グループホーム & ケアハウス & お知らせ

             第51号(2001/09/09)

 メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
今日は、グループホームとケアハウスのことを中心に書きます。

◆ケアハウスについては、小泉内閣が1万ヶ所を新築すると提案し、
脚光を浴びている。しかし、前号のメールマガジンにも書いたよう
に、ケアハウスのあり方が今問われている。

ケアハウスとは、一人暮らしには不安があるが、基本的には自分の
ことは自分でできるお年寄りが入居するところである。
居室があるが、風呂や食事は共同である。

 このケアハウスについては、前号のメールマガジンで少し否定的
な意見を載せた。それに対して、ケアハウスの存在意義について、
老人施設に勤務する方からメールを頂いた。貴重なアドバイスだっ
たので、少し紹介したい。


◆「特養などの施設は重介護な方、グループホームは痴呆の方のた
めの住みかですが、それ以外、軽介護度や自立の方が約9割近くに
なります。その方々にも家族との生活リズムの違いもあり、また大
都市には地方出身で老人世帯になってしまい、故郷で余生を送りた
いと考えている方もあります。

 そういったことを考えると、契約で利用できるケアハウスが
低料金でたくさんできれば、介護保険実施後に非常に強まっている
施設指向にストップをかけることができます。

個室の特養を作るより、元気なうちから地域にあるケアハウスで
自分らしい生活を組み立て直す方が大事なことだと思います。

 小泉内閣が提案しようとしていると報道されている
「ケアハウス10000箇所」という数字ですが、最初のゴールドプラ
ンの在宅介護支援センターが中学校区ごとにという数字と合致して
いますので、目標にできるものだと思います。

厚生労働省の補助金では無理なので、減価償却をきちんと使って
金融機関からの融資で自由に民間企業に作らせるという経済効果と
規制緩和のための提言のようです」

 というようなメールを頂いた。

確かに、ケアハウスも必要性が高いと思う。
貴重なメール有難うございました。

◆さて、ケアハウスについてもう1つ問題提起させて頂きたい。

私が気になるのは、ケアハウスで重介護になった時、どうなるのか
ということです。特別養護老人ホームに移るということでよいのか
どうかです。以下に3つ、疑問点をあげます。

疑問1
 そもそも特別養護老人ホームは都市部では待機者が多く、1-3年
待たないと入れない。だから、入居者が重度化しても、ケアハウス
から特別養護老人ホームには簡単に移れないのではないか。

疑問2
 特別養護老人ホームには待機者が非常に多いのに、その列を飛び
越えて、ケアハウスの入居者が併設の特別養護老人ホームに優先的
に入居させるのは「身内優先」で不公平ではないか。

疑問3
 「重度化すれば特別養護老人ホームへ」となれば、ケアハウスは
通過施設となるが、それでいいのか。


●ケアハウスの入居者や家族は、引越しを嫌がる方も多いです。
せっかくケアハウスに入っても、「ここは最後まで入れませんよ」
となれば、ケアハウスはそれこそ中途半端な施設となってしまうの
ではないでしょうか。

 私はスウェーデンに2年留学していましたが、スウェーデンの
ケア付き住宅では、重度化しても、介護スタッフや看護婦を常駐さ
せて多くの場合は、最後まで面倒見ます。

 このようなことが日本のケアハウスでもできるのだろうか。

 もっと言えば、ケアハウスは「通過施設」なのか、ついの住みか
なのか?

 という点です。
重度になれば、もう住みつづけられませんよ、ということになれば、
ケアハウスの魅力は減ると思うし、グループホームと同じ議論にな
るように思う。

ケアハウス入居希望者に、「ここに入っても、重介護が必要になれ
ば、別の特別養護老人ホームに移ってもらいます」と言えば、魅力
も少なくなるのではないだろうか。
 

●このあたり、ケアハウスについては、私も不勉強ですが、秋の国
会で「ケアハウス1万ヶ所構想」が議論になると思いますので、
読者の皆さん、ご意見を頂ければ有難いです。

ちなみに、ケアハウス1万箇所といえば、数十万人分ですが、それ
だけ多く必要でしょうか?


◆また、個室化についてもメールを頂きました。
ご家族が痴呆症で四人部屋に入居しておられるという方からでした
が、「同室の痴呆性の入居者が晩に騒いで、うちの母はゆっくり眠
れず、痴呆症状が悪化しつつある。だから、痴呆性高齢者にとって
も個室がよいのではないか」という主旨のメールでした。

 この問題には賛否両論あると思いますので、また、読者の皆さん
のご意見もお聞かせ下さい。 


■さて、次にグループホームについて。
 私の尊敬する仲間(グループホームケアを自ら実践中)から、
次のような切実なメールをもらった。質の低いグループホームが
増えている危機感にあふれた内容である。本人の了解を得て、一部
紹介させて頂きます。

◆「唐突にメールを入れさせていただきましたのは、グループホー
ムについて、どうしても申し上げておきたいことがあったからです。

 私が親しくしているいわゆる『業界』の知人、仲間たちからはグ
ループホームの「質」について多くの疑念が噴出しています。

曰く、お金をぼったくられた、
痴呆が中等度なのに重度だといって利用を断られた、
何もしてくれない、ただ放置しているだけ、
痴呆がより重症化した、
敷金を要求された、
寄付を要求された、
病気になっても何もしてくれない、
怪我をしていた…等々です。
大概は評判の悪い法人の経営するところですが…。

 理念と情熱をもって素晴らしい実践を重ねているグループホーム
を私はいくつも知っていますし、交流を持っています。

しかし、介護保険制度に乗っかって雨後の筍のように、あちこちに
よくわけのわからないグループホームがたくさんできたことも知っ
ています。少なくとも私の住む県内の比率でいえば、わけのわから
ないところのほうが多いのが現状です。

 この何日か出会う機会のあった、優れた実践家や地域医療に情熱
を燃やす医師から、このようなグループホームへの不信感に満ちた
話を聞かされたので、グループホームの有用性を説くのならば、何
としても質の担保を大前提としたうえでのこととして一般の方々に
はご説明をしていただけるようお願いしたいのです。

また、実態についての十分な調査をぜひともお願いしたいと思いま
す。

 今はグループホームの基盤整備のための過渡期であるといってし
まえばそれまでかも知れませんが、私は悪貨が良貨を駆逐してしま
ってからでは遅いと考えます。

市民がグループホームはロクなところではないとイメージしてしま
えば、後になっていくら情報公開や施設公開をして「以前とは違い
ますよ、今は良いところですよ」と言ったところで、簡単には信頼
回復できなくなってしまいます。

増えつつある今がとても大切な時です。今、軌道に乗ってしまえば、
今後の質と量の確保に希望が持てます。

 権力が統制するというのではなく、人権を守るための厳しい運営
上の規程の整備と倫理観と専門性に相応しい介護報酬を設定するこ
とによって、グループホームは本来のあるべき姿としての機能を発
揮してゆくこととなるのだと思います。

介護報酬はすぐには無理ですから、規程だけでも厳しく倫理的なも
のとさせる方策が必要です。

グループホームは本当にやりたい人だけがやればいいのですから。


●グループホームの普及をライフワークとする私としては、本当に
忸怩(じくじ)たる思いである。

私も過去1年、グループホームの問題を国会で何度かとりあげ、
厚生省も質のアップについて必死に取り組みをしているが、今のま
まの低い介護報酬のままでは、質のアップは至難の業である。

2003年4月に予定される介護報酬の引き上げまで、あと1年半あ
るが、それまで質の悪いグループホームを増やしてはならない。

 夜勤を必要とする入居者を介護するグループホーム(ほとんどだ
と思うが)には、「夜勤加算」をつけ、介護スタッフの研修にも補
助金をつけるというような、取り組みが早急に必要である。

 以上で今日のメールマガジンは終わります。
                 やまのい和則 拝


<シンポジウムの連絡>
 残念ながら、私は参加できませんが、素晴らしい内容です。

■第2回介護保険推進全国サミットin加賀参加者募集について

・平成13年11月15日(木)、16日(金)
・第2回介護保険推進全国サミットin加賀
 (主催−加賀市、後援−厚生労働省・石川県、協力−国土交通省)
  が開催されます。

介護サミットの詳細および参加申込みは、ホームページからどうぞ。
サミットホームページURL http://www.kaigo-summit.com/

 一、分科会 11月15日

  1 自治体政策コース:テーマ「地域ケア体制の整備手法」
  午後2時〜5時 
   座長 池田 省三  龍谷大学 社会学部 教授
    中村 仁 最上町  町長
    福井 久 大津市高齢福祉・介護課 主幹
    田中 尚輝 (NPO法人)市民互助団体全国協議会 理事
    貝谷 伸 厚生労働省 老健局 介護保険課 課長

  2 痴呆対応コース:テーマ「痴呆問題の社会化」
   午後2時〜5時 
   座長 杉山 孝博  川崎幸クリニック 院長
    高村 浩 高村浩法律事務所 弁護士
    鳥海 房枝 (社福)北区社会福祉事業団
    北区立特別養護老人ホーム清水坂 あじさい荘 副施設長
    永田 久美子 高齢者痴呆介護研究・研修センター
          主任研究主幹
    石井 信芳 厚生労働省 老健局 計画課 課長

  3 介護支援コース:テーマ「ケアマネジメントの実践理論」
   午後2時〜5時
   座長 竹内 孝仁 日本医科大学 教授
    橋本 泰子 大正大学 人間学部 人間福祉学科 教授
    見平 隆 (社)日本社会福祉士会 理事
    小川 佐起子 (NPO法人)
          和歌山ケアマネージャーの会 代表理事
    西田 晴美 (医)修和会 片山津温泉丘の上病院 相談部長

  4 住環境コース:テーマ「高齢社会の住環境整備のあり方」
   午後2時〜5時
   座長 外山 義
      京都大学 大学院 工学研究科 環境地球工学専攻 教授
    早川 和男 国際居住福祉研究所
      (長崎総合科学大学 教授) 所長
    北岡 敏郎 大牟田住まい・まちづくりネットワーク
      (有明工業高等専門学校建築学科 教授) 代表
    橋本 公博 国土交通省 住宅局
            住宅総合整備課 高齢者住宅整備対策官
    木倉 敬之 厚生労働省 老健局 振興課 課長

 二、講演会
  演題:著書「お母さんは宇宙人」 その体験と実感より
  講師:橋 幸夫  午後1時30分〜3時

平成13年11月16日(金)

 全体会/パネルディスカッション:テーマ「地域ケアの構築」

  午前9時30分〜正午 
  コーディネーター 村田 幸子
             日本放送協会解説委員室 解説委員
    池田 省三 自治体政策コース 座長
    杉山 孝博 痴呆対応コース 座長
    竹内 孝仁 介護支援コース 座長
    外山 義 住環境コース 座長

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 ☆やまのい和則の「痴呆ケアの切り札・グループホーム!」☆
     (2001年9月9日現在 登録数 1776)

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