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    やまのい和則の
      「痴呆ケアの切り札・グループホーム!」

      - Yamanoi Kazunori Mail Magazine -

             第11号(2000/09/05)

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 メールマガジンの読者の皆さん、連日のメール、失礼をお許し
ください。

さて、今回は2つのテーマ。
老人施設の個室化の問題と、単独型グループホームへの建設補助
(上限2000万)がつくことについてのニュースです。

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 まず、私のスウェーデンレポートを読んで下さった方から、
次のようなお便りが来ました。

 考えさせられる内容ですので長くなりますが、ご本人の了解を
得て、ご紹介します。

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(以下抜粋)
 さて、以下の日本の老人ホーム建設に関して少し愚見を述べ
させていただきます。

 小生も、老人ホームはプライバシーを保護する意味でも個室化
が絶対に必要と思っています。(少なくとも小生は人生の最後に、
知りもしない、仲が良いかも分からない人と住みたくはない)
しかしながら、下記の厚生省の建設に対する基準の変更はありま
せん。

 小生は仕事の関係上、新築の老人ホームの設計図面を見る機会
が多いのですが、ほとんどが多床室です。
最近は多床室も色々あり、カーテンで区切っている物や、薄い壁
で区切って、入り口だけが共同になっている「擬似個室」のよう
なものが増えてきました。

 しかし、どうして単純に個室に向かわないで、このような多床
室ベースの「擬似個室」がもてはやされているのでしょうか?

愚考するに、
1.個室化するとスタッフのケアの手間が増え、大変である。
2.全室個室だと同じ建物面積で入居できる人数が多床室より少
  なくなる  →経営が困難になる
3.高齢者は一人でいるとさみしがるから多床室がいいという
  考えが強い等があげられるのではないかと思います。

 特に小生は3番目の考え方が当たり前に語られている現状が、
大きく阻害されているような気がしてなりません。

 先日も、ある老人保健施設でお話を伺ったのですが、
「高齢者は寂しがるから多床室の方がいい。実際個室から移りた
いという人が多い」との意見をおっしゃってました。

「逆に個室に移りたいという人はないのか?」と聞きましたが、
「無い」とのこと。

 これが、処遇が悪そうな施設ならまだ、「勝手な思い込みを!」
と思えるのですが、施設の高齢者は非常に明るく、楽しそうに
スタッフと談笑している姿もありました。

 このような施設でも、そんな意見が出るということは本当に
高齢者はそう思っているのかも?と考えさせられてしまいます。
生活習慣や時代、環境の違いによって何か思考に違いがあるので
しょうか?

 少なくとも「自立」意識の強いスウェーデンの人と「家族依存」
の強い日本人では、何か心理状態が違うような気が致します。

 入居されている高齢者のアンケート調査などがあればいいので
すが・・・。

 いずれにしても本当に高齢者が望んでいるという声が強くない
とこの問題は解決しないように思われます。

 ちなみに、ある高齢者施設では、個室は、問題行動のある方を
入居させるために使われているそうです。
 何か、独房のような考え方でいやなのですが、同室の方への影
響を考えればやむを得ないのかもしれません。
全室個室なら関係無い話ですが。
                      (以上)

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 このメールに対して私は、「京大の外山義先生の研究でも明ら
かになっているように、雑居部屋だと逆に人間嫌いになりやすい、
感染症がうつって死期が早まるという問題点が多い。雑居部屋が
いいと言っている施設長はおかしい」などと返事しました。

 自分が雑居か個室がいいか考えれば答えは出るように思いま
す。
 もしこのメールマガジンを読んでおられる介護施設の方で、
「やまのいさん、個室がいい」「いや、雑居もいい面があるよ」
というご意見があれば、お教えください。

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 厚生省は来年度の予算要求で、特別養護老人ホーム10000人分、
老人保健施設7000人分を、要求していますが、いまの大規模な
雑居部屋施設が17000人分も21世紀に建設されることには、
私は我慢できないのです。

 個室のユニット型老人ホームを、新築してほしいと思います。
そのために私も運動するつもりです。

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 次の話題。
今日の読売の朝刊にとうとうでました。

 単独型グループホームに上限2000万で併設型と同様の建設補
助がつくことになります。
趣旨は、そうしないと都市部にグループホームができない。
グループホームの数が増えにくい現状を変えるためです。

 現在、グループホームは600箇所、12年度来年3月までに1200
の予定。13年度再来年度末までに1700。14年度末までに2200。
15年度末に2700。2004年度平成16年度末までに3200というの
が、一応の厚生省の予定だそうです。毎年5〜600ずつ増。

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 その資料を厚生省からもらいましたので、明日かあさってホー
ムページに掲載します。

 しかし、その条件は、市町村か福祉法人、医療法人で「バック
アップの覚書を介護福祉施設と交わしていること」です。

 厚生省の担当者にいま問い合わせをしましたが、わかりやすく
言えば、「大きな施設があってそのサテライトにグループホーム
をつくるのは併設に準じて建設補助を出しましょう」ということ。

 裏返せば、有限会社、株式会社、NPOはだめということです。

 私の個人的意見を言います。
株式会社や有限会社は、確かに問題があると思います。

 良いグループホームをやっている営利企業もあります。
しかし、いい加減な企業も多い。

 こう書けば、良心的で頑張っているシルバービジネスの方に
「悪いところがあるというだけで、よいシルバービジネスも不利
になるのはおかしい」と怒られるかもしれませんが、本当にいい
かげんなところも多いです。

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 私はこの単独型補助で問題になるのは、営利企業でなくNPO
です。というのは私のところには連日「NPOでグループホーム
をはじめたいが金がない」という相談が舞い込みます。

 本当に熱心なところが多いのです。そしてそんな熱心な方々は
今日の新聞を見て喜んでいると思います。

 しかし、「NPOはダメ」と聞けばショックを受けるでしょう。

 厚生省は、「NPOは資産管理の問題や、継続性などに不確定な
ところがあるので、そこに建設補助をつけるのは難しい。事実、
新聞報道のように、暴力団がらみのNPOもある」と言います。

 しかし、さきほどのシルバービジネスとは、逆の論理で恐縮で
すが、そんな例外の暴力団のNPOのせいで、ほかの地道なNPO
がみんな被害を被ってはたまりません。

 私は、良心的なNPOには、お金を出せるようにすべきだと思
います。
 では、良心的なNPOやシルバービジネスとそうでないところ
を、誰がどうやって区別できるのか、というのが大きな問題にな
ります。

 それは、それこそ市町村にチェックしてほしいと思います。
 皆さんいかが思われますか。

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 余談ですが「単独型グループホームに、やっと建設補助がでま
すよ!」と、知人に言うと、「まあ〜ね〜。無理して、もう既に、
デイ併設で建築にかかってるからねえ。もう1年早く決めてくれ
てたら」と、ある医療法人の方がぼやいておられました。

 以上、今日はこれまでにします。最終で東京に向かうのぞみの
中で。 
            やまのい和則 拝    9月4日  

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