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2003年2月28日 

予算委員会第六分科会 会議録 

一般質疑

○山井分科員 民主党の山井和則です。
 本日は、この三十分の限られた時間の中で、子供の居場所づくりや校庭の芝生化、さらには引きこもり問題などを中心に質問をさせていただきます。
 私は、学生時代、学校の先生になるのが夢でして、当時も児童福祉施設でボランティア活動をして、毎週二回、施設の子供たちと一緒にソフトボールをしたり、折り紙や工作、割りばし鉄砲をつくったり、クリスマス会とかいろいろな行事をしておりました。そういう意味では、きょう子供の問題について久しぶりに質問をさせてもらえるのは、何か懐かしいような気もいたしております。
 今、コミュニティーの崩壊ということが言われておりますが、町づくりの拠点として考えたときに、やはり最も適しているのが小学校ではないかと思います。子供もお年寄りも歩いて通うことができ、まただれもが親しみを持っている場所は小学校ではないかと思います。
 そこで、まず最初にお伺いします。
 小学校が地域のコミュニティーセンターになるべきだと考えますが、小学校の地域開放はなかなか進んでいないように思います。もっと進めるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

○遠山国務大臣 私も委員のお考えに賛成でございまして、学校、特に小学校、中学校のようなものは地域社会の中にしっかり溶け込んで、学校の方も地域に開くと同時に、地域の人たちが学校に来て大いに施設を活用したり、あるいは子供たちの状況も常日ごろ見てもらって、一緒になって子供たちを育てていくということが大変大事だと思っております。
 次第次第に学校開放の状況も進んでおりまして、必要ならばまた数字については政府参考人からお答えいたしますけれども、そういうことを可能にするために私たちも幾つかの措置をとっておりまして、土曜日に学校で子供たちのスポーツ・文化活動などの指導員を配置する場合に必要な経費を地方交付税措置いたしております。ぜひ活用してもらいたいなと思っております。
 それから、厚生労働省において実施しております緊急地域雇用特別交付金というのを活用しまして、学校開放の管理員、それから週末・放課後指導員などの雇用を促進いたしております。やはり、土日のようなときはだれか大人が見ていないといけないわけでございます。そういうこともやっておりますし、そういうふうなことも援用しながら、さまざまな形で地域開放が行われるようにこれからも力を注ぎたいと思います。

○山井分科員 今まさに週末の学校利用の話も出てまいりました。
 週休二日制が進みまして、その結果どうなったかなというと、残念ながら、一部では土曜日に子供たちが塾に行ったり、また家でファミコンにかかり切りになったりということで、それは週休二日制の趣旨ではないと思います。
 そういう意味で、具体的に、二番目、お伺いしたいと思うんですが、土曜日の子供の居場所づくりということで、土曜日に、普通教室は私物が置いてあるのでなんなんですけれども、それ以外の小学校の部分を開放して、子供の居場所をつくるのはどうかということであります。
 それで、きょうちょっと、私の地元の宇治小学校で行われております、城南新報の記事をここにお配りをさせていただいたんですが、見ていただければと思います。これは、宇治小学校の子どもの居場所づくり推進委員会というところが、これからやはり土曜日、子供の居場所をつくろうということで始めたものであります。
 この記事にありますように、これは土曜日に、子供たちと近所の京都芸術高校の十八人の人たち、そして保護者の方々が小学校の体育館に集まって、低学年の方は白い布でにじの大きな絵をかいて、高学年は卵の殻でまた作品をつくった。そういうものを土曜日の午後につくって、それを体育館に展示しているということで、子供たちも非常に喜んだし、高校生も逆に非常に新鮮な喜びを感じた、また保護者の方々も非常に喜んだ。こういうふうな地域との交流、また子供たちもいろいろなことを学ぶということで、非常に効果が高いと思います。
 土曜日に小学校を開放して、子供の居場所づくりをしていく、このようなことについて、文部科学省も子どもたちの居場所再生事業とか子ども週末活動等支援事業をされておりますが、ぜひぜひもっと力を入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 昨年度から完全学校週五日制を実施しているわけでございまして、今先生がおっしゃったようなことは大変大事なことだと思っております。
 私どもも、そういうことで子ども週末活動等支援事業、これは一種のモデル事業でございます。そこでは、例えば地元の小学校の子供たちが、大学生でありますとか、あるいは地域のいろいろな高齢者の方々でありますとか、学校施設なり公民館等、そういった施設を活用いたしまして、地域でいろいろな形で触れ合っていただく。
 先生のお示しをいただきました資料を見ても、特に今の子供たちは異年齢での交流体験が大変不足をしている、こういう御指摘もございます。いろいろな年齢の方々が地域で触れ合いをする、そういったものを少しでもサポートしていきたい。
 そして、こういった事例を集めまして、全国の教育委員会等に周知をし、いろいろなところで実践をしていただく、こういうこともやっているわけでございますけれども、さらにそういった周知なりPRなり、努力をしてまいりたいと思っております。

○山井分科員 この新聞の写真を見ましても、本当に子供たちの笑顔というのはすばらしいものがありますし、また学生時代、私自身も六年間、子供たちと一緒に遊ぶボランティアをしていた人間としまして、やはり子供たちから学ばせてもらうことというのも非常に大きかったと思っております。
 それで、小学校のこのような開放ということに関して、当然開放すればするほど、お年寄りの方も来られる、また障害のある方々も来られるということで、バリアフリー化を推進すべきだと思うのですが、これもなかなか進んでいないように思うのですが、この現状と今後の取り組み、いかがでしょうか。

○矢野政府参考人 公立学校におきますバリアフリー化の推進は、ノーマライゼーションの実現を図る上で大変重要なことでございまして、実情に応じた施設整備が進められるべきものと考えております。
 平成十四年度調査によりますと、実態は、公立小中学校におきまして、約六割の学校におきましてエレベーター、障害者トイレ等の何らかのバリアフリーの対応がなされているところでございます。
 文部科学省といたしましても、公立学校施設のバリアフリー化につきまして、施設の新増築、改築あるいは大規模改造事業を実施する際に、エレベーターあるいは障害児トイレ等の設置につきまして、国として補助をいたしてきているところでございまして、今後とも、児童生徒や地域の方々が安心して利用できる学校施設が整備されますように、私どもとしてもそうした設置者の取り組み努力を支援してまいりたいと考えております。

○山井分科員 今六割ぐらい進んでいるということでありますが、やはりエレベーターがないということで就学が難しくなったりというケースもありますので、ぜひとも進めていただきたいと思いますし、また、目に見えるバリアだけじゃなくて、例えば、後にも触れますが、目の不自由なお子さんが学ぶあるいは来る上では、補助教員の問題とかそういうガイドヘルパーの問題なども出てくるかと思いますが、よろしくお願いしたいと思います。
 さらに、このような小学校が地域の拠点となる上で重要なのは、一つは防災拠点ということであると思います。その意味で、校舎の耐震構造を評価した上で強化して、防災拠点にすべきではないかと思いますし、さらに、災害時のときに備えて、上空からヘリコプターなどでいろいろ救援したりするときに、小学校の校舎の屋上にナンバリングをすれば、どこの学校かというのがすぐわかるということも言われておりますが、その点についていかがでしょうか。

○結城政府参考人 文部科学省では、学校施設を計画あるいは設計する上での留意点を取りまとめました学校施設整備指針というものをつくっておりまして、地方公共団体などの設置者に対して、これを提示しておるところでございます。
 その中で、体育館などの屋内運動施設の計画につきましては、必要に応じ、地域の防災拠点としての利用に配慮した計画とすることが重要であるというふうになっております。また、その構造、設計につきましては、学校開放時や緊急の災害時に多数の住民などが利用することを考慮して、十分な安全性能を確保するように計画し、設計することが重要であるというふうにしておるものでございます。
 また、学校施設の改築や耐震補強などの耐震化事業に対しまして国庫補助を行いまして、その耐震化の推進に努めるとともに、大規模な改修工事に合わせまして災害時のための備蓄倉庫を整備するような場合には、これもまた国庫補助の対象とすることができるようになっております。
 私どもといたしましては、小学校を初めとする学校施設は地域住民にとりまして最も身近な公共施設であり、児童生徒などの教育活動に対して十分な配慮をした上で、地震などの災害時に地域住民の応急的な避難場所として小学校などを活用することは大変有効な方策であるというふうに考えているところでございます。

○山井分科員 老朽化した校舎が多いですので、ぜひとも急いでいただきたいと思います。
 次に、小中学校の校庭の芝生化の問題についてお願いをしたいと思っております。
 私の住んでおります京都でも、京都経済同友会のメンバーの中の有志の方々が、京都の小中学校にも芝生の校庭をということでNPO芝生スクール京都というものを立ち上げて、カンパを募って取り組んでおられます。
 昨年度は嵯峨野小学校、今年度は西陣中央小学校と新しくできるフリースクールということで整備をしておられますけれども、大好評でありまして、その効果は、もうこれは言うまでもないことですけれども、いじめが減ったり、キレる子供が減ったり、あるいは休み時間に九〇%の児童が芝生の校庭で遊んでいるとか、あるいは昆虫や花と接する機会がふえて豊かな感受性や自然環境に対する意識の高まりがあったり、また体力づくりにつながったりとか、さまざまな効果が指摘されているわけですけれども、なかなか補助が不十分だという声があります。
 今、補助金を三分の一出しておられるということですけれども、これを二分の一に引き上げてもらうとか、こういうことも含めて、全国の現状と今後の取り組み、国としてはどのように考えておられますでしょうか。

○河村副大臣 山井委員が子供の目線に立って、あるいは特に支援を要する子供たちの立場に立って、教育問題を初めとして、さまざまな問題について積極的に御提言、御指摘をいただいておりますが、このことに敬意を表したいというふうに思います。
 芝生化の問題、確かに日本はまだ非常におくれておりまして、イギリスなんかに行きますと、ほとんどの学校はきれいに張ってある。私もあれを見て、早くこうなるといいなと思っておりますし、またこの議員連盟の一員でもございまして、推進をしておるわけでございますが、まだまだ十分とは私も思っておりません。
 特に屋外の教育環境整備事業ということで、この一環としてとらえておるわけでございますが、これが国庫補助になっていることは今御指摘のとおりでございます。平成九年から十三年度まで、校庭に芝を三百平米以上張っている学校は、もう二百三校あると言われております。
 しかし、これをさらに進めるために、補助率を上げること等、私もそれができるといいと思うのでありますが、この補助率の三分の一というのは、全体の校外施設について全体に及ぶ課題でもございまして、現状の取り組みでは、芝生のところだけというわけにいかない面がございます。そういうことで、まず予算を上げるというよりも、まず全体に、早く全国的にこの問題に取り組んでいただきたい、こう思っております。
 ただ、これは、芝生には管理の問題もございます。地域のボランティア等の御参加もいただくということで、いろいろ御苦労いただいていることも承知いたしておりまして、さらに、芝の研究となりますと農水省や何かの資料、報告も要りましょうし、さらに環境省の御協力もいただく、そういう連携もとりながら、早く欧米に追っつけるように、この運動が広がっていくということを期待いたしております。
 なお、私、今二百三と言いましたが、三百平米以上行っている学校は二百二校だそうでございます。失礼しました。

○山井分科員 改めて、ここでやはり学校の校庭の芝生化の効果ということを遠山大臣にお述べいただきたいんですが、私、昔二年間、福祉の調査でスウェーデンに滞在しておりましたが、例えば向こうでは、小学生は週に二日は学校から出て森や緑の中を行くというのが教育になっているわけですね。ところが、日本では都市部ではなかなかそういうのは当然難しいと思いますので、そういう意味でも校庭の芝生化というのは重要だと思いますが、遠山大臣、いかがでしょうか。

○遠山国務大臣 本当に日本は豊かな自然を持っているんですけれども、特に、都会の子供たちはなかなか日常的にそういう自然の中に行くチャンスがない。その意味では、芝生化なり、あるいは学校の植林といいますか、木を植えたり花を育てたり、そういうことは大変大事だと思っておりまして、そういうことが心を豊かにしていく一つのあれだと思いまして、副大臣がお答えしましたように、今後ともこの面について力を注いでいかなくてはならないと思います。

○山井分科員 ちょっと通告にはないんですが、このような芝生化をして、先ほど河村副大臣からも、管理とかがまたもう一つの新たな課題であるということをおっしゃっていまして、そこで、私の地元でも言っているのは、先ほど質問しました子供の居場所づくりの取り組みと関連して、まさに土曜日、子供たち、保護者の人たち、地域の人たちが、やはり学校に集まって、そこで一緒に芝生の手入れもしていく。そういう中で、地域の交流が生まれ、また自然を大切にする心が生まれてくると思うんですが、遠山大臣、そのような維持管理の方も地域でやっていく、そういうことについていかがでしょうか。

○遠山国務大臣 本当に、芝生というのは一度植えただけではなかなか維持できないわけでございまして、委員のおっしゃるとおりだと思います。

○山井分科員 今、ある意味で、教育の中での自然との共生ということについて、また地域との共生ということについて述べさせてもらいましたけれども、もう一つ非常に重要なのは、やはり福祉との共生といいますか、障害のある方々との共生というのが非常に小学校の場で必要だと思っております。
 私の家の近所に宇治市立小倉小学校というのがありまして、ここが全国初のパイロット事業で余裕教室を高齢者のデイサービスセンターにしたというところであります。ところが、その後、なかなか数がふえていなくて、私もこれ一つできたらどんどん日本じゅうに広がるのだろうなと思って期待していたんですが、今の資料を見ますと、社会福祉施設への転用は〇・一%、児童福祉施設を入れても一%ということなんですけれども、このようになかなかふえない現状ということは、いかがでしょうか。

○河村副大臣 山井委員御指摘の点は大いに進めなきゃいかぬ視点でございまして、特に余裕教室をいかに活用するかということは、これからの大事なことになってきております。
 現在、余裕教室がまるであいた状態になっているかというと、かなり活用されていることは間違いないようですね。ただ、御指摘のように、児童福祉施設とかその転用がまだ少ないということは現実にあるようでございます。これを有効活用していくということで、余裕教室活用指針を策定する、あるいは学校施設以外の転用における財産処分の問題がございまして、この手続をもっと簡素化する、そのための有効活用の手引書、事例集の作成を行ってきておりまして、これを大いに進めていく必要があるというふうに考えます。

○山井分科員 例えば、ドイツの教育学者のシュタイナーが書いた本の中には、子供たちの学びの場の中には必ずお年寄りがいなければならない、やはりそういうお年寄りと接する中で、自然と人に対する思いやりの心を子供たちは学んでいくということが書いてありました。そういう意味で、今、核家族化が進んでおりまして、お年寄りと接する機会が非常に減っているわけです。
 それで、実際、この小倉小学校を初めとしまして、こういう福祉施設との合築をやったところでは、例えば、子供に優しさや思いやり、いたわりの心が生まれたというのが五〇%、子供の祖父母に対する接し方が優しくなったというのも四〇%、また、学校のイメージが開放的になったというのも五〇%ありまして、非常に効果が上がっています。
 私の近所の小倉小学校でも、先日行きましたら、小学校の二年生ぐらいの女の子がデイサービスセンターに来て、デイサービスセンターの絵をかいているんですね。それで、何をかいているのかなと思ったら、車いすのおばあさんの絵をかいているわけです。やはり、そういう小さいときから車いすというものに対して知らず知らずのうちになじんでいく中で、障害者やお年寄りに対する差別とかそういう意識もなくなってくるのではないかと思います。
 改めてなんですが、遠山大臣、今後どのように推進していく御決意でしょうか。

○遠山国務大臣 私も、幾つかの学校を訪問しましたけれども、少子化に伴いまして、これはちょっと残念なんですけれども、むしろ余裕教室がたっぷりしているところもありまして、そういうところは結構うまく使われております。
 委員おっしゃったように、できるだけ地元の方々もそういうところを御利用いただくように、我々も制度をかなり柔軟化しておりまして、地域がそういうふうにやりたいということであれば、ほとんどできるようになっていると思います。
 それと、複合施設もどんどん建てられておりまして、学校が、幼稚園とか保育所とか、あるいは公民館とか社会福祉施設とか、そういうものと一緒になって、新しい、そういう機能も一つの建物の中にあるようなものもどんどんふえてまいっておりますし、委員冒頭の御質問の、地域のコミュニティーセンターとしての機能というお考えからいっても、今後ともそういう方向を進めるというのは大変大事だと思います。

○河村副大臣 今の、福祉の点からもというお話で、最近、エレベーターがまだバリアフリーが少ないんです。これも、これはやはり首長さんの姿勢、教育長さん方の考え方もあろうと思います。その辺はやってもらわなきゃいけませんが、例えば、その学校に障害者はいないけれどもエレベーターをつくってもらいたい、地域からお年寄りが来るんだ、こういう話があるんですね。
 そういうことも含めて、バリアフリーも考えながら、単なるバリアフリーだけじゃなくて、福祉の視点、今のいわゆるお年寄りのこと、小さい子供たちとの共生ですね、そういうことの教育効果を考えて学校施設をつくっていく、空き教室を利用していく、そういう観点は非常に大事なことだというふうに思います。

○山井分科員 例えば小学校の余裕教室を高齢者のデイサービスセンターに改築した例では、例えば、あるお年寄りは、それまではデイサービスセンターとかに行くのは嫌だと言って嫌がっていたわけですね。ところが、小学校の、それこそ七十年前ぐらいの卒業生だったわけですね。それだったら、その小学校のデイサービスセンターだったら私行くわということで言い出されて、そこの小学生と交流したら、実は私は七十年前にここの小学校を卒業したのよ、その当時はこの周り、池ばっかりでとか、子供との交流も生まれるわけなんですね。そういう意味では、ぜひとも推進をお願いしたいと思います。
 それに関連しまして、障害児との統合教育ということですね。
 先ほども言いましたように、私もスウェーデンの学校に二年間行っていたわけですけれども、日本と違うなと思ったのは、向こうの小学校、中学校を見ておりましても、例えば車いすの子供がいる、視覚障害の子供がいる、あるいは、もっと言えばクルドやソマリア、カンボジアからの難民の子供もいる。そういうふうに、本当に障害のある方を受け入れているわけですね。そのためには、当然、補助教員が必要だということもあるかと思います。
 私が一時期おりました国民高等学校というところでも、例えば盲目の学生がおりました。月に一遍、その盲目の学生が逆に先生になって、目の不自由な人の介助をどうするのかということを全校集会の場でともに学んでいった。また、車いすの学生さんがいることによって、やはりいろいろな話を聞くことができたり、一般の子供や学生さんたちも学べるところが多いと思うんですね。
 ある意味で、本来、教育の場に障害のある人がいるのが当たり前であって、その方々を排除しているということをやり続けていくと、結局、大人になったときにも、障害者を町で見ると怖い、接したことがないという問題が出てきて、そういう問題が障害者に対する差別や、もっと言えば、最近、ホームレスの人々への襲撃事件も出ておりますけれども、そういう弱い人たち、自分と違う人たちに対していじめてしまう、そういう社会問題にも発展していくと思います。
 このような障害児との統合教育をいかに進めるかということについて、遠山大臣、いかがでしょうか。

○矢野政府参考人 我が国におきましては、先生御案内のように、障害のある児童生徒の多様なニーズに応じまして、その可能性を最大限に伸ばし、自立し、社会参加のために必要な力を培うために、盲・聾・養護学校あるいは特殊学級、さらには通級による指導等、さまざまな指導形態で教育を行っておりまして、障害のある子供の教育の機会を確保しているところでございます。
 障害を持った子供の就学の問題につきまして、平成十四年九月、昨年でございますけれども、新たな制度改正を行いました。それは、一人一人の教育的ニーズに応じたきめ細かな教育が可能となるよう、そういう観点に立ちまして学校教育法施行令を改正いたしまして、本来ならば盲・聾・養護学校に就学すべき障害を持った子、そういう障害の状態が基準に該当する子供でも、その障害に照らしまして、小中学校において適切な教育を受けることができる特別な事情があるということを市町村の教育委員会が認める場合には小中学校に就学させることを可能にする、そういう意味での就学手続の弾力化を図ったところでございます。
 文部科学省といたしましては、今後とも、障害のある児童生徒のニーズに応じた教育を行うことが重要であると考えておりまして、そういう観点に立って制度や施策の改善充実に努めてまいりたいと思っております。
 なお、介護を必要とする障害の重い児童生徒、これは私ども、基本的には盲・聾・養護学校において教育を行うことが適切であるというふうに考えておりまして、こうした児童生徒について、通常の学級において教育を行うために補助的な教員を配置するということまでは国としては考えていないということについて、御理解をいただきたく存じます。

○山井分科員 きっちり一緒に教育を受けるというのは難しい面もあるかもしれませんが、その場合はどうやって交流していくかとか、そういうふうなことにぜひとも力を入れていただきたいと思いますし、補助教員という問題、非常に重要ですので推進していっていただきたいと思います。
 次に、教育と関連して、引きこもりの問題についてお伺いしたいと思います。
 私も、数年前からこの問題は非常に関心を持っておりまして、きょう初めて質問をさせていただくのですけれども、そもそも引きこもりという定義はどういうことなのか、かつ何人ぐらい日本の中にいらっしゃるのか、またその原因は何なのか、そういうことすらまだまだわかっていない部分があります。
 全国親の会の会長の奥山さんにも先日お目にかからせていただきましたけれども、そういう意味で、この現状と原因と対策というものをどのように考えておられるのか、これは厚生労働省さんになるかと思いますが、御答弁をお願いします。

○松本政府参考人 引きこもりについてのお尋ねでございますが、いわゆる引きこもりと申しますのは、一つの病気あるいは一つの障害という概念ではございませんで、一つの社会的状況を呈する状態を指すものということで考えられております。
 一昨年、相談体制を充実するためにガイドラインを暫定的につくりましたけれども、そこでの定義は、いろいろ定義がございまして、社会的引きこもりを、明確な精神疾患、精神障害を持たないが、引きこもりを続けている人々というようなことで定義しているものがございますし、あるいは、十二年度に引きこもりの実態を調査されたのがありますけれども、そこでの定義は、六カ月以上自宅に引きこもって社会参加をしない状態が持続しており、分裂病などの精神病ではないと考えられる者ということで、そういう定義自体も必ずしもはっきりしたものではございませんで、社会的状況を呈する状態を指すということでございます。
 その実態につきましては、正確に把握することが非常に難しい状況ではございますが、平成十二年度に、全国の精神保健福祉センターあるいは保健所等でこういう引きこもりについての相談件数が、受けたことがあるかどうか、あるいは増加傾向にあるかどうか、そういう調査を行っておりますけれども、その調査によりますと、相談件数が増加傾向にあると見られるということでございます。
 この対策といたしましては、保健所、精神保健福祉センター、児童相談所などの相談業務をより適切に実施できるようにするために、ガイドラインを作成し、関係機関に配付しております。
 さらに、引きこもりを含みます思春期の問題行動につきまして、当然、保健所あるいは精神保健福祉センター、医療機関のほかに、教育委員会ですとか学校ですとか警察などの地域の関係機関が連携してチームをつくりまして、その方に的確な支援を行うためのモデル事業というものを十三年度から実施しております。
 さらに、相談に当たる専門家の方が少のうございます。そういうこともございまして、専門家を養成するための研修を行っております。
 また、児童福祉に理解と情熱を有する大学生などを児童福祉司などの助言、指示のもとに家庭に派遣する事業ですとか、夏休みなどを利用いたしまして、児童相談所への宿泊等を通じまして集団的に生活指導などを行う事業を実施しておる。このような取り組みをやっておるところでございます。
 今後とも、関係省庁あるいは省内の関係部局が十分連携を図りながら、関係者や専門家の御意見等もお伺いしながら、適切な対策を進めてまいりたいというぐあいに考えております。

○山井分科員 最後に一つだけ質問させていただきたいんですが、まさに今の相談ということなんですけれども、例えば、私の知り合いのケースでも、精神保健福祉センターに相談に行った、そうしたら、精神科医の方が来てくださったんだけれども、親が甘やかしたのが悪いとかいって説教されたり、あるいは、パソコンを使っているからこんなことになるんだといってパソコンを使うなとしかられて、それがきっかけで本格的に引きこもってしまったというようなケースもあるわけです。
 そういう意味では、先ほどおっしゃったガイドラインというのができてからやはり引きこもりに対する偏見が減ってきたということで、効果はあったと思うんですけれども、まだまだ理解がないわけであります。
 それで、私の知り合いの一番最高齢の方は、四十二歳で引きこもっておられる。二十歳から引きこもって二十年。親ももう七十歳で、親が亡くなったらどうなるんだろうか。今、二十代、三十代の引きこもりの方もふえてきています。
 そうすると、引きこもりの方の就労をどうするのかというような問題も出てきて、小中だけではなくて、二十歳以下、二十歳以上と、ずっとそういう相談窓口が必要なんですが……

○斉藤主査 時間が参っておりますので。

○山井分科員 はい。たらい回しに遭わないように、こういう相談体制について、最後にお答え願いたいと思います。

○松本政府参考人 御家族あるいは御本人が気軽に相談できるように、相談体制を充実していくことが重要だというぐあいに考えています。
 このため、先ほど説明させていただきましたけれども、専門家の研修がございますけれども、これを受講した医師あるいは保健師等の名簿を都道府県に配付して、有効活用を図っている。相談があったときに、必ずしも専門でない場合に、不適切な相談があってはいけませんので、より専門家につなぐということをやっております。
 また、先ほど申し上げました引きこもりのための対応のガイドラインは、一昨年配りましたのは暫定版ということでございまして、来年度当初に、社会的引きこもりに対応するためのガイドラインの最終版というものを今準備中でございまして、その中では、相談体制をさらに整備充実していくための具体的な援助方法や事例などを盛り込むこととしております。
 また、御家族ですとか御本人を対象といたしまして、正しい知識や、どこに相談すればいいかという相談機関等に関しまして盛り込んだ情報を提供するためのパンフレットを作成しようということで、今準備中でございます。それができましたら、そのパンフレットと同時に、厚生労働省のホームページあるいは各都道府県等を通じまして、広く普及に努めていきたいと考えております。
 いずれにしましても、こういう取り組みにつきましては、御家族、御本人が身近な機関に相談できるよう、また関係省庁、省内の関係部局と十分連携をとりながら取り組んでまいりたいと考えております。

○山井分科員 きょう質問しましたことは、ある意味で文部科学省と厚生労働省に関係することですので、ぜひとも両省で力を入れていただきたいと思います。
 ありがとうございました。


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