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2001年03月01日 

衆議院 予算委員会第5分科会 議事録


やまのい和則 質問 部分 

精神病院について

○山井分科員

 よろしくお願いいたします。

 本日は、まず最初に、このたび、医師であり、本当に弱者の問題、福祉の問題に今までから力を入れておられます公明党の坂口先生が大臣に就任されましたこと、心よりお喜び申し上げます。

 また、私も、福祉の問題に人生をかけて、この国会に初めて昨年の六月に来させていただきました。その意味で、今回は昨年の末に発覚いたしました埼玉県の朝倉病院という精神病院の問題、この問題に絞って三十分間御質問をさせていただきたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、今お手元に資料をお配りさせていただきました。ちょっと見ていただければと思います。お手元に行く前にパネルでお示ししたいんですが、まず何が問題かということを少し、資料を含めてお話ししたいと思います。

 まず、精神保健指定医が不在のままで、この写真、このパネルにありますように、身体拘束、患者さんの腕、足、胴体を縛るという行為が行われておりました。これは、精神保健指定医の診察なくしてやることは違法行為であります。

 そして、二番目になりますが、同じく身体拘束の写真になりますが、このように犬のように縛られてしまっている。御想像にかたくないと思いますが、このようなことをされますと、当然、ショックで落ち込み、嘆き悲しみ、元気になる人がいるはずありません。そして、死期が早まるということも容易に想像できると思います。このようなことが朝倉病院で行われていたわけであります。このような違法な身体拘束。

 それともう一つは、IVH、中心静脈栄養という問題であります。口から食べられる、ある意味で中心静脈栄養が必要でない患者さんに対しても、こういう行為が行われている。報道によりますと、口から食べておられた患者さんが、このような不必要なIVHを過度に行ったせいによって、二カ月で亡くなってしまわれたという例も報道されております。二百人の精神病院の七、八割が痴呆症の高齢者、そこもそもそもおかしいわけであります。

 朝倉病院の、人権侵害のような、このような疑いの問題につきまして、どのように大臣は認識しておられるのか、まず御見解をお伺いしたいと思います。

○坂口国務大臣

 この朝倉病院の件につきましては、今パネルで御指摘になりましたように、違法な身体の拘束、それからIVHのお話もございましたが、いわゆる診療報酬の不正請求の疑い、こうしたものがありまして、大変遺憾だというふうに思っているわけでございます。

 私も、医療現場に何度か、何度かと申しますよりも何年もと申し上げた方がいいかもしれませんが、携わってまいりました者といたしまして、やはり、医の倫理として避けなければならない問題がある。どういう状況であろうと、しかし避けなければならない問題がある。その辺の、やはり一番根底になりますところを忘れているのではないか、そういう思いをいたしております。

 昨年、埼玉県や厚生省、現在の厚生労働省でございますが、の関係部局におきまして、医療保険でありますとかあるいは医療法、生活保護、精神保健の各法の観点から立入検査等も行ったところでございまして、精神保健福祉法による改善命令を出したところでもございますが、こういったことが全国で起こらないように、そして、また再びこうしたことがこの地域で起こらないように私たちはしていかなければならないというので、全国的にも、精神病院に対しまして、こうしたことのないように通達を出したところでございます。

○山井分科員

 この問題に対しまして、私たち民主党は、昨年末に朝倉病院問題調査チームをつくりまして、十二月二十五日の日に埼玉県にヒアリングに行き、また立入調査を十二月二十五日にいたしました。

 この問題に対しては、一般のほかの精神病院からも、このような事件が起こると非常に困る、誠心誠意良心的にやっている精神病院も同じように思われると。私の知り合いの精神病院に勤めておられる看護婦さんからも、必死で患者さんのために働いているのに、またこのような事件が起こると、悪いことをしているんじゃないかという白い目で見られる、許しがたいということをおっしゃっておられました。ですから、私は、そのような良心的な精神病院の関係者の名誉を回復するためにも、このような問題に取り組ませてもらいたいと思っております。

 今、不正請求の問題などの認識をお答えになりましたが、私は、このケース、常に二十人ぐらいがIVHをされていて、年間二百人中七十人ぐらいが亡くなっておられる、非常に高い確率で亡くなっておられる。口から食べられる患者さんへのIVH、もはや不必要なIVHというのは、医療行為ではなくて傷害罪ではないか。指定医不在の中で安易に、このパネルにもありますように、七点抑制して動けないようにする、これは医療行為ではなくて逮捕監禁罪に当たるのではないか。

 このような犯罪性に関してどのように認識されておられますでしょうか。単なる不正請求の問題じゃないと思うのです。

○坂口国務大臣

 確かに、今御指摘になりましたように、その病院の取り扱いというものが非常に行き過ぎてまいりますと、それは正常な医療範囲の枠を超えまして、そしてそれは違法性が問われることになるだろうというふうに思います。

 今見せていただきましたパネル等を拝見いたしまして、これは、どれだけそれが続いているのか、毎日毎日そういうことがあるのか、そうしたことを私は存じませんけれども、そうしたことが日常茶飯事として行われているとすれば、それは医療というものの基本を踏み外しているのではないか、そんな認識を持っております。

○山井分科員

 まさに日常茶飯事行われていたからこそ、思い余った職員さんが内部告発をされたわけなんですね。

 その中で、最も関係の方が心配されているのが、この問題が氷山の一角なのか、あるいは例外的なことなのかということだと思います。関係者によると、各都道府県にこういう病院は一つや二つある。どこでも受け入れてくれない生活保護の痴呆性高齢者などが入院する病院では、非常に質が低下しているというような指摘もあるわけです。

 そこで、お伺いしたいと思います。このような朝倉病院のようなケースは氷山の一角なのか、それとも例外的なケースなのか、お答えください。

○桝屋副大臣

 朝倉病院のような違法な行為をしているこうした医療機関でありますが、今委員からもお話がありました、ほかの病院も医療機関も大変に心痛めているという話もありましたけれども、やはり、こうした事例、全国で千六百以上の医療機関の中で、私はごく一部の事例ではないかというふうに思っているわけであります。

 精神病院につきましては、精神保健福祉行政において定期的な現地指導を実施しているほか、医療監視あるいは医療保険についての指導も行って、適正な医療の確保に努めているところであります。仮にほかにこうした病院があるということであれば、違法な行為が行われているという信頼できる情報があれば、それは必要な調査を行った上で関係法律に基づいて厳正に対処をしていきたい、このように考えておるところであります。

○山井分科員

 そのような意味では、今の答弁では例外的なところだということなんですが、このような悪質なケースに関しては、今調査中と聞いているんですが、今後どのような処分が考えられますでしょうか。

○桝屋副大臣

 先ほどからお話がありますように、地元の県とも今十分協議をしておるところでありますが、検査及び監査で確認をされた事実関係を今改めて精査をいたしております。現段階では、措置を行う時期を含めて、どのような措置を講じるかについてはお答えできる状況にないことをぜひとも御理解をいただきたいと思います。

 一般論として申し上げれば、精神保健福祉法上の措置として、医療機関に対する改善命令あるいは入院医療の提供の制限命令でありましたり、生活保護法上の措置として、都道府県知事による指定医療機関の取り消し処分でありますとか、あるいは健康保険法上の措置としては、地方社会保険事務局長によります保険医療機関の指定の取り消し、あるいは保険医の登録の取り消しということも考えられるわけでありますけれども、今申し上げましたように、法律に基づきまして、埼玉県とともに厳正に対処してまいりたい、このように考えているところであります。

○山井分科員

 今、保険医の取り消しや保険医療機関の取り消しということにもお触れになりましたけれども、どのような場合そういうことになりますでしょうか、そこまでいく場合は。

○桝屋副大臣

 今一等最初に申し上げましたように、個別の内容については、今までの現地調査あるいは監査等の内容を今精査しているところでありますが、個別の問題で取り消しというお尋ねがありましたけれども、なかなか簡単にお答えはできないわけであります。違法請求とか、そうした明らかに法律に違反をするというようなことであれば、そこまでの処置も必要かなと思っておりますが、ただいま内容を精査させていただいております。

○山井分科員

 先ほど、ほかの病院ではこのようなことは行われていないと信じるということなんですけれども、なぜそう信じられるのでしょうか。

 といいますのは、この朝倉病院でも監査などでひっかかったわけではないんですね。毎年の監査は通っているわけです。内部からの告発があって問題が発覚しているわけです。そういう意味では、この監査そのものが機能していないのではないでしょうか。少なくとも、このような行き過ぎた違法性の高い医療行為が行われていながらもこのような病院が監査をクリアしているとしたら、監査が機能していないというふうに私は思います。

 その意味では、再発防止のために、今後どのようにこの医療監視、実地指導をやっていかれるか、お答えください。

○桝屋副大臣

 監査が全く機能していないというお話もあったわけでありますけれども、事朝倉病院につきましては、マスコミで報道されます前に実はこうした問題も把握をしておりまして、埼玉県とも連携をしながら現地指導をずっと重ねてきた、こういう経緯もあるわけでありまして、その点も御理解いただきたいと思いますが、再発防止のためにどのような対応を行うかという委員のお尋ねであります。

 今回の事件を受けまして、都道府県、指定都市に対しましては、先ほど大臣からもお話を申し上げましたけれども、全国会議等の機会におきまして、改めて精神病院に対する指導監督の徹底を求めたところであります。

 また、精神病院に入院している患者については生活保護受給者が多いということもあるわけでありまして、福祉事務所のケースワーカーが積極的に患者にかかわる、いわゆるケース処遇上の実調といいますか、実態調査、病状調査、こうしたことを積極的にやっていただくということが極めて重要だというふうに認識をしております。

 今後さらに生活保護の患者につきまして適切な処遇の確保が図られますよう、近く開催をする全国会議においても、定期的な病院訪問による患者の実態把握の徹底及び問題が生じた場合の関係機関との連携について、各都道府県、市に周知をしてまいりたい、このように考えているところであります。

○山井分科員

 それでは私は再発防止になっていないような気がすると思います。

 例えば、この病院だけではなくて、報道によりますと最近大阪の精神病院でも、患者虐待、真冬にホースで水をかける暴行、あるいは数日後にはごみ箱で頭を殴られたり、あるいは院内のロビーで職員にゴルフクラブで患者が殴られて出血した。このような問題に関しても、これは行政の監査でかかってきたのではなくて、患者さんの御家族や人権センターの告発で初めて動き出しているわけですね。

 繰り返しになりますけれども、これでは何のために監査が入っているのか、本当に劣悪なケースというのが摘発できていないというふうに思います。

 あるいは、私は非常にショックを受けましたのは、御存じのように、この朝倉病院、昔は南埼病院といいましたが、今回が初めてじゃないんです。

 例えば、昭和四十一年、四十四年の記事で、薬代を水増し、医療費詐欺にもメス、不詳事件。昭和四十一年十二月一日。救いなき南埼病院、院長ら七人起訴、患者も参る過剰投薬。そして、このように議会や国会で取り上げられている。これで三度目の不祥事、ビールビンで刺す。朝倉病院事件を追及、国会でも。ということで、昭和四十一年や、その前後に報道されています。

 つまり、私、昭和三十七年生まれですから、私が四歳とか七歳のとき、三十年以上前に問題になって、それから三年じゃないですよ、三十年たったのに同じことが起こっている。それを行政がチェックできたのではなくて、内部告発で出てきた。

 具体的に言いますと、医療監視の問題なども、行って書類を見て設備や職員の方だけをチェックするだけではなく、具体的に言うと二点。やはり定期的に抜き打ちで行かないとだめなんじゃないでしょうか。それとともに、書類を見るだけじゃなくて、抜き打ちに定期的に行って、かつ病棟をしっかり見る。そういうことをやっていかないと再発防止にはならないと思います。

 御見解をお聞かせ願いたいと思います。

○坂口国務大臣

 そこは御指摘のとおりというふうに思います。

 各都道府県におきまして、その病院、これは精神病院だけじゃございません、たくさんの病院があるわけですから、その監査というのも定期的にやっているわけでございますが、とりわけ非常に問題が多いと思われるようなところにつきましては、やはり注意をほかの病院よりもしっかりとしていかなきゃならないことも事実でございますし、そして、そうしたところの監査というのはやはり抜き打ち的にやるといったようなことも含めてやっていかないと、やはり効果が上がらない。

 やはり、前もって言っておかなければいろいろのデータが整わないというようなこともある場面もあると思いますから、全部が全部抜き打ちでいいかといえば、それはそうでないところもあるだろうというふうに思います。しかし、そうしたことが疑われるようなところにつきましては、抜き打ちにやるといったようなことをやはり織りまぜてやっていかないことには効果が上がってこないというのは御指摘のとおりだというふうに思っております。

 したがいまして、そうしたことにつきましても今後さらに、各都道府県に対して、そういう方法も織りまぜてひとつ徹底して監視をしていくように、私たちも指導を強めていきたいと思っております。

○山井分科員

 繰り返しになりますが、昭和四十年代にも国会の、見て私、笑ったんですけれども、予算委員会の分科会で取り上げられているんですね、この病院の問題が。それから三十数年たって、世の中これだけ豊かになって、情報開示や医の倫理というものがどんどん向上してきているわけです。にもかかわらず、三十数年たっても同じことが繰り返されている。これはやはり政治の責任、行政の責任だと思います。

 今、私、この問題を取り上げさせてもらいましたが、また来年あるいは再来年、また同じような問題がどこかの病院で起こって、また徹底しますでは、これでは何のために厚生労働省があるのか、国会があるのかもわからないわけです。ぜひとも厳正なる対応をお願いしたいと思います。

 そのことについて、次に情報公開についてお伺いしたいと思います。

 朝倉病院は、精神保健指定医もいませんでした。また、医師や看護婦の不足も過去数年来指摘されて、改善命令が出ながらも十分に改善されてこなかった。そういう意味では、こういう事件が起こってくると、患者さんや御家族さんにしても、どこの病院がいいのやら、どこの病院が悪いのやら。先ほども言いましたように、熱心なよい精神病院にとっても、十把一からげで議論をされて非常に迷惑をこうむるわけです。

 そういう意味では、監査の結果、改善指導の結果、その指導の結果どのように回答してきたかということを公開すべきだと思います。都道府県に公開を義務づけるべきだと思います。

 そのあたりについての御見解をお願いいたします。

○桝屋副大臣

 山井委員から、それこそ三十年一昔、何ら変わってないではないかという厳しい御指摘もいただきました。

 私も、現場で医療を監視するようなこんな仕事もしていたわけでありますが、やはり、現場においては毎年、一年に一回、それぞれ関係の、例えば生活保護なら生活保護、医療法なら医療法、医療保険なら医療保険という、そうしたものがしっかり連携をしながら、着実に、繰り返し巻き返し現場の指導監督を続けていく、こういう努力を続けていくことが私は何よりも大事だろう、このように思っております。

 そういう意味で、そうした結果についてぜひとも情報公開をしてもらいたいという御提言でありますけれども、そうした医療法に基づく立入検査等によりまして問題のある精神病院が判明した場合には、都道府県等が文書等により適切に指導しているところでありますけれども、その際の指導文書等の開示につきましては、基本的には各都道府県の自主的な判断にゆだねられるべきものと考えております。

 ただ、本年四月に情報公開法が施行された後は、仮に、国が立入検査等を実施する特定機能病院においてこのような事案が発生した場合には、精神病院への立入検査の業務等が適正に実行されていることを国民に説明をし、的確な理解を得る観点から、原則開示することを考えているわけでありまして、大きな流れとしては情報開示という流れがあるのではないか、私はこのように思っております。

 ただし、開示に当たりましては、情報公開法に基づきまして、公にすることにより特定の個人が識別される、いわゆる個人のプライバシーに関する情報、あるいは精神病院等の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがある情報は不開示とするということも必要になるのではないか、このように思っております。

 したがいまして、国としては、このような観点から必要に応じて都道府県等に今後も助言をしてまいりたい、このように思っております。

○山井分科員

 ちょっとわかりにくかったのですが、必要に応じてということは、このような精神病院の今言いました指導内容、それに対する回答というものは原則として公開してもらえるということですか。

○桝屋副大臣

 今申し上げましたのは、情報公開法が施行されますと、国においては少なくとも国の責任においてそういう方向になろうと思いますが、地方におきましては、やはり各都道府県で条例等も制定してやっているわけでありますから、基本的にはやはり地方団体において御判断をいただく問題もあろう。しかし、国がそういう方向でありますから、我々は国の立場として地方に対して適切な助言をしていかなければならぬ、これも事実だろうと思っております。

○坂口国務大臣

 もう地方の方がどんどんと進んできているんです、情報公開等も。国の方が後を追っているような状況でございます。地方におきましては、都道府県におきましても積極的にやっているところがございますから、私は、地方の方がかなり前に出ているというふうに思っております。まあ、中にはやっていないところもありますが。しかし、大きなそういう流れになってまいりましたし、国の方もやるということになれば、地方の方におきましてもそれは全部やらざるを得ない、そういう時代になってきているというふうに思っております。

 ですから、国の方がとにかく率先をしてやるということをやらないと、全体の流れになりませんから、我々もそこは注意をしてやっていきたいと思います。

○山井分科員

 今地方の方が進んでいるという話ですが、こういう精神病院について、島根県が、市民団体からの情報公開請求によって公開するというふうに島根県情報公開審査会が答弁したというふうなことがあるんですけれども、精神病院のこういう指導内容やそれに対する回答を公開している例というのはほかにあるんでしょうか。

○坂口国務大臣

 精神病院とかあるいは病院という形ではなくて、全体に都道府県のAならAという県が行うことについて、ほとんどすべてのことについて情報公開をする。だから、そういう監査をすれば監査の結果も発表をするという形になってきているというふうに思いますから、精神病院としてやるという限られた範囲の中でどうこうという話ではないというふうに思っております。

○山井分科員

 一般論としてではなく、精神病院で情報開示をしていっていただきたいと思います。

 それについては、先ほど桝屋副大臣からも、そういう流れになっている、また坂口大臣からも、そういう時代になっているという話がございましたが、平成四年に出ています医療監視のハンドブックの中に、医療監視の情報公開に関しては原則として認められないという文章がまだ残っているんですね。この本はもう廃版にはなっております。しかし、こういうのがあるから都道府県は消極的になるわけです。

 この際、そのような精神病院の監査や指導の内容やその回答に関しては、原則公開すべきであるというような通知を出していただきたいと思います。答弁お願いいたします。

○桝屋副大臣

 通知につきましては、先ほど申し上げましたように、情報公開法が施行されまして、国として、これから特定機能病院等に対して指導したその結果をどうディスクローズするかということを今検討している最中でありまして、今すぐ通知をいつ出すということは私もお答えはできないわけでありますが、いずれにしても、委員御指摘のように、そうした流れにあるだろうと私は思っております。

 ただ、それは、必携、事務担当職員が使う本でありますから、そうしたものにどう載せていくかということは今後検討させていただきたいと思います。

○山井分科員

 なぜその通知一つ出せないんですか。

 今の大臣、副大臣の答弁を聞いていたら、もう情報公開は時代の流れだと。ある意味で、お金がかかる問題でもないわけですね。通知一つ出せばよい。先ほども言ったように、三十年来放置されてきたわけです、こういう問題というのは。予算がかかるという問題でもないと思います。今回のこの問題を端緒にしないと、こういう精神病院の問題というのは向上していかないと私は思います。決断をお願いいたします。

○桝屋副大臣

 情報公開法のこの流れの中で、どういうふうにしていくのかということを今、国としても、さまざまな、この分野だけではありません、やはりセンシティブな情報もあるわけでありますから。

 今まで決して隠そうと思って情報を公開していないわけではないわけでありまして、やはり先ほど申し上げましたように、それぞれの医療機関の利害が絡んだり、さまざまな難しい問題があったわけでありまして、そうしたものを乗り越えまして、やっと情報公開という時代が来たわけでありますから、そうした中で、現場でどういう形が一番適切なのか十分検討していく必要があるだろうと私は思っております。

○山井分科員

 最後になりますが、先日ある新聞に痴呆難民という言葉が出ておりました。私、十二月二十五日にこの朝倉病院に行かせていただいて、非常にショックを受けました。約二百人の患者さんの七割、八割が痴呆性高齢者なんですね。

 私は、実はこの痴呆問題を、十年ぐらい研究調査をしております。その問題をライフワークに国会にやってきたわけです。特別養護老人ホームやグループホームの方が、軽度や中度の痴呆性の高齢者にとってはいいわけです。確かに、重度の痴呆性高齢者は、一時的に精神病院が必要だということはあると私も思っております。しかし、この朝倉病院の現状を見ると、東京からの痴呆症の高齢者が約半分、神奈川県からも来ているわけです。つまり、特別養護老人ホームがあいていない、グループホームがないから精神病院に入っているという現状があるわけです。世界各国を見てみて、軽度や中度の痴呆性高齢者を、居場所がないからといって精神病院に入院してもらっているというケースはないと思います。

 こんなあたりに関して、これから精神病院のベッドが、精神障害者の方が地域に戻られるという中から、あいてくると思います。そんな中で、安易に痴呆性高齢者をそこに入れていくということにすると、まさに患者不在になると思います。このような、痴呆難民と言われる、痴呆症の高齢者で精神病院に本来入る必要がない人を入れることがないようにしていただきたいと思います。そのことについて、答弁をお願いいたします。

○坂口国務大臣

 御指摘のとおりと私も思います。それは、ことしの予算におきましてもかなり組んでおりますし、昨年も大分ふえてきたところでございます。しかし、まだ足りないことも事実でございますから、これから進めていかなければならない。

 進めていきますためには、地域の皆さん方の御理解も得なければならないというふうに思います。なかなか御理解の得られないところもございまして、地域で、それぞれの市町村でやりたいというふうに声を上げていただきましても、なかなか住民の皆さん方の許可が得られないところもあったりいたしまして、大変問題になるところもありますけれども、全体に皆さん方に御理解をいただいて、これはやはり進めていかなければならない。御指摘の御意見を十分に踏まえてやっていきたいというふうに思っております。

 それから、先ほどの監査の結果の公表につきましても、我々はやらないということを言っているわけではなくて、これはやらなきゃならない、そういう方向性に進めていかなきゃならないというふうに思っておりますから、そこは手順がありますから、手順だけ踏ませてくださいということを言っているわけでありまして、御指摘のところは十分理解をいたしております。

○山井分科員

 ありがとうございます。

 今回犠牲になっておられる患者さんは、身寄りがなかったり、生活保護であったり、元ホームレスであったり、そういう意味では守ってくれる人がいないんです。行き場所もないんです。行き場所がないお年寄りや障害者を預かっているという中で、病院は、ちょっとぐらい質が悪くてもいいというような甘えが出てきている部分があるんです。だから、三十年間このような問題が続いてきたわけです。それをやはり二十一世紀、人権の世紀と言われる二十一世紀に断ち切るためには、言ったらなんですけれども、過去三十年間と違う取り組みを、坂口大臣を先頭に、厚生労働省でやってもらう必要があると思います。福祉や人権問題、医療の問題に長年取り組んでこられた坂口大臣が、今この時期に大臣になられた理由というのがまさしくそこにあると思います。大臣のリーダーシップ、そして厚生労働省の皆さんと一緒に私たちも頑張っていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

○津島主査代理

 これにて山井君の質疑は終了いたしました。


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