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2003年2月26日 

厚生労働委員会 会議録 

一般質疑

○山井委員

 民主党の山井和則です。ことし初めての質問になりますが、五十分間、坂口大臣、よろしくお願いいたします。
 まず最初に、ちょっと資料の説明を、十ページございますが、させていただきたいと思います。
 きょうは、障害者の支援費のことを中心に質問させていただきますけれども、星印に書いてありますように、市町村障害者生活支援事業、障害児(者)地域療育等支援事業という、支援費制度のかなめとなる事業の数値目標が消えてしまった。そして、その次の二ページ目にもありますように、ここにも下線が引いてありますけれども、いつの時点で急にこの大事な事業が厚生労働省の重点項目から消えてしまったのかというのが、いまだもってなぞに包まれてわからない。
 そういう通知が昨年の年末に突如として出てきまして、三ページ、四ページにありますように、京都府を初め、これは一体どういうことだという抗議の要望書が多くの都道府県、市町村からも上がっておりますし、また、五ページ、六ページ目にありますように、全国の多くの当事者団体、障害者福祉の団体から一斉に抗議の声が起こっております。これは、今まで厚生労働省が言っていた支援費制度の理念と相反するではないかということであります。
 それで、七ページ目にありますが、後でお見せしますが、「もう施設には帰らない」という本が今障害者福祉の世界でベストセラーになっております。この本のことです。また、きょうの朝日新聞の朝刊にも、支援費制度が始まる直前になって、サービスもふえなくて、現場に非常に不安が高まっているということ。それで、九ページ目は、今までにもお見せしたことがございますが、国際的に見ると、日本は知的障害者の方の施設入所率が異常に高い国になっている。最後に、私の前回行った支援費関係の質問の議事録というふうになっております。
 まず、私がなぜこの問題にこだわるのかということを申し上げたいと思います。
 私が政治家になった一番大きな目的というのは、ノーマライゼーション社会をつくりたい。どういうことかというと、坂口大臣、私が痴呆性高齢者のグループホームの問題もライフワークとしているのを知っていただいているかと思いますが、障害があっても、年老いても地域で暮らせる、地域で一般の方々と触れ合って、助け合って暮らせる、そういう社会を二十一世紀に実現したいというのが私が政治家を志した原点であります。
 裏返せば、残念ながら、二十世紀の日本の福祉というのは、痴呆症になったり、障害があったりすると、安易に町外れの施設や病院に入れ過ぎていたのではないか。そのことは国際的に比較しても明らかであります。そのことについて、これは現場で、施設や病院で働いていられる方が悪いというのではなくて、残念ながら、厚生労働省の政策に誤りがあったというふうに私は思っております。
 そこで、この支援費制度が出てきたわけですけれども、大臣にまず御認識いただきたいのですが、昨年の年末までは、支援費制度に関しては、私たち民主党もそうですし、全国の自治体もそうですし、当事者団体、福祉関係の団体の大多数は、厚生労働省さんと一緒になって推進していこう、これはやはり高い理念のいい制度だということで一致しておりました。
 ところが、大臣も御存じのように、一月のホームヘルプ上限問題で、厚生労働省を何百人もの障害者団体の方々が取り囲まれる。そして、その前段に、この年末に、二つの事業がありますが、まとめて相談支援事業と言いますが、これが一般財源化を何ら通告なく突如としてなされた。このことによって、残念ながら、日本じゅうの論調が一気に変わりました。厚生労働省は何を考えているんだ、今まで言ってきたことと違うじゃないか。
 これは、障害者のホームヘルプの予算も昨年よりもたくさんとっていただいておりますし、障害福祉部の方々も必死で頑張ってくださっていると思います。そういう意味で敬意を感じている面もありますけれども、にもかかわらず、今そういう状況になっていることを私も非常に残念に思っております。このことを何とか打開していただきたいし、そのことが打開できないのであれば、ことしは支援費制度が四月に導入されて大変な大混乱の年になると思います。しかし、それを障害者福祉飛躍の一年にしてほしいという思いで質問をさせていただきます。
 昨年の年末、私は関西にある知的障害者のコロニーに行きました。そこには八百五十人の知的障害者の方々が暮らしておられます。山の中にあります。その中に何十もの宿舎がありまして、そこに八百五十人が暮らしている。多くの方が十年、二十年暮らしておられる。私も、その中で、知的障害者の方々に施設を案内してもらいました。地域で暮らせる割と元気な方もたくさんおられる。どうしてこういう方が山の中の施設で人生の最後まで暮らさないとだめなのか、それで本当に豊かな社会と言えるのかということを私は非常に考えさせられました。
 それで、今までもお見せしておりますこのグラフですが、きょうの資料の中にも九ページ目に入っておりますが、そういう反省の中、欧米では知的障害者の大規模施設というのが八〇年代、九〇年代に急速に減っていった。にもかかわらず、日本は非常に多いわけですね。十数万人入所しておられます。
 これは非常に重要なことなので、大臣に冒頭にお伺いしたいと思いますが、こういう現状を支援費制度でどのように変えていこうと大臣御自身は思っておられるのか、御答弁ください。

○坂口国務大臣 支援費制度、大変大事な点は二つあるというふうに思っております。
 一つは、今まで障害者に対する支援が積極的に行われてきました地域もありますが、全く行われてこなかった地域がある。それを、日本のすべての地域において障害者に対する対応をできるようにしていかなければならないということが一つだと思います。
 それからもう一つは、今お話にございましたように、施設の中に障害者が入っているということだけではいけない。それは中には必要な人もあるのでしょう。しかし、できる限り地域に障害者の人たちがお住まいになれるようにしていかないといけない、それを支える体制をつくっていかなければならないというのはやはり二つの大きな柱だというふうに思っております。
 障害者の皆さん方を地域で同じに生活できるようにしていくということは大変大事なことでありますが、やはりみんながその障害者を地域で支えようという気持ちにならないといけない。その人々に対する国としての対応も必要でございますが、あわせて、地域の人々の認識というものもやはりそういうふうになっていかなければならないというふうに思っている次第でございます。

○山井委員 認識も非常に重要でありますし、同時に、それを支えるサービス、支援体制というものが当然必要であります。
 次に大臣にお伺いしたいんですが、この「もう施設には帰らない」という本が今障害者福祉の世界で非常なベストセラーになっているんですけれども、大臣、お読みになられたことはございますでしょうか。

○坂口国務大臣 残念ながら読んでおりません。

○山井委員 お忙しいと思いますが、急げば十五分、二十分ぐらいで読める本ですので、ぜひともお読みいただいて、まことに失礼ながら、次回また質問しますので、少しだけでも感想をお聞かせ願えればと思います。
 このタイトルにもありますように、知的障害のある二十一人の方が、施設から地域で暮らされて、やはり地域に暮らせてよかったなと。自由に喫茶店に行ける、自由に服を買いに行ける、あるいは自由に自動販売機でジュースが買える。ある施設では、月に一遍しか自動販売機でジュースが買えない。
 地域で暮らせると何がいいんですかとよく聞かれることがありますけれども、逆に、当たり前の生活を当たり前にしてもらうということが、知的障害者の方々には今非常に難しい状況になっております。
 そこで、地域に暮らすときに一つ問題になるのが、一月に騒動になりましたホームヘルプの上限の問題であります。その中で坂口大臣は、これは国庫補助の基準にすぎなくて、上限ではないということをお約束されました。しかし、残念ながら、私もここ一カ月間多くの自治体関係者と話しましたけれども、やはり一つの参考にさせてもらっていると。それで、今までの方々はサービス量は減らないけれども、新規に申し込む方に関しては、実質上その国庫補助基準が上限になっているというケースがたくさん出ております。
 このことに関して、大臣、これはお約束として上限ではないということを言われたけれども、実際に上限になっているケースがあるわけです。そのことについての見解をお聞かせください。

○木村副大臣 今回の国庫補助基準の性格は、市町村に対する補助金の交付基準でございます。個々の人の支給量の上限を定めるものではございません。もちろんこれはもう議員もおわかりになっていると思います。そして、もちろん、市町村における支給決定を制約するものではないんです。
 そうは申しましても、厚生労働省といたしましては、地方自治体に対し、一月の全国厚生労働関係部局長会議及び支援費制度担当課長会議におきまして、その趣旨について明記をした文書を配付いたしました。そして、これに基づいて説明を行いまして、その周知徹底を今図っているところでございます。
 今後とも引き続き、全国会議等の場を通じまして、各自治体に対してその周知徹底を図ってまいりたい、このように思っております。

○山井委員 このホームヘルプの上限問題に関しては、後日石毛衆議院議員も質問をさせてもらうということですので、これ以上は触れませんが、上限ではないと約束された以上、市町村が勝手に上限にしたということでは済みませんので、そうならないようにきっちりと徹底をしていただきたいと思います。(発言する者あり)そういう現実があるわけですから、よろしくお願いをいたします。
 次に、一般財源化に移らせてもらいます。
 その相談事業が一般財源化されたということで、多くの自治体から抗議の要望書が来て、かつ、この地域療育等支援事業の補助金廃止に関して、二万人以上の方々から撤回の署名が来ておると思います。直接坂口大臣の手にも渡ったと思いますので、読んでくださっていると思います。
 要は、この事業に関しましては、資料にありますように、地域で障害者が暮らすときの相談、コーディネートの事業であります。身体障害の方、知的障害の方の地域で暮らすときの相談機能であり、ケアマネジメントを行ってまいりました。しかし、坂口大臣、この一ページの図にありますように、そういう最も支援費制度の、地域支援の核と言われているこの二つの相談支援事業が、突如十二月の末に一般財源化をされまして、こういうふうに整備目標からも消えてしまいました。このことについて、なぜこれの整備目標がなくなって、一般財源化されたのか、大臣、御答弁をお願いします。

○坂口国務大臣 これは初めにも触れましたとおり、今までは特定のと申しますか、限られた市町村におきまして熱心にやられてきた。それは結構なことだったというふうに思っておりますが、それが全体の市町村に行き渡っていなかったわけですね。今度は、全市町村の一つの大きな課題として、各市町村がおやりをいただくということになったわけであります。
 したがって、今まで特定の市町村におやりをいただいていて、そして、そういう特定の市町村をだんだんこれからふやしていこうというような趣旨で、これは補助金という形で出ていたというふうに思いますが、今度は全部の市町村が、自分たちが一番中心としてやらなきゃならない仕事の一つとして組み入れられたということでございますから、それは、市町村が今までの考え方を変えていただいて、これは自分たちが中心で、今度は主体的にやらなければならない仕事であるというふうにお考えをいただかなければならないと私は思うんです。
 それで、補助金という形ではなくて、それはもう交付金の形で今度はお出しをするわけでありますから、お金が少なくなるわけではないんです、国が出しますものは、今までどおりお出しをするわけです。ただ名目が変わったということでありますから。その中でひとつ、各市町村が自分たちの考え方によって、我が町ではこういうふうに障害者の支援をしていこうといったようなことを自主的に計画をしていただいておやりをいただきたい。だから、主体性を持っておやりをいただくということにしたいということでございます。
 いわゆるヘルパーさんのお話、ホームヘルプは、こっちの方は補助金として出ているわけで、これは出ております以上、やっていかなきゃならないことだけは明々白々でございます。だから、皆さん方の計画をどういうふうに立てていくかということにつきましては、それぞれの市町村がみずからの仕事としてそれはお取り組みをいただきたいということでございます。決して予算的に削ったとか、そういうことではございません。
○山井委員 それが公式見解なのかもしれませんが、補助金を削って、一般財源化して、本当に市町村がサービスをふやしやすくなるというふうに、大臣も本当に考えておられますか。そういう公式の意見と実際の実態が違うから、今厚生労働省は全国の自治体から非難を浴びているわけです。
 例えば、この三ページの京都府の要望書にもありますように、下線も引きましたが、「何ら予告なく、いきなり一般財源化」、「国と地方自治体との信頼関係を大きく損なうもの」であると。この三ページの私の資料、年末に出た京都府の要望書でありますが、「「一般財源化」とは、「全国的にどの自治体でも実施している又は実施が必然である事業」についてこそ成り立つ議論」であって、「財源捻出のための、理念を欠く事業切り捨て」である。それで、「事業継続に重大な影響を与える」と。
 かつ、厚生労働省さんは、十月の研修会まではこの事業が支援費制度の核となる事業だということをおっしゃっておられたわけです。ところが、突如としてそれを一般財源化されました。私の知り合いの自治体でも、生活支援センターをつくろうと思っていたけれども、この一般財源化によって白紙に戻りつつあるという自治体が幾つもあります。それが現実なんですね。
 かつ、私も多くの自治体関係者と話をしましたが、来年度予算は何とかつく、この相談支援事業に。ところが、二年先以上は、一般財源化されたら難しい。財政当局も、補助金がついているんだったらおつき合いするけれども、一般財源化されたら難しいということを、各自治体でも言っているわけです。それが現状なわけです。
 大臣、そこで、もう少し詰めた話をしたいと思います。
 これはきのう質問通告もしておりますが、二ページ目にありますように、八月の概算要求では重点項目で補助金事業だったんです。それで、ケアマネジメント事業も加えるために三百万円も予算を上積みしますという話を十月までは厚生労働省はしていたんです。ところが、年末に突如一般財源化されたんです。
 それで、具体的な話をしますと、新しい障害者基本計画に関する懇談会、十一月六日の時点では、市町村障害者生活支援事業と障害(児)者地域療育等支援事業はペーパーの中に入っているんです。ところが、それから二十三日たった十一月二十九日のペーパーには、突如として消えているんです。私は、その議事録も全部見ました。ところが、その議事録で、このことに対して議論が行われたことは全くありませんし、厚生労働省の方からも、二十九日の会では、説明もありませんでした。どう厚生労働省は説明したかというと、全体として、細かな用語の適正化、文章の適正化をしております、そういうことで、若干細部にわたって異なる点があろうかとは思いますが、内容、趣旨においては変わっておりませんというふうに言っているわけですけれども、明らかに、補助事業か一般財源かというのは、自治体にとっては根本的な問題なんですね。
 このことに関して、十一月に変わったのか、十二月に変わったのか、いつどこで、どの会合で、八月に補助事業だったのが一般財源化に決まったのか、その政策決定過程をお聞きしたいと思います。
    〔委員長退席、宮腰委員長代理着席〕

○木村副大臣 まず、議員が御提出された二ページ目の件でございますが、六回と七回で、これで一般財源化になったんじゃないかというお話ですが、この中で見ていただいたらおわかりになりますように、左ページのアンダーラインが引いてあるところの中に、精神障害者地域生活支援センターというのがございますが、これは一般財源化になっておりませんので、ここはあくまでも、役所から説明があったと思いますけれども、包括的な記述にしたところでございまして、実際に……(山井委員「知的と身体のことを聞いているんです、精神のことは聞いていませんから」と呼ぶ)もし精神も一般財源化したんであれば、議員のとおり、ここでなったんじゃないかというような疑念が深まりますけれども、ここに書いてあるのは、この中には補助金になっているのもあるわけですから、ここはあくまでも包括的な記述に変えたということでございます。つまり、まとめたと……(山井委員「どうして精神に身体と知的が……」と呼ぶ)違う、違う……

○宮腰委員長代理 山井君、自席で言わないようにしてください。手を挙げて言ってください。

○木村副大臣 だから、言っているのは、もし、あなたがここで言っているとおり、ここは一般的な――この時点で一般に変えたんじゃないかという御疑問があるわけでしょう。
 では、先に申しますと、一般財源化することにしたのは、昨年末の予算編成の最終的な局面で、つまり、当初内示の十二月二十日で定まったものでございまして、この時点でもう変わったというような御指摘でございますけれども、そうではございません。

○山井委員 全然納得できる説明になっていないですよ。なぜここで身体と知的の支援事業が消えているのかということを聞いているんです。

○木村副大臣 それは、先ほどから申していますように、基本的には、包括的な記述に改めたということでございます。

○山井委員 何が包括的なんですか。何で、精神が残って、身体と知的が消えているんですか。全然包括になっていないじゃないですか。

○木村副大臣 昨年末に策定されました新しい障害者基本計画につきましては、内閣府に設置された新しい障害者基本計画に関する懇談会における七回にわたる議論を経て成案が得られたものであり、その間に、多くの修正がなされてまいりました。
 御指摘の相談支援事業に関する記述につきましては、障害者基本計画が、今後十年間を対象として、政府が講ずべき施策の基本的方向を定める計画であり、具体的な事業名を幾つも列挙することはなじまない、そういうことでございます。
 それから、将来的な相談支援体制のあり方については、さまざまな障害種別に対応する総合的な運営など、必ずしも従来の事業体系にとらわれないものもあり得ること、このような理由から、ここの右側の欄にありますように、地方公共団体が実施する生活支援方策という、より包括的な記述に改めたというふうに承知をしております。これは、内閣府に設置された懇談会での件でございます。

○山井委員 要は、結局、この懇談会でも議論せずに、勝手に記述を変えたということなんですよね。これはいまだになぞです。こういうふうなところで、補助事業だったら、名前が残っていて当然なんですね。
 それで大臣、今、このことは年末に一般財源化を急に決めたということですけれども、地方自治体はもう当然予算編成作業に入っているときなんですよ。そんなときに、突如として決める。こういう事業を一般財源化して困らないかというようなことを、事前に障害者団体やあるいは自治体と多少なりとも相談されたんですか。坂口大臣、お願いします。

○坂口国務大臣 そこは、詳しく説明する暇がなかった、それだけは確かです。それは、議員もよくわかっておっておっしゃると思いますけれども、これは我が省だけの意見でなかなか決まらない部分もあるわけでありますから、最後に決まりました予算の中でそういう位置づけになったわけです。
 一般財源化をされたから、それはやる気がないとかやらないということでは決してないわけで、一般財源の中に、交付金としてちゃんと位置づけて、そして同じ額がいくようにちゃんとしているわけでありますから、支援費制度を導入していく、そこの基本的な行き方というものには何ら変わりがないわけで、市町村が主体的におやりをいただくことと、そして国の方が主体的にやらなければならないこと、その辺の分け方というものが若干変わったといえば変わった。私は、一般財源化をすることによって、これはどこの市町村でもやっていただかなければならないこととしての位置づけをした、こういうことだというふうに思うんです。
 それは、一般財源化をするということは、これは大事なことなんですよね。民主党さんも、トータルの話ですけれども、予算の組み替えで、もっと一般財源化すべきだとおっしゃっているぐらいでありますから、私は、そのことは決して悪いことではないというふうに思っております。それは、地方自治体が主体的におやりをいただくという姿勢をお持ちいただけるかどうかということが問題だというふうに思っております

○山井委員 厚生労働省の見解というのは、矛盾があるんですね。そもそも、一般財源の方がいいというんだったら、八月から重点項目として概算要求で出さなかったらよかったじゃないですか。そのときは、重点項目で補助金にしておいて、結局、年末、財源がとれなかったからといって、今のような理屈を後でつけたとしか理解ができないわけであります。
 繰り返しになりますが、これによって、地方自治体や現場の相談事業の中では、支援費制度の理念がもう変わったとまで言われているんですね。来年度予算はいけても、再来年以降はわからない。生活支援センターを地域ごとにつくって、支援費制度の核にしなさいと十月まで指導してきたのは厚生労働省なんですよ。それで、相談のコーディネーターの方々は、必死になって、私たちが頑張らないと支援費制度はうまくいかないと。地方自治体も、厚生労働省が地域支援の核が相談支援事業だと、一生懸命予算をとってきた。ところが、それが年末になってひっくり返った。それで、もう二年先以降はどうなるかわからない。そういう現状になっているわけです。
 この、先が見えない中で、坂口大臣、来年度予算では持ちこたえるにしても、再来年度以降、このままでいけば、確実に伸びは鈍るなり、減っていってしまいます。そのときになって、いや、それは市町村の責任だじゃ済まないと思うんですね。そこまで市町村がしっかりとやるべきことだと言うんだったら、やはり大臣の決意なり覚悟を言っていただきたいと思います。
 これは後退では絶対ない、すべての地域でつくっていくために厚生労働省はしっかりとやっていく、もし再来年からふえないようだったら、そこはもう一回、財政的な面も含めて、本気でやるんだということを、本当にそう思っていらっしゃるんだったら、大臣、ここで約束してください。

○坂口国務大臣 支援費制度につきましては、先ほどから申し上げておりますように、財源的な削減をしたんではないんです。項目を変えただけでありまして、支援費の制度の中に必要なものは入れているわけなんです。
 したがいまして、ことし、平成十五年度の予算の話でございますけれども、この方針に変えたということは、今後もこれは要るということでありますから、今後もこれを切るようなことはございません。

○木村副大臣 こういう事業において、市町村や都道府県の役割というのはやはり非常に重要なものでございまして、障害者の相談支援において果たされるべき基礎的な地域機能はやはりできるだけ早急に整備されるものと、もちろん厚生労働省として考えているところでございます。
 そこで、支援費制度というのは、基本的にはやはり補助事業による実施にはなじみにくいという認識はあるのでございますが、国といたしまして、都道府県の関与のもと、市町村が、障害の種別にかかわらず、一般的な相談支援について総合的に実施する体制の整備を推進する必要性にかんがみまして、いわば呼び水的な補助事業といたしまして、指定期間を二年間とする障害者地域生活推進特別モデル事業を創設いたします。それと、相談支援の業務を担うケアマネジメントの従事者の養成を引き続き実施をいたしますし、地域における相談支援体制のモデル事例についても積極的に情報提供等を進めながら、この相談支援体制が今後も定着するように努力をしていく所存でございます。

○山井委員 今までは、そもそも六百九十カ所を目標とした相談事業の補助金を出していたわけですよ。それをまた新たに一般財源化して、七十七カ所のモデル事業をつくると。一体どういう関係なんですか、それは。それだったらこの補助事業をやはり残しておいたらよかったんじゃないですか。やっていることが、現場からすると、やはりわけがわからないわけなんですね。
 それで、坂口大臣、改めてお伺いしますが、これは何年後ぐらいにすべての市町村がこの相談事業をできるようにするということを考えておられるんですか。これによってすべての市町村ができるようにしていくという方向性を先ほど大臣おっしゃいましたけれども、これは何年後ぐらいを目標にされているんですか。

○木村副大臣 先ほども申しましたように、できるだけ早急に整備をしていくように努力をしているところでございまして、支援費の制度の移行後におきましては、支援費対象サービスの利用援助等に関する一般的な相談支援につきましては、障害の種別を問わず、支援費の支給決定を行うのは市町村の担うべき役割だ、こう思っております。都道府県はまた、市町村では対応が困難な専門的な相談支援を担うとともに、より広域的な観点から、地域全体の相談支援体制の調整に当たるわけでございます。
 市町村や都道府県のこうした役割は障害者の相談支援において果たされるべき基礎的な地域機能でありますから、これはやはり、議員御指摘のようにできるだけ早くやってまいりたい、このように思っております。

○山井委員 できるだけ早くと言いながら、片や財源的には一般財源化して地方自治体がやりにくくしてしまっている。大臣、私がこのことにこだわっている理由というのは、これは非常に本質的なことなんですね。介護保険のかなめは、大臣、何ですか、これは、ケアマネジャーでしょう。ケアマネジャーがいないと介護保険は回らないわけですね。それは支援費でも、どういうサービスを受けたら地域で暮らせるようになるかというのを相談に乗ってくれる核となるのは、相談支援事業なんです。
 大臣、副大臣、そういう答弁をされるのはしようがないかもしれませんけれども、それは公式見解かもしれないけれども、実際的には、もう全国の現場は、残念ながらそうは受け取っておりません。もう支援費制度の地域生活を重視するという理念は、厚生労働省はもうあきらめたんだなというふうに残念ながら理解をしております。この失墜した信用というのを取り戻さないと大変なことになります。
 それで、具体的な質問に行きます。ちょっと、時間も残り少ないので、行きます。
 このホームヘルプの上限問題、地域相談支援の問題に関して、これは介護保険と支援費制度を将来統合していくのか、そういう質問をよく現場の方々から受けます。このことについて、現時点での見解でもちろん結構ですので、大臣、お答え願います。

○坂口国務大臣 今は決まっていないというのが率直な答弁でございます。しかし、介護保険をつくりました当時から、この障害者の問題も一緒にやってはどうかという意見があったことも事実でございます。
 しかし、障害者の関係の皆さん方は、同じではなくて、やはりこれは別枠でやった方がいいという御意見が多かった。これは相半ばしたということだったというふうに聞いておりますけれども、しかし、どちらかといえばやはり別枠でした方がいいという御意見の方が少し多かったということで、今日を迎えているというふうに思っております。
 この次の、五年後に介護保険は見直しを行うということになっておりますから、それが来年か再来年になるわけでございますが、そのときに、もう一度またそういう議論は多分出てくるだろうというふうに思います。しかし、そのときに、この障害者の関係の皆さん方がどういう御意見を言われるかということもあると思いますし、それによっても私は違ってくるというふうに思います。
 しかし、この介護保険の問題は、いわゆる高齢者の介護の問題と、それから障害者の介護の問題が、制度はともかくとして、結果として余り大きな隔たりがあってはいけない、私はそう思っております。

○山井委員 具体的な質問をさらにしたいと思います。
 一月末、障害者の当事者団体の方々ともめまして、その時点で検討会をできるだけ早く設置する、こういうホームヘルプの問題や支援費の問題、相談事業について検討会を設置するということになりましたが、大臣、できるだけ早くとなっていましたが、いつからになりますでしょうか。

○坂口国務大臣 ホームヘルプサービスのあり方を検討するための検討会につきましては、この支援費制度のもとでのホームヘルプサービスの利用実態を把握した上で、望ましい地域ケアモデル、サービスの質の向上のための取り組み等、そうしたことのあり方について検討をするということになっております。
 現在、四月一日を目指しましてこの支援費制度がスタートするわけでございますが、スタートいたしましたら、できるだけ早い時期にこの検討会をスタートさせたいというふうに思っております。ですから、この平成十五年度の早い時期にスタートさせたいということでございます。

○山井委員 申しわけないですが、スタートして早い時期ということなんですけれども、それは四月じゅうと理解していいですか。
 というのは、できるだけ早くと言って、今もう三カ月、二カ月たっておりますので。

○坂口国務大臣 スタートしてからでございますから、四月中にできるか五月中にできるかは、それはちょっと、そこまでは言わないでください。できるだけ早くやる、こういうことでございます。

○山井委員 またこのあたりは石毛議員からもお話があると思いますので、来年の国庫補助基準の見直しということも議論の中に含まれてきますので、四月じゅうにぜひともお願いしたいと思います。
 次に、その検討会のメンバーなんですが、当事者、特に知的障害者の方をメンバーに入れてほしいということと、まさにこの地域福祉の核となる相談事業のコーディネーターの方を入れてほしい、この二つの要望をしたいと思いますが、大臣いかがでしょうか。

○坂口国務大臣 いつやるかということをまず決めなきゃならないわけで、そのときには、幅広く多くの皆さん方の御意見を聞けるようにしたい、当事者の皆さん方の御意見も反映できるような体制にしたいというふうに思っております。
 それ以上具体的なことは今申し上げることはできませんので、そういう気持ちでおることだけをお伝えしたいと思います。

○山井委員 今、当事者の方に入ってもらうということなんですけれども、なぜ知的障害の方を当事者として入れられないんですか。例えば育成会という知的障害の方の親の国際連合でも、四分の一の理事が知的障害者の本人になっているんですけれども、ぜひともやはりそこは一歩踏み出していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

○坂口国務大臣 だれがだめで、だれがいいということを今申し上げているわけではございませんで、したがいまして、関係者の皆さん方の御意見が十分反映をされるように人選をしたいということを今申し上げているわけでありますから、その中で十分に考えていきたいと思います。

○山井委員 本当に、余り決意が感じられなくて非常に残念でありますが、そこはぜひとも、決定する段階においてはコーディネーターの方と知的障害者の本人が入れるようにしていただきたいと思います。
 それと、この騒動の結果、当事者の方々と会われるという約束をされたと思いますが、いつごろ会っていただけますでしょうか。できるだけ早く会っていただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。

○坂口国務大臣 ここまで参りましたし、そして着々と支援費制度の出発の準備が進んでいるわけでありますから、どういう時期がよろしいのか検討したいというふうに思いますが、いずれにいたしましても、皆さん方の代表としてどのような方にどういう形で会わせていただくのかということも検討しなきゃいけないというふうに思っております。
 団体といいましても、たくさんあるわけでありまして、それがまたさまざまな御意見をお持ちになっているということでございますから、そうした場合にどういうふうな形で会わせていただくのがいいのかということも含めて検討したいと思っております。

○山井委員 このことに関してはまた石毛議員も質問されると思いますが、やはり当事者の方々の生の声を、ぜひとも大臣、聞いていただきたいと思っております。
 ちょっと質問が変わりますが、昨年の私の質問に対する大臣の答弁と、その後の厚生省の施策が違っているということ、これは私にとっても非常に大きなことですので、大臣に改めて確認したいんですが、十枚目の私の資料にありますが、二カ月前のことですので覚えておられると思いますが、ホームヘルプ、家事援助の支援費制度の単価のことであります。
 それに関して、大臣も覚えておられると思いますが、介護保険の家事援助の単価は千五百三十円じゃだめだ、安過ぎてこれではもう採算がとれないということで、この四月から引き上げることになったわけですね。だから、支援費制度の障害者福祉のホームヘルプの、家事援助の単価も千五百三十円じゃ無理だから、これも当然介護保険と同じように引き上げてくださいということを言いましたら、この十ページに入れてあります議事録にもありますように、「ですから、一緒にします」ということを大臣は答弁されたんですね。私も、「ありがとうございます。」とお礼まで言っているわけですね。
 ところが、実際に見てみると、引き上がっていなくて、介護保険で採算が成り立たないと明らかになった千五百三十円のままだったんです。これは大臣がおっしゃったことと違っているんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。

○坂口国務大臣 確かにそのときにそういうふうにお答えをしましたし、身体介護の方につきましては、現在の介護報酬と同額の四千二十円にしたわけですね。それで、身体介護につきましては、時間で九十分以上のところにつきましては、介護の方は六千六百七十円ですけれども、身体障害の方は八千三十円にしているわけですね。(山井委員「ちょっと待って、家事援助のことを聞いているわけです」と呼ぶ)ですから、それは皆言うてもらわないと、安いところだけ言うてもらっては困るので、高いところもあるということを説明しておるわけであります。
 家事援助の方は確かに千五百三十円、それから介護の方が二千八十円と、若干違いがございます。しかし、身体介護と家事援助、これは障害者の場合と介護と比較をしてみますと、身体介護と家事援助の割合というのは、障害者の場合は四対一なんですね。(山井委員「わかりました、わかりました」と呼ぶ)そうでしょう。だから、ほとんどは身体介護なんですよ。それで、介護の方は、四対五で家事支援の方が多いわけですよ。ですから、一番、四対一で多い方の身体介護、しかも時間のかかるようなところをより高くしたということですから、私は、大体お約束をしたことを守ったというふうに思っております。

○山井委員 いや、それはもう全然違うんです。家事援助の質問をして、家事援助を一緒にすると答弁しているんですから。
 私はそうなった理由を聞いているんじゃなくて、大臣が答弁したことと結果が違って、そのままで済むのかということですよ。大臣が答弁したことが、済みませんでした、後で調べたら、そうじゃなくて変えましたで済むんだったら、国会の質問なんか、こんなのはできないわけですよね。
 この結果が出るまで、私には何ら一言も、その事情説明も何にもないんですけれども、今後もこういうことというのはあるんですか。大臣が答弁したことが勝手に変わって、実はこれこれの事情で変わりましたと言って、それで済むんですか、国会というのは。

○坂口国務大臣 ですから、委員の御質問にこたえて、介護報酬以上にした部分もあるということを言っているわけです。(山井委員「これは家事援助のことを言っているわけです」と呼ぶ)だから、家事援助だけではなくて、これは全体の介護のことを私は言ったわけで。
 それはそうでしょう。家事よりも身体介護が大事なんですよ。そうでしょう。これはもう障害者の場合には身体介護が中心ですから、そこをやはり中心で高くするということが大事で、家事援助も、それは必要ですけれども、それはプラスアルファの方であって、身体介護を中心に考えなきゃいけない。そこをより重くしたということですから、それはちょっと御理解をいただかないといけない。
 私は、この前お聞きをしましたときに、家事援助のことだけを念頭に置いて考えていたわけではなくて、身体介護も含めた介護に対する費用が介護報酬と隔たりのないようにという御意見だというふうに私はお聞きをしましたので、それはそういうふうにいたしますということをお答えしたわけであります。

○山井委員 本当に私としては不本意でありますし、国会での答弁というのはこれだけ軽いのかなと。
 やはり、正直言って、この議事録を見たら家事援助のことを言っているのは明らかなわけですから、国会で議論したことと違う結果になりましたよというのは、普通、一言あってしかるべきじゃないですか。
 最後の質問に移ります。
 ホームレスのことについてお伺いしますが、ホームレス自立支援法が昨年成立しました。しかし、今回の予算はまだまだ不十分であると思います。
 時間がないですので、まとめて聞きますが、実態調査の結果はいつごろ出るのか、そして、それによって、今回の来年度予算で何人ぐらいの雇用がふえると見込んでいるのか、そのことについてお伺いします。

○木村副大臣 今議員の御指摘のホームレスの実態調査の件でございますけれども、昨年七月に国会で成立したホームレス自立支援法に基づきまして、現在、地方公共団体の協力を得まして、ホームレスの実態に関する全国調査を行っているところであり、本年三月中に調査結果をまとめるということでございます。
 今後、この調査結果を踏まえまして、来年度早々に国の基本方針を策定するところでございます。
 それから、予算の件でございますね。平成十五年度のホームレス対策予算においては、議員御指摘のホームレス自立支援事業につきましては、十一カ所千四百人分から、十六カ所千九百人分に拡充をしたところでございます。
 それから、その他にも、緊急一時的な居住場所を提供しますホームレス緊急一時宿泊事業、シェルター事業というものですね、それは九カ所二千五百人から、十一カ所三千百人分に拡充をいたしました。
 また、これ以外に、巡回相談活動等を実施するホームレス総合相談推進事業や、ホームレス等を短期間試行的に雇用する事業主に対する奨励金を支給するホームレス等試行雇用事業を創設いたします。
 そういうようなのを含めまして、ホームレスに対する自立支援を総合的に行うために、平成十四年度予算額に対しまして約二倍の二十七億円を計上したところでございます。

○山井委員 二万五千人、今までの調査ではホームレスの方がおられて、今回の実態調査でそれより恐らくふえると思います。それに対して、こういう雇用支援策というのが数千人単位ということで、それでは何年たったらこのホームレス問題を解決するのかというのがやはりわからないわけですね、これは十年の時限立法なわけですから。そういう意味では、実態調査の結果が出たら、もうぜひとも、補正も含めて、そういう就労支援をやってホームレスの方々の問題をできるだけ早く解決するんだと。最近、襲撃事件とか、本当に痛ましい事件が起こっているわけですから、そこをお願いしたいと思います。
 先日も、私、知的障害を持たれる子供たちの親の方々ともお話をさせていただきましたけれども、本当に支援費制度に不安がある、支援費制度でいろいろなサービスが低下するんではないかという大きな不安を持っておられます。本当に、そういう親の方々の声や現場の方々の声を聞くたびに、厚生労働省さん、やはりことしを障害者福祉の飛躍の年にしてもらいたいと思います。きょう五十分間、坂口大臣、木村副大臣の答弁を聞かせていただきましたけれども、残念ながら、この年末年始、なぜ当事者の方々や障害者団体の方々や全国の自治体の方々がこれだけ不安に思い、これだけ怒っているのかということがいま一つわかっていられないんじゃないかというふうに思っております。
 この四月、支援費制度がスタートしますが、ぜひともことしが障害者福祉の飛躍の年になるように、私たち民主党も精いっぱい頑張りますし、厚生労働省や大臣、副大臣にも頑張っていただきたいと思います。
 これからもこの問題、取り組みたいと思います。きょうはどうもありがとうございました。


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