グループホームとは、何をするところ?

合宿所?

介護保険とグループホーム?

介護保険での名称
・痴呆対応型共同生活介護
            (痴呆性高齢者向けグループホーム)。

聞き慣れない名前ですね。

いったいグループホームって、何なのか。

 

グループホームとは?

1. 自宅で暮らせない痴呆性老人が、
2. 5〜9人でスタッフと共同生活。
3. 生活がリハビリ。

 

痴呆性老人(痴呆性高齢者)とは?

・ 脳の血管がつまり、破れて出血し、働きが悪くなっておこる痴呆のことを、脳血管性痴呆という。

・ 脳が萎縮しておこるものを、アルツハイマー型痴呆といい、現在のところ、原因もわからず、予防・治療法もない。

・ その他に、脳の外傷、脳炎、脳腫瘍などが原因で、痴呆になる。

以上のような、痴呆症状が現れる、65歳以上の人のことを、痴呆性高齢者・痴呆性老人などと呼びます。

 

 

スウェーデンのグループホーム物語(ふたば書房)
1993年出版の著者・
バルブロー・ベック・フリス博士の「日本語出版によせて」から.:

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 スウェーデンで最初のグループホームは、12年前にスタートした。ストックホルム郊外のウップランズブロコミューンにあるロービイヘムメット(ロービイの老人の家)と呼ばれるものであった。

それは、どこにでもある普通のアパートの、5戸の部屋で成りたっていた。

 そして、痴呆という病気のために、自分の家では暮らし続けることができなくなった痴呆性老人にとっては、病院、あるいは介護型老人ホームにかわるすばらしい選択となった。

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 バルツァゴーデンは、スウェーデンで2番目のグループホームとしてスタートした。
ロービイヘムメットとの違いは、1軒の家で6〜8人の痴呆性老人を、24時間体制で世話や介護をすることであった。

以後グループホームは、各地方に次から次へと建てられていったのである。

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 グループホームの大切な点は、建物そのものにあるのではなく、ケアに対する考え方とともに、特別に訓練を受けたスタッフがいることだ。

どのような場合でも、グループホームをスタートさせようという時には、ケアに対する考えを十分に話し合ったうえでなければ不可能で、話し合いぬきには始められない。

痴呆性老人たちの住居を整えるということは、彼らが家庭で暮らすのと同じような、一人一人にあった生活条件を提供することだ。

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 以下はバルツァゴーデンから、ケアに対する考え方についてのメッセージである。

良い、外部及び内部の環境が整っていること。

尊厳をもって接すれば、重い痴呆の人たちをも世話することが可能だという自覚を持つこと。

ケアに対する考え方やその方法は、ケアを行った後に評価し、最初から決めつけないこと・・・・である。

たとえそれがスウェーデンであろうが、日本であろうが、治療にふさわしい小規模な環境こそが、痴呆性老人にとって一番よいことが今日、私たちにはわかっている。

このグループホームでは、大変に価値のある生活方法で、24時間サービスの暖かい世話が受けられる。

痴呆性老人たちは、それぞれ個室をもち、何よりもまず一つの生活共同体であり、そこには大家族が一緒に生活しているという趣がある。

それが、なぜ大切なことなのか。

小さなグループほど、それぞれ一人一人が自分の家にいるように感じ、不安や心配(情緒不安)を少なくする。

グループは、多くて8人までの入居者で構成し、家具やその家のつくりを、痴呆性老人たちが慣れ親しんだ環境で整えることが望ましい。

しかし、最も大切なことは、“ケアの哲学”である。ケアの目標は、病気で混乱をきたしている老人の自尊心が高められることにある。 

痴呆性老人たちは、とりわけ世話を必要とする。

そのため、スタッフと痴呆性老人の家族は、彼らに対する実際的な支援と同時に、彼らを元気づけ、刺激を与え、活性化する必要があることを知らなければならない。

グループホームケアの重要なポイントは、痴呆性老人だけでなく、スタッフや老人の家族が、安心と快適さを感じることができるように、喜びと親密さを組みあわせてお世話することである。

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 痴呆性老人たちのためのグループホームが、スウェーデンにかぎらず、また日本だけでなく、それが必要という存在の意義がある限り、世界中に広まっていくことを願うものである。

1993年11月 モタラにて