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2001年10月19日 

衆議院 厚生労働委員会 議事録

予防接種法案 個室の新型特別養護老人ホームについて
      やまのい和則 部分掲載


鈴木委員長

 次に、山井和則君。


山井委員

 よろしくお願いいたします。
 本日は、坂口厚生大臣、そして桝屋副大臣に三十分間質問をさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず第一問目、本題の予防接種問題について入る前に、おとつい質問させていただいた医療制度改革についての質問の続きを一問だけ坂口大臣にさせていただきたいと思います。

 坂口大臣の御答弁の中で、次のようなくだりがございました。看護や介護にここは任せるというふうにしないといけない、すべて医師の命令ではいけない、看護や介護への役割分担を明確にしないといけない、そういう御答弁をいただきました。

 私も、今回の医療制度改革の一番大きなポイントの一つがやはりそういう権限移譲をしていくということだと思いますし、長期の入院患者の方々の退院の促進においても、また医療、老人医療全般においても、訪問看護や看護婦の役割が非常に大きくなっていると思います。

 少し私の持論になるんですが、私、今からもう数年前ですけれども、スウェーデンに二年、アメリカ、イギリス、ドイツと、老人福祉と医療の調査に合計三年ぐらい回ったことがあるわけですが、そこでもやはり同じように、老人医療をどうするかということがヨーロッパやアメリカでも問題となっておりました。

 その中で、例えばスウェーデンがとった政策は、結局、看護婦ができることは医師から看護婦に権限を移譲していく、そして、介護職員ができることは介護職員に権限を移譲していく。何でもかんでもお医者さんにやってもらうということをやり続ければ、非常にコストが高いというだけではなくて、やはり看護婦さんの方が、生活全般あるいは家族との関係もトータルにお年寄りの場合は見られるという部分があるわけです。そのスウェーデンの老人医療改革のときの一つのキーワードは、より多くの時間をお年寄りと接している者がより多くの権限と責任を持つべきだ。一週間に本当に短い時間接していられるお医者さんよりも毎日長時間接している看護婦さんに、より多くの権限とまた同時に責任を持たせようというような理念でありました。

 そういう意味では、今回の医療制度改革の試案の中に、そういうふうな医師から看護婦さんやコメディカル、パラメディカルの方々への権限移譲というか、そういう方向性についてほとんど触れられていなかったことを私は非常に残念に思います。そのような観点から、一つ私は象徴的な問題がこの中医協の委員の問題ではないかと思います。

 きょう資料をお配りしております。この資料を改めて私見させていただいて、このメンバーを見る中で、まさに二十世紀の日本の医療の一つの問題点が集約されているのではないかというふうに思います。この中には、女性も村田さんお一人しか入っておられませんし、看護婦の代表も入っておられません。

 平成十二年まであった看護料という分担でいきますと、医療費の一〇%を看護料が占めており、また在宅のかなめの訪問看護の管理者も看護婦になっているわけですし、また医療費に、病院の人件費に占める半分以上が、最大のものが看護婦にもなっているわけであります。そういう意味では、医療のあらゆる面でも最大の構成者が看護婦であるにもかかわらず、その代表がここに入っていない。やはりこういうところから変えていかねばならないのではないかと思います。

 坂口大臣が、そういう役割分担をこれから問い直していかないとだめだという御答弁もおとついいただきましたので、そのことに関連して、大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

坂口国務大臣

 今山井先生から提案されました中医協の話でございますが、ここへ行きます前に、私は、やはり看護婦さんの業務と申しますか、看護婦さんというのは何を中心にやるべきか、そしてその範囲をどうするかということを決めることの方が先だという気がいたしています。

 現在のこの中医協では、診療報酬の支払いを受ける保険医療機関あるいは保険薬局の代表者、それから一方は、その費用を負担する保険者や被保険者の代表者、こういうふうに分けられておりますが、こういうふうな分け方をしてしまいますと、その両方に入ってこないわけであります。

 看護婦さんの場合に、看護婦法ですか、法律の中を見ましても、その業務としては、ちょっと正確な表現は忘れましたけれども、療養者の世話と書いてありましたかね。その世話というのは、これは介護でもこのごろは世話をするわけでありますし、もう少し的確な、看護とは何か、看護のためにはどういうことをやはり任すべきかということを私は少し明確にすべきときが来ているというふうに、これは私個人でございますけれども、そう思っているわけでございます。昔と違いまして看護婦さんの教育もどんどんと進んでまいりまして、大学を卒業されました看護婦さんもありますし、大学院を卒業なすった看護婦さんも出てきている昨今でございます。したがいまして、准看護婦の皆さん方が多数を占めていました時代と現在とを比較いたしますと、それは大きな違いがあるというふうに思っております。

 だから、現在にふさわしい看護なら看護のあり方というものを、もう少し根っこのところで整理をすることが大事ではないかということを思っておりまして、できれば次の医療制度の改革の中にそのことが盛り込めないかと私個人は思っているところでございます。そうした上においてこの中医協の問題等は出てくる問題である、その前に整理をするべきことはしなければならないというのが私の考え方でございます。

山井委員

 非常に前向きな御答弁でありがたいと思います。

 ですから、まさにおっしゃるように、中医協のあり方と委員のメンバーをセットでやはり議論しないとだめだと思いますし、やはり医療制度改革の中でこれは一つの大きな焦点になってくると思います。そういう意味では、今まで日本では、お医者さんが上で看護婦さんは下、まさに療養のお世話を看護婦さんにやってもらう。でも、残念ながら、先進国で療養のお世話を看護婦さんにやってもらう、そんな位置づけをしているところというのはないと思うんですね。これは何もお医者さんの権限を看護婦さんが奪うということではなくて、そういう老人医療のより多くの部分を看護婦さんに任せることによって、お医者さんはもっとお医者さんしかできない本来の部分に特化していけるという部分も出てくると思います。

 今私この質問をさせていただいた理由は、看護婦さんを中医協のメンバーに入れるということは過去十年間議論されておりまして、御存じだと思いますが、一九九七年、今から四年前の六月三日にも、現副大臣の南野参議院議員が厚生委員会で取り上げられまして、当時の大臣は小泉さんでありました。それで、診療側の委員が八名、医師会、歯科医師会、薬剤師会、なぜ看護婦の代表が入っていないのかという点も私なりにこれでいいのかなと、検討する必要があるのじゃないかと思っておりますというふうに答えておられます。また、それに関連して、九七年の九月十八日の答弁では、中医協のあり方について、今のままではいいとは思えない、見直しをする、今後の中医協の機能あるいは構成委員などを検討して、できるだけ早い機会に法案提出にこぎつけたいと思っていますというふうに、もう四年前に答弁をされているわけなんですね。

 この発言をされた厚生大臣が、たしか今の内閣総理大臣であると思うわけです。聖域なき改革を言っておられるわけで、そういう意味では、四年たってもこの問題一つ、これだけ前向きな答弁をして、この答弁を見たときに、私もうこれで決まったのかなと正直思ったんですけれども、放置されている。やはりこういうことを抜きに医療制度改革というのはできないと思います。このことについて要望を改めてさせていただきます。一言、大臣、いかがでしょうか。

坂口国務大臣

 小泉元厚生大臣の趣旨を踏まえまして、私も頑張りたいと思います。

山井委員

 ありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、本題の予防接種の問題についてでありますが、私も今回このレポート、効果があるとなりました、厚生科学研究費補助金による総合研究報告書を読ませていただきました。すべて、分厚いのをきっちり読ませていただいたわけではないんですが、私も、これだけの研究で効果があると、何かちょっと納得しがたい部分があります。

 といいますのは、私も大学院まで酵母菌の研究をしておりまして、医薬品関係の研究をずっと日夜、夜な夜なやっておりましたので、こういうデータに関しては、本当にこれでブランクがきっちりとれているのか、有意の差と言えるのかということが非常にやはり気になるんですね。そういう意味では、これだけ大きな問題についてこの研究だけで判断するというのは、何か正直言って私は納得できない部分があります。とはいえ、人の命にかかわったことですので、今回この法案には賛成をさせていただきますが。

 そこで、二つなんですが、改めて、効果があるのかということと、もう一つ重要な、五年後の見直しのときに、本当にこれは五年間やって効果があったのか、費用対効果の問題もありますし、また副作用の問題もあると思いますが、五年後のときにはきっちりブランクをとってどういうふうに評価していくのか、そのあたりについて御答弁を、桝屋副大臣、よろしくお願いいたします。

桝屋副大臣

 インフルエンザワクチンの有効性等について、重ねて委員の方からお尋ねをいただきました。先ほど来、金田委員からも克明に一つ一つ紹介をし、点検をしていただきましたので、私が多く申し上げるわけにはいきませんが、委員におかれても、報告書等もお目通しをいただいての重ねてのお尋ねでございます。

 いずれにしても、委員いみじくも人の命とおっしゃいましたけれども、高齢者について、若年の健康成人と比較して、特に死亡や重症化の防止効果の高いことが確認をされたわけであります。そうしたことに基づいて今回法改正をさせていただくわけであります。内容については、先ほど議論があったわけであります。

 それで、委員の方から、これから五年間しっかりやって、費用対効果も含めてきちっと効果測定をしてもらいたい、こういう御指摘も含めていただきました。おっしゃるとおりでありまして、絶えず科学的な手法による検討、検証というものを重ねていく必要があるだろうというふうに思っております。この委員会における御議論いただきましたポイントということも整理をいたしまして、今後、五年間という数字もいただいたわけでありますから、しっかり意識をして調査研究を進めていきたい、そして五年後に改めて御報告ができるように努力をしてまいりたい、このように考えております。

山井委員

 ありがとうございます。

 この報告書のサマリーを見て、ああ、これは効果があるなと納得できる人というのは割と少ないんではないかと私は思います。ですから、五年後のときには、もっときっちりとした形で、明らかな効果が十分あるのか、不十分なのかということをわかるようにしていただきたいと思います。

 例えば老人ホームなんかでも、睡眠薬が効果があるかどうかというときに、私も老人ホームで昔働いていたときに、あられの粉を飲んでもらうだけで、おばあさんは睡眠薬を飲んだ気になって晩ぐっすり寝られるとか、そういうふうに、ワクチンを接種した、その効果があるないじゃなくて、それだけで、ああ、私もう風邪引かないわというような、そんな心理的な効果も特にお年寄りの方には非常に高いわけなんですね。

 これは何百億というお金が年間かかることなわけですから、その辺きっちりと、まさに医療費の効率化ということが議論されている昨今なわけですから、むだなことにならないようにしていただきたいと思います。

 それで、今までは自己負担で任意接種であったわけですけれども、なぜ任意接種ではだめなのか。施設でも、このデータを見ると、六割、七割の方が接種をされているわけなんですけれども、それはやはり、今回こういう法律をつくられるその意義について、なぜ自己負担での任意接種ではだめなのかということについて、お伺いしたいと思います。

桝屋副大臣

 任意接種でなぜ対応できないのかというお尋ねでありますが、インフルエンザを予防接種法の対象疾病に加えるということで、一つは、市町村がやはり事業実施主体になるということでありまして、それによりまして実施体制が整うということとともに、公費を投入した予防接種の実施により自己負担の軽減が図られるということはあるかと思います。それから、もう一点は、万一健康被害が生じた場合には、公費による救済が行われるということでありまして、その二点は、やはり任意接種ではできないことでありますので、この二点を挙げさせていただきたいと思います。

 それから、こうした体制を整えるということによりまして、接種を行う市町村あるいは接種医にとって円滑な接種の実施が可能になるというふうに考えているところでございます。]

山井委員

 このインフルエンザで亡くなられた方、流行した年、千人ぐらい高齢の方が亡くなられておるんですけれども、その中で、老人施設で亡くなられた方というのは五%ぐらいというふうに聞いておりますが、ただ、施設で集団感染されて病院や診療所に行かれて亡くなった方を入れると十分の一以上ではないかと思うんです。実際、その当時、集団感染が流行したときの新聞記事を見ても、やはり老人保健施設や特別養護老人ホームでそれが起こっております。そのようなことから、施設のあり方にもこの問題は絡んでくると思うんです。

 先ほど家西議員からも本当に似たような質問がございましたが、結局、意思表示できないお年寄りにも、お金もうけにつながるからといって、全員にこの接種を受けさせるというようなことにはならないのだろうか。

 また、これも本当に家西議員とも一緒の質問になるんですが、痴呆症のお年寄りについて、痴呆症のお年寄りは非常に敏感になっております。やはり、なぜ接種を受けるのかなんてわからないわけですから、これはそれほど痛みが激しい接種ではないようですけれども、ちくっとする痛みでも、やはりそれによって、虐待を受けた、暴行を受けた、そのショックで痴呆症状が一気に悪化するというようなことはあり得ることです。

 坂口大臣、もと老人保健施設にもお勤めになっておられたと聞いておりますので大臣にお伺いしたいんですが、そのあたり、やはり痴呆症のお年寄りなどについても非常に慎重に接種をしていただきたい。先ほどの家西議員のように、インフォームド・コンセントをきっちりして、それができない場合には接種しないということにしていただきたいんですが、そのことについてお答えいただきたいと思います。

坂口国務大臣

 今回の法案提出に当たりまして、そこは整理をして、そして、自分で意思表示のできない皆さん方には、それは一応原則としてしないということに今割り切りをしているようでございますから、それはそれで、私もそれじゃそれで理解をしているところでございます。

 率直に私の気持ちを言わせていただきますと、非常に小さな幼児、乳幼児でありますとかあるいは高齢者の方で自分で意思を明確にすることのできないような人というのは、それは家族なりなんなりがその健康は守ってやらなければならないわけでありますから、なぜその人を除くのという気持ちが私の気持ちの中から消えないことも事実なんです。本当はその人にもやってあげるという積極性がなきゃならぬではないかという気持ちがあるんですけれども、しかし、先ほどから御質問が出ておりますように、そこを許してしまうともう歯どめがなくなってしまうではないかという御意見も、わからないわけではございません。

 そこは、五年ならこの五年の間にこのインフルエンザのワクチンが本当に効果があるかどうかを明確にした上で、五年後、どうするかということをもう一遍やはり私は考えていただくべきだと思っております。それだけの効果があるという積極的な自信があれば、その辺のところも私は言えるんではないかという気持ちが今のところいたしております。これは私のつぶやきでございますから、ちょっと聞いていただければと思います。

山井委員

 まさに、お年寄りの方の命を守るという意味で、お医者さんとしての大臣の思いもわかります。一方、本当に、それが痴呆症のお年寄りにとって、脅威を与えて逆効果になるなんということはないように御配慮いただければと思っております。

 施設で多くインフルエンザが集団感染しているという問題は、私は、雑居部屋、四人部屋、六人部屋の問題と切っても切り離せないと思っております。桝屋副大臣にこの質問はさせていただきたいんですが、厚生労働省さんも、今後は、新設する特別養護老人ホームは全室個室、ユニット型というのを進めていかれるということで、まさにインフルエンザの施設での集団感染を防ぐという意味からもすばらしいことだと私は思っております。

 そんな中で、そういう、厚生労働省さんが目指しておられる施設のモデルとも言われております千葉県の風の村というところに、ここ、ユニット型で全室個室で、ここがモデルだろうということで、先日、私行かせていただきました。そうしましたら、桝屋副大臣も先日お見えになったということをお聞きして、そこで、神原さんという方も、桝屋副大臣と一緒に撮った記念写真を部屋に大きく飾っておられました。

 それで、ここでお聞きした話なんですが、ここだけではなく、私、五カ所、ユニット型、個室の特別養護老人ホームを訪問しまして、どこでも口をそろえておっしゃっていたのが人員配置の問題なんですね。介護保険では、常勤換算で、入居者三人に対して介護職員と看護婦さん一人という三対一になっております。しかし、どこも口をそろえて、三対一では、個室、ユニットケアでは十分なことができない、二対一が必要だということで、この風の村も、桝屋副大臣お聞きになられたと思いますが、これは二対一になっております。

 そこで、今の介護報酬のままでは二対一が十分に組めなくて、その結果、この風の村の施設長さんもおっしゃっておられましたが、どうしてもたくさん非常勤を雇って、それで何とか人手をふやすしかない。しかし、非常勤の方々をたくさん雇い過ぎると雇用も不安定であるし、また、きっちり、このユニット型個室というのは、集団的なケアではなくて一人一人が中心になった個別ケアをしていくという理念なわけですから、非常勤の方が多過ぎたり人手が足りなかったりでは、そういう、まさに厚生労働省さんが目指される個別ケアができないということをおっしゃっておられました。そのことについて、ぜひともこの介護報酬を引き上げて、一対二をできるだけ多くの常勤でカバーできるようにしていただきたいと思います。

 この点と、もう一つは個室型老人ホーム、すばらしいことなんですが、ホテルコスト、食費や家賃の部分約五万円ぐらいを自己負担してもらうということになりますので、今の五、六万の自己負担ではなく、新型の特別養護老人ホームは十万から十一万の自己負担になるわけですね。この話を私も知り合いの方にすると、そんな高いのは、個室でいいけれども、なかなか入れないと。だから、やはり所得が少ない人には、払える人は払ったらいいけれども、所得が少ない人には低所得者対策をしてほしいということを言われております。

 人手を一対二にするための介護報酬の引き上げということと、それとこの低所得者対策、この二つについて桝屋副大臣にお伺いしたいと思います。

桝屋副大臣

 私どもが考えております平成十四年度の概算要求の中で、委員お話のありました全室個室、ユニット型のケアという、いわゆるこういう形を新型特養ということで今打ち出していこうというところにあるわけでありますが、早速風の村を見ていただきましてありがとうございます。

 本日は、テーマは予防接種法であります。全室個室にするということは、予防、施設内の入所者の保健衛生の向上には大きく寄与するものだというふうに考えているところでありますが、今委員からお話のありました、では、個室にしてユニットケアにすれば人員の配置基準をぜひ改善する必要があるのではないかという声が多いということでありますが、私も確かに聞かせていただいております。

 ただ、今私どもが考えておりますこの新しい新型特養、ユニットケアについて、人員配置をどうするかということについては、これは慎重に検討しなければならない。委員御案内のとおり、現行三対一というこれをどれぐらい、では改めるのかというと、今委員の方から二対一とかというお話がありましたが、これは革命的な出来事になるわけでありまして、介護保険を始めるときに、四・一対一あるいは三・五対一というものをこの三対一という、こういう世界がやっとできたわけでありまして、加えて、ユニットケアにして職員の動線、動く距離が短くなるということもあり、そしてケアの仕方も私は相当合理化できるだろうと。

 ただ、委員がおっしゃったように、個人的なケアという観点で、ではどこまでやるかというと、私はあくまでユニットケアはグループケアだと思っておりますから、一対一までということには恐らくならないと思いますし、いずれにしても、そういうところを検討しなきゃならぬと思いますが、人員配置基準を今改めるということは考えておりません。

 その上で、もう一点委員の方からお話のありました低所得者、これは御案内のとおりでありまして、せっかく全室個室になっても、そのホテルコストを負担できないがために施設に入れないということが出たのでは大変でありますから、委員の御指摘も踏まえて、ぜひともそこは対応しなきゃならぬというように思っておりまして、ただいま社会保障審議会介護給付費の分科会において御議論もいただいているところでございます。しっかり検討してまいりたいと思います。

山井委員

 今、考えておりませんという答弁でしたが、ぜひともそこはやはり検討していただきたい。といいますのが、やはり仏つくって魂入れずで、個室で、ユニット型になって、十分その分目が行き届かなくなって、骨折事故がふえたとか転倒事故がふえたということでは意味がないわけですし、また、せっかくこういう予防接種の法律をつくっても、先ほども言いましたように、四人部屋、六人部屋で、一部屋全部一人が感染したら感染しちゃったということでは、やはり本当に何のための予防接種かというのもわからなくなってくると思います。

 実際、御存じのように、昨年も一年間で四百十六人も、老人保健施設で転倒や骨折の事故にもなっているということですから、この予防接種によってお年寄りの健康が増進されたけれども、骨折事故やそういう事故がどんどんまだまだこれからふえていったということでは、やはりよくないと思います。

 それで、この個室の問題と集団感染の問題、私はセットで議論すべきだと思うんですが、そういう感染の予防の見地からも、既存の四人部屋や六人部屋の介護保険施設、特養、老人保健施設、療養型病床も、やはり可能な限り個室に転換していく、やはりそういうことを厚生労働省さんとしても推進していっていただきたいと思います。

 そのことに関して、改築の推進というものを、ユニット、個室型への改築の推進ということについてどのようにお考えになっておられるか。最後、坂口大臣に御答弁をお願いしたいと思います。

坂口国務大臣

 特別養護老人ホームと、それから老健施設とは、若干役割も違うと思います。

 特別養護老人ホームにつきましては、これは最終までと申しますか、ついの住みかと申しますか、ここで人生を終わるんだというお気持ちの方が多いわけでございますから、特別養護老人ホームの施設につきまして、それをユニット化をしていく、個室化をしていくということに対しましての整備につきましては、予算にも、これはしっかりと対応しなければならない、盛り込んでもいるところでございます。

 それから老健施設の場合には、若干、最後までここにおるというところでは本来はないわけでございますから、その問題をどうするかということでございますけれども、しかし、この老健施設につきましても、平成十三年度におきましてもある程度の予算化をいたしておりますし、これは十四年度もやっていかなければならないというふうに思っています。

 もう一つ、療養型の病床、これは一つは医療機関でございますので、ここは少し別枠で考えたい。

 ですから、一番中心は、特別養護老人ホームを中心として、そしてそれに加えて老健施設という、ランクづけでいきますとそういうランクづけだろうというふうに思っておりまして、この二つにつきましてはしっかりと見ていきたいというふうに思っています。

山井委員

 今、療養型病床については位置づけが少し違うという御答弁でしたけれども、実際には、特別養護老人ホームがもう都市部では一年から二年待ちというふうな中で、調査の中では、療養型病床も、老人保健施設も、特別養護老人ホームも、実際は要介護認定の介護度が余り変わらないという現状が出てきているわけですね。まさにおとつい議論をさせてもらったように、社会的入院、長期入院の方が療養型病床にもある意味で滞在しておられるわけです。

 そういう意味では、やはりそこの療養環境の向上ということもこれから必要になってくると思いますし、やはりこういう介護保険施設、いい介護保険施設をどんどんふやしていくということ抜きには、長期入院や社会的入院の解消ということもやっていけないと思います。

 そこで、改めてもう一度桝屋副大臣にお伺いしたいんですが……

鈴木委員長

 山井君、時間がもう過ぎておりますので。

山井委員

 ああ、そうですね。はい。

 個室の老人ホームに行っていただいて、その感想と、これからそれを進めていくという御決意、最後にお聞かせ願えればと思います。

桝屋副大臣

 これからの時代の特別養護老人ホームについては、委員も見ていただいたああいう施設、いわゆる私どもが言っております個室化、ユニット化、こうした新型特養を少しでもふやしていくように努力をしてまいりたい。なお、皆さんが安心して利用していただける環境もしっかりつくっていきたいと思います。よろしくお願いします。

山井委員 どうもありがとうございました。

鈴木委員長 この際、暫時休憩いたします。
    午後零時三十九分休憩


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