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厚生労働委員会議事録(医療制度改革関連法案)

164-衆-厚生労働委員会-20号 平成18年05月10日
 

○山井委員 これから五十分間にわたりまして、川崎大臣、赤松副大臣に質問をさせていただきます。よろしくお願いを申し上げます。
 一昨日、福島県で地方公聴会を行わせていただきました。その中でも、医師不足の問題、また勤務医の労働基準法違反とも言える過重労働の問題、そのことによって、このままでは、若手医師も集まらず、小児科や産婦人科、救急医療は崩壊する、そういう危機的な声を聞かせていただきました。そんな中で、きょうの私の五十分間の質問では、主に医師不足問題と小児科、産科などの勤務医の労働条件の改善について議論をしていきたいと思っております。
 このことについては、アメリカのワシントン・ポスト紙でも、日本では出産に新たな苦悩が出ている、アメリカでも取り上げられております。

 きょうも朝から議論を聞いておりましたが、福島議員、大村議員からも、診療報酬の改定、また医師不足の問題、このことについて産科、小児科対策をどうするかという議論が出ておりました。またその中でも、とにかくこの法案を通して、その後フォローをしていこう、そういう声も与党からございました。私は、これはやはり極めて無責任であると思っております。まさにこの医療制度改革の一つの大きな核心が、今全国で危機的な状況にある小児科、産科、救急医療、麻酔科や外科、本当に言い出せば切りがありませんが、そういう医療崩壊、そして医師、特に勤務医の不足問題、やはりこの問題をどうしていくのか、このことに方向性を出さずしてはこの審議というのは終われないと思います。
 きょう、資料をお配りしておりますので、お目通しいただければと思います。
 そんな中で、今の古川議員の質疑でもありましたけれども、今回の法案の中で、都道府県に任せていくという方向性が出ております。しかし、都道府県の力では財源も権限も全く足りない。私も多くの都道府県の関係者に聞きましたが、このままでは本当に大変なことになるという声を聞いております。
 例えばこの連休中の報道でも、「「当直診療 綱渡り」 激務に疲れ退職開業」「医師不足 悪循環」。昨年一月以降、二十四道府県の六十三病院で輪番制がもうできなくなってしまったという記事であります。また、二ページ目を見ますと、産婦人科医の減少のグラフ。そして、北海道大学の調査として、何と当直は年に百二十三回、当直明けに休みがとれる病院はゼロ、当直日の朝から翌日夕方まで連続三十時間以上の勤務を三日ごとにこなさねばならない、こういう現状。
 厚生大臣でもあり、また労働大臣でもあられるわけですから、こういう問題を本当にどうしていくのか。
 産科、小児科、救急医療の現場のこの崩壊現象の中には、余りにも過酷な労働基準法違反の現状があります。また次のページを見ていただきますと、採算が成り立たないということで病院の小児科が二二%減り、また小児救急でも、二日連続、三十二時間連続勤務というものが続いております。そして、もう一枚だけ今説明をいたしますと、四ページ目にございますように、これは今回厚生労働省が二十七の小児救急拠点病院をお調べになったわけですけれども、ここでも非常に過酷な労働条件というのが出てきております。
 このことに関しては後ほども述べますし、先ほども与党の議員の方々もおっしゃっておられましたが、女性の医師が、小児科では、若い人では四割以上、また産婦人科では三分の二に達している。やはり女性医師の方々がどうやって働いていけるか、このことは、医療現場だけではありませんけれども、日本社会というものが働く女性をどう支えていくのか、まさにそのおくれというものが今のこの小児科、産婦人科の危機的な状況にも如実にあらわれているわけであります。
 そこで、また二〇〇二年には岩手県でお子さんの病院たらい回し死亡事件というのも起こりました。そのときにも多くの署名で、こういうたらい回し事件が起こらないように小児救急の整備をしてほしいということで、厚生労働省にも要望に行かれたわけです。こういう過酷な労働条件で、また勤務医が足りない。その結果、こういう十分な医療が受けられなくて亡くなってしまう赤ん坊やお子さんも出てきている。まさに危機的な状況であります。
 そこで、まず川崎大臣にお伺いをしたいと思います。
 このような小児医療、産科医療を初めとする夜間当直体制が中心となっている救急医療の現場の現状認識として、労働基準法を遵守していると認識しておられますか。

○川崎国務大臣 労働基準監督署において、平成十五年度から十六年度にかけて個別に監督を行った五百九十六の医療機関のうち、四百三十の機関において何らかの労働基準関係法令違反が認められているところでございます。医療機関すべてにおいて労働基準関係法令が遵守されているとは言えない状況にございます。

○山井委員 そのことは、先月も、私、国会で質問をさせていただきました。まさにその指導した四百数十の病院が、その結果、指導によってちゃんと労基法に適合するようになったかどうか、その結果もまだ出ていないということを先日の私の質疑で答弁もいただいております。調査をやったけれども、それが改善されたかどうかも把握できていない。いつまでに把握するのかと聞いても、努力をしているからいつまでとは答弁できないと、先月は赤松副大臣は答弁をされました。
 しかし、公聴会の声を聞いても、例えば福島公聴会の村田参考人はこうおっしゃっているわけですね。
 小児科の救急医療に当たっていますが、最近、深夜帯、十二時から翌日の朝までの時間が非常に増加しております。そして、深夜帯勤務の当直の医師が燃え尽きてしまってやめてしまう、そこの当直勤務の補てんに難渋しているのが現状です。当然、当直をしても翌日は通常の勤務です。御存じの方がほとんどだと思うんですけれども、その理解がない方もいらっしゃるのでぜひ言ってくれと言われたんですけれども、もう僕たち、三十二時間勤務あるいはそれ以上の連続勤務が続いています、人の命を預かる職種で、これはまさに異例、異常な状況です。
 まさに、悲鳴が今医療現場に満ち満ちているわけであります。
 そこで、まさに大臣も、労基法を守っているとは答弁は今できなかったわけなんですけれども、ではこの現状をどうするかということですが、やはり小児科、産科を初めとするこういう小児救急医療の現状、前回の質問でも川崎大臣から、月平均八十、百時間を超える、過労死ラインを超えている労働実態というのは、人の命を預かる仕事として好ましい状態とは言えないという明確な答弁もいただいております。
 提案させていただきますが、早急にやはり労働基準監督署が立入調査をして、勤務医の労働時間の把握、そして時間外労働にはちゃんとそれに対する賃金を払う、そういう調査、指導をすべきだと考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○川崎国務大臣 労働基準監督署において、小児科、産婦人科、救急病院を含め医療機関で働いている方々の相談など、さまざまな情報を精査しつつあります。一方で、法律違反のおそれのある事業場を選別し、個別に監督を行い、今御指摘のありました割り増し賃金の支払いを初めとして、問題が認められた場合に必要な指導を行ってまいりたい。そういった意味では、一つ一つを説得しながらやっていかなければならないというように考えております。

○山井委員 大臣、確認しますが、そういう意味では、労基署に指導を徹底させるということでよろしいですか。

○川崎国務大臣 これは、先日からお話をいただき、そして私どもも個別に一つ一つの事案について解決を目指して努力をしたい、こう申し上げたとおりでございます。

○山井委員 そこで、問題なんですが、実は、そのことはもう今まで再三国会でも問題になり、また厚生労働省もやられていることでもあるんですね。私の資料にありますように、まさに川崎大臣答弁されたように、二〇〇二年には七千の医療機関対象に調査、過酷な当直医、実態調査を二〇〇二年にして、そして次の七ページにありますように、まさに五百の病院にメスを入れて過酷勤務改善へ、労基局と。平成十六年、やっているじゃないですか。大臣、やったはずなんですよ。
 やったはずなのに、今なぜ全国の小児科、産科、救急医療現場で、二日連続の三十二時間から三十六時間の連続勤務や過労状態で、多くのお医者さんがもう続けられないということでどんどん開業医に流れていく。やっているのになぜこういう問題が今でもあるんですか。大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 根本的な解決策のためには、先ほども議論をいただきましたけれども、集約化を進めていかなければならないという方向性でありますけれども、また、それもおしかりいただきましたように、そのスピードが遅いということは事実だろうと思います。しかし、私どもとしては、やはり地域の事情はいろいろございますけれども、集約化へ向けて知事さん等のリーダーシップ、我々もしっかり協力をしていかなければならない、このように考えております。

○山井委員 大臣、やはりこれは、労基法違反、そういう違法状態が常態化してしまっているんですよ。川崎大臣は医療の責任者であると同時に、日本のまさに労働者の労働状況を守る責任者なんですよ。医師の方々、医療従事者も労働者であるわけですから。これが放置されているということは、本当に情けない、恥ずかしいことだというふうに自覚をしてもらわねばなりませんし、今までのやり方でやっては不十分だということを認識してもらわねばなりません。
 そして、実は、こういうことを言うと病院の経営者の方々から、当直の時間をきっちり把握して割り増し賃金をきっちり払ったら、もうそれは経営が成り立たない、小児救急返上させてもらいます、救急やめます、そういう声も出てきているんです。ですから、大臣、これはセットでやらないとだめです。厳格に時間外の労働時間を把握して割り増し賃金を払う。同時に、そのことによって、もう産科や小児科や救急は不採算だからやめるという病院が出ないように、そこに診療報酬なり補助金の形でちゃんと担保する。
 それと、もう一つ言うならば、根本的にはお医者さんが足りないから回らないのじゃないのという現状があるわけですよ。やはりそういう財政的な手当ても、きっちり労基法を守る、病院が損をしない手だてをしっかりする。そしてまた、そのことが、医師が不足だからやりたくてもできない、そうならないような状況をつくっていく。大臣、その方向性を目指すということでよろしいですか。

○川崎国務大臣 議論の中で一つ違うと思うんですね。要は、集約化を図らなければならない。ですから、この病院で今やっていた、この病院でやっていた、しかし、両方をセットで守るという方向づけをするのかということになると、そこは知事さんのリーダーシップで集約化の方向を出してくださいというお願いをしています。
 一方で、そうした集約化がなされたときに、国は、まず診療報酬できちっと方向づけはしなきゃなりませんね。それは、午前中の御質疑にもお答えいたしましたように、診療報酬のパイは二十八兆というパイでございます。しかしながら、我々の政策経費としては一千億もない政策経費でございますから、そこで箇所づけをしてどんどんやれというのは正直言って限界があることは事実。
 一方で、今までの政治の流れは、ある程度いったものについては、なるべく行政経費は、地方にサービス経費はもう移譲していくべきだ、税源移譲というものをやってきた今日までの流れでございますから、この個別の予算だけはまた厚生労働省が枠を獲得してやれということについては、なかなか無理な話だろう、このように私は思っております。
 したがって、診療報酬で全体的な方向づけをしていく、しかし一方で、先ほどから申し上げる集約化というものをされているところには、できるだけの予算的な措置をするように優先的にやっていかなければならない、このように思います。

○山井委員 まさにそうおっしゃると思って、この資料もお配りしたんですが、五ページ、我が党の小児医療緊急推進法案のポイントというのがあります。まさにその資料の一番下に書いてあります。やはり診療報酬だけでは限界がある、そんな小手先のことではだめなんですよ。きょうの午前中も、診療報酬で夜間の産科や小児救急を手当てしたと言ったけれども、現場の声を大臣は聞かれたことはありますか。全く不十分だという声が満ち満ちているわけですね。診療報酬を上げると自己負担も当然アップするわけです。
 そういう意味では、やはり一般財源からお金を投入していく、そして勤務医、こういう救急の現場を救うということしか選択肢はないんです。それを選択しないとするのであれば、今、都道府県にやってもらうということですが、それは、そういうことを言いながら医療崩壊を放置することになってしまいます。
 そして、大臣が集約化とおっしゃることが私一つ非常に気になっているんですが、大臣、実際の例で、参考人の方もおっしゃっておられましたが、集約化することによってその病院にますます患者さんが集まって、労働条件がますます悪化したというケースもあるんですね。ですから、労働条件が悪いから集約化します、それだけでは一つの答えにならないんです。
 そこで、次の質問ですが、やはり労働大臣として、夜間の救急に関しては、小児科、産科、一般の救急も含めて実際に仮眠もとれないケースに関しては、当直じゃなくて夜勤でやっていく、三交代制あるいは二交代制にしていく。あるいは、欧米で法制化されているように、一週間の医師の労働時間を六十時間以内に制限する。やはり、集約化とおっしゃるのも結構ですけれども、集約化してどういう労働条件を勤務医の方々に保障するのかという目標を、労働大臣である川崎大臣は示す責任があると思います。大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 医療現場をどうしていくかという議論をしていく中で、規制の方を強めろと。規制を強めた結果、小児医療というものがよくなるという議論展開をされていますけれども、私はそうは思いません。私はそう思いません。あなたはその議論をされているけれども、私はそうは思わない。
 やはり一つ一つの個別のケースを、集約化という方向でなり、そしてあの表でも出ましたように、また委員の御要求で出しましたとおり、やはり十人程度の医師が集約されたところについては、ある意味での労働条件も守られていることは事実でございます。
 一方で、委員が御心配いただくように、より集約化されたときに患者数がふえるんじゃないか、こういうお話をいただきました。そこはもう一つの議論だろうと思うんです。一次ケアというものを全部その集約された病院でやらなければならないのかということになると、必ずしもそうではないだろう。
 一次ケアというものをどこで担っていくか、そして本当に救急的に必要なものをどこに集約させてやるかという議論を、やはり各地域各地域で、私ども知事さんと一緒になって考えていかなきゃならぬ。そこはぜひ御理解を賜りたい。

○山井委員 大臣、私が質問したのは、夜勤や交代制、あるいは一週間の労働時間を六十時間に制限する、そういう目標というものをやはりきっちり厚労省が労働省として示す必要があるのではないかという質問をしたんです。規制じゃないんです。これは、夜勤や交代制にするということは労基法を守れということを言っているんですから、それを規制だと言ってそれを締めつけるのはおかしいと言ったら、今のこの過重労働を是認することになりますよ。
 やはり、どういう労働条件が勤務医にとって好ましいのかということを労働大臣である川崎大臣にここで言ってもらわないと、全国の勤務医の方、あるいは産科、小児科、救急を目指そうとしている若いお医者さん、あるいはその御家族、また、そういう人たちにかかろうとしている家族も安心できないんじゃないですか。
 大臣、どういう労働条件を、すぐにとは言いませんが、目指すのですか、厚生省としては。

○川崎国務大臣 今、すぐにでないと言われましたから、まさにそのとおりですね。将来的な目標としてしっかりしなきゃならぬ。
 また、我々も、労働基準監督署や現場を通じながら、指導しながらやってきている。そして、それが実行されるようにしていかなきゃならない。それはもう一緒です、共通のその目標を持って進む。
 そして、それが一〇〇%今実行できて、かつ、それが守られないところは医療停止にするかということになると、そこまでは私どもは踏み切れない。したがって、現場というものでしっかり話し合いをしていこう、こう申し上げているんです。(山井委員「目標は」と呼ぶ)今言われたとおり、将来の目標だというのなら、私も同意をいたします。

○山井委員 これは大事なことなので改めて確認したいと思いますが、将来の目標としては、やはり夜間の宿直のところは、三交代あるいは二交代の交代制、あるいはきっちり夜勤としていく。そして、週六十時間以内ぐらいの労働を厚生労働省としても勤務医に対して目指すということでよろしいですか。

○川崎国務大臣 将来の方向性としては、そういう方向を目指さなきゃならぬということは意見の一致でございます。

○山井委員 もう一言聞きます。
 将来、大体何年後ぐらいを考えられますか。

○川崎国務大臣 ですから、医療体制をきちっと仕上げるということも大事だろうし、病院によってはすぐ実行できるところもある。だから、どんどん指導しますよ、指導はしていく。
 しかし、現実問題として、全部のところをいつまでにやれるかということについては、私もまだそこまで詳細承知しておりません。しっかり掌握したら自分の考え方を述べたいと思うけれども、今の時点で何年と言われると、私もかなり踏み込んだ発言をしていますので、どうぞ御理解賜りたいと思います。

○山井委員 今回の法案の中で、医療費適正化計画とかいろいろな年次計画があります。それも一面必要な面はあるかもしれませんけれども、やはり五年後には、今言ったような、夜間は救急においては夜勤体制あるいは交代体制にしていく、あるいは週六十時間以内の労働にしていく。すぐにはできないけれども五年後には、厚生労働省が先頭を切って、勤務医の方々、あるいはそういう救急にかかる患者の方々がいい医療を受けられるためにもそれを目指します。やはりそういうことをまさに法案に入れていく、そういう法案にしないと、自己負担のアップとかそういうことだけではだめなんです。
 関連して次に行きますが、では、今回、小児救急拠点の二十七病院については実態調査をしましたが、同様に産婦人科の勤務医や一般の救急病院についても実態調査をすべきではないですか。

○赤松副大臣 今、山井委員御指摘のように、小児救急医療拠点病院につきましては既に調査を行いました。
 今お尋ねの、産婦人科あるいは一般の救急病院についてでございますが、まず、産科医療につきましては、小児救急医療のように受診行動の特性が医師の勤務状況に強く影響を与えるものとは言えないで、むしろ、産科の医師が減少する中で各地域において産科医師を広く薄く配置することによって、個々の医師の勤務状況は影響を受けているものと考えております。
 そのために、産科医療の確保という観点からは、各都道府県を中心に、先ほど来、山井委員また大臣とのやりとりがありますように、産婦人科医療については、地域におけるニーズの状況や各病院における医師の配置などについての分析を行って、集約化の必要性などその機能のあり方を検討して、具体的対策を実施していくということがまず大事だろう、こんなふうに考えております。
 また、一般の救急医療につきましては、既に救命救急センターにおける常勤医師数や昼夜別勤務医師数等の調査を行い、医療の質の評価を定期的に実施しているところでありまして、これを通じて適正な救急医療の確保を図っている、こういうところでございまして、今、小児救急医療拠点病院と同じように二つの分野における労働実態の調査を行う必要は、現時点においてはない、こんなふうに考えております。

○山井委員 要は、これはお医者さんの数とか調べるだけじゃだめなんですよ。今回の拠点調査でもわかったのは、二十七病院中二つの病院しか宿直時間中の労働時間の把握もできていないということなんですよ。そういうことを調べないと、何人体制でやっているか、それだけ調べても労働実態は全然わからないわけです。ですから、この調査もぜひお願いしたいと思います。
 それで、先ほど川崎大臣から、余り強く労働条件のことを言って、それに従わない病院はすぐ停止にするというわけにはいかないということをおっしゃいました。
 私も繰り返して言いますが、別に病院の経営を、首を絞めるためにこういう質問をしているわけではなくて、やはり当たり前の労働条件を確保する、そしてそのいい労働条件をとれる病院がちゃんと黒字でやっていける、そういう体制をつくっていかないとだめですし、そのためには、やはり突き詰めていけば、お医者さんが足りない。お金の問題よりもお医者さんが足りないという声を現地では聞くわけですね、交代勤務にしたいけれどもお医者さんがいないじゃないのと。
 そこで、川崎大臣にお伺いします。きょうの資料にもありますが、医師は足りているのか足りていないのかということですね。九ページを見てもらいますと、医師は足りているのか、先日の質問で、大臣は足りていますとおっしゃっていました。
 それで、四月二十五日に医政局に書面で質問しました。では、小児科医師は足りているのですか、産婦人科医師は足りているのですかと聞くと、不足感があることは承知しているという回答。なお、医師の診療科ごとの必要数については、これまで計算したことがないという答弁だったんですよね。
 そこで、大臣にお伺いしますが、改めて聞きます。医師は今足りているのですか、これが一つ目の質問。同時に、小児科の勤務医は足りているのですか、産婦人科の勤務医は足りているのですか。いかがですか。

○川崎国務大臣 医師数については、何回もお答え申し上げています。今二十六万ぐらい、十年後に大体三十万ぐらいの医師数になるだろう、そういった意味では、全体の流れの中ではまず足りていると考えていいんだろう、こういう認識を何回も申し上げております。
 一方で、小児科医でございますけれども、平成六年が一万三千三百四十六人、平成十六年が一万四千六百七十七人。小児人口は平成六年で二千四十一万人。ですから、一万三千三百四十六人でありますと六・五人ということになります、小児一万人当たりの小児科医師数。それが十六年で八・三ですから、そういう意味では、着実に小児科医の数はふえてきている、こういう認識をいたしております。
 一方で、これを勤務医と開業医に分けられるかということになると、そこのしっかりした数字が、今小児科医の勤務医が八千三百九十三人でございます。したがって、約六千人が開業医ということになるであろうと思います。
 そういった意味で、基本的な認識はどうだといえば、小児科医に関しては、ある程度の数はいるんだろう、こう思っています。先ほどから言っている集約化。それから、一部の地域、これは前から申し上げておりますとおり、東北とか関東の一部、それから私どもの東海ブロック。京都は多くていいですよね、正直申し上げて。私どもの東海ブロックについては少ない。
 したがって、全体の医師数が少のうございますので、その中で、多分、産科も小児科も少し数が足りないのではなかろうか。地域の偏在があるということは、私ども、認識いたしております。それは、大学教育の問題から始まりまして、さまざまな問題をやはり詰めていかなければならないだろうという思いをいたしております。
 それから、産科につきましては、ちょっと状況が違うという認識を私はいたしております。産科については、平成六年、一万一千三十九人、平成十六年、一万百六十三人、若干減っております。ただ、出生数が百二十三万人から百十一万人に下がっておりますので、出生千人当たりからしますと、八・九人が九・一人の医師になっているということで、若干ふえていることになっておりますけれども、現実は、産科を標榜されているけれども婦人科という形に変わってしまっているのではないだろうか。これは医療事故の問題、それから二十四時間の体制の問題、それから女性医師のウエートがふえてきている、こういう問題があるだろう。したがって、これも、一つは集約化をしていかなきゃならない。
 それから、小児科の場合は診療報酬で手当てをすることができる。また、先ほどから申し上げている方向性として、今後の改定でも、小児科の救急についてはつけていくという方向で方向性を示していったらいいだろう。しかし、産科の問題につきましては、正直言って、分娩費用につきましては診療報酬ではございませんので、どういう形でそこへ手当てをしていくべきかという問題は、また違う切り口を考えなければならないだろう、こういう認識をしております。
 いずれにせよ、小児科、産科の問題について、私どももしっかり議論をしながらやっていかなきゃならぬということは感じているところでございます。

○山井委員 今、過去から何人ふえたとか、今何人いるとか、そういう議論がありましたが、やはりこれは、ここ数年で一人の患者さんにかかる時間というのもすごく長くなっています、インフォームド・コンセントのことなど。また、例えば小児救急では、夜間に来るお子さんも非常にふえております。そういう意味では、やはりお子さんの数が減っているからお医者さんの数はそれほど多くなくていいということは言えなくなっているわけなんですよね。
 ですから、そういう意味では、次の質問に移りますが、これは先日、柚木議員からもお尋ねがあったことなんですけれども、今、医師の需給検討会をやっておられます。昨年の二月二十五日からされております。
 正直言いまして、きょうの議論を聞いていても、もはや医師全体が足りているか足りていないかというのは大きな問題じゃない。要は、産婦人科、小児科、あるいは麻酔科、外科、もっと言えば、福島議員からも話がありましたが、開業医じゃなくて勤務医が足りているのか、また青森にその方がいるのか、そういう診療科ごと、あるいは勤務医がどれぐらいいるのか、またどれぐらい必要なのかということを議論していかないと、トータルの医師が足りていますよ足りていませんよという議論をしていても、もう政策は議論できないということが明らかになったと思います。
 そこで、今のこの検討会、もうすぐ報告書が出るそうですが、要望があります。やはり、小児科、産婦人科等の診療科別の必要数、それと今の数、必要数と今の数を出すべきだと考えます。また同時に、開業医と勤務医に分けても、必要数と現状の数を。やはり開業医のことと勤務医の問題は別ですから、はっきり言いまして、小児科や産科の問題では、開業医をどんどんふやしても今の問題の解決にはつながらない部分があるわけですね。
 そして、あわせて要望しますが、それとともに、やはり女医さんが、小児科の若手の四割、産婦人科の三分の二以上となっています。そういう意味では、育児・出産休暇をとっている女医さんのことを、ちゃんととっている分をカウントするとか、先ほど申し上げた、やはり、当直で三十六時間連続勤務とかじゃなくて、交代制で、あるいは週に上限六十時間以内ぐらいという、労働基準法をある程度守れるという前提での必要数というものを出さないと、今の過重労働の人で人数を言いますと言っても、問題の解決にならないんですね。
 たくさん質問しましたが、診療科別、開業医と勤務医に分けて、そして必要数と不足数、そして女性医師のそういう休業の部分を見越して、また労働基準法に準拠するという前提で、こういう形で需給の数値を出さないとこれからの政策論議のもとにはなり得ないと考えますが、大臣、いかがですか。

○川崎国務大臣 これはもう、一回御答弁したことでございますけれども、前回の医師需給の推計においては、医師全体の供給量と医療需要について、それぞれ上位、中位及び下位の三つの推計を行い、検討してもらいました。
 新たな医師需給の検討会、ここにおいて、なかなか難しいですよと私は前提を置きましたけれども、診療科別の必要数について、本当に出すことができるかどうか、それも含めて検討してほしいと。
 あわせて、今、勤務医と開業医の数も出してくれと、なかなか難しい御質問をいただきましたけれども、検討させることですから、それもできるかどうかやらせてみましょう。
 ただ、例えば、小児科医の問題一つ考えましても、先ほどもお答え申し上げたように、一次医療というものを全部救急でやるのかというところをしていきませんと、そういう意味では、小児科の開業医もこの中に少し加わっていただかなけりゃならない、いや、本当に小児科医だけなのか、ホームドクターを持って、最寄りの内科医に相談してもいいはずじゃないかという切り口もしっかりさせなきゃならない。
 実は、この間、私、子育てを支援している女性グループと懇談しまして、そのときに八〇〇〇番の話をしましたら、こうしたリーダー的な立場の人もだれも知らなかった。私、正直言って、びっくりしたんです。シャープ八〇〇〇番、知らないと。
 残念ながら、やはり、制度をつくりながら、まだ身が入っていないということも事実だろうと思います。八〇〇〇番の問題なり、地域の医師によるネットワーク、一次医療ネットワーク、救急医療ネットワーク、そして真に必要な二次医療としてのまさに救急体制、そういうものを数的にどう考えながら、今、山井議員の質問にどう答えられるか、検討はさせてみます。

○山井委員 私が何を言いたいかというと、やはりこれ、地域間、診療科間、また開業医と勤務医間の偏在が問題になっているわけですよね。そこが問題の本質であるとわかった以上は、そこまでのデータを出さないと議論ができない。まさに川崎大臣おっしゃったように、この必要数と不足数の議論をしていくと、では、集約化も含めてどれぐらいの勤務医が必要なんだ、どれぐらいの勤務医になれば先ほど言った交代制や夜勤が組めるのか、そのことを厚生労働省が自分たちでやはりプランを立てないとだめなんですよ。
 今までは大学の医局がコントロールしていたということもあって、厚生労働省がそこまで出張らなくても、ある程度自然に何とか成り立っていたところがあったんですね。ところが、研修医制度も始まって、また大学の独立法人化の影響も受けて、それだけではコントロールができなくなってきた。そうなると、都道府県にただ任せるだけでは、先ほど古川議員からも話がありましたが、これはやはりきっちりコントロール、調整できないんですよ。
 そこをやはり厚生省が、どれだけ必要数があるのか、そして、将来、少子化のこの時代において、産科や小児科の医療を、一次、二次、三次、どうやっていくのかというプラン、計画をまず出さないと、今のこの法案だけではますます医療崩壊、お産難民、小児科難民、介護難民がふえていくだけです。ですから、そのことをぜひともお願いしたいと思います。
 次に、一昨日、公聴会でも大きな議論になりました、福島県立大野病院事件についてお伺いをしたいと思います。
 このことについては、きょうも新聞記事を載せさせていただきました。十二ページにあります。妊婦の方がお亡くなりになられまして、もうこのことに関しては心よりお悔やみを申し上げたいと思います。と同時に、このことは、全国の産婦人科医のみならず医師の方々に大きな衝撃を与えておりまして、仙谷議員初めこの委員会でも多くの方々が取り上げておられます。これについて、前回、無過失補償制度が必要だという質問をしまして、厚労省からも、検討するという答弁でございましたが、やはりこれは訴訟の問題が一つの非常に大きな問題となっております。
 そこで、きょうは、公聴会でも出たんですが、異状死の定義が不明確である、やはりこのことをはっきりしてもらわないと現場としては安心して医療ができないし、もっと言えば、難しい患者の方々を排除することにも、一歩間違うとなりかねないという深刻な問題になっております。
 この異状死の定義、どう考えているのか、厚生省いかがですか。

○赤松副大臣 異状死の定義を明確にせよという御主張があることは十分承知をいたしておりますが、医師法第二十一条では、医師は、死体または妊娠四カ月以上の死産児を検案して異状があると認めたときは、二十四時間以内に所轄警察署に届けなければならないとされております。
 ここで言う異状とは、法医学的な異状とされておりますが、具体的にどのような死が異状死に該当するかについては、個々の状況に応じて個別に判断される必要があるため、死体を検案した医師が個別に判断している、こういう状況であります。
 なお、異状死の届け出の判断基準をお示しすることにつきましては、異状死は個々の状況に応じて個別に判断されるべきものであり、一律に基準を示すことは困難である、また、仮に一定の考え方で届け出対象となる異状死の範囲を限定した場合、その範囲に含まれるか否かの判断を行う必要があるが、その判断の公正さをどのように担保するかといった問題があり、委員十分御承知だと思いますが、現時点では困難であると考えているわけであります。
 ただ、一方で、医療事故等につきましては、警察ではなく第三者機関に届け出る仕組みが必要だ、こういう声も強く寄せられておりまして、諸外国では、一つは、警察に届け出が行われた上で、別の者が死因の調査等に当たる事例、あるいはまた、警察とは別の行政機関に対して届け出が行われて、その行政機関が死因調査等を行う、こういった事例があると承知をいたしております。
 死因究明制度の検討を行うためには、その体制の確保のあり方や中立性、公平性の確保の方法、異状死の届け出との関係など、課題の整理が必要であり、昨年より実施しております診療行為と関連した死亡の調査分析モデル事業の実施状況を踏まえ、死因究明制度についての検討を進めてまいりたい、こんなふうに考えているところでございます。

○山井委員 このことに関しては、本当に、やはり安心して子供を産める国にしていかねばならない、そのためにもきっちりと党派を超えて取り組んでいかねばならないと思いますし、医療後進国であるアメリカのワシントン・ポスト紙に、日本ではお産で悩んでいると書かれるような情けないことにならないように、きっちりとこれは取り組んでいかねばならないと思っております。
 そして、次に、医療費適正化計画についてお伺いします。
 これもきょうの質問の流れの中なんですが、要は、入院日数を減らす、それで医療費を削減する、それだけでは余りにも乱暴過ぎる。ですから、国の基本方針の中に、入院日数が短くて退院させた人がすぐにまた再入院していないか、また、それによって医師や看護師やコメディカルの方々の労働条件が悪化していないか、何よりも患者の方々の満足度が下がっていないか、そういうこともやはりセットで判定基準にしないと、ただ早くほうり出せばいいのか、それだと安かろう悪かろうになって現場は大混乱しかねないわけですが、この点についていかがでしょうか。

○赤松副大臣 山井委員の御指摘は、医療費適正化計画の中の一つの指標として、今おっしゃったような再入院率やあるいは患者の満足度、こういったものを入れるべきじゃないのか、こういう御提起だろうと思います。ただ、医療費適正化計画そのものについての指標は、午前中話題になりましたようなメタボリックシンドロームの有病者、予備軍の減少率とか、平均在院日数の短縮日数とか、言ってみればこういった指標が目標になる、こういうことでありますけれども、今御指摘の再入院率や患者満足度については、医療費適正化計画とは直接的には関係がないということで、医療費適正化計画における目標にしようとする考えはありません。
 ただ、医療費適正化計画が連携を図ることとされている医療計画の中におきましては、医療の質の向上を図るために、事業ごとの機能分化や連携によって地域の医療需要に即した医療提供体制を構築して、その結果について評価することにしておりまして、地域の状況を反映する指標の選定に当たっては、今後国が示すもの以外に、各自治体で独自に選定するものもあると認識をいたしております。
 そういった意味では、都道府県が策定する医療計画においては、今御指摘のようなそういう情報を住民、患者に公表することによって、その質を高めていくということが重要な場面が出てくる、こんなふうに考えております。

○山井委員 医療費の過大な伸びをある程度抑えることはもちろんこれは必要ではありますけれども、そのことが患者さんの医療の質を低下させるということになったらこれは本末転倒でありますので、そこはきっちりとチェックをしていただきたいと思います。
 それに関連して、やはりこの入院日数短縮で、一番、ある意味で直接被害をこうむるのは看護師さんやコメディカルの方々と言われております。実際、十五ページに資料を載せましたが、新人看護師の九・三%、十一人に一人が一年以内に離職をしている。これは看護師学校、養成所百四十校分の人が一年間にやめてしまっている。なぜやめているのかというと、ここの資料にもありますように、専門的な知識、技術が不足しているが七七%、医療事故が不安であるが七〇%、また、看護基礎教育終了時点の能力と現場の能力のギャップがあるということが八割というふうになっております。
 そこで、簡単に申し上げますが、やはりこれは看護師の基礎教育を三年から四年に延長すべきではないか。もう一つは、卒後臨床研修を看護師の方々にも制度化すべきではないかと考えます。いかがですか。

○川崎国務大臣 御指摘いただいた看護師の問題、方向性としては十分その方向を考えなきゃならないと思っております。
 医療の高度化等、近年の医療を取り巻く環境の変化に伴い、医療従事者の資質の向上が強く求められており、看護師についてもその資質の向上を図っていくことが重要であると認識しております。
 そこで、看護師の養成のあり方については、国民の看護ニーズに的確に応じられるよう、看護基礎教育のさらなる充実を図ることを目的として、本年三月より、看護基礎教育の充実に関する検討会を開催し、検討をいたしております。
 また、看護師の資質を確保し、向上させるためには、新人看護職員に対する研修について何らかの制度化をすることが必要であるとの検討会での報告を踏まえ、今後、その制度のあり方、実施に際しての課題等について検討を始めたいと考えております。

○山井委員 きょうはどうしても勤務医の方々の話中心になりましたが、勤務医の方々だけじゃなく、看護師の方々そしてコメディカルの皆さんが、本当にこれは現場で必死になって、不十分な労働条件の中、頑張っておられるわけであって、やはりまずその方々がやめるのを防がないと、ただでさえ人手不足が、もっと不足をしてしまうということがあると思います。
 それでは次に、ちょっと違った質問ですが、最後のページにありますように、今回の政府案、高齢者の自己負担アップでありますが、では実際、次の三つの点で幾ら高齢者全体の自己負担がふえるのか、御答弁願いたいと思います。
 まず一番目。現役並み所得の高齢者の定率負担の見直しで幾ら年間ふえるのか。また、七十歳代前半の定率負担の見直し、一割から二割へで幾らふえるのか。そしてまた、高齢者の療養型病床における食費、居住費負担の見直しで幾らふえるのか。御答弁願います。

○赤松副大臣 今回の制度改正によりまして、患者負担の見直しを行わなかった場合と比べまして、患者負担の影響はそれぞれ、平成二十年度で、御指摘第一点、現役並み所得がある高齢者の患者負担の二割から三割への引き上げ等は約一千百億円、二つ目の、七十歳から七十四歳までの高齢者の患者負担の一割から二割への引き上げは約一千二百億円、療養病床に入院する高齢者の食費、居住費の負担の見直しは約二百億円の増加を見込んでおります。

○山井委員 このことだけじゃなくて、介護保険料も値上げになり、年金も引き下げになる、そういうダブル、トリプルパンチがずっと小泉政権下で続いているわけであります。その中でまたこの引き上げ。そしてまた、片や、米軍再編には二兆、三兆円のお金を簡単に出すということで、私は、明らかにこれはおかしいと思っております。
 では、川崎大臣、次の質問に移りますが、きょうの議論をまとめてみると、やはり医師不足問題、もちろんその医師不足の中身は、偏在の問題、診療科の問題、地方の問題ありますが、先ほどの古川議員の質問にもありましたが、やはりこれは都道府県に任せるだけではなくて、まさに、これこそ国がリーダーシップをとらねばならないと思います。
 今、お産難民、小児科難民、介護難民、そして、こういう医療崩壊。また、ある医師の方の話をかりれば、立ち去り型サボタージュ、逃散。もう過重な労働条件だからやってられない、開業医の方に流れてしまう、一人抜ければ残された人の労働条件はもっときつくなるからもっと逃げてしまう。この流れを食いとめることは都道府県に任せてできることではないと思います。
 ブレア首相は、サッチャー政権下十数年の医療費抑制政策の中で、まさにそういう医療崩壊の危機に瀕したときに、五年間で一・五倍に医療費をふやす、これによってGDP当たりの医療費は日本はイギリスに抜かれました。そして、かつ、医師を一万人ふやすということを目標に掲げて今取り組んでおられます。
 川崎大臣、やはりこれは、すべての医師をふやせとは言いませんが、小児科の勤務医、救急の勤務医、産科の勤務医とか、ピンポイントで勤務医をやはりふやしていく。そして、ふやす前提としては、いい労働条件でないと定着しないし、若い医師の方々も目指さないわけですから、そこには、最初の議論にもつながりますが、診療報酬だけではなくてやはり一般財源からも投入していく。
 そういう、国家として子供の医療をしっかり守っていくんだ、子育て支援と、まさに国家的な取り組みと国会挙げて言っているときに、現場を見てみたら、お産ができない、子供が病気になったらたらい回しになって亡くなってしまう、そんな現状をほっておくのか。今問われているのは、国として医療を守るのか、医療現場を国として守るのか、厚生労働大臣として守るのかという意思が問われていると思います。
 そのことについて、やはりこれは財源を集中投入していくべきだと私は考えますが、大臣、いかがでしょうか。

○川崎国務大臣 そこは多分、民主党さんと私どもの考え方の基本的な違いであろうと思います。
 診療報酬というものを基本にしながら、各県がそれぞれ計画を立てていただくというのは、例えば小児科のお医者さんが足りないといいましても、東京と東北地域と私どもの東海地域とは、また実情が違います。それぞれの県で、本当に、小児医療に従事する人、産婦人科に従事する人がどういう形で必要なのか、これをきちっと積み上げていきませんと、国全体で産婦人科医が何人いればいいという話だけではうまくいかないというのは、ずっと議論を通してやってきたことでありますから、そういう意味では、やはり各県のお考えをまとめていただいた中の積み上げにしていかなければならないだろう、このように思います。
 一方で、科目ごとに私どもが目的を持ってふやすことができるかとなるとこれはなかなか難しい、正直申し上げて。
 したがって、言われるとおり、待遇とか診療報酬とかそういうところでインセンティブをしいていかなければならない。民主党さんはそこへ税をたくさん使えとおっしゃるけれども、私どもは、今そうしたような議論についてはなかなか難しい、このように感じております。

○山井委員 これは、やはり、子供の未来にどれだけ国としてお金をつぎ込むかという大きな選択の問題、決断の問題です。与党はそこにはお金は使いたくない。それだったらそれで結構です。私たち民主党は、チルドレンファーストということで、そういう子供に関しては最大限サポートしていきたいと考えております。
 また、そのために、小児科の方々、産婦人科の方々、現場の方々の声を聞いてみると、出産のサポートをしたい、あるいはかわいい子供の命を救いたい、そういう志を持って多くの若い人が最初は志望されるらしいんですね。しかし、余りにも過酷な、先ほど言ったような三十六時間徹夜の勤務が月に何日もある、そして、月の平均の時間外労働が百時間、百五十時間。そういう中で、もともと持っていたそういう気持ちだけではもう続けられなくなる。やはりそれを、そういう志ある医療現場の方々を支える、また、ひいてはそのことによって患者を支える、それこそが私は政治の最大の役割だと思っております。
 その意味では、医療崩壊、そして、この医師不足の現状にこの期に及んでも十分な財源を投資しようとしないという与党、政府の今回の政府案に強い怒りを表明して、私の質問を終わります。

Posted at 2006年06月19日 15:49 | TrackBack
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