがん対策基本法にのっとり、日本の専門医の力を総結集し、標準治療の確立と充実、早期発見、予防医療の推進、専門医の養成のため、人と財源を集中投入し、国民の命と尊厳を政治が守りたいのであります。この法律によって我が国のがん医療を飛躍的に前進させることができます。
 ただし、がん対策だけが進めばよいと考えているのではありません。日本の医療の問題点の多くががん対策のおくれに集約されています。がん対策基本法の制定を突破口として日本の医療を患者中心の進んだものにしたいという願いを込めて、法案を策定いたしました。
 次に、法案の概要を説明いたします。
 第一に、基本理念として、今苦しんでいるがん患者に対して病状や治療方法について適切な説明がなされることにより、がん患者の理解と自己決定に基づいたがん医療が提供されるようにすること、がん医療に関する最新の情報に基づいた適切ながん医療が提供されるようにすること、外国において有用であると認められたがん医療が日本でも提供されるようにすること、がん医療の提供に当たって可能な限り苦痛を軽減するとともに、日常生活の質をできる限り良好な状態に保つように配慮すること、また、がんに関する調査研究を促進し、がんの予防、診断及び治療に関する方法の開発を行われるようにすることを定めます。
 第二に、国は、基本理念にのっとり、積極的にがん対策を推進し、地方公共団体は国と協力しつつ、当該地域の状況に応じたがん対策を推進することとし、政府は、がん対策を実施するために必要な法制上または財政的措置を講じなければならないことといたします。
 第三に、基本施策として、地域格差によるがん医療格差が生じないようにするため、つまり、国及び地方公共団体は、がん患者が日本じゅうどの地域に住んでいても、がんの状態に応じた適切な医療が受けられるようにするため、医療機関の整備、がん医療にかかわる医師、看護師その他の医療従事者の養成、がん登録の実施、がん情報ネットワークの構築、緩和医療の提供の確保を行うことといたします。
 第四に、がん対策を総合的かつ計画的に推進するために、首相の国民の命を守ることの強い思いを国民に示すために、内閣にがん対策推進本部を設置することといたします。
 第五に、がん対策推進本部は、毎年がん対策計画を公表し、医療機関の整備の推進、がん医療に関する客観的な評価、がん医療に携わる医師及びその他の医療従事者の養成、がん登録の実施、がん情報ネットワークの構築、適切な緩和医療、日常生活の質の保持、がんに関する調査研究、がん検診等について講ずべき施策を定めたがん対策の推進に関する計画を作成、公表し、三年ごとに計画を更新することといたします。
 なお、がん対策には一刻の猶予も許されないという切迫した現状にかんがみ、この法律は、公布の日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日から施行するものとします。
 以上が、本法案の提案理由及びその概要です。
 がん患者の方々からも、一日も早くがん対策基本法を成立させてほしいと切々たる要望を受けています。しかし、財源も十分に伴わない、つまり、法律ができてもがん対策が今まで以上に進まないような法律では、がん患者の方々の期待を裏切ることになります。
 がん対策基本法は、決して政治家や政党の得点稼ぎや自己満足であってはなりません。そのためにも、十分な財政措置を伴い、しっかりした中身のある法案にせねばならないという基本姿勢で本法案を策定しました。
 がん対策については、今年度の政府予算は百六十八億円ですが、本法案では財政上の措置は五百億円と見積もっております。
 なお、がん対策は党派を超えて行うべきものであり、本法案についても、必要であれば修正協議に応じる用意はあります。
 我が党の医療制度改革チームの座長であった今井澄参議院議員も、がんによりお亡くなりになられました。
 そして、この法案は、四年前にがんを発病され、胃の全摘手術を受けられた仙谷由人衆議院議員が、がん患者という当事者として中心となって法案作成をリードし、多くのがん患者の方々の切なる願いを込めてつくり上げました。また、我が党の山本孝史参議院議員も、がんと闘いながら、一日も早い法案成立のために必死の思いで取り組んでいます。
 最後になりますが、二千人のがんの患者大集会を企画、成功させ、がん対策基本法の制定を切に待ち望んでおられたのが三浦捷一医師でした。三浦さんは、みずからもがんに侵されながらも、がん難民をなくすために闘い続けられましたが、がん対策基本法の制定を待つことなく、昨年末に静かに息を引き取られました。ホームページで公開された遺言とも言える最後のメッセージの一部を御紹介します。
  夢 何の成功の目途もないままに始めた患者大集会企画が成功し、がん患者の声を世にアピールするきっかけとなったこと、いつの日か支援機構のようなものができればと思っていたことがすでに発足したこと。私はただひたすら夢に向かって歩き続けてきた。結果的には私は病状を悪化させ、長期展望にたったがん患者の望む理想的な夢である日本がん情報センターの実現にもはや何の貢献もできなくなったが、どなたかがこの夢をひきついで下さることを最後の夢としている。
この三浦さんのメッセージを、国会がしっかり受けとめねばなりません。
 以上、本法案を御審議の上、速やかに可決していただきますよう切にお願い申し上げます。(拍手)

Posted at 2006年07月11日 14:16 | TrackBack
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