やまのい和則ホーム 政治 福祉 マスコミ

洛南タイムス 2002528

障害者雇用の“虚と実”に肉迫

 

松井孝治参院議員 
竹中さん招き政策対話シンポ

松井孝治参院議員(民主党)の第一回政策対話シンポジウムが26日、宇治市生涯学習センターで開かれ、市民ら120人が参加。ITを活用して「チャレンジド」(障害のある人たちを表す新しい米語)の自立と社会参加をめざすNPO(非営利の市民団体)活動を進める竹中ナミさんを特別ゲストに迎え、日本の障害者福祉のあり方に迫った。

長女が重症心身障害児という竹中さんは、日々の療育を通して障害児医療や福祉・教育に関わり、長年のボランティア活動をふまえ「チャレンジドを納税者にできる日本!」をスローガンに、コンピュータとインターネットを活用した社会福祉法人プロップステーションを立ち上げ。

チャレンジドのパソコンセミナーをはじめ支援企業との在宅勤務の実験的な取り組みなどを通して、障害者の社会参加と自立に向けた様々な問題を提起している。

10年間にわたる実践活動を軸にした竹中さんの基調講演をふまえた第2部では、松井議員がコーディネーターを務め、同党の山井和則衆院議員、福山哲郎参院議員と竹中さんがパネルディスカッション。

法定雇用率を決めて行っている日本の障害者雇用促進法の現状や課題をあぶり出し、障害者=助けを受ける人=の図式に代表される「施策」(策を施す)としての政策が、省庁間の利害対立やタテ割り行政のひずみで「木を見て森を見ない」結果を招き、細分化された「仕切り」の中で福祉政策もタテ割りを余儀なくされていることについて忌たんのない意見を交換した。

出席者からは障害者や高齢者の社会貢献、地域の声に応える地域社会のあり方、障害者福祉法人の実態、スウェーデンなど福祉先進国の障害者雇用―――などで質問があいつぎ、目先の雇用率に左右されず、車イスの人にはそれに対応した職場環境を整備するのが当然とする社会システム、財源・権限を委譲した自己完結型の地方自治のありようなどについてパネラーが一問一答。

竹中さんは、補助金の有無でちがう第1種と第2種の社会福祉法人をふまえ、「現状では補助金にはかならず口がついてくる」とし、補助金はないが提案型で福祉のありようの変革をめざす自身の取り組みのスタンスを説明。

高い税金を払えるのは自身の権利とするスウェーデンのチャレンジドを例に「納税者が誇りをもてない現状を改め、高い税金を払い、その税金を自分たちの思うように使う」というしなやかな社会を展望した。[岡本幸一]