「グループホームへの訪問調査の留意点と配慮」
  (痴呆性高齢者グループホーム連絡協議会の冊子より)


  この冊子では、グループホームへの訪問調査について書かれており、以下は、訪問調査の留意点だが、グループホームの本質を突いた素晴らしい内容なので以下に抜粋させて頂きます。

◆山井からのコメント:
これは「グループホームとは何か」
という本質を理解できる素晴らしいアドバイスです。


◆ こんな点に配慮しよう ◆

  • 構えないで。
    親しい「大切な人の家」にお邪魔させてもらうような気持ちと態度で。
  • 堅苦しくない服装で。
     きれいな明るい服の訪問者だと寄ってきて話しかけてくる入居者がおられます。
  • 書類かばんや封筒など、ものものしい入れ物は、当日は避けた方が無難です。
     「紙袋のようなものを下げて、さりげなくきてくれるといいなあ(あるホーム長の声)」
  • 一歩、玄関を入ってからは、そのグループホームの「家の決まりごと」にしたがって行動を。
     例)靴をどこに脱いでおく?→決められた場所にしまわないと、入居者が履いたり片付けて(かくして)しまうことも。
  • 声のトーンがとても大切。
     やわらかで落ち着いたトーンで。元気すぎるあいさつに痴呆の方はとてもよわい。
  • こちらが言葉や身動きのスピードも大事な点です。
     とにかくゆったりと。
  • 入居者のゾーンを脅かすことがないよう、そっと入っていく。
  • 調査シートは、入居者の生活空間に持ち込まない。
  • 数人まとまった集団で動かない。お互い少しはなれて。
  • 本人らにもきちんと挨拶。
     調査委員をどう自己紹介したら一番適切か、当日事前にグループホーム長と打ち合わせを。
     自分から自己紹介するより、入居者が信頼しているホ一ム長等を通してから紹介してもらった方が受け入れられやすい。
     例「ここの様子を見に、市役所からこられた方たちです」
  • 視察の間は、いかにも調べること優先ではなく、まずは時間を一緒にすごしてみる。
     少し馴染んできてから、必要な調べを。
  • 調査委員の前では穏やかに会話していても、あとでリバウンドがくる人も。
     あまり話しこんだりしない方がいい人について、事前に打ち合わせを。
  • 自分の部屋に案内してくれる場合もある。
     これもあとでトラブルになりがちなので、誘われても居室に立ち入るまずい人がいるかあらかじめ聞いておく。
  • 居室をみる場合は、必ず本人の了解を。
     当日の打ち合わせの時に、「どなたかの部屋を見せていただきたい」旨、あらかじめ依頼しておく。
  • ホームやお年寄りの動きにあわせる。
     予定の時間に少々あわなくても、ホーム長らときちんとはなしあって、進行を調整する。
  • 帰る際、帰る挨拶をあからさまにしない方がいい場合が多い。
     スタッフには、きちんと(そっと)挨拶を。

◆ 訪問調査にあたっての留意事項 ◆


*訪問調査に関してホーム長から、以下のような意見が出ています。

  • 調査の大切さも十分わかるが、グループホームは痴呆の人々が主人公の家だから、調査に入ることで利用者をおびやかさないよう十分に注意してほしい。
  • 「権威者が調査にきた」という態度で来てほしくない。
    背広や事務服を着た人がくると、途端にお年よりが固くなる。
  • お年寄りばかりでない。いつもの見学や研修とは違って、訪問調査にこられると思うと職員側が今から非常に緊張する。
  • なぜ、このグループホームでそうしているのか、外からみれば指摘を受けそうな点や、気付いてもらえそうもない何気ないところに、たくさんのしかけがある。
    グループホーム側から、こういう点を注意してみてほしいということを事前に書いて出してもいいか?(書き出すことが難しいほど沢山あるが)。
  • 施設や病院と違って、一度の受け入れは3人が限度。たとえ一人であっても、馴染みの人でなければ、お年よりが落ち着かなくなり、いつものグループホームの雰囲気でなくなる。そこを評価されても困る。
  • 問題点の一方的な指摘や批判、欠陥を暴くような評価は困る。発展途上で頑張っていこうとしている事業者や職員が「これから改善にむけてもっと頑張っていこう」という動機つけになるような支援的な評価の仕方にしてほしい。
  • ただ評価しておしまい、ではなく、改善の手がかりやヒントがえられるような評価後の話し合いを十分にもってほしい。
  • 慢性人手不足の中で、調査に来られる日のために特別なシフトを組むのは難しい。グループホーム長も日中3人の職員の一人としてシフトに入りながら、話し合いや案内につくことになる。他の職員もたいへんだし、その日の入居者の状況によっては、調査員の人に十分に対応できないこともありうる。

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