特別養護老人ホーム 3ヶ所 訪問 


東京の某特別養護老人ホームの、ナースステーションにいます。
夜勤スタッフに付き合いながら、原稿を書いている。


それが終わってから、海野政策秘書と、まず、全室個室の、東京の老人ホームを訪問。
ある盲目の女性の部屋に訪問、
「個室は自由なのでいい。お客さんが来ても気兼ねなく話せる。
四人部屋では我慢できない」と話しておられた。

 その次は、身体拘束ゼロで有名な上川病院を訪問。その清潔な病棟に感激。
「病棟が汚くて臭いと、職員のモラルも低下し、よいケアはできない」と吉岡理事長から教わった。

身体拘束をなくすために懸命に努力をされている。


 次は、ここも、身体拘束をなくしている、東京都北区立の特別養護老人ホーム「あじさい荘」を訪問。

ビール・マージャン自由。

車いすも本人にあったものを用意し、車椅子にベルトで縛ることさえしていない。
特別養護老人ホームの中に、缶ビールとたばこの自動販売機や、電動麻雀卓があるのも感動。

「職員さんがマージャンをされるのですか」と聞くと、
「いえ、入居者ですよ」との返事。
「自由を尊び、管理をしない。その思想から身体拘束もなくせる」
とのことでした。


 そして、晩は、今いる某特別養護老人ホームに来ました。
ショートステイの空きベッドに1時間ほど横になった。四人部屋。21時に消灯だったが、私が部屋に入ったのは21時半。

寮母さんから、
「同室の女性の人には、山井さんが今日泊まることは言ってないので、カーテンをしっかり閉めて、見つからないようにしてください。見つかったら、なぜ若い男性が寝ているのか、とビックリされると思うので」とのこと。

これは大変なことになった。


 22時間から、夜勤スタッフの後についてナースコールに対応。ショートステイ8人を含めて58人に夜勤は二人。

夕方6時から翌朝9時半まで一切仮眠もなし。
ナースコールはほぼ100回。
23時から24時半と、5時から6時半に全員のオムツ交換。

残りの時間はナースコールの対応と、介護記録の記入。
痴呆棟では、お人形を抱いたおじいさんが、目をらんらんと輝かせ寝ない。
この方はまる2日は寝ないでも持つという。

一般棟でも、「たみ子がいない。娘がいない」と叫ぶ女性。
「右手が痛い」と30分に10回ナースコールを押すおじいさんなど大変だ。

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 夜勤をしている介護スタッフに聞くと、
「介護保険で、事務などの仕事量が増えて、肝心のお年寄りと話す時間が減った」
「介護保険は、現場からかけ離れたところで、決まった」
「現場の声を聞いてつくったら、こんな制度になっていなかったはず」
「介護保険が、お年寄りにとってプラスかマイナスかと言えば、はっきり言って、マイナス」などと、20代の女性介護スタッフから率直な意見を聞いた。

心が痛む。

「しかし、困ったことに国会では、介護保険にそんな関心も、危機感はないんだよ」と言うと、
「この現状を見て欲しい。この大変な現状を!」と叫ぶように言われた。

 確かに58人を二人で夜勤対応は無理。


それでも、夕方6時から翌朝9時半まで、働いた後、正午頃まで、この職場に、二人とも残るという。

18時間、この老人ホームにいるのだ。

「すぐに帰ればいいのに、何をするの?」と聞くと、
「仕事中が忙しくて、お年寄りの話を聞く暇がない。仕事が終わったあと、お年寄りの話を聞くひと時が、私の楽しみ」との答え。

この献身的な姿に泣けてくる。


 そう言えば、ついさきほど、深夜12時まで、日勤(つまり夕方6時半までの勤務)だった介護スタッフ二人も、5時間半も残業していた。

生協のチラシ(広告)から、お年寄りが好む食べ物を切り抜き、色画用紙に貼り付け、値段をクレヨンで、大きな字で書いていた。

これをお年寄りに見せて、注文をとり、生協から配達してもらうのだという。

お年寄りのために深夜まで仕事をする姿には頭が下がる。


介護現場は、このような献身的な人たちにより、支えられている。


 しかし、彼女たちも
「本当は、お年寄りと一緒に、買い物に出かけたい。介護保険以前は、そのような余裕があった。でも、介護保険には、そのような介護メニューもなく、買い物には行けなくなった」という。


 「要望はある?」と聞くと、
「もう少し人手が多ければ・・」という。
「そうなれば、もう少し幅広い介護が、余裕を持ってできるのに。いまはもうギリギリの状態です」とのこと。


 厚生省は「介護保険は、おおむね順調」と言っている。
全国老人クラブ連合会などの、調査だ。


しかし、私は厚生委員会の質問で、介護現場の実態調査、介護職員の満足度調査をすべきだ、と質問したい。

なぜなら、「介護保険によって、お年寄りと話す時間は、増えたか減ったか」
「介護保険で、ケアはよくなったか」と聞けば、特別養護老人ホームやデイサービスの現場スタッフのほとんどが「悪くなった!」と答えるであろう。


 もう2時をまわった。
夜勤スタッフに「私と同室のショートステイの3人は何時ごろ起きますか」と尋ねると、
「早い人は4時半」とのこと。
「げえー、あと二時間少し」。
もう寝よう。

明日は、ちなみに朝食は7時過ぎ。
8時半からデイサービスの送迎車に乗り込ませてもらう。
そして、午前中、介護保険で苦しくなった、といわれるデイサービスの調査。


 さあ、さすがに私のショートステイのベッドに寝に帰ろう。
今日はこの特別養護老人ホームのショートステイのベッドが1つ
空いているので泊まらせてもらう。おやすみなさい。
           やまのい和則 拝


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