やまのい和則の
      「痴呆ケアの切り札・グループホーム!」

             第41号(2001/04/28)

 メールマガジンの読者の皆さん、こんにちは。
連休に入りましたが、いかがお過ごしですか。

 さて、先日のグループホームの勉強会の報告です。 

4月24日(火曜日)

 朝8時から民主党の介護保険ワーキングチーム。
私が座長で、中村哲治議員が事務局長。その他、堀利和参議院議員、
石毛えい子議員、土肥隆一議員、秘書さんたち、メールマガジンの
読者の傍聴者(8人)、合計30人くらいの参加。

 講師は、NPO法人「全国痴呆性高齢者グループホーム連絡協会」
事務局の西川嘉一さん。西川さんは、グループホームについての
知識は、日本で五本の指に入る人だ。

 なお、最初にお断りしておくが、この協会と、民主党とは政治的
な関係は一切ありません。今回はグループホームについて勉強する
ための講師としてお越し頂きました。

 そして、後半は、厚生労働省の山崎老人計画課長、樽見企画官、
日野痴呆対策係長から話を聞いた。

      ☆      ☆      ☆      

 西川さんの話の概略は次の通り。
なお、書き出せばきりがないので、印象に残った点だけを、かいつ
まんで書きます。西川さんの許可を頂いて、当日のレジュメを、私
のホームページに掲載しました。
( http://www.yamanoi.net/grouphome/siryou/s_01/010424.htm )

1)2001年4月21日現在、日本の痴呆性高齢者向けグループホー
 ムは、1025ヶ所に増えた。

2)全国的に、多い地域、少ない地域があるが、東京都の16ヶ所と
 いうのは、非常に少ない。

3)グループホームを開設する際に、市町村長の意見書が必要にな
 ったが、グループホームを開設しようとしても、
 「うちの自治体は、もうグループホームの整備目標に、達してい
  るので、もう新設は必要ない」
 「周辺住民が反対しているので、意見書は出せない」などの例も
  あって困っている。

4)1000ヵ所のグループホームということは、5000〜7000人程の
 ケアスタッフが働いていることになるが、十分な痴呆に関する研
 修を受けていないスタッフも多いので、これからスタッフの研修
 が重要なポイントとなる。

5)さらに、問題なのは、運営者。
 ケアスタッフは、グループホームについて一定の知識を持ってい
 るが、運営者がグループホームのなんたるかもしらず、ただ儲か
 りそうだからという理由で、参入するケースがあり、頭が痛い。

6)そのようなグループホームでは、グループホームのハードはあ
 っても、家庭的な雰囲気がない。

7)グループホームだけの問題ではないが、スタッフの労働条件の
 悪さ。その最たるものが、夜の体制の不十分さ。グループホーム
 スタッフの労働条件を向上させないと、よい人材が定着しない。

8)グループホームの過半数が、夜勤体制を組み、約4割が宿直で
 対応している。

9)痴呆性高齢者には、そもそも、夜間、見守りが必要だから、宿
 直で対応するのは難しい。

10)夜勤体制をきっちり組んでいるところは、逆に、採算がとれず
  苦労する傾向がある。

11)グループホームの質の向上のために、第三者評価が導入される。
  ただ、厚生労働省の担当者の話(私や他の議員からの質問への
  回答も含む)。

12)東京都にグループホームが少ないのは、母体となる社会福祉施
  設などが、そもそも少ないからではないか。

13)1年前300ヶ所だったのが、1000ヵ所を突破し、グループホー
  ムも第二段階に入った。つまり、量だけ増やすのでなく、いか
  にグループホームのケアの質をあげるかだ。

14)残念ながら、国や県の監査が入ったグループホームがある。
  これからは、グループホームの自己評価や、第三者評価を義務
  付け、質の向上を目指す。

15)全国3ヵ所の痴呆疾患研究・研修センターで痴呆ケアの指導者
  を1ヵ月半養成する。
 *この講座には、函館あいの里の林崎光弘先生や、福岡の宅老所
  よりあいの下村恵美子さんも参加するという。
 *各都道府県から3人が参加し、ここで研修を受けた人が指導者
  となり、各都道府県に戻り、痴呆ケアスタッフを養成する。

16)グループホーム介護スタッフの、労働条件の向上や、夜勤の問
  題は、まさに介護報酬に直結する問題なので、2年後の介護報
  酬見直し時に、議論することになる。

17)来年度には、平成15・16・17年度の3ヵ年のグループホーム
  整備計画を出してもらうことになるので、そこでグループホー
  ムの整備はもっと増えるだろう。

18)平成14年度までの、グループホーム整備計画が達成されたか
  らと言って、それ以上のグループホームの開設を認めない、と
  いうことがないよう、地方自治体に指導している。

19)介護保険施設の個室化が、これから議論されることになるであ
  ろう。

以上、印象に残った点をかいつまみました。

      ☆      ☆      ☆      

 今回の介護保険ワーキングチームの会合では、厚生労働省の担当
の方々の、熱い思いを私たち議員が聞く場面が多かった。

 西川さんは「福祉現場全体の問題だが、グループホームの職員の
待遇や、労働条件の向上が必要」といわれた。

私は、そろそろグループホームでも、運営者と、職員の立場の違い
が、出てきたと感じた。

 その意味では、グループホームの経営者の要望と、グループホー
ムの介護スタッフの要望は必ずしも同じではないと感じた。

グループホームの介護スタッフの、生の声を今後もっと聞かせて頂
きたい。

このメールマガジンの読者で、グループホームで働いておられる方
がおられたら、是非、現場のことをメールでお教えください。

☆      ☆      ☆      ☆      ☆

追伸 
5月28日(月)午後、
千代田区永田町の 星陵会館 で
「介護保険施設の完全個室化を求めるシンポジウム」 開催。
堀田力さん、樋口恵子さん、外山義先生、池田省三先生などが参加。

このシンポについて詳しくは、私のホームページ
( http://www.wao.or.jp/yamanoi/osusume/01/0528.htm )に掲載。
                 やまのい和則 拝
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 ☆やまのい和則の「痴呆ケアの切り札・グループホーム!」☆
     (2001年4月28日現在 登録数 1345)

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