精神病院 新病棟見学


■6月9日(土)
 午後、地元の介護者家族の会の方々40人と共に、精神病院の新病棟を見学に行った。

◆私は、日本の国はもっと一般医療並みに精神医療に力を入れるべき(予算も医師や看護婦などの人員配置も)だと常々思っている。

 まず、みんなと集合して、顔なじみの介護者家族の会の中で、かなり弱っておられる介護者がおられることが心配になった。長年の介護でやつれておられるのだ。

 この精神病院は、2001年4月に新病棟がオープン。最初に訪れたのは、老人性痴呆疾患治療病棟。四人部屋が12、個室が6。医療保険適用で、自己負担は月13-14万円。四人部屋には、洗面所がついている。和風の四人部屋で一人に1つテレビあり。トイレは廊下の向かいにある。作業療法士や精神保健福祉士もいる。

 3ヶ月をめどに退院するそうだが、自宅復帰は難しいそうだ。老人保健施設、特別養護老人ホームやこの精神病院の他の病棟に移る人などさまざまだが、家にはなかなか帰れないという。歩ける痴呆性高齢者がほとんどで、この病院の診療を受けていないとこの病棟には入院できない。

 その間、この病棟では、機能回復訓練をする。たとえば、話し相手がいないお年寄りにはお話をする。近所に菜園があり、そこで一緒に菜園の手入れしたりする。足腰弱っている人には、歩く訓練。しかし、3ヶ月ですぐ効果があがるのは難しいという。

 知人の介護スタッフに廊下で出会った。
「腰を痛めないように」と言うと、「すでに痛めてますよ」と彼は苦笑い。でも、若いスタッフの優しい姿に感動。気がつけば、私たちと一緒に入院中の痴呆性高齢者もいっしょに見学し、担当者の話にうなずいている。

 「厚生労働省が3ヶ月経つと、病院に支払う診療報酬を減らすという制度にしているから、行き場所がない痴呆性高齢者も3ヶ月で退院させねばならない。この制度は何とかなりませんか」と、担当者から言われた。

 「他で受けてくれない激しい痴呆性高齢者が大変。うちの病院が看ないと仕方ない。暴力的な方はどこの施設でもとってくれない。
そのような人は、別の病棟の精神科急性期治療病棟に入院してもらう」とのことであった。

 同じ敷地にあるもう1つの新しい病棟も見学した。ここは、介護療養型医療施設で、長期療養を目的としている。自己負担は月10−12万円くらい。介護保険適用。要介護1−5で自己負担が少し違う。寝たきりの方でも入所できる。逆に、開放病棟なので痴呆で活動的な人は入所が難しい。大人しい痴呆性高齢者ならオーケーとのこと。さらに、医療において安定した方に限るという。

 四人部屋が14室、個室が4室。個室は1日5000円、月15万円の個室料が上乗せとなる。この病棟は50人待ち。ただし、退去したお年寄りと症状が似た人なら早く入れる場合もあるから、今申し込んだら51番目ということはならないそうだ。

 ただし、長期療養といっても、この病棟では、最後までは看られないという方針。だから、家族と相談して、この病棟に入所時に、必ず特別養護老人ホームなどに申し込んでもらうことにしているという。

 この精神病院は敷地内に、グループホームや福祉ホームも職員寮を改築して、若年の精神障害者のためにつくろうとしている。

選挙で忙しい毎日ですが、介護者の方々とお目にかかって生の声を聞いたり、現場を歩くといろいろと勉強になります。

やまのい和則


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