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2002年4月24日 

衆議院 厚生労働委員会 議事録 

患者の権利法案
医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、
医療に係る体制の整備等に関する法律案

○山井議員

 ただいま議題となりました医療の信頼性の確保向上のための医療情報の提供の促進、医療に係る体制の整備等に関する法律案、私どもはいわゆる患者の権利法案と呼んでおりますが、これについて、提出者を代表し、その提案の理由及び概要を御説明申し上げます。

 今、医療事故が国民の大きな不安となっており、年間二、三万人が医療事故・過誤で亡くなっているとの推計もあります。そんな中、調査でも八七%の人がカルテ開示を求め、医療事故に関する情報公開が不十分だと感じている人が七一%にも達しています。また、患者の権利意識の向上を背景に、医師の権威主義的な対応や、不十分なインフォームドコンセントへの不満など、患者と医師との関係が改めて問われています。

 二十一世紀のキーワードは、情報公開と国民の主体的参加です。そして、医療は、患者を中心に、患者と医師との共同作業で行われるべきものです。患者の理解と選択に基づく医療が行われるためには、医療内容の十分な説明、診療情報の積極的な開示が前提です。その実現によって初めて、患者と医師との間に信頼関係が生まれ、良質かつ適切な医療が可能になると考えています。

 そのためには、診療情報の開示に関する法的な制度の整備が必要不可欠です。また、これは自己情報のコントロール権を医療の分野で保障することにもつながると考えています。

 次に、法律案の概要を申し上げます。

 第一は、基本的理念及び責務です。医療は、患者と医療従事者との信頼関係のもとに、患者の理解と選択に基づいて行われること、患者と医療従事者との間で情報が共有化されることなど、基本理念として定め、それを受けて、医療機関、医療を受ける者、国等の責務をそれぞれ規定しています。

 第二は、医療機関に係る情報提供を定めるとともに、広告規制緩和について、原則自由化の方向を示しつつ、別に法律で定めるとしています。

 第三には、医師等は診療について十分な説明を行うこと、患者は医療適正化委員会に相談できるとし、第三者の意見を聞き得る道も開いています。

 第四に、カルテなど診療記録の開示等です。医療機関の管理者は、患者等から請求があれば、患者に悪影響を及ぼす場合などを除き、診療記録を開示しなければならないとし、医療に要した費用の支払い明細書の交付もすることとしています。

 また、第五には、安全かつ適正な医療確保のための体制整備の規定を定めています。

 そして第六に、患者等からの苦情の解決策を定めています。

 以上が、本法律案の提案理由及びその概要であります。

 医療情報の提供と適正な医療の確保のためには、この法律の制定がぜひとも必要です。議員各位におかれましては、この法案の趣旨を十分に御理解賜り、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げ、提案理由説明といたします。ありがとうございました。

○森委員長 次に、五島正規君。
    ―――――――――――――
 健康保険法等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○五島議員

 ただいま議題となりました健康保険法等の一部を改正する法律案、いわゆる失業者に係る医療保険負担の軽減に関する特例措置法案につきまして、提出者を代表し、提案理由及びその内容の概要を御説明申し上げます。

 完全失業率が五・三%と雇用失業情勢の悪化が続く中、多くの労働者が倒産やリストラなど非自発的な離職を余儀なくされております。こうした状況下で、当該失業者の医療保険加入は、離職前の健康保険に継続加入するか、居住地の国民健康保険に加入するか、いずれかの選択を迫られることになります。

 しかしながら、各ケースの保険料を見ると、前者の場合、従来の本人分に加え事業主分も負担するため在職時のおおむね二倍水準となります。後者の場合は、当該失業者の前年の所得に基づいて保険料算定がなされるため、失業による所得低下にもかかわらず、総収入額が年間五百万円相当であった失業者の場合、四人世帯で年間保険料が三十万円から五十万円程度と、相当高額の保険料を払わなければなりません。

 そのため、本法律案は、当分の間、非自発的な離職を余儀なくされた失業者に対し、失業後一年に限って、保険料算定の際に用いられる従前の所得を減額するなどして在職中と同程度の保険料負担により医療保険に加入できる措置を講じ、もって失業者の医療保険に係る経済的負担の軽減を図り、生活不安を払拭しようとするものであります。
 以下、本法律案の概要を申し上げます。

 第一に、当分の間、非自発的に離職したため健康保険または船員保険の被保険者の資格を喪失し任意継続被保険者となった者の標準報酬については、一年に限り、従前の標準報酬の基礎となった報酬月額の六割に相当する金額により定めることとしております。

 第二に、当分の間、国民健康保険税の課税額を算定する場合には、非自発的に離職したため失業している国民健康保険の被保険者に係る総所得金額等は、一年に限り、その者の総所得金額等のうち給与所得の金額をその額の三割として計算した金額とすることとしております。
 なお、この法律は、平成十四年十月一日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその内容の概要であります。

 失業者の生活支援のあり方については、さまざまな視点から検討が加えられるべきものと考えられますが、現在、国民健康保険の保険料滞納世帯数の割合は増加の一途をたどり、厚生労働省によれば、昨年は一七・七%に上っています。これ以外にも、健康保険脱退以後、国民健康保険の加入の手続をしていないケースも見込まれ、こうしたいわゆる国民健康保険の未加入・保険料未納者の増加は、疾病の重症化を招くなど、結果的に健康弱者の増大につながりかねません。

 民主党といたしましては、緊急かつ現段階で実行可能と思われる方策として、非自発的失業者に係る医療保険負担の軽減措置を講じようとするものであります。

 慎重御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。

○森委員長 以上で各案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る二十六日金曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時十七分散会
 


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